デジタル、デジタル、デジタル
呪文のように「デジタル」と呟くこの数週間。
作品交渉をしていると、当たり前のように「DCPでいいですか?」と問われることに驚愕する年が、とうとうやってきたなあ・・・と感慨にふけっています。
そして遂に本年から、PFFのチラシもカタログも、フィルム以外はフォーマット表記をやめることにしました。デジタル素材は、上映会場の映写条件によって、フォーマットが多種に渡るため、「フォーマット表記をやめたうえでビデオと表記する?ビデオではなく、デジタルと表記する?」、など、悩みが尽きないからです。
ともかく、「フィルムか、そうではないか」。そのことだけ明記すべく、チラシの作品情報として"35mm"(16mmとか、8mmとかが登場する年もあるでしょう)と記載していない限り、デジタルフォーマットでの上映、ということである。と、ご理解いただければ。です。
「そんな日が、素早く訪れたなあ・・・」と、しみじみする8月です。
第34回PFF開催にむけ、ただいま事務局は、映画祭開催の告知と、当日の準備にまい進する日々です。
その一方で、同時に準備進行中のイヴェントが、実は3つあります。
1)8月26日からテーマの変わる、TSUTAYA渋谷店4階のPFFコーナー。
このコーナーでは、新作の公開が迫る映画監督たちに、隔月ごとにテーマに沿って、「この映画をすすめたい」という10作品を選んでいただいています。
次回は、『夢売るふたり』の西川美和監督と、『恋に至る病』の木村承子監督に登場いただく予定です。お楽しみに!!!
そして、はっと気づくと、このTSUTAYA渋谷店のPFFコーナー企画展開も、あっというまに3年を迎えようとしています。
毎回、映画を浴びるようにみてきた方々に、とても貴重な作品の推薦と、コメントをいただいておりますので、できれば多くの方に紹介しておきたいという気持ちがますます抑えられなくなってきました。
そこで、本年、第34回PFFカタログにて、これまでの推薦者と推薦作品リストを、記録に留めるべく、だたいま編集の方に、無理難題でページ構成を相談中です。
実現すれば、それはもう、まるで一冊の映画本のようなヴォリュームとなる情報だと思います。
こちらも、お楽しみに!
2)カルトブランシュ
フランス語で「白紙委任状」という意味のこの企画。あるクリエイターに、フィルムセンター収蔵の邦画を1本選んでいただき、上映後、選者と、選者の信頼する聞き手とで、上映作品にまつわるトークを行う、という趣向です。
フィルムセンターとエイベックスとの共同で始まったこの企画に、2年前から、PFFも参加しました。まさに2階大ホールでPFF開催中のフィルムセンターの、地下1階小ホールでカルトブランシュが同時開催です。
そして、本年のPFF担当回は、第34回PFFと同じく初日を迎える9月18日の実施です。菊地成孔さんが、『クレイジー黄金作戦』を選んでくださいました。気になる対談相手や、他2つの(毎年3企画開催です)企画など、詳細は、追って公式ホームページや、チラシでご確認ください。とても贅沢な企画が並ぶ本年です。
3)「ミューズシネマセレクション 世界が注目する日本映画たち」
毎年3月に、所沢市の文化施設ミューズで開催する映画イヴェントです。
タイトルの示すとおり、日本国内のみならず、海外でも話題を呼んだ邦画を一堂に集め、週末をどっぷり映画漬けになっていただこうと企画を続け、13回を数えます。
来年の開催は、3月22日、23日、24日の三日間。すべて公開が終了している作品からのセレクションですので、今、半年前でも企画をすすめることが可能な、私にとって、新鮮な驚きと喜びを与えてくれる映画祭です。
というのも、通常の「映画祭」は、公開前の作品を集める場所。
故に、作品交渉はぎりぎりまで続きます。多くの映画祭が、そのラインナップの発表は一か月前見当。ベルリンなどは、2週間前だったりします。
実は、PFFのコンペティション「PFFアワード」は、ラインナップ発表が、大変早い部類の映画祭なのです。映画祭まで2か月以上あるわけですから。
それはともかく、所沢イヴェントの交渉をしておりますと、本日の最初の話題「デジタルの時代」を更に痛感するのでした。
この企画に、デジタル作品上映を導入したのは、実は昨年からです。しかし、本年、映画は圧倒的にデジタル作品の比率があがっているなあと、改めて感じる交渉の日々なのでした。
それにしても、アメリカのユニバーサルが、今後フィルムの貸し出しをしなくなるのではないかという話が耳に入っています。
ダグラス・サーク特集も、クリント・イーストウッド特集も、ユニバーサルの協力と、その抜群の作品保存力があって成り立った企画です。叶うなら、またフィルムで上映したいなあ、ダグラス・サーク・・・と深くため息をつく夜。
本年のPFFは、マイケル・パウエルの小さい特集。是非みていただきたい『天国への階段』と『老兵は死なず』は、日本語字幕のないプリントに、字幕投影をして上映しますので、このチャンスは貴重です。
実は今回のマイケル・パウエル作品も、権利元は、まず「DCP?」と聞いてきました。
フィルムで上映したいというリクエストに、「無理」と返事が来るケース、これから出てきそうだなあ・・・・と予感してます。