よっちゃんロシア・残りもの

監督:玉野真一

審査員特別賞

レンタル可能/配信有り

この気持ち、みっともない分、本気です。

街中の階段を、坂道を、ただただ転げ落ちていく男。ひたすら転げ続けた先には、1人の女が立っていた。対峙する男と女。緊迫する空気。にらみ合う2人が取った行動とは?そしてうんちが付いたパンツは何を意味するのか?(「よっちゃんロシア」)
じりじりした日差しが照りつける真夏の墓地。ある墓石の前で主人公はエールを送る。「行け行け、アキヤマ~」と、めまいがするほど叫び続ける。その理由は?そもそもこれは秋山家之墓なのか?(「残りもの」)
ストーリーでもイメージでも、ましてやテーマでもなく、ある種の衝動を正直に映像化した作品。その衝動とは、人を好きになったものの、そこに生まれた自分の感情や性欲をどう捉え、コントロールし、相手に伝えていいかわからず、わからないながらも何とか外に放出しなければ辛くてやっていられない、というもの。その放出方法に作者は、ダイレクトに体を張ること(途中のシーンから主人公が手にサポーターをしているのが、やらせ無しの気迫と哀愁を感じさせる。おそらく上映時間の数倍、階段を落ちたのだろう)と、一番恥ずかしいものを見せること、それを映像で記録するという形をとった。結果、この作品は作者の生理を濃密に伝えつつ、恋する者の格好悪さと切実さという普遍を、どうしようもなくユーモラスに伝える。そしてそのセンスと力技は、見る者を魅きつけて止まない迫力を持っている。

  • 2001年/18分/カラー/8mm 英題:Yotchan Russia /Leftovers
  • 監督:玉野真一
  • 撮影:中村 功、林 賢吾、玉野真一 協力:荻原 博、寺嶋 悟、堤 岳彦、深海武範、示野朋子、堀口彩衣子、山崎由加里
  • 出演:高橋理恵、玉野真一

配信・放映

レンタル可能作品

料金:15,000円(税別) 貸出フォーマット:8ミリ

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