窓、スズキ

監督:北本達也

レンタル可能

悪意が形を持つ瞬間

アパートの一室に3人の若い男と1人の女がいる。男のうちサトウは撃たれて死んでおり、女は泣いているが、サトウの死を悲しんでのことではないようだ。スズキとヤマダは、窓の外をどちらが覗くかでもめている。誰が、何のために、誰を狙って、この部屋を銃撃してきたのか、2人には心当たりがないのだ。目的も居場所も人数もわからない、見えない敵。自分達がレイプ目的で女を部屋に連れ込んだことで、警察が狙撃してきたのか。だとすれば、なぜそれがバレたのか。何かの間違いかもしれないが、それを確かめる方法はなく、目の前に存在するのは仲間の死体であり、窓に近寄れば撃たれるかもしれないという現実だ。苛立つリーダー格のスズキに、ヤマダはサトウに抱いてきた感情を語り出す。彼の告自にスズキは戦標するが、その瞬間、部屋に2発目の銃弾が……。
相手も理由も明かされないまま、命が狙われる。主人公達が置かれた境遇の理不尽さは、日常に潜む悪意の凶暴さ、根深さに比例する。誰がいつ発信者になっても受信者になってもおかしくない悪意は、この時代、多くの人にとってリアルなものであり、この作品はそのリアルさを、大掛かりなセットや余計な前フリなしに、ミニマムな空間と人数とセリフで、シャープかつ大胆に切り取る。また、CGを使って飛んでくる弾丸をはっきり見せたことで、心理劇から一歩踏み込んだ生々しさを生み出すことに成功した。

  • 2001年/13分/カラー/video 英題:Window, Suzuki
  • 監督・脚本:北本達也
  • 製作:THE VISIONNE 音楽:関口大介 協力:谷岡功一、木村悟之、石山悠貴
  • 出演:荻野北斗、折原敬一、並木大典、野中美子

レンタル可能作品

料金:15,000円(税別) 貸出フォーマット:ビデオ

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