Please Please Me
監督:青石太郎
日本映画ペンクラブ賞
レンタル可能/配信有り
ささやかに幸せに暮らす女子大生が悪意の存在によって世界を発見
20歳の大学生・笹野さつきは、トレーラー運転手の父と団地で2人暮らし。親子の関係も良好で、彼氏もいる。ある日、さつきは清掃アルバイトの仕事先で「事件」を目撃してしまう。何気なく過ごしてきた場所で、不意に表出した誰かの悪意。疑わなかった日常は、それほど平和ではないのかもしれない。不安を覚えたさつきは、転職を決意する。
本作を無視できない理由のひとつは、人間関係の不和を積極的に“描かない”所にある。親子の不協和や、痴情のもつれなどは安易に使用しない。信頼出来る父親も、仲の良い恋人もしっかりと存在しているのだ。映画になりやすいエピソードには手を出さずに、それでも65分を魅せきる強度は、日常描写の中に立ち上がるさつきの感情とその変化、懸命に生活を営む人間の美しい一瞬を魅せる成熟した演出にある。「半径数メートルな日常」を描く凡庸さを打ち砕き、些細でも、一歩を踏み出すことの眩い精神の軌跡を見せてくれる。(文・吉田光希)
- 2012年/65分/カラー 英題:Please Please Me
- 監督・脚本・撮影・編集:青石太郎
- 音楽:大堀晃生
- 出演:佐々木綾子、森 了蔵、森塔湖都音、小室裕樹、水野 哲
配信・放映
レンタル可能作品
料金:15,000円(税別) 貸出フォーマット:ビデオ