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橋口亮輔監督スペシャルインタビュー

'92年のデビュー作、第6回PFFスカラシップ作品『二十才の微熱』から、日本映画界を圧倒した昨年の『ぐるりのこと。』まで、一貫として人との繋がり、人と社会の関係性を繊細に描いてきた橋口亮輔監督。そんな橋口ワールドの過去、現在、未来とは?

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[3] これから映画を撮る人たちには シナリオの大切さを知って欲しい

―― 最近リリースされた『自主映画。』というDVDでは、『ララ‥1979~1981』『ヒュルル‥1985』『夕辺の秘密』を観ることができますね。

こうやってまとめて観ると、16のころからの自分がずーっといるので、『北の国から』みたいな人間ドキュメントになってて(笑)。一個一個の作品を楽しむというより、この人がいて、このときにこれを考えたから、次はこれになってっていうふうに繋がって見えるのが面白いですね。

―― 当時の作品を今観られるのはどんな気分ですか?

何の取り得もない、普通の目立たない子がたまたま映画を撮ったわけじゃないですか? 自分の人生で何が言えるって言ったら、映画ぐらいしかないわけですよね。その今までのことを全部まとめて、全部ここにありますって感じなので、これで人生が終わっても大丈夫って思うぐらい、スキッとしましたよ。なんか、本当にひと括りって感じがして、自分はこんなことやってきたんだ、結構頑張ってきたじゃんって、感慨を新たにしましたね。

―― 『夕辺の秘密』は東京国立近代美術館フィルムセンターで開催される、第31回ぴあフィルムフェスティバルの回顧展(6月30日~7月24日)でも上映されますね。

僕も観に行こうかな? 字幕もちゃんと入れて、内容がちゃんと理解できるようにしたので、前に観た方で内容が分からなかった人も、これは何て言ってるんだろう?って思った人も、あっ、こんな映画だったんだ?って分かるもしれない。

―― ところで、最近の若い自主映画作家の作品を観てどう思いますか?

今はみんな自分でコンピュータを使ってすぐに編集しちゃうけど、そのテクニックにはビックリしますよね。だけどやっぱり、シナリオが無茶苦茶なんです。「こんなことを友だちに向かって言う?」とか「そんな喋り言葉で普段喋ってるの?」って聞くと「いいえ」って言うのに、そういうことをまったく無視してるんですよね。僕がルルーシュをマネしていたときのように、それをやってみたい、カッコいいテクニックが優先しちゃうからそうなるんでしょうけど、シナリオが映画にとって如何に大切かってことにも気づいて欲しいですね。

―― その他にも何かアドバイスはありますか?

いっぱい観なくてもいいから、好きな映画を繰り返し繰り返し観ればいいんじゃないですかね。いい映画には全部の要素が入ってるから。そうすると、観ながらいろんなことを考えますよ。昨日はこう思ったけど、今日はこう思ったとか。失恋しちゃったけど、失恋した後に観たらこう思ったとか。いい映画はいろんな違ったことを語ってくれます。
あと、自分で撮るときには、何を伝えたいのか?ってことだけは突き詰めた方がいいですね。映像のカッコよさを伝えたいでもいいし、好きな女の子をただ撮って、俺の好きな子、可愛いだろう? だけでもいいわけですよね。そこに真摯になれば、それが誰にも負けない個性になって表れるわけでしょ。何を伝えたいか?ってことに真剣になれば、テクニックなんかどうでもいいんですよ。

―― 最後に次回作の構想を教えてもらえますか? そろそろ原作モノをやってみたいという想いもあると聞いてますが……。

そうですね。でも、(三島由紀夫の)『禁色』なんかやったら本当に死んでしまうと思うもん(笑)。でも、やりたい。なんか淀川(長治)先生の遺言みたいな感じがしてて。『二十才の微熱』('92)のときに1回しかお会いしてないのに、そのときに「あなた、三島由紀夫の『禁色』やりなさい」って言われて。それと「あなた歌舞伎は観てるの?(鶴屋南北の)『桜姫東文章』っていうのがあるんだけど、あなたやりなさい」って言われて。なんで、その2本を言われたのか分からないんですよね。

―― 『禁色』は読まれたんですか?

その後すぐ読みましたよ。ウワ~、面白いって思いましたよ。先生に言われたからっていうんじゃなくて、愛と憎しみ陰謀が渦巻いていて。歌舞伎もすぐ観に行って歌舞伎って面白いって思いましたしね。だから、ずっと胸の中にある話だけど、なんかそこに辿り着くまでにあと何個かハードルがあるような気がしているんですよね。

『ミラーマン白書』
(1987年/ビデオ作品)

『ミラーマン白書』
(1987年/ビデオ作品)

『夕辺の秘密』
(1989年/8ミリ作品)
※PFFアワード1989グランプリ受賞作品

『二十才の微熱』
(1992年/16ミリ作品)
※第6回PFFスカラシップ作品

『ぐるりのこと。』
(2008年/35ミリ作品)
© 2008「ぐるりのこと。」プロデューサーズ

Profile
橋口亮輔 Ryosuke Hashiguchi

'62年7月13日、長崎県出身。PFFアワード入選の『ヒュルル‥1985』('85)、同グランプリの『夕辺の秘密』('89)などの自主映画を経て、'92年に『二十才の微熱』で劇場監督デビュー。'95年の『渚のシンドバッド』、'01年の『ハッシュ!』で国際的に注目される。昨年は6年ぶりの新作『ぐるりのこと。』が話題に。

DVD情報
「映画監督・橋口亮輔 自主映画。」

発売中
バップ
6090円(2枚組)
>>ご購入はこちらから

【ディスク内容】
  • Disc 1 ※105分
    • 『ララ…1979~1981』(1983年/8ミリ作品)
    • 『ヒュルル…1985』(1985年/8ミリ作品)※1986年PFF入選作品
  • Disc 2 ※115分
    • 『ファ』(1981年/8ミリ作品)
    • 『少年の口笛』(1984年/8ミリ作品)
    • 『夕辺の秘密』(1989年/8ミリ作品)※PFFアワード1989グランプリ受賞作品
    • 橋口監督インタビュー
    • 初期作品ダイジェスト集
      • 『レベル7+α』(1978年/8ミリ作品)、『サンセット』(1979年/8ミリ作品)、『ミラーマン白書』(1987年/ビデオ作品)
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