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PFFディレクターBLOGRSS

2011/10/24 01:20:17

東京国際映画祭が始まりました

先週、金曜夜は、激しい雨に驚きながら、翌日の初日の準備に忙殺されているであろう東京国際映画祭(TIFF)のことを考えていました。現場の施工はじめ、大がかりな対策が必要な大規模な映画祭ですから、無事好天で迎えた初日の安心はいかばかりかと思います。他人事ながら「よかったな~」と。天気が気になる仕事、それは映画祭です。いや、殆どの仕事はそうなんですけど・・・("好天"と"荒天"は一字違いで同じ音なのが皮肉ですね)
土曜日は『家族X』トークイベントがあったりで、まだ参加できていないTIFF。折角の都内での映画祭ですから、会期中できるだけ多くの映画を観たいものだと考え、遅ればせながらプログラム検討に入っています。(また今年も出足が遅れました)
TIFFでは、26日13:20から、TOHOシネマズScreen6にて、PFFアワードグランプリ作品『ダムライフ』の特別上映があります。その上映前のシンポジウムでは、昨年の「日本映画・ある視点」部門の作品賞を受賞した『歓待』のプロデューサーを迎え、その後の作品展開についてじっくりお話を伺うそうです。昨年は"自主映画"というテーマのもと、私もシンポジウムに参加したこともあり「日本映画・ある視点」部門の作品は全て拝見したのですが、『歓待』傑作です。このブログをお読みの方で、多分未見の方はおられないとは思いますが、近年の日本映画で、国内外で素晴らしく評判となった作品のひとつですので、世界展開を目指す方々には参考になるお話が聞けるのではないでしょうか?
また、本日、19:00からは、六本木アカデミーヒルズ49オーディトリアムにて、「海外映画祭プログラマーサミット」が開かれるそうです。「ユニジャパンエンターテインメントフォーラム2011」の一環です。二時間に渡り、日本映画を頻繁に招待する海外映画祭のプログラマー5名が日本映画について話をするそうです。
そもそも、直前に開催される釜山国際映画祭に参加して、東京国際映画祭までの日々を近隣国での作品探しに使う、という<韓国・日本を含むアジアの旅>を設定するプログラマーは少なくありません。こんな企画がもっと増えるとパネラーにとっても経済的に助かる、お互いハッピーな企画だなあと思いました。今回のパネラーには、ベルリン国際映画祭のフォーラム部門ディレクター、ロッテルダム映画祭のアジア・アフリカ担当プログラマーも。どちらもPFF作品を長年招いてくださっている映画祭ですが、開催時期の近い映画祭ですので、近年はプレミア合戦がヒートアップしており、どちらにどの作品を観ていただくか、私の悩みのひとつになっています。
あるパネラーに「今回のサミットでは"共存共栄"をテーマにどう作品を分け合うかを話しあうのはどうか?」と冗談を言ってみましたら、「まず私の映画祭が欲しいものをとるので、残りをみなさんで分けるのはどうですか?という話になるだろうねえ~」と、予想どおりの冗談が戻ってきて、一緒に笑いました。ああ、どれだけ映画を獲ってこれるか、が大切な映画祭プログラミングの仕事。そことはちょっと違う映画祭PFF。他の映画祭のディレクターと立場が違うなあといつも感じる、いささか仕事内容を説明するのが難しいPFFです。

