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PFFディレクターBLOGRSS

2012/03/29 01:42:29

PFL

PFLは、「ぴあフィルムライブラリー」の略称です。
PFFアワードにご応募くださった方は、「約款」という書類にサインなさってますが、この約款は、PFLにまつわるものです。PFFアワード"入選作品"は、PFLに入ることになります。
もともとは、この世にそれ一本しか存在しない8ミリフィルム作品(1970&80年代、90年代も前半は、自主映画は、ほぼ全て8ミリフィルム作品でした)の紛失を防ぐために、つくり手からお預かりして、貴重な作品を後世に残していくことを意図した映画ライブラリーです。
背景には、「自主上映会に貸して、紛失された」とか、「いつのまにかなくなっていた」、という話が珍しくなかったことがあります。
同時に、「無料」が当たり前のように起こる自主映画の上映を、少しでもつくり手に「上映料」が入るように交渉する窓口になるためでもありました。

PFLを「PFFが権利を持って行くシステム」と解釈する方をみかけますが、それは完全な間違い。権利はつくり手のもの。PFFは、一定期間、対外的な窓口になるのです。
1:作品が確実に保管される 
2:国内外の映画祭や上映会、興行など、出来るだけ多くの場所での上映を推進する 
3:煩雑な交渉ごとを代行して、制作費が少しでも還元されるチャンスを逃さないようする
ということから始まったPFLですが、デューププリントを1本つくるのも大変だった8ミリ作品と違い、デジタルが主流の現在は作品のコピーは大変に手軽。しかしその保管方法に関しては、世界的にまだ明確な方針を持てていません。デジタル作品は、商業映画も自主映画も、どちらも"保存"に関しては手探りな状況です。
制作費の潤沢にあるメジャー映画の場合、デジタル作品も、現在最も安心な「ネガフィルム」で保存されているのですが、低予算映画はデジタル素材しかない。その保存方法に、確実な答えの出る日はまだ来ないでしょうから、常に最新のフォーマットに移し変えていくしかないのではないか?と囁かれてもいます。

「デジタルは、とてもパーソナルなものなのだな、8ミリフィルムみたいな存在だな」と、ふと感じる今日この頃です。「個人の責任で保管する」という現実において。そして、35ミリフィルムは、個人では保管が難しいところで、公的なものなのだな、と思わされます。

DCP(デジタルシネマパッケージ)とか、VPF(ヴァーチャルプリントフィー:前回のブログに、間違ってVPCと書いちゃいました!失礼しました)とか、略語はその内容を表すに効果的なのかどうか、近年疑問ですが、ともかくPFLのことを改めて考え始めたのは、このDCPとVPF騒動のおかげかもしれません。

しかし、フォーマットが何に変わろうが、興行システムがどうなろうが、自主映画は、全て関係ない、とも言えます。自主映画は「映画をつくる」ということに純粋に集中できる最も自由な世界。そのつくり手が「映画」というものをどう定義するか、というところからして自由です。自由ゆえに難しいとも言えますが、「自分で自分に課題を与える」ことで整理する人も多いでしょう。
ともあれ、出来上がった作品がおもしろければそれでいい。つまり内容が全て。規制ゼロです。

自主映画のコンペティション「PFFアワード2012」の締め切りまで残りわずかとなりました。
そのPFFアワード2012入選作品発表は、7月初旬、できるだけ早くを目指しています。入選作品を上映する、第34回PFFは、東京国立近代美術館フィルムセンター大ホールにて、9月18日から28日の10日間(月曜休館)で開催が決定しました。
最終審査員や招待作品の発表も、7月初旬を目指します。

更に速報です。
震災の影響で開催決定に時間のかかった第33回PFF各地会場予定ですが、
名古屋開催は6月30日、7月1日と3日の3日間で決定しました。愛知芸術文化センターです。そして、福岡開催は、続く7月6日、7日、8日の3日間、福岡市総合図書館で決定です。プログラム決定次第お知らせします。

