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PFFディレクターBLOGRSS

2014/05/21 13:21:36

車椅子→松葉杖→杖→そして二足歩行訓練しながら完全復帰中

更新思いっきり遅れました。
3月(おお、なんとも昔・・・)の所沢「世界が注目する日本映画たちvol.ⅩⅣ」では、初登場のゲスト陣を多数お迎えし、刺激的なお話を数々伺いました。
「映画の命は細部まで決してないがしろにしない作業の積み重ねなのだ」としみじみと感じる9回のトークを思い出します。

4月は、おもいきって香港国際映画祭に出かけました。今年初の国際映画祭参加です。
ここから「松葉杖は機内持ち込みには大きすぎるなあ」と杖にしてみましたが、足が不自由だと、空港というものの広大さを実感です。
病院の看護師さん、空港の職員、ものすごい徒歩量の仕事だなとわかりました。多分、仕事で一日二万歩くらい簡単に歩いておられることでしょう。

さて、香港国際映画祭。上映作約300本。有数の規模を誇る映画祭ですから、会場も香港島と九龍半島の広範囲に渡ります。できるだけ同じ会場で移動をなくし、長時間並ばずに入る(歩行も、立っていることもまだ自信がなく)ことを優先してプログラムを選んでみました。
そのなかに、デジタルレストア特集もあり、小津作品を、初めて、外国で外国人と一緒に英語字幕で観賞。『秋刀魚の味』です。
劇中、おじさまたちのちょっと下卑た会話の数々に、どっかんどっかん笑いが起き、幸せな気分になりました。
これまでの体験では、クラシック映画は、不思議と時代によって反応が違います。もし10年後に『秋刀魚の味』を同じく香港で見るチャンスがあったら、多分全く会場の雰囲気が違うでしょう。そんな機会に巡り合いたいと思うと、パリのシネマテークでは可能だなと思い当りました。繰り返す上映のメッカですから。

ファラディ、マリックなどの特集上映も行われ、また、世界の最新長編映画に加え、ドキュメンタリー、短編、実験映画、と、なんでもある香港。入場方法も簡単で、映画を観貯めするのに最も適した映画祭のひとつです。
そんな香港映画祭で、遂に唯一のフィルム上映作品となったのが、コンペティション部門にて上映された、『祖谷物語』。蔦哲一郎監督作品です。時代は、しみじみデジタル。
だがしかし、デジタル作品の保存方法にまだ確実な答えはなく、未来は予測できないままです。

その後、4月末開催となった「PFFin福岡」のため、福岡へ飛びました。第35回PFFの最後を飾る開催です。
会場の福岡市総合図書館は、「アジアフォーカス福岡映画祭」で上映されたアジア映画の収蔵をはじめ、映画保存活動を行う国際フィルムアーカイブ連盟の会員。日本では東京国立近代美術館フィルムセンターとここの2か所のみが会員です。
「アジアフォーカス福岡映画祭」も近年はDCP上映がメインとなりつつあり、福岡市総合図書館では、DCPの収蔵も始めたそうです。
「デジタル作品は、フィルム作品と同等に残っていくのか?」これは現在、最も大きな課題のひとつであると言えましょう。

PFF福岡開催のあと、GWを利用して九州の阿蘇界隈を現地の方に案内していただきました。
そもそも運転免許を持たない私ですので、一人では手も足も出ない阿蘇巡りですが、流石に現地在住の方は自由自在。
名水の源泉や、電力会社によるものと個人で自宅に設けたものと、ふたつの地熱発電所、そして、企業と個人とによるソーラー発電の現場、その道すがら目にした風力発電装置、とあわせ、豊かな未来への装備を感じました。
案内者によると、阿蘇の畜産家たちは過去の苦い経験から、山を売らない、貸さないことを守ろうと大変な苦労をしているとか。ゴルフ場併設のホテル建設が行われる際に、どんなに自然環境の破壊をしないと契約書に明記されても、経営不振になると最初に切り捨てられるのは、コストのかかる自然保護のためのメンテナンスだということを、多数体験してきたのだそうです。
「自然を守る」ためのコストと労力は、精神力と共にあり、精神力は、未来のイメージ力にあるなあと、阿蘇の自然の中で映画の役割を考えてみました。

入院中、8人部屋でしみじみ身に沁みたのは、多くの方が日々実感しておられるでしょうが、「映画は全く日常の話題に上がらない」ということです。
テレビが、芸能人が、こんなに世界の中心にあるのかと、世界を改めて認識する体験。
だからこそ、そこの外にある世界ではなんでもありだということも、改めて認識です。
映画とか、漫画とか、文学とかは「皆様」のものではないのです。
だから面白い。
そんな4月までの体験。
そして5月ももう後半。
ただいま、テアトル新宿で9月開催の「第36回PFF」に先駆け、プレイヴェントとして「ナイトトリップ・インPFF」を開催中です。
テーマは「一週間で自主映画の歴史40年を駆け抜ける」
今夜を含めあと3日の開催は、6作品すべてにゲストが登場します。
明日夜の山戸監督作品では、主演女優たちも急遽来場が決定。
深夜のテアトル新宿は、何か怪しいことが続々発生しそうです。

なにものも怖れず、なにものにもしばられない創造の力。映画のそんな強さをみせてくれる作品に出会うべく、PFFアワード2014選考も、ただ今佳境を迎えております。
7月には「第36回PFF」の全貌を発表します。どうぞ、お楽しみに!

プロフィール

PFFディレクター
荒木啓子 Keiko Araki

雑誌編集、イベント企画、劇場映画やTVドラマの製作・宣伝などの仕事を経て、1990年より映画祭に携わる。1992年、PFFディレクターに就任。PFF全国開催への拡大や、PFFスカラシップのレギュラー化、海外への自主製作映画の紹介に尽力。国内外で映画による交流を図っている。

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