それはさておき、PFFでは、映画祭を運営しながら、映画祭に出品もするということを続けています。作品をディレクターやプログラマーにみせることの出来る時期と、その映画祭の監督や作品に対する扱いについて、とをあわせて、これまで20年以上の経験を元に、積極的に作品を出品したい、監督を招待していただきたい映画祭のリストめいたものができています。
プレミア上映に伴う監督招待の場合は、旅費、宿泊費、通訳、上映のクオリティ、観客の反応などさまざまな要素を元に考えますが、PFF関連作品の監督は、殆どの場合「初めての海外映画祭体験」となるのでそこが重いポイントになります。つまり、前提として「海外体験の少ない、言葉に不自由な、経済的に豊かでない、若い監督の参加。もしかしてひとりで参加する。」という条件を想定してすすめます。更に、その作品は、制作会社も宣伝会社もついていない、自主映画です。
現在のところ、上記の前提の監督にとって、完璧なサポート体制は、バンクーバー国際映画祭ではないかと思います。極端なことを言うと、お金を持たず、英語を喋れず空港に降り立ったそのときから、帰国の途に着くまで、経済的にも心理的にも全くぜんぜん心配のない映画祭です。
次に、ベルリン国際映画祭フォーラム部門も、上映のクオリティはもとより、言葉の面でのゲストサポートが素晴らしいです。更に、ここは、「アルセナール」という会員制の映画館(2スクリーン)を経営しており、フォーラム部門の上映作品からいくつかが、アルセナール含む、ドイツ語圏のアートシアターネットワークで公開されるチャンスがあります。つまり、ドイツ語字幕つきプリントを作成し、上映し、その収益分配がその後継続して行われるのです。実は、PFFも、ぴあフィルムライブラリー(PFL)を、このフォーラムの運営に感化されて始めたのです。多くのPFF作品を、アルセナールで上映していただいています。ただ、ここ数年、監督招聘予算が削減され、往復航空券の出ない場合があります。
ロッテルダム映画祭はベルリンの直前ですが、活気溢れる、若い監督には大変楽しい映画祭です。映画を浴びるように観るという点からも、狭い場所に20スクリーンあまりがひしめき、チケット発券ルールも結構ゆるく、映画漬け可能な映画祭です。ロッテルダムはホテル代が高いので、そこが、もし招待日数以上の滞在をする時は、悩みかもしれません。
釜山国際映画祭。観客の黄色い歓声とサインください!攻めに、「映画監督はもてる」と思わせてくれる映画祭です。この熱気は、全州映画祭もそうですが、韓国でしか得られないと思います。
このあたりの映画祭で最初の上映を設定できるといいなあと思っています。
勿論、他にも素晴らしい映画祭がたくさんあります。作品や監督の条件で、ベストの映画祭は全く変わるでしょう。そして、何より一番大切なのは「最初に作品ありき」。作品を熱望されて、がスタートラインです。

と映画祭の話をしてきましたが、しかし、東京は毎日が映画祭とも言えるなあとしみじみ思います。
22日土曜日の『家族X』トークの隣では、富田克也監督の(空族の、と書くべきか)『サウダーヂ』初日が熱気に包まれて展開されていました。毎回舞台挨拶ということで、ロビーは、関係者というかスタッフというか、上下左右に走り回る走り回る。興奮が伝わる伝わる。その様子をみていると、2階のオーディトリウム渋谷と、3階のユーロスペース、この3スクリーンで展開される一週間のイベントの数、ゲストの数は、映画祭よりすごかったりするのではないか?改めて考えました。4階のシネマヴェーラも入れると、更に。しかし、映画館ですからスタッフの数は限られています。運営の苦労を思うと、しみじみ感服です。全国的に、映画館運営の業務は増え続け、人は減り続け、みな、ものすごい労働量なのが伝わります。映画館で映画をみることに、少しでも貢献できたらと思います。

映画祭と映画館公開で映画をみよう!と言ったばかりなのに~!なんですが、恒例の渋谷TSUTAYAでのPFFコーナー企画の更新が迫りました。10月25日からは、先日、ベネチア映画祭で新人俳優賞を受賞した染谷将太さんと、ただ今ユーロスペースで公開中『サウダーヂ』富田克也監督のおふたりの選ぶ<冬でも熱くなる映画>です。必見の作品が並んでいます。ご期待ください。

プロフィール

PFFディレクター
荒木啓子 Keiko Araki

雑誌編集、イベント企画、劇場映画やTVドラマの製作・宣伝などの仕事を経て、1990年より映画祭に携わる。1992年、PFFディレクターに就任。PFF全国開催への拡大や、PFFスカラシップのレギュラー化、海外への自主製作映画の紹介に尽力。国内外で映画による交流を図っている。

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