第33回と第34回が、同じ年に展開する珍しい一年となる今年。「いよいよ始動」という雰囲気に包まれてきた事務局です。

2012/03/26 18:59:42

神戸で爆音体験

京都でのPFF開催最終日の翌日24日に、神戸アートビレッジセンターで、爆音のモンテ・ヘルマン二本立てがありましたので、ちょっと出かけて行きました。
今回、神戸アートビレッジセンターでは、上映準備のため、前日23日を休館して音を追い込んだという太っ腹!いわゆる「映画館」ではその決断は難しく、イベントにはありがたい会場だとしみじみしました。
主宰の樋口泰人さんとも、ダグラス・サーク特集以来ゆっくりお会いしました。
今回の神戸上映をきかっけに、ゴールデンウィークには、本格的に爆音go west展開とのことで、「食べ物の美味しい関西で、爆音参加しながらゴールデンウィークを過ごすのはどうか?」と私も考えはじめています。ほんとに、食べ物天国だ。関西!

四方山話によると、これまでの体験から、音に最も拘っていると思うのは、リンチ。そして、日本の監督で他にない面白い音のつくり込みをしていることを発見したのは、相米監督だそうです。また、何度も何度も大きな音でテストを繰り返していると、それぞれの監督が、どんな風に音を考えているのかが、くっきりと見えてくると。
爆音で観ていると、もう、普通の上映に戻れないなと思う音体験です。

同時に、今、樋口さんが夢中なのがモノラルレコードだそうで、先日、仙台で行った聞き比べイヴェントは、2時間の予定が5時間になったとか・・・次回は、関西で、アナログ時代、プレスする国によって音が多少違ってくるという、その差の聞き比べの企画も実行する計画だそうで、こちらも"果てなき路"だなと、ふかく感動しました。

そして、昨日25日は、新宿にある映画大学院大学での「デジタルのミライ」と題されたシンポジウムに出席しました。
VPSが日本の興行界を震撼させてから、活発に行われているシンポジウム。私たちPFFは「映画祭」のうえ、会場がいわゆる映画館でもない場合が多いため、ちょっと別世界にいるわけですが、デジタルにつきまとう、「最新装備へのアップデート」「上映規格の統一」という問題をクリアできるシステムは、ほんとに一種類しか設定できないのか?とは思います。
多種類は無理なのか?と、私の知りたいポイントは、そこであったりするのですが、今回はそういう話には流れず、私のしたことは、PFFがデジタル時代にどう対応しているかの紹介がメインでした。

シンポジウムが正直大変苦手な私。ドン・コルレオーネがいたら「思ったことをすぐ口に出すな」と注意され、早々と始末されてしまうタイプだなと、出席するたびに思う次第です。つまり、人に自分のオピニオンを話す訓練が足りないわけです。馬鹿ってことですね、

話は戻って、私が一番懸念しているのは、「10年後にもハリウッド映画は王者か?」ということ。決して変らないものとして想定されている、ハリウッドメジャーと、そしてアメリカ。ほんとに変らず、大きな興行収入を日本にもたらしてくれるのでしょうか。多くの人の生活を支えてくれるのでしょうか?映画で食べることの基本であり続けるのでしょうか?
(あ、現在のハリウッド映画で公開間近の『ドライブ』と『スーパー・チューズデー』どちらもライアン・ゴズリングいいですよ!余談でした。)

また、大規模に変わるものは、後年のツケ、大きくないでしょうか?ほら、大型店による地元商店街の崩壊とか、森林伐採里山削りだしによる自然体系の破壊とか。原発への転換とか。
少しづつ、様子をみながら変えることはできないのかな。
DCPの上映可能で、アップデートの可能な他のシステムは他に置けないのか。
あるいは、データ上映の可能な他の方法。
たとえば、Kyoto DUの推進している、Ki-Proを使っての上映。映画祭はこちらの可能性を考えてみなくては、とも思っています。

里山で思い出しましたが、5月にPFFを開催する計画の名古屋で、県が東京在住の地主を訴えているとか。20年前に県を支える大企業が計画した700名以上の地主が持つ東京ドーム58個分の里山をテストレーシングコースにするという計画。当時は買収に失敗したものを、「公共事業」として県が買収に動き、最後に残った一人が首を縦にふらないので、裁判と。すごいな~。自動車のテストコースのために里山を潰す。20世紀に計画された「21世紀の公共事業」って、怖すぎる・・・・

