さようなら映画

監督:大月奈都子

グランプリ

お母さん、やっぱり私、撮る。

最愛の母の死を受け止められない。闘病中の姿は撮れたのに、死に顔が撮れない。湧き出る母への愛と自分自身へのジレンマ。それらの揺らぐ思いを、映画を撮ることに託して、カメラを自分に向ける“私”。恋人とナンパされて知り合ったセックスフレンドとの間を行き来しながら、母への思いと映画を撮る理由を、手探りで確認していく。
“悲しい現実と私”を題材にしながら、悲劇的、自虐的な匂いのしないセミ・ドキュメント。「揺れる自分の感情を忠実に再現させた」というのが監督の言葉だが、この作品を通しておそらく「揺れる自分の先」をすでに見つけていることが、画面の中から伝わってくる。

  • 1995年/34分/カラー/video
  • 監督・脚本・編集:大月奈都子
  • 撮影:大月奈都子(大月玲子、大月史朗)、中津誠貴、田中やんぶ
  • 出演:大月奈都子(大月玲子、大月史朗)、中津誠貴、田中やんぶ