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PFFディレクターBLOGRSS

2009/11/24 22:06:42

世界が注目する日本映画たち

pyon-yan.JPGこのタイトルの映画イベントを、毎春、所沢市民文化センターの「ミューズ マーキーホール」で開催しています。主催は、所沢市文化振興事業団。PFFで企画制作を行っています。「世界のアーティストが集うコンサートホールで、一年に3日間だけ行われる映画イベント」として定着し、来春10周年を迎えます。

最初に所沢市の皆さんと共に企画を考えた際に、このホールの音響と、この企画のために設置した大スクリーンに上映する作品のセレクション基準として、"邦画"であり、"国内のみならず国際的な評価を持つ"というイメージが湧きました。所沢が日本の航空発祥の地であることや、日本大学映画学科の校舎があることも関連するでしょう。そして、所沢近郊の映画館で観ることのできない作品="単館公開系の作品を集める"ことも、決まりとなりました。
当時、20世紀の終わり、日本映画の海外での人気が非常に高まり、海外での公開本数も増加していました。その勢いを、ひとりでも多くの方にお届けしたいとも思いました。
毎年、8本を上限としたラインナップを行います。
来春の開催日程は、3月20日(土)、21日(日)、22日(月・祝)です。
ラインナップは、『愛のむきだし』『ウルトラミラクルラブストーリー』『空気人形』『ぐるりのこと』『ディア・ドクター』『人のセックスを笑うな』『フィッシュストーリー』の7作品です。いづれも、国内のみならず、海外映画祭や海外の劇場公開で人気を博した作品です。

この企画を10回続けて、変化を肌で感じることがあります。
会場の映写設備が35ミリフィルムに限られるため、ビデオ作品の上映を断念する必要があるのですが、近年、ビデオでの秀作が増加しています。それから、毎年出来るだけ新しい監督の作品を紹介したいと考えているのですが、海外で人気の監督が、レギュラー化してきています。例えば、河瀬直美、黒沢清、是枝裕和、諏訪敦彦(敬称略)という面々が、10年間ずっと変わらず世界中に観客がいます。

現在、映画をつくるチャンスを掴むには、海外とのコラボレートは必須事項とさえ言えるのではないかと思えます。世界中の映画マーケットが縮んで来ている現実とは、世界中にその映画の観客がいるという前提で作品をつくるという風に「前提を変える」ことだ、と、多くの映画人が気付いて、行動を始めています。このことを映画製作に取り組む常識としなくてはならない21世紀がやってきました。"言葉より強い映画の力"で、世界に愛される映画監督の増加を祈りながら、毎年「ミューズ シネマ・セレクション 世界が注目する日本映画たち」を企画しています。

その7回目のラインナップの1本に、ヤン・ヨンヒ監督の『ディア・ピョンヤン』という作品がありました。監督の家族を追ったドキュメンタリーです。このヤン・ヨンヒ監督が、本を出したという連絡をいただき、先日、出版記念パーティーというものに初めて参加しました。
『北朝鮮で兄(オッパ)は死んだ』というタイトルで、佐高信さんが聞き手で監督が様々な体験を話しています。このパーティーは、佐高信さんの『日本の権力人脈』、目加田設子さんの『行動する市民が世界を変えた』という3冊合同のパーティーだったので、多くの政治家がスピーチに登場し、会場の雰囲気も、政治に親しんだ人々の集いな感じで、私には何もかも新鮮で面白かったのですが、映画関係のパーティーも、映画に親しみのない人々にとっては、不思議な世界かもとふと冷静に考えました。自分があるカテゴライズされた世界にいることは、なかなか気付かないものだということに、気付かされた夜でした。同行したベルリン映画祭フォーラム部門のディレクター、クリストフ・テルヘヒト氏に、スピーチなどを説明しようにも、政治用語をさっぱり知らないことを愕然と気付かされ、通訳という仕事の凄さも実感したのでした。

さて、作品をご覧になった方はご存知でしょうが、『ディア・ピョンヤン』は、非常な勇気を持って発表された作品です。この作品を上映したときの、観客の皆様の反応が大変興味深かったのを覚えています。「人は、聞きたいことだけを聞き、みたいものだけを観る」という言葉は真実だなあ・・・・ということを再認識した瞬間もあった体験でした。是非、多くの方にご覧いただきたいと思います。
そして、新作『ソナ・もうひとりの私』の完成も近いとのこと。釜山国際映画祭で未完成バージョンながら御披露目をし、その場でベルリン国際映画祭での完成版招待も決定したとのことで、拝見できる日が楽しみです。

