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PFFディレクターBLOGRSS

2010/02/18 11:41:53

ベルリンから

kawanosoko01[1].jpgただいまベルリン国際映画祭滞在7日め。
今回出品している『川の底からこんにちは』4回上映の最終回を終えました。
夜が明ければ帰国の途につきます。

本年のベルリン国際映画祭は、日本映画がかつてなく大量に出品されています。
http://www.kawakita-film.or.jp/filmfest.html

『川の底からこんにちは』は幸い非常に人気を博する作品となり、上映の度に、嬉しい気持ちが高まります。1993年からベルリン国際映画祭に通う私ですが、作品と一緒に参加するのは、記憶に間違いがなければ、『ひみつの花園』『ワンピース』『アドレナリンドライブ』『pickled punk』『鬼畜大宴会』『空の穴』『Border Line』『バーバー吉野』『水の花』『パークアンドラブホテル』『夕日向におちるこえ』『無防備』そして今年の『川の底からこんにちは』で13回目です。こうして並べてみると、なかなかの数ですね。
そして、今年は、初めて監督と私とのふたりだけでの参加であることに気づき驚きました。作品のスタッフや出演の方が一緒ということが当たり前になっていたんですね。
また、これほどの悪天候での映画祭開催に遭遇したのも初めてです。おかげで、フランクフルト国際空港から、ベルリンまでのフライトがキャンセルとなり、バックパッカーのように、夜行の普通列車で7時間かけてベルリンまで移動するという、思いもよらぬ体験をしてしまいました。結局、東京の家からベルリンのホテルまで、30時間強をかけての移動となり、この時間かければブラジルでもアフリカでも行けるわ・・・とため息でした。人生、何が起きるかわかりません。
ベルリンのトピックはまたご紹介したいと思います。

東京に戻ると、すぐに、ワークショップ企画の実行です。
2月23日&24日は、ツァイ・ミン・リャン監督と、主演俳優で監督でもあるリー・カンションさんをお迎えしての映画上映3本つきの2日間、そして、26日&27日は、塚本晋也監督と、石井岳龍監督をお迎えしての音楽に関する2日間を実施します。
この様子も、追ってお伝えします。

2週間前まで滞在していたロッテルダム国際映画祭は、歩いて移動できる場所に何もかも集まっていましたので、このブログも頻繁に更新することができましたが、ベルリンは、ホテルも会場も、さまざまな場所に散らばり、地下鉄やバスを駆使しているうちに一日が終わってしまいます。映画をみることだけにに集中できる年が少ないこともあり、ベルリン映画祭を"使いこなす"感覚まで至れないまま帰国することが多いのですが、街は刻々と変化しています。この数年で、英語が通じる場面が増えたことと、西欧の首都でありながら、物価が非常に安いことや、静かなことにも近年更に驚かされます。
多分、今、ベルリンは、西欧都市の中でとても暮らしやすい街になっているのではないかと思います。

ところで、ロッテルダムでの美味しいお店は、イタリアンの「OLIVA」、ベルリンでは、和食の「ささや」。これが私の今のところの一番のおすすめです。

2010/02/09 22:46:02

A Brighter Summer Day

私のロッテルダム映画祭滞在の最後を飾ってもらったのは、故エドワード・ヤン監督の傑作「クーリンチェ少年殺人事件」"237分版"上映です。
"クーリンチェ"は本当は漢字表記なのですが、うまく出てこないので、カタカナ表記でごめんなさい。英語のタイトルが、A Brighter Summer Dayです。
2007年、東京でヤン監督の追悼上映を企画した際、最も上映したかったこの作品を諦めたのは、権利の問題です。日本からの出資で完成したこの作品は、その会社が倒産した際に、日本における上映の全ての交渉が難しい状態になってしまいました。
世界各地でエドワード・ヤン追悼特集といえば、Brighter Summer Day無しには語れなかったとき、製作に関与していた日本でだけは、上映不可能だったのは、胸の痛む体験でした。

