19(ナインティーン)

監督:渡辺一志/神森 崇

準グランプリ

夏休みみたいな誘拐でした

“欲しいものがあれば盗み、いらなくなれば捨てる”という無秩序な行動を繰り返しながら、目的もないまま旅をしている男たち。彼らは白昼堂々、街なかで1人の大学生を誘拐する。訳がわからないままに仲間にされ、最初はおびえていた大学生だったが、どこか憎めない3人のペースに次第に魅かれていく。そんな時、ふとしたことで大学生が人を射殺してしまう。死体を捨てに行くために走り出した4人の車は、検問に引っかかり…。
動機も目的もない無謀な行動、残虐さと優しさが奇妙に混じりあう性格。そこに生まれるある種の清潔感は、主人公と同様、観客にも新鮮な連帯感を抱かせる。さらに、暴力がロマンでもスタイルでもなく、音楽や冗談と同じ“気分”として存在しているアナーキーさ。おそらくそれは、技術や計算ではなく生来のセンスと世代だろう。タイトルは撮影当時の監督2人の年齢。新世代の台頭を予感させる、平熱のバイオレンス。

  • 1996年/51分/カラー/8mm 英題:NINETEEN
  • 監督:渡辺一志、神森 崇
  • 制作・脚本・編集:渡辺一志 撮影・音楽:神森 崇
  • 出演:福山亮一、有馬 顕、渡辺一志、野呂武夫、島田亮輔