ベルリン国際映画祭といえば、前述のテルヘヒト氏と、パノラマ部門のディレクター、ウィーランド・シュペック氏が先週東京に滞在し、セレクションを行いましたが、プログラム決定連絡はアジアツアー終了後とのこと。とりあえず気がかりなことは忘れてしまって、日々の仕事に邁進です。
この週末は、PFF名古屋と神戸の同時開催。2都市を駆け足でまわります。


2009/11/20 14:42:45

福岡&仙台&美味しいお店

sendai.JPGyurusare01.jpgまず、福岡の瀬々監督による大島渚講座についてです。
学生運動に詳しい瀬々監督ですから、同じく京都大学時代、運動に参加していた大島渚監督の作品について、「どの視点からどの世代に向かって描いていたか」という、非常に面白い話を展開してくださいました。"運動に参加すること"と、"映画監督になること"がシンクロしていた時代が、確実にあると思います。それらの人々による、作品の解析は、この混乱した世相に非常に役立つのではないかと、もっと他の機会がつくれないかと考えてしまいました。
福岡での上映は、『太陽の墓場』と『日本春歌考』。
2作品とも、松竹から提供いただいたプリントでしたが、どちらもとてもよい状態で、福岡市立総合図書館が持つ非常にクオリティの高い映像ホール「シネラ」の大画面での上映は格別でした。

今年のPFF企画のはじまった春からずっと、大島&イーストウッド漬けの日々のためか、大変まずいと思いつつ、現在の劇場公開作品がゆるく感じられてしまって困っています。1930年代生まれの監督たちの持つ冒険心、好奇心、強さを、現在にふさわしい別の形で継承していくつくり手の出現を期待している自分を知るこの半年でした。

そして、哀しいかな、その大島&イーストウッドとも、来週末の神戸と名古屋のPFF開催を最後にお別れです。
先週末の仙台では、映像専門学校の授業の一環として、イーストウッドの『許されざる者』を約70名の10代の学生にみていただきました。幾人かの方々の心に、小さく痕跡が残ってくれることを祈っての上映でした。
仙台会場の「せんだいメディアテーク」は世界的に評判の建築物で、市の図書館としても、さまざまな講習会やイベント会場としても、大変利用頻度の高い、街のランドマークです。9回目のPFF開催で初めて宮城県出身のPFFアワード入選者が登場したこともあり、老若男女の非常に熱心なお客様にご来場いただけました。
今年はアワード入選の4監督が来場して、上映後のトークを行ったのですが、全国で一番豊かな時間が持てたかもしれません。『映画製作において、手を抜いていいところはひとつもない』ことを、つくり手として痛感させられる、映画の中の小道具、舞台設定、台詞などについての鋭い質問が、特にご高齢の方々から出、なにひとつないがしろにできないものづくりの厳しさと楽しさを再認識させられました。
PFFアワード作品=自主映画をこれまで一度もみたことがないであろう多くのお客様の姿に、主催者としては、少々ハラハラしましたが、良い時間となって大変うれしく思いました。

実は全国ツアーは、各地の美味しいお店を再訪する楽しみでもあります。毎年各人「ツアー貯金」をして年に一度の贅沢に備えます。福岡は「山ちゃん」、京都は「有恒」、仙台は「一心」や「Jus」や、数え切れないほどありますが、これは仙台の担当者の小川さんも美味しいもの好きで一緒に参加してくれるからです。関西は神戸の「千代」や大阪の「炭味屋」、「花かご」など、関西の胃袋大王の宣伝マン、船井さんが教えてくださいます。
いや、食べ物の話になると激しく脱線するので、このへんで。

週明けの24日は、鎌倉で「アカルイミライ」と「トウキョウソナタ」の上映の後、黒沢清監督と対談という川喜多記念映画文化財団の企画に参加します。10年ぶりくらいになる鎌倉行きですので(思い出してみますと、前回はジャジャンク監督と山形国際ドキュメンタリー映画祭の藤岡さんと小津墓参にまいりました)、さまざまな映画関係の場所を散策してみようと思っています。
最近、鎌倉を舞台にと言えば、吉田秋生さんの漫画「海街diary」。新刊がものすごく待ち遠しいです。

