えてがみ

監督:内田伸輝

審査員特別賞

レンタル可能

泣いて叫んで吐いて、また筆を持つ。

かつての同級生・ナベと僕は、一緒に映画を撮るなど気が合う仲だった。しかし次々と(僕から見れば脈略のない)目標を決めては、(本人からすれば不可抗力的な理由から)途中で放り出す彼とは、次第に疎遠になっていた。が、「また映画を撮りたい」と思い始めた僕と「何かやりたい」と退屈していたナベは、ドキュメンタリーの監督と被写体として再び組むことに。ナベは最近、出会った人達の似顔絵を葉書に描いて後日それを本人に郵送することに凝り、俳優志望のヨシタケと共同生活をスタートさせていたので、それを中心に撮ることにしたのだ。ナベの“えてがみ”は好評で、それを介してさまざまな人とのコミュニケーションが生まれる。一方、ヨシタケは、ナベのテンションやペースに合わせるうちに自分を追い詰め、うつ病を再発させてしまう。似顔絵を描いた渡邊さんの死、ヨシタケの失踪と入院などを経て、ナベは変わり始める。えてがみの個展という新たな目標を、彼は今度こそ達成できるのだろうか。
ドキュメンタリーの主役にありがちなトラウマも特になさそうで、「いまどき?」と思うほど熱く相手にぶつかっていくナベは、はっきり言って最初、魅力的ではない。2つの事件にもがき苦しむ姿も格好悪い。しかし気付くと彼のために祈る気持ちが生まれている不思議さ。えてがみと、それを無心に描くナベの姿を、いくつもの季節とロケーションを追って撮り続けたカメラの勝利だろう。

  • 2002年/95分/カラー/video 英題:Pictorial Letters
  • 監督・撮影・編集:内田伸輝
  • 音楽:中津昌彦 製作:ブラザーズ企画
  • 出演:鍋山晋一、飯島功丈、渡邊慎一郎、渡邊慎太郎、渡邊頴子

海外映画祭

2004年 ニッポンコネクション ドイツ
2004年 香港国際映画祭 香港
2004年 アジア・フィルム・シンポジウム シンガポール

レンタル可能作品

料金:15,000円(税別) 貸出フォーマット:ビデオ

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