流れる
監督:湯浅弘章
技術賞(IMAGICA賞)
レンタル可能/配信有り
人生で一番幸せだった時間。その光だけが、今も現実。
闇の中で目を覚ます男。今、自分がいる時間や空間の境界線は曖昧だが、幼い日のある夏の記憶が鮮明に蘇り、彼の思考はそこに向かって流れていく―。母が自分を置いて出て行った日、川底に捨てられた8ミリカメラを拾った。近所のバレエ教室に通う美しい少女と出会い、言葉を交わした。2人で出かけ、海岸で踊る彼女の姿を撮った。夕陽を受けて無数の光の点を宿した波と、彼女の体が描き出す曲線は、どんなものより美しかった。けれども突然、少女は姿を消したのだった…。その後の人生で、自分はいくつもの光と影に出会った。生と死があり、善と悪があり、出会いと別れがあった。それらがつくり出した流れの上にいて、確かに生きている自分。でも肉体はとても曖昧で、今感じている光は、現実なのか幻覚なのかもわからない。
セリフが一言もない。映像も解説的ではなく、おとぎ話のように幻想的なものと、時折り挿入されるショッキングなものとには、明らかな温度差がある。しかし、その温度差さえ心地よく、設定されているであろうストーリーが非常になめらかに伝わってくる。それはまさに、監督のイメージが観る者の頭の中にダイレクトに“流れ”込んでくるようだ。イメージを具体化する道具として映像を使いこなす力は圧倒的。ショッキングなシーンも詩的に撮ってしまう撮影力が、光も闇も同じように豊かだと教えてくれる。
- 2002年/30分/カラー/video 英題:NAGARERU
- 監督・脚本・撮影・編集:湯浅弘章
- 音楽:垣田尚慶 協力:高木真二、徳永憲治、竹中みのり、倉田奈々、藤松裕子、松田 晋、千田麻里亜、吉田健一、中村千里
- 出演:高橋元希、津田麻純、三輪晋也
海外映画祭
2004年 | 第4回リール映画交流祭 | フランス |
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2004年 | ニッポンコネクション | ドイツ |
配信・放映
レンタル可能作品
料金:15,000円(税別) 貸出フォーマット:ビデオ