今回のロッテルダムでの上映は、「戦後」という特集の中で、2回だけの上映です。映画の時代設定が、1960年前後の、複雑な歴史に揺れる台湾を舞台にしているからです。
上映は昨年、マーティン・スコセッシを中心に、世界のフィルムアーカイブが協力して起こしたWorld Cinema Foundationのもとで修復され、保存されたプリントを使っていました。

アーカイブプリントは、商業映画のプリントとは違って、厳しい使用条件が課せられます。
通常、多くの映画館は、プリントを繋いで、一本の大きなロールにして自動上映できるようにします。しかし、アーカイブプリントの上映に際しては、「絶対に繋がない。切らない」という必須条件のもとに、主催者は誓約書を書かされます。上映に使う映写機の申告も同時に必須です。これは映画祭では日常的な作業であり、2台の映写機で切り替えをしながら上映をします。何故なら、そのプリントは世界に一本しかない可能性が高い、人類共有の文化財だからです。
さてところが、ロッテルダムでは、想像もしえないことが起こりました。プリントが、繋がっているのです。端から端まで。完全に。巻終わりの黒味から、次の巻の始まりの黒味からカウンターまで、一切切らずに、繋げて上映されたのです。
確かに、切っていません。一切。繋いでいますが、その繋ぎは、映像部分にダメージはないでしょう。それは、確かにルールは守っている、一本繋ぎで上映できる効率的な上映方法かもしれません。「う~む。いよいよ映画祭にも効率化の波がやってきたか・・・」としみじみと時代の変遷を感じた滞在最後の朝から午後にかけての4時間でした。でも、一生に、これが最初で最後の体験でありたいなと思いましたが・・・

ともかく、思いがけない体験できる映画祭という場所。クラシック作品の上映に際しては、そういえばもうひとつ面白い思い出があります。あれは数年前の釜山国際映画祭。インドの古い映画を観にいきましたら、あれれ?とうとう観客は私ひとり。字幕投影操作のスタッフ含め、スタッフは会場に5人ほど。完全指定席制をとる釜山映画祭ですから、ひとりのスタッフは、多分彼女の仕事であろう指定席に座るよう指導しにきます。でも、ひとりしかいないんだよ~。いやはや、一人のための上映をしていただくことは、まだ他では味わってません。ともかく、映画祭は最新作品がやはり人気ですね。
さて、数日後に向うベルリン国際映画祭では何が待っているのでしょうか。先週は、マイナス10℃も珍しくなく「毎日アルプス登山に出かける気分だ」と言う人もいたベルリン(今週はマイナス5℃くらいまで上がったらしい)。びっくりして思わずセール期間のロッテルダムの靴屋で、emuのボアのブーツを買ってしまい、日本で買ったほうが安かったことに泣きました。お店の人に、これはすぐに伸びるから、ワンサイズ小さいのを買うこと&素足で履くのが一番暖かいと教えられ、やってみたらほんとに、劇的に暖かく、「裸足で履くなんて、水虫になるんじゃない?」という声をよそにとりあえずベルリンは乗り切ります。

ところで、ロッテルダムでは、今月の23日&24日に開催する、ワークショップの打ち合わせも大きな目的でした。ツァイ・ミン・リャンさんと、リー・カンションさんをお招きして開催する豪華な時間。ツァイさんは現地では、間もなくオランダ公開となる『顔』の取材でほぼ三日間缶詰状態でした。
オランダでは、アムステルダムのフィルム・ミュージアムが現在一手にアート系映画の公開を担っているそうで、『空気人形』の公開がそちらで決定した是枝裕和監督も、多数の取材を受けていました。
映画祭ではフィルム・ミュージアムとのコラボで、吉田喜重監督の特集もあり、今年のロッテルダムには、撮影所の時代を知る吉田監督、ピンク映画の世界を知る崔監督の特集があり、世界公開の続く是枝監督、そして、コンペティションや短編上映に参加する、自主映画の時代の監督たちと、まるで日本の映画の歴史がそのまま移動してきたような、すごいことが起きていたのですが、かなしいかな、映画を通じての国力のプロモーション意識の薄い日本を痛感する、何も起きない状況には、色々と考えさせられました。
映画を通じてのプロモーション、まだまだ未開発な日本です。ひとごとではありません。