切実に収入が減り、借金が増え続ける日本という国の家計。
これまでの収入あるいは収支計画を維持しようと各地で必死の行動が噴出していますから、これからもっとすごいことが出てきそうで、こりゃますます、映画は現実に負けるわ・・・・現実に追いつけないわ、と、呆然とする気持ちになるこのごろ。
フリーランスの私には、国民年金がいつのまにか多くの公務員に着服されて誰も責任をとらないことに漫画を超えた日本の不思議を感じていましたが、今回はAIJによる1458億円の年金基金の損失を厚生年金で補填という方針が出そうとか。何故そうなるのかさっぱりわからないけど、これでサラリーマンの年金も崩壊する(してる?)ことがわかりました。そして公務員の共済年金は無傷。もう、笑うしかないですね。日本の縮図ここにあり。
でも、AIJに運営させたのは、誰?
銀行預金は、郵便貯金は、誰がどう転用してるのかな?
「お金が廻ることで豊かな社会になる」という、共同幻想が破壊された現在、お金は凶器に等しいなあとほんとに暗くなるのでした。そして、こんな壊れた社会だから、一笑に付される企画のほうが、正しくミライを予言する映画であったりするのかも、とふと思うのでした。

10年後、20年後、あるいは100年後を見据えた普遍的な力を持つ映画。その登場を待つPFF。公募締め切りは31日消印有効。既に審査は始まっています。

2012/03/23 17:21:43

京都着

二年ぶりに大阪に立ち寄り、大阪駅の変化に驚いた後、京都に着いて、これまた街の様変わりに驚きながら、京都シネマのPFF開催最終日に向け、会場に向かっています。
意外に激しい雨に、革靴と折り畳み傘は失敗でした。雨のなかのご来場、取りやめにする方がいないことを祈るばかりです。

京都の街、小さなお店の経営に世代交代が起きている感じ。一度ゆっくり歩いてみたいものですが、明日は神戸に移動です。

2012/03/21 16:33:11

銀座シネパトスのイヴェント満載さに驚愕

昨日は、銀座シネパトスで開催されている森田芳光監督追悼特集の一日を使って、森田監督の自主映画『水蒸気急行』と『ライブイン茅ヶ崎』そして、当時、ぴあのイヴェントのために森田監督に監督を御願いした『劇的ドキュメントレポート'78~'79』という8ミリフィルム作品を3作品、更に、それらに続き製作された、劇場デビュー作品『の・ようなもの』も加え、合計4作品が上映されました。

朝からおよそ5時間半に渡る、この4作品の上映が終了したところで、トークイヴェントもありました。
『ライブイン茅ヶ崎』がPFF77年の入選作品だったこともあり、現在のPFFから私が、森田監督の8ミリ時代にまつわるトークに、厚顔にも登場させていただきました。
70~80年代の森田監督を存じ上げない私です。会場には、かつてのスタッフの方や、お知り合いの方が沢山おられると聞き、かなり真っ青でした。が、司会進行の樋口尚文さんが、8ミリ自主映画をつくっていた少年時代、まさに憧れの兄貴だった森田監督の姿をお話くださったこと、そして、森田監督初期3作品に助監督でついておられた金子修介監督が、突然の指名にも関わらずご登壇くださり、『メインテーマ』や『家族ゲーム』での爆笑の思い出を語ってくださったことで、盛り上がって終了しました。

実は何度かお目にかかった際の金子監督は、シャイで無口な印象でしたから、昨日は別の方をみるようでした。極め付きは、森田監督、大森一樹監督、そして石井岳龍監督という、70年代、自主映画から彗星の如く登場した監督たちのお話の中で、最近、石井監督の『生きているものはいないのか』を観た。と。
「この映画は、日本映画界の話なんだよ!「日本映画に、生きているものはいないのか」という映画なんだよ!」と、いう話に爆笑しながら、なるほどそうなのか。と、またあの映画を思い出していました。『生きているものはいないのか』。近年の日本映画に欠かすことの出来ない俳優、村上淳さんと、渋川清彦さんを見ているだけで嬉しくなるのですが、既に、染谷将太さんも日本映画の顔だなあとしみじみする作品です。未見の方は、是非。

