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PFFディレクターBLOGRSS

2013/04/16 02:53:47

VHSをブラウン管でみることを諦めなければよかったと悔やむとき

狭い部屋を使いやすくするために、先日、遂に、スペースをたくさんとるブラウン管のモニターを手放したのですが、今、深く後悔の念に襲われています・・・
というのは、名作のレンタルが、意外にVHSしかないことを知ったから。そして、VHSを美しく観るには、ブランウン管がベストだから。

今月末に模様替えするTSUTAYA渋谷4階にあるPFFコーナー。
毎回、映画監督をはじめとするクリエイターに、今、映画を志す人に是非みてほしい映画を、テーマに沿って推薦いただいているこのコーナーの、次回のセレクターは、ワン・ビン監督と、市井昌秀監督です。
両監督からの推薦リストが届き、TSUTAYA渋谷店の在庫を調べていただいたところ、ワン・ビン監督の選んだ作品は大半が、VHSでの在庫のみでした。そして、その作品は、全て、映画史に輝く名作なのです。

つまり、BOXやセルでは発売されても、レンタルになっているDVDは存在しない名作たちが、厳然としてある、という現実を改めて突き付けられたのでした。
ああ、VHSの再生機は残しているのですが、それに適したモニターが私にはない・・・失敗でした。
そのうえ、はっと気づくと、一番これら推薦作品をみていただきたい方々で、VHS再生の不可能な環境の方の割合はとても高いのではないかという現実もあるのでした。
困った困った。

というわけで、ワン・ビン監督の推薦された作品を、是非チェックしにいってほしい今月末からのTSUTAYA渋谷4階PFFコーナーです。そして、もしVHS再生が不可能な方は、その作品の劇場上映(名画座、映画祭、特集上映などになるでしょう)を見つけていただくという、これからの新たな楽しみを持ったと思っていただければ・・・と願う次第です。

が、更に、そのコーナーでは、推薦者の作品も紹介しているのですが、ワン・ビン監督の過去作でDVDレンタルされているものがない!
が、しかし、5/25に公開される新作『三姉妹~雲南の子』にあわせ、過去作『鉄西区』と『鳳鳴~中国の記憶』が特別公開されるとのことで、そちらのチェックを是非この機会に!なのです。
14歳から10年間働いた後に映画を撮り始めたワン・ビン監督。現在のところ、スクリーンで体験するしかない監督です。

「簡単にみたい作品を観ることが出来る時代になった」という気分にどこかでなっていた迂闊な私ですが、まだまだ困難なことは多いな・・と改めて気づかされる「映画は一期一会」を噛みしめる出来事でした。

そして昨夜「ルネッサンスPFF」で上映した『むすんでひらいて』も一期一会でした。
群青いろの作品は、あまりに緊張感が高いので、2度目で初めて"楽しめる"という感を強くする毎日ですが、本日の客席からは『ゲームの規則』を思い出したという声や、「人生の失敗者になるほうが幸せなのではないかと思わされる俯瞰した視線を感じた(意訳)」「透明なものを感じた」という感想なども出て、自分たちのつくった作品に対する評論をまだ充分得ていない群青いろのおふたりは、大変喜んでおられました。

作品を生んだ本人たちも、その作品を完全に掴むこと、わかることは難しい。
それほど「作品」というものは、多面的で、隠された何かを孕む。
その、本人たちにも不明な「何か」の力こそが、作品を普遍的なものにする力ではないか。
その「何か」を見つけることができるのが、観客であり、評論家であり、全ての「観るひと」であり、「観るひと」による発見を通して、つくる人は、更に普遍的で強い大きい何かを生み出す自信と力を持つのではないかと、質疑応答の際に、よくそんなことを考えます。

ところで、お箸の持ち方、使い方を考えてしまった『むすんでひらいて』。
日本の箸は、横で持つ。つまり、口と箸は、"水平"に並んだあと、わずかに口に向かって手前斜めに動かされることで、食べるという行為になる。
口の前に手首を回し、口に対して"直角"に箸を入れるのは、西洋のカトラリーの作法で、大きな間違いである。
と、かつて私は市川準さんに教わり、暫くは箸使いを注意していたのですが、最近油断してるなと、『むすんでひらいて』をみながら反省したのでした。
そういえば、高橋さんの作品は、食事のシーンが多いかもしれませんね。


プロフィール

PFFディレクター
荒木啓子 Keiko Araki

雑誌編集、イベント企画、劇場映画やTVドラマの製作・宣伝などの仕事を経て、1990年より映画祭に携わる。1992年、PFFディレクターに就任。PFF全国開催への拡大や、PFFスカラシップのレギュラー化、海外への自主製作映画の紹介に尽力。国内外で映画による交流を図っている。

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