はながないたらパリがくる

監督:鈴木余位

審査員特別賞

レンタル可能

僕らの踊りの輪に、入りませんか。

未熟児で生まれたことが原因で左足がうまく動かない少年・スガマ。彼は、やけどの痕が残る少女・京に想いを寄せているが、足に対するコンプレックスや気弱な性格から、その気持ちは長い間、自分の胸に収めたままだった。暑い夏、草いきれが立つような山の中、打ち捨てられた消防車やバス、コンクリートの橋脚に遊んでもらいながら、スガマの想いに少しずつ勇気が芽生え始める。彼の耳には姿のない消防士の声が聞こえ、その声は、スガマと京が終わらせるべきものと、これから迎えに行くべきものを教えていた。スガマは自分の足で走り出し、京は子供の頃は怖くて押せなかったバスのボタンを押す。そこから彼らの、昨日と同じで昨日と違う、新しい日々がスタートを切る。生徒も先生もいない学校の一室で、スガマと京、そしてずっと2人を応援してきた少女たちが集まって、終わらないダンスを踊るのだった。
限りなく詩に近いセリフ、それをそのままカメラに収めたような自由な映像、登場人物と同じくらい存在感のある山の夏草や廃バスたち。そしてそれらを鼻歌で縫い合わせたかのような軽やかな空気。懸命に考え出したのではなく、湧き出したイメージでつくった映画は、観る者にも、理解よりも感応を求める。登場人物たちのたくさんの歌と笑顔が与える幸福感と気負いのなさは“好きだから映画を撮る”ことの、原点の1つかもしれない。

  • 2000年/27分/カラー/8mm 英題:Paris comes when the flowers bloom
  • 監督:鈴木余位
  • 助監督:津村暁子 撮影・録音・美術:鈴木余位、三浦磨衣香 衣装:鈴木ソーイング 製作:山森佳容子、松浦桃子
  • 出演:菅俣正光、渡辺 京、津村暁子、坂本昌子

レンタル可能作品

料金:15,000円(税別) 貸出フォーマット:ビデオ

レンタル方法はこちら