また、そのトーク前の楽屋で、ご夫人でプロデューサーの三沢和子さんと少しお話させていただきました。この時に伺った『水蒸気急行』と『ライブイン茅ヶ崎』のエピソードが大変面白く、トークでご披露したかったのですが、話の流れで触れることができなかったので、ここに記しておければと思います。
森田監督と三沢さんが知り合ったのは、『水蒸気急行』が完成し、森田監督が全く無謀と言える自主上映会を、銀座の「ガスホール」を借りてやると決めていた時だったそうです。
通常自主上映会に考える会場キャパの10倍もあろうかという、メジャー映画の試写会に使われる「ガスホール」をどう満員にするか。そのときからプロデューサーとしての三沢さんの道は決まってしまったのかと感じたのですが、それまでJazzをやっていて、映画の興行や製作に縁のなかった三沢さん。まず、友人知人に「私が結婚すると決めた相手を見ることができますよ」と案内したと。
結果(?)上映は満席の大成功で、"無名の自主映画にガスホールが満席"と、その現象が新聞記事にもなったと。
そして、続く『ライブイン茅ヶ崎』は製作も関わられ、ヒロインのノブコさんは、妹さんが演じておられます。今回の『ライブイン茅ヶ崎』の上映に、主役のマサミ、タモツ、ノブコさんにご連絡なさったところ、マサミさんはお店を経営しておられて茅ヶ崎を離れられず、タモツさんは、映画にもあるトマト農家の収穫で忙殺されており、ノブコさんは年度末の会計に追われており、どなたも仕事で実現しなかったのでした。みるうちに、どんどんマサミとタモツが好きになる『ライブイン茅ヶ崎』。当時の思い出を伺いたかったですね。
そして、81年のデビュー作『の・ようなもの』から、ずっとプロデューサーとして森田監督を支えていらした三沢さん。「面白がる」ことの上手なおふたりの共同制作の日々をふと想像してみたりしました。

更に、この週末に公開となる『僕達急行 A列車で行こう』を撮る前に、『水蒸気急行』をご一緒に再見したお話も伺いました。「30分に編集し直したら傑作だ!」と再編集を考えていたという森田監督。35年の月日のあと、自主映画を再編集するという有り得ないことが起きていれば、これまた面白かっただろうなあ・・・・
『僕達急行 A列車で行こう』楽しみです。

というわけで、昨日は半日以上シネパトスにいたのですが、様々なイヴェントが告知されていました。
特に驚愕したのが、石井輝男監督の『盲獣VS一寸法師』の35ミリプリント上映がある!!そのトークゲストに、出演者のリリー・フランキーさんと、塚本晋也監督、手塚眞監督が登場すると。
また、今井正監督特集では、『青い山脈』『続・青い山脈』上映に際して、アメリカから杉葉子さんが来日なさると。
その他にも沢山の企画が掲示されており、スタッフの方の貢献に頭が下がると共に、どんどん映画祭がやる企画がなくなるなあという複雑な気持ちも持ちつつ、映画の力を再確認して帰途についたのでした。

2012/03/14 01:50:07

2012年ベスト10が出揃ったようです

先日の日本アカデミー賞TV放映後の夜、近所のTSUTAYAを訪れると、見事に『八日目の蝉』が全部借りられておりました。『冷たい熱帯魚』もありませんでした。テレビの伝播力健在なり・・・とふと思いました。
数々の映画ベストテンの発表も一段落した昨今。インディペンデント系映画への注目が高い、ヨコハマ映画祭、おおさか映画祭、高崎映画祭などの賞も決定し、さまざまなベストテンを並べてみると「多彩な年だなあ~」と実感しています。同時に、来年の所沢イヴェント「世界が注目する日本映画たち」ラインナップスタートだなあ、と、本年のイヴェントを2日後に控えならが(!!)思っていました。