2010/02/02 05:59:29

フライドポテトにマヨネーズ

potato.jpg

ロッテルダム滞在四日目の夜がやってきました。

あっという間に日が過ぎて、石井監督たちは帰国しました。

寒さは少し和らぎましたが、暖かい食事をひとりでとれる店が少ないのが不便な毎日です。

暖かいと言えるかどうか微妙ですが、ファーストフードとして人気なのは、ポテトフライ。みんな山ほどマヨネーズをかけます。

レストランでもマヨネーズ。この写真、ちっとも伝わらないかもしれませんが、ポテトとマヨネーズです。こちらのマヨネーズは味が薄いので、たっぷり必要なんでしょうが、凄いカロリーだわと人ごとながら不安。でも、滞在中に一度は食べちゃうジャンクです。



今日は、昨年中国で大ヒットした『南京南京』をプレス試写で観ました。二年前から北京在住の奥原浩志監督から「この映画を"映画"として人と話したいのに、何か否定的なことに触れると"日本人だから(否定したいん)だ"というリアクションになってコミュニケーションが止まってしまう。でもそこで必死に話そうとして、言葉が上達する効果があったかも」という冗談まじりのメイルをもらったときから色々想像してました。

私が中国語圏の映画祭で一番長く通っているのは香港国際映画祭で、もう二十年になりますが、ここでは南京関係のフィクションもノンフィクションもよく上映されます。八路軍兵士たちを描いた映画の特集などもたびたびありました。それらの上映会場に身をおくと、かなり辛いのも確かです。回りは日本と中国の戦争と、それに続く世界大戦の体験者やその子孫に囲まれているわけです。

が今日は、オランダの映画祭でそれもプレス試写会なので状況が違います。ちょっとゆとりをもって映画に入ることが出来、考えることができました。

実は昨日、ヨーロッパの映画祭関係者と話しをしていて、「JALの倒産やトヨタのリコールなど、まさか!なことが次々に起きるし、映画会社は色々危ないという噂が流れてくるし、日本はどうなっちゃたの?このまま対外的なイメージダウンが続けば、プロモーション上手の中国に負けちゃうよ!もっとうまくイメージアップしなくちゃ」と言われ、「え?日本と中国は"VS"な関係なの?」と改めて考えたのでした。

どうも日本は鎖国へ向かい、中国は広がりというふうに見えるらしい。

そんなことも思い出しながら、『南京南京』をみていると、この映画でもはしょられている、約70年前の日中戦争は「何故起こったのか」ということを知らなさすぎる私たちということに帰っていきます。パレスチナのように千年単位ではないけかもしれないけれど、これも充分長い歳月です。

南京の虐殺があったのかなかったのかではなく、それにまつわる映画が絶え間無く生まれてくるのは何故なのかを、映画関係者であり、かつ、国際映画祭では一種、国を代表すように話しかけられてしまうことになる私は考えてしまいます。



とか言いながら、十年二十年通っている映画祭のある街で、この数年一番気になっているのは、回転寿司屋の増加とそれらが行列になる盛況、そしてかつてガラガラだった日本レストランの満員ぶりだったり...「世界中が和食に目覚め旨い魚が日本に届かなくなる」という説が現実になっていく恐怖...いや、あまり人に言える話しじやないけれどほんとに凄い和食人気の定着です。普通にスーパーに巻き寿司セットが売られていて、みたこともないお箸が添えられているんです。このセットの写真は次回撮ることにします。

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