花咲くオトメ

監督:石田 周

イントロのナレーションからガラッと変わって吉永小百合が“かわいいつぼみが花になり、花が散っても実は残り…”と唄うタイトルバック、そしてその延長かと思われた少女のドキッとする一言。雰囲気の全く異なる3者がピッタリと結ばれるイントロ。その後に続く何とも残虐で恐ろしく悲しいストーリーは湿っぽくなく、おどろおどろしくなくサラリと描かれている。少女はひまわりの種と人形の“私の赤ちゃん”を一緒に土に埋め、相手の青年に復讐する。その儀式の後の一言もゾッとさせる。そんな内容と裏腹に画面展開はまったく現実クサくもなければ悲壮感もない。それだけに童話と同じ残