「世界が注目する日本映画たち」は、日本国内のみならず海外でも注目の邦画を一挙上映する企画ですので、当然海外での邦画への反応も集めなくてはなりません。
以前、このブログで、「海外で有名な日本の監督は、宮崎駿と北野武、映画祭関係者が会いたいのは、黒沢清と是枝裕和という傾向がある(敬称略)」ことをご紹介しましたが、今月は、奇しくもフランスで、是枝監督の特集(フランスアジア映画祭でドキュメンタリー作品も含む全作品上映がありました)と、黒沢清監督の特集(ドービルアジア映画祭で今)が行われました。どちらも監督を招いての企画でした。フランスは監督特集の活発な国で、「いいな~」と子供のような感想が漏れます。また、5月の韓国チョンジュ映画祭では、小林政広監督と内田吐夢監督の特集を実行するそうです。小林監督も、海外で多く特集が組まれる監督です。

さて、金曜16日から始まる"週末映画祭"とでもいった「世界が注目する日本映画たち」。西武線航空公園駅にお近くの方、是非お越しください。上映7作品のみならずゲストも監督、プロデューサー、出演者と多彩ですし質疑応答タイムや、パンフレットへのサイン会も行われます。今回唯一来場不可能な是枝監督はメッセージビデオで登場いただくのですが、そのビデオは、『ふゆの獣』の内田伸輝監督が撮影くださいました!今回上映の是枝作品は『奇跡』。子供たちが"願い"をかける、その願いに心で滂沱の涙が流れた私。被災地の仮設住宅街でも感じましたが(勿論日常生活でもそうでしょうが)子供のエネルギーたるやすさまじいものがあります。子供が来るといっぺんに、場の色が変わってしまう。そんな子供の有無を言わせぬエネルギーを生かし切った奇跡のような映画『奇跡』。スクリーンで堪能いただけると嬉しいです。

そうです。あの日から一年が経ち、メディアは「復興」へと報道色を替え、政府は原発再開推進やらなんやらかんやらに動いている気配がします。「もうすっかりメジャー報道を疑っているなあ・・・」と我ながら思うのは、一斉に始まった「大地震が来る」報道を、大がかりな「現実から目をそらさせろキャンペーン」だと解釈している自分がいることです。いやいや~、書いてて我ながらこわいです~。
電気代徴収は、水(とガス)と並び「止まると困る」もののひとつとして、ものすごく安定した「全国民からの自動集金装置」ですから、その権利を手放したくない、人生設計をそこからの収入に依って居る人が、驚くほど多くの場所に、大量にいるのだと実感したこの一年。ただ今公開中の映画『TIME』になぞらえると、『発電送電からの収入』でしょうか。さて、自分の生活で電気がないと困るものは何か。もちろん、映画をみることです。あとは、PC、冷蔵庫?ガスもスイッチに電気が必要で電話もそうだから、必要ないものに変えるか?灯は18世紀に戻ってランプと蝋燭か。家庭内自転車型発電機を導入するとどのくらいまかなえるか?ダイエットも兼ねられるが、足腰動かなくなったらどうするか?とか、いつものカウントをしてみます。実は最近一番頻繁に思うのは、それはともかく「エレベーターの閉じるボタン廃止はどう?」と、「エスカレーターの片側一列乗り廃止はどう?」です。
エレベーターの「閉じる」ボタンは、ゾンビや殺人鬼やストーカーに追われた時には絶対欲しいですが、基本、要らないものでは?「開く」ボタンは優しさに沿っているけれども、「閉じる」ボタンは意地悪に近づいていかないでしょうか。エスカレーターも、あの不自然なステップを歩いて登る力があれば、普通に階段を登ればいいのではなかろうか?エスカレーターはその本来の目的通り、二列(ほとんどの場合2人幅ですね)でただ乗ってる昇降機でいいのではと思えてなりません。ほんの数秒の速さのために、無駄なストレスとエネルギー使ってる気がするエレベーター「閉じる」ボタンとエスカレーター「片側歩行専用制度」。一年前までの悪習のひとつなのではないかな~。

