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PFFディレクターBLOGRSS

2012/02/02 07:14:04

エージェントとかセールスカンパニーとか呼ばれる会社あるいは個人があります

あっというまに帰国となりました。残念ながらJALのアムステルダム直行便が廃止されたので、10年ぶりくらいのKLM利用。機内では映画を見続けることにしているのですが、KLM(およびAir France)の映画紹介は、かなりどうでもいいマニアック、あるいは眉唾な裏話が必ずついてきて、面白いのでした。「日系航空会社の映画紹介ではあり得ないなあ・・・」と日本の真面目さをここでもまた発見する次第です。
往路は、実は「ひとりアニメ特集」をしてみましたが、機内上映ラインナップがハリウッド作品満載なのにびっくりです。「ハリウッド映画が日本ほど公開されないのかも?」と考えてみたり・・・

日本は、世界で一番各国の映画が配給・公開されている国です。映画祭のラインナップを交渉する際も、日本国内の配給会社と交渉するケースが多いので、海外の映画祭ほど、作品をハンドリングしているエージェントというか、セールスカンパニーとの交渉がないかと思われます。この「エージェント」とは、たとえば、日本作品ですと「日本以外の劇場公開、テレビ放映、映画祭出品、DVD化、リメイク」などの交渉窓口になるわけですが(日本を含む、という場合もあります)、どうしても大きな商売が優先になるのは、ビジネスとして当たり前ではあります。映画祭も、勿論、手間隙かけての効果の高い、大きな、マーケットがあるような映画祭に力が入ります。小さな映画祭は「交渉しても返事ももらえない」ということは、珍しくない話です。大きな映画祭とは集客力抜群のメガストア、小さな映画祭とは商店街の小売店みたいなものかもしれませんね、ビジネス的には。フランス、ドイツ、オランダ、イギリスなどに会社が置かれてる場合の多い、つまり、ヨーロッパで盛んな仕事です。
今、増加する日本からの放射性物質で汚染された貨物の陸揚げ拒否・返送でも話題のウラジオストック。「極東のヨーロッパ」と自分たちでも呼んでいるこの街に、「ウラジオストック映画祭」という、決して小さくない映画祭があります。コンペ部門の審査員を、桃井かおりさんや、岩井俊二さんが努めたこともある、東京から2時間半で行けるロシア=ヨーロッパです。この映画祭で昨年、日本からのコンペ作品の上映が出来ず、招待されたゲストは上映なしで帰国したという出来事がありました。フィルムの時代、人気作品のプリントの映画祭間転送がうまくいかず、ゲストの滞在期間に上映されずに終わった場に私も居合わせたことがありますが、ウラジオストックの場合は、フランスのエージェントからのデータがシステムの不具合で開かず上映できなかったのでした。何をどうしてもだめだとわかったのが、上映の2日前。すぐフランスに連絡したが、時差が8時間で向こうは深夜。つまるところ1日が消えてしまい、上映前日に電話でやりとりしながら再挑戦したが、だめで、審査員にはDVDで試写室審査に切り替えてもらい、会場は上映中止で平謝りの返金だったと、今回ミーティングした際に伺いました。
この話の教訓は「上映素材チェックは遅くとも1週間前に終わろう」ということですが、そのことに加え、時差もなく、2時間半で行ける製作国・日本にある素材で何とかならないのであろうか?という残念さ。しかし、製作者側にも「エージェントを通さなくてはならない」という契約=決まりがあり、それを破ることにかかる煩雑な交渉や、製作者&映画祭双方とも、今後の長い付き合いへの配慮からの判断であることも理解できます。同時に映画祭運営者にとっては「テープ上映が確実だ」「バックアップの用意は必須」ということの再認識でもあります。

あら?話がロッテルダムから離れてきました。
コンペ作品は無事完遂し、アイスランド、トルコ、中国、韓国(2作品。ひとつは3D!)、ギリシャ、ブラジル(2作品。ひとつは白黒シネスコ!)、ビルマ(!)、セルビア、ポーランド、タイ、ロシア、チリの最新作品をみました(日本作品は既に拝見してました)。こうしてまとめて観ると、不幸なセックスやドラッグや暴力、多いです。コミュニティの崩壊がまだ修復されないセルビアやロシアの辛さ、ひと際重いです。また、アジアって、なんだかスィートで柔らかな感じなんだなあと驚きます。そして、ヨーロッパの作品は、その作品国系のお客さんで溢れかえります。いやはや、面白いです。
*ロッテルダムには5段階評価方式の観客投票があり、上映翌日位には集計されリストアップされるのですが、コンペ作品で現在最も評価が高いのは、トルコ映画「VOICE OF MY FATHER」です。

見逃した作品も勿論沢山あります。ラウル・ルイス追悼トークや、フランスでつくられた足立正生さんのドキュメンタリーは、特に残念です。
そしてともかく帰国し、中旬からはベルリン国際映画祭に参加します。昨日ベルリンのタイムテーブルが発表され、業界人は早速スケジュール作成にはいっています。この時期、ベルリンと、アカデミー賞が話題です。


プロフィール

PFFディレクター
荒木啓子 Keiko Araki

雑誌編集、イベント企画、劇場映画やTVドラマの製作・宣伝などの仕事を経て、1990年より映画祭に携わる。1992年、PFFディレクターに就任。PFF全国開催への拡大や、PFFスカラシップのレギュラー化、海外への自主製作映画の紹介に尽力。国内外で映画による交流を図っている。

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