そんなこんなで、明日から始まるFILMEX、また数えるほどしか参加できそうもなく悲しくなっています。
海外の映画祭でみそびれた映画は、「大丈夫だ、TIFFとFILMEXで日本語字幕つきでみせてくれる!」と自分に言い聞かせて帰ってくるのに、東京にいると、ほんとに映画祭に通うのが難しくなります。今年はコンペや招待作品以外に、メルヴィルあり、私の一番生まれたかった30年代特集はあり、ず~と浸っていたかっただけに、心から残念です・・・・・

と悲しんでもいられません。
PFFの神戸開催には兵庫出身でグランプリ受賞の井上監督はじめ蔦監督、加治屋監督、岩永監督が、名古屋開催には、愛知出身の武田監督はじめ、飯塚監督、蔦監督がやってきます。蔦監督はとうとう全国制覇達成しそうです。
是非ご来場ください。

また今日も長くなってしまいました・・・

2009/11/12 17:20:49

そして印象的な言葉を

tsukamotows.jpgまた日が経ってしまいましたので、印象的な言葉を駆け足で記してみます。

●10月24日&25日の「「自主映画」製作の基礎知識&ワークショップ」
塚本晋也監督、川原伸一プロデューサー、志田貴之カメラマン、林啓史プロデューサー補にお越しいただいた2日間で、2本の短編映画を生むことができました。
ほんとうは、『自宅で、自分のPCで、音にこだわれるまでこだわる』という、映画の仕上げに力を注ぐところまで行きたいねと企画ちゅうに川原プロデューサーがお話していたのですが、やはり、そのためには"3日間"が必要でした。それだけが心残りですが、受講者のオリジナル脚本2本を映画に出来たのは、かなり画期的なことだったと思います。
*写真は、ワークショップでの撮影風景。撮影を見守る塚本監督が手前にいます。
初日は、塚本監督に、映画製作の心構えともいえるお話を様々に伺いました。
その中で、最も印象的だったのは、毎回、映画の企画を進め始める前は、もうこんな苦しいことはやめたほうがいいのではないかと煩悶する。という話です。しかし、同時に、毎回、いや、人はどうせ(必ず)死ぬ。ならば、一度の人生、やるだけやってみようと決意することの繰り返しだと。
同じようなお話を、これまで何人かの監督から伺いました。
池波正太郎さんの小説にたびたび出てくる「いのちがけ」という言葉がありますが、私の仕事を通して、まさにこの言葉を実感することが珍しくありません。先日封切られた、松田優作さんのドキュメンタリー「SOUL RED」も、いのちがけの俳優の記録でした。

●PFFin京都 
沢山のゲストに来場いただきましたが、私の進行した大島渚講座の一部をご紹介します。
10月26日<林海象監督「絞死刑」>日本映画監督協会の理事長だった大島監督のエピソードを色々ご紹介くださいました。林監督曰く、やけに熱い監督たちの時代。特に、ライバルを自認していた今村昌平監督が、大島監督が倒れた報を聞き、病床から起き上がり、(この隙に)映画を撮ろうとしたという話には、驚きました。
10月27日<渡部眞撮影監督「御法度」>カメラマンの仕事は、現場を円滑に動かすためのサービス精神が非常に重要であることが強く伝わるエピソードの数々に驚きました。また、現在教鞭もとっておられる渡部さんの、次代の為の映画の環境づくりがなされなくてはならないという危機感が強く伝わりました。
10月28日<若松孝二監督「愛のコリーダ」>東京に引き続き参加いただきました。
今回は完成以来、33年ぶりにお客様と一緒にスクリーンでご覧になり、その直後のトークということで、東京とはまたひとあじ違う(東京は予算や収入の話が多かったのですが)臨場感あるお話になりました。しかし、何度もおっしゃっていたのは、「どうしてもこれをやりたいという想いは、必ず実現する」ということでした。

とここまで来て、福岡以降はまた明日。
これから仙台開催に向かいます。


2009/11/05 15:23:21

ブログ失格なこの日付・・・

前回の日付から、3週間経ってしまいました・・・・反省。先ほど、申し込んでおいた市川準監督のボックスが届き、情感溢れるブックレットに感動していました。特典でついているCM集も楽しみだったのですが、ダノンやキリンビールが漏れていて、すこし残念でした。すいません、マニアックな発言でした。

この3週間を振り返ると、オランダのロッテルダム国際映画祭、台湾の台北映画祭、ドイツのNippon Connectionのために試写をし、塚本晋也監督と海獣シアターのプロデューサーやスタッフの面々に2日間のワークショップを実施いただき、京都のPFFに3泊と福岡のPFFに4泊の旅をし、京都の大島渚映画講座では、林海象監督、渡部眞カメラマン、若松孝二監督、福岡の大島渚講座では、瀬々敬久監督にお話を伺い、東京フィルメックスで御披露目される大森立嗣監督の新作を拝見し、エネルギー充填のために舞台を観て(生の舞台にはいつも励まされます)、豪華中華料理会を行い、といったことがありました。生まれて初めて眩暈が起きて生まれて初めて点滴をしたのも楽しい思い出です。

海外のディレクターやプログラマーの方々の話や、イベントでのトークを随時紹介しようと始めたこのブログなので、大変遅ればせながらで間抜けですが、いくつか興味深いお話をお伝えしたいと思います・・・・なのに、写真がない!これまたブログ失格ですね。思い出すと、写真撮ることが全く習慣になっていない人生です。お会いした方々との記念写真も皆無。極端に言えば、写真を頼りに振り返ると、さっぱりわからない人生かもと、突然気付いて笑いました。そんなこんなで、暫く写真無しでご勘弁ください。

ユーチューブを使っての一部ライブラリー作品の公開を始めようという企画もあるロッテルダム国際映画祭は、1月の開催です。一昨年刷新されたディレクターは、舞台芸術の方面から来た、映画初体験のルトガー氏。プログラマー達より若い好奇心いっぱいのディレクターで、映画祭全体に「新しいことをしよう」という意欲が満ち溢れてきたような気がします。プログラマーのヘルチャン氏は、もう毎年おなじみですが、ルトガー氏は初来日。たった3日の滞在ということで、観光時間もなく、到着後ホテルに荷物を置いてすぐPFFまで来てくださいました。ヘルチャン氏は、一日PFF試写室に篭りっきりで、英語字幕つきPFFアワード作品を完走。気になった作品へのコメントを次々と述べるのですが、その最初に、必ず「とてもいい作品だが、いくつかの問題がある」と枕言葉のようにひとこと入るのが面白くてたまりません。「問題のない作品に出会ったことがあるか?」という質問には、応えてくれないのでした。ところで、オランダといえば、大麻が合法であることが有名ですが、大麻カフェやバーが「禁煙」なのはご存知でしょうか。大麻はOKだが煙草は吸ってはいけないのです。オランダは、現在、禁煙運動徹底中。ホテルの宿泊には「このホテルのいかなる場所でも喫煙しない」という誓約書を書かされ、違反すると即追い出されますので、喫煙者の方は、ロッテルダム映画祭参加の際は覚悟ください。

以前紹介した、学園祭のようなNippon Connectionは、マリオン、ホルガー、ぺトラの3人で鑑賞。台北映画祭のディレクターのジェーンも同席です。ジェーンとは暫し、亡くなったヤスミン監督の追悼。東京国際映画祭参加の合間を縫っての試写だったので、持ち帰り作品もあり、まだまだセレクションに時間がかかるでしょう。Nipponn Connectionに受けるだろうと予測した『大拳銃』、受けてました。皆さん、東京国際で観た、石井裕也監督の『君と歩こう』が面白かったと話しています。11月はベルリン国際映画祭や21日からの東京フィルメックスにあわせて来日する映画人など、また海外映画祭の人々がやってきます。最新スカラシップ作品『川の底からこんにちは』の英語字幕版も完成しました。海外の御披露目を決めなくてはなりません。

24日&25日の塚本晋也監督と海獣シアターの皆さんを迎えてのワークショップは、大学&専門学校生16名、高校生9名、社会人3名の受講生で実施されました。初日は、塚本監督の体験談や映画製作にまつまる話を中心に展開し、高校時代の傑作『原始さん』はじめ、幻の作品も御披露目されました。2日めは、任意に提出された短い10脚本を提出者にプレゼンしてもらい、多数決の結果、受講者を2班に分けて2作品を撮影敢行。編集までを完遂しました。この2日間のトピックスや、京都&福岡でのゲストたちの貴重な話は、長くなるので、また明日。写真も探してみます。

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