政治的イデオロギーや様々な常識、暗黙の所属、などが崩壊したと思うこの一年。戻るのではなく、復興や再生や刷新を願って新しい価値観を生きていくことにすんなり入れるのは、もしかしたら一年前に何も持っていなかった私たち、いわゆるフリーランスの人間や、まだ何もない若者なのかなあとやはり思ってしまったのは、先日国際空港でみた風景からでもあります。
それは推定60代なりたての夫と、推定50代中盤の妻、そして推定20代後半の娘。推定家族旅行に出発する推定裕福な日本人3名。e-ticketに慣れない夫は、妻がまとめてチェックインしたあとに手許にあるものが、従来の「搭乗券」ではないので「お前は何か間違ってる」と不機嫌になり、また妻をカウンターに並ばせる。そのなんだか理不尽に怒っている父の機嫌を「まあまあ」と(明らかに馬鹿にしながら)なだめることに終始している娘。既に疲労してカウンターから戻り「これで間違いない」と夫に報告する妻。「もうやだ~パパ~」という娘。憮然として不機嫌なままの夫。まだ旅は始まってもいないのに・・・今年一番面白い風景で、なんだかずっとその家族の姿を追いかけていた私。多分、夫は推定自分の所属する「組織」の習慣を家庭に持ち込んでいるのでありましょう。推定、部下が旅の準備をし、旅だちも、到着してからも、常に誰かが世話をする。自分の不安や不便を人に解消させることが普通と思う、推定「組織で上がっていく」ことを日常生活でも引きずるその家族の姿に「古い」とつぶやいてしまうのは、私だけではないだろうなあと感じながら、話す相手のいない一人旅を残念に思ったのでした。

「ひとりでなんでもやれ。
次に、ひとりでやれないこと、あるいは、ひとりでやらないほうがいいことを知れ。」
それが自主映画の基本ではないかと常々思う私は、その一家にビデオカメラを持たせて「映画を撮ってみれば?」と話したくなったりしました。
勿論キチガイ扱いされるのは明白ですから、話しませんけど。

あれ?なんだか話がすっかり飛んでしまいました。
本日は気分転換にまたまた『次郎長三国史』(マキノ雅弘監督)をみてしまいました。「ワッショイワッショイ」と走って、とりあえずいつも笑ってる。素晴らしいなあと、またまた惚れ惚れするのでした。

2012/03/04 03:00:00

心洗われる金曜日

「木村栄文作品みておかねば~」と、やはり金曜はオーディトリウム渋谷へ。その上映合間に打ち合わせ、などと、事務局スタッフに苦労をかけつつ、ともかく最終日は全プログラムを拝見しました。
そもそも、「テレビドキュメンタリーが劇場で上映される」ことが、画期的な出来事で、作品制作のRKB毎日放送の決断に頭が下がります。ケースバイケースで一概にここに記すのは困難ですが、スクリーンで有料でのテレビ作品の上映は「諦める方が賢い」というくらい、手間暇かかるというか、不可能に近く、映画祭上映も四苦八苦ですので、しみじみ快挙だと思うのです。

が、この木村栄文作品、「パッケージで全国各所で今後展開予定」ということを支配人に聞き、「どこかで全作みることができるのか!」と、心に希望の灯がともる次第です。このチャンス、是非多くの方に掴んでほしい。う~んと、たとえば、ゴーマニズムシリーズを読んで、教科書にない日本の歴史に気づいた方など、栄文作品必見かと思ったりしました。

また、多分、こういうテレビ作品は、今まさに現場に出ておられる方がご覧になると刺激的なのだと思うのですが、20代&30代のテレビや映画の現場スタッフは忙しくて映画館に行く時間がない!のが現実では?その厳しい現実を前に、いつも思うのは、「だからこそ、学校よりも映画館だな」と、ということです。

恐ろしことに、10代~20代前半までの映画の観貯めで、あとの20年間を乗り切るのが映画映像を仕事にする人の現実だったりします。いや、どんな仕事をする人でも、その後の人生の糧を蓄積できるのは、学生時代だと思われる。その蓄積物の中に「映画」を入れると、かなり簡単に多彩な刺激を蓄積することができると思われる。何故なら、映画の情報量は他よりずっと多いから。
そんなことを再確認した刺激的な作品群でした。

足がまだ元通りではないので、都市の「階段尽くし」がいささか辛く、出歩くのを控えている日々です。しかし「やはり出かけると色んないいことに遭遇するなあ」と実感したのは、その日に会場で知った、英語字幕翻訳者によるシンポジウムでした。
「字幕翻訳者が選ぶオールタイム外国映画ベストテン」という書籍の出版にあわせて企画されたイヴェントで、映画翻訳家協会会員が揃い、映画字幕にまつわるお話や、シンポジウムで構成されると。そこで、木村栄文プログラムのあとも、そのまま、若干枚数出るという当日券の列に並んでみたのでした。

「翻訳」という仕事、映画字幕にしろ文学にしろ、言葉を熟考なさる方の文章は面白いなあと、岸本佐知子さん、鴻巣友季子さん、太田直子さんなどなど多くの著書を通して感じていたのですが、今回のシンポジウムも、登壇者の歯切れの良さ、明確さ、ユーモア、感服しました。
告白しますと、映画祭予算が足りないとき「字幕を自分でつくってみようか・・・」と思ったことが、数度あります。思うだけで、実際の作業を考えて、とても手を出せるものではないと恥じ入ってやめるのですが、今回、改めて、プロはプロであると痛感するお話でした。

特に、皆さんの強調なさっていた(個人的解釈でまとめてしまって恐縮ですが)「脚本家はじめ、製作スタッフが何年もかけて作り上げてきたダイアログであり、物語であり、その丸ごとの結果である「映画」をどう観客に伝えるかということに心を砕いて字幕をつくる」という字幕翻訳への姿勢に、「映画」を大切にすることの神髄がすべて詰まっていることに、心洗われた次第です。
"「映画」をまるごと掴む。掴むために努力をする。そして、その映画が多くの人に伝わるために仕事をする"映画を仕事にするというのは、つまりそういうことなのだと、明確に言葉にしていただいた感じです。

ところで、映画字幕、そして、映画パンフの、他に類のない美しさ、クオリティの高さは、実は日本で高度に発達したオリジナル文化です。ここに現れるように、外国文化の伝道者である「外国映画」を大切にしている国日本なのですが、しかし、一方「日本映画」のほうの対外的なプロモーション力は非常に低い。日本映画ファンが世界各地で自主運営している日本や日本映画に特化した映画祭が、日に日に外交場所として重要度が増している、"海外の映画祭頼り"である現実は、実は切実な問題でもあるのです。

が、今それは置いておいて、美術では、もっと切実な問題が起きました。
ロンドンの大英博物館から「日本コーナー」がなくなり、アジアの一部に組み込まれる。と。
文化芸術エンターテインメント芸能スポーツを通して、人はその国に興味を持ちます。理解を深め、愛情を深め、そこに人間が住んでいることを実感し、国のイメージが固まります。その国家イメージのアピールのために、国税を使って活動している人たちがいます。国家公務員ですね。既得権の確保が仕事であるのに、失ってしまった・・・これを皮切りに、ずるずると世界各地の文化施設から日本が撤退させられていくことを、止められないで終わるのだとしたら、これはかなりの危機です。
経済で人を集められても、そこに敬意が伴うかどうかは別問題ですが、文化芸術エンターテインメント芸能スポーツには、必ず敬意が伴います。それを増やすことは、明確に「よきこと。必要。得策」なのに、何故貴重な既得権を失うのか?(個人所得の増える既得権はなぜ手放さないのか?とも書きたいところです・・・あ、書いちゃった)
コミュニケーションの改善が難しいなら、少なくともコミュニケーション場所の確保はしてほしかった・・・・

ともかく、創作物の活発な交流がますます重要になるこれからの世界です。できることをやり続けようと思います。

2012/03/02 00:39:27

3月のPFF事務局

4月の新年度に向けて、入試、入学、転校、転勤、入社、転職、転居、確定申告、いろいろ煩雑な日常に追われる3月。PFF事務局も、人の移動があり、また、「PFFアワード2012」締切を控えつつ、17日から一週間、京都シネマで「PFFin京都」の開催、16,17,18日、所沢ミューズでの「世界が注目する日本映画たち」開催、そして、20日、シネパトスでの森田芳光監督追悼特集への参加と、イヴェントが満載の3月です。

京都は、『春夏秋冬くるぐる』日原監督、『ダムライフ』北川監督、『僕らの未来』飯塚監督、『山犬』佐藤監督と、4作品の監督が駆けつけて、質疑応答を行います。
会場の京都シネマは、イヴェントやゲストの大変多い映画館ですので、スタッフの方々が監督とのトークを非常に盛り上がてくださる上に、PFFに関しては、地元の学生の方々への運営参加を促してくださるので、毎年暖かい雰囲気に包まれます。今、どんな人がどんな映画をつくっているのか、是非一度参加いただいて、自主映画の最前線に触れてくだい。そして、会場は3スクリーンを持つ映画館で、一般ロードショー作品が中心ですから、組み合わせていけば、朝から晩まで多彩に映画漬けになれる、京都シネマでのPFF開催です。

池袋や新宿から40分弱で到達する、所沢の文化施設「ミューズ」を会場にする「ミューズシネマセレクション 世界が注目する日本映画たち」も12回を数えます。昨年は震災で中止を余儀なくされましたが、本年はデジタル作品の上映も可能となり、新たなスタートを切ります。

16日(金)は、「前夜祭」として、デジテル作品のためこれまで上映を断念していた想田和弘監督の『精神』と『Peace』を上映し、想田監督と、瀬々敬久監督に対談をお願いしました。新作『演劇』も完成という想田監督。瀬々監督との対談がどう拡がっていくのか、私も楽しみです。

17日(土)と18日(日)は、5作品の上映。それぞれの作品の監督はじめ、ゲストをお迎えします。
17日『奇跡』是枝監督連続来場は新作準備で叶わず、ヴィデオメッセージでのご出演ですが、『ヘヴンズストーリー』瀬々監督は、主演のひとり、ミュージシャンの山崎ハコさんとご一緒に、前夜祭に引き続きご来場くださいます。
18日、『歓待』は、深田晃司監督に加え、アジアのミューズとして昨年の東京国際映画祭で特集も組まれた、女優でありプロデューサーの杉野希妃さんもご来場くださいます。そして、『川の底からこんにちは』は、石井裕也監督が、『海炭市叙景』は熊切和嘉監督が、(奇しくも大阪芸大の後輩先輩ですね)ご来場下さいます。

作品公開も一段落して、余裕をもって作品を振り返ることができる時期だからかもしれませんが、この所沢ミューズでのトークは、それまでにない話題が飛び出すことが多いように感じます。作品を未見の方は是非、また、再見の方も是非、この機会にタイトルにもあります「世界が注目する日本映画たち」=昨年、一昨年の国内外で話題の日本映画をご体験ください。各回とも、映画のパンフレット(売り切れている場合もあります)や、書籍などご用意して、ゲストサイン会も企画しています。

そして20日は、シネパトスの森田芳光監督追悼特集の一日をいただいて、8mm作品を監督の監修のもとデジテル化したバージョンで、『水蒸気急行』『ライブイン茅ヶ崎』『劇的ドキュメントレポート』の特別上映が。不肖私が対談に参加させていただくことになり、ただ今森田監督作品を再見致しておりますが、新たな発見に驚く日々です。

そして、3月は「PFFアワード2012」の作品審査を、ご応募いただいた作品から順に始める緊張感の走る月でもあります。また、9月の映画祭に向けて、プログラムの準備開始、そして、恒例の香港国際映画祭への参加があります。
意外にスケジュールの詰まっている3月。
しみじみ、多くの映画イヴェントから、PFFのイヴェントを選んでご来場くださる方に有難い気持ちの高まる季節です。というのも、私自身、年明けから3月はイヴェントを逃すことが重なるからです・・・

例えば、モンテ・ヘルマン見逃し確実で「24日日帰りで神戸アートビレッジセンターに爆音体験か?」と考え中。オーディトリウム渋谷での木村栄文さんの特集も本日最終でまっさおです。はたまた、いつも感嘆する、ユニフランスや、ドイツ文化センターの活発な自国映画の紹介活動、アテネフランセ文化センターでの得難い特集など、行きたい企画にどれだけ参加できているか振り返ると、恥ずかしい限りです。

ありゃ、なんだか、懺悔の時間になってしまいました・・・「映画を仕事にすると、映画をみる時間がやりくり困難になる」とはよく言われる言葉。新年度は、そんな言葉を思い出さなくていい日々にせねばと、「新しい日記帳の最初のページに書く決意」のように思うのでした。日記つけたことないんですけど・・・

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