NEG.WONDERLAND(ネガ・ワンダーランド)

監督:上田大樹

グランプリ、観客賞(仙台)、観客賞(大阪)、コミュニティ賞(BROBA賞)

レンタル可能

目覚めたら、家は不思議の国だった。

数年間、植物人間状態で眠り続けていたキリコ。奇跡的に目覚めると、父と母と愛犬はすでに亡く、失踪したまま音信不通だった姉のマリエが戻っていた。両親達の死を受け入れられず、何事もなかったように平然としている姉も受け入れられないキリコは、将来のことも現在のこともうまく考えられずに、イライラを募らせる。そんな気持ちを落ち着かせてくれるのは、生まれ育った家だけだった。しかしマリエはある事情から、キリコに黙って家を売る契約を済ませていた。立ち退きの日は迫り、引っ越しの準備を進めるマリエと抵抗するキリコ。混乱する2人の家に、マリエの元カレらしいゴトウが訪ねて来て居ついてしまう。さらにそこへ、家出女子高生のサチもやって来て…。
姉妹が住む家そのものが主人公とも言える作品だが、家の中、外観はもちろん、あらゆる“場”の撮り方がうまい。田んぼの横を通る道路、青々とした草が生い茂る原っぱ、水がまかれる庭など、その季節のその場所の匂いや温度や湿度が映像から感じられる。ワケあり風ではあるが、核としたものが見当たらない登場人物達の心理も、おとぎ話めいた不思議なラストシーンも、なんとなく納得できるのは、それら“場”の雄弁さが大いに役立っているはず。仲が悪いようで、根っこではずっと手をつないでいるような、キリコとマリエ、マリエとゴトウ、サチと父の関係は、不思議なハッピー感を醸し出している。

  • 2002年/60分/カラー/video 英題:Wonderland in the Negative
  • 監督・脚本・撮影・編集・アニメーション:上田大樹
  • 制作:新見 文 助監督:富田中理 音楽:上野紗江里 楽曲提供:ナカムラテツオ 美術:西廣 奏、松浦孝行
  • 出演:石川ユリコ、新井友香、町田マリー、加藤 啓、矢柴俊博、原 金太郎、中村まこと、村上大樹、村岡希美、池谷のぶえ、ブルースカイ、高木珠里、高多康一郎、冨田中理

海外映画祭

2004年 ニッポンコネクション ドイツ
2004年 全州国際映画祭 韓国

レンタル可能作品

料金:15,000円(税別) 貸出フォーマット:ビデオ

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