映画の命は長い
岩波ホールで、伝説の『原発切抜帖』が上映されることが話題です。3年前に逝去された土本典昭監督の作品をここから体験なさる方が増える可能性を想像して、嬉しくなりました。また、ポレポレ東中野では、先月、伝説の『夏休みの宿題は終わらない』が上映されていました。そのほか、九州の熊本にある素敵な映画館、DENKIKANで、映画祭が始まるニュースをもらいました。
全国各地で、原発に関連する映画の上映企画が次々と生まれて来ている様子です。
そして、こんな時にしみじみ思うのは、映画の「保管」「保存」の大切さです。
制作されてから10年20年の時間はあっと言う間に過ぎていき、いざ、久々の上映となったときに、「作品の行方がわからない」「上映に耐えられない状態になっていた」ということは珍しくありません。
PFFでも、かつて、8ミリフィルムで制作された(=ネガとポジが同じなため、この世に一本しか存在しない)作品が、どこかの上映会に貸したまま紛失した。という悲しい話を何人かの監督たちから聞いたことがあります。
作品さえ残っていれば、今やその命に終わりがないようにできるのではないか?とすら思える昨今の修復や保管の技術。生まれた作品の命の継続に意識的な製作者が、この機に更に増えるのではと期待します。
話は変わりますが、ドキュメンタリー映画『蟻の兵隊』の主役、奥村和一さんが亡くなられました。PFF事務局が毎年3月に所沢ミューズで企画参加する三日間だけの映画祭「世界が注目する日本映画たち」で過去にご紹介した作品です。
この「世界が注目する日本映画たち」、本年は311の影響で中止となりましたが来春は再開です。ご期待ください。