終りなき夜

監督:長崎敏朗

かつて映写技師だった老人、1人暮らしを慰めるカセットデッキ、モボ(モダンボーイ)だった昔、恋人だった女性のヌード写真。それらは演ずる成田氏の現実だ。それらを残酷に切り取り、自らの主題に基いて構成。職を失ったという設定だけで、これ程までに現在をみせるのはしわだらけの、歯のない口の、冷たく突き離した丹念な映像の誠実さだろう。セリフを一切使わず、長崎監督がそこで出会ったものを詩的に凝縮した狭い部屋は、日常の中で気付かずにいた何かを発見させてくれて興味深い。

  • 1979年/17分/カラー/8mm
  • 監督・脚本・撮影:長崎敏朗
  • 出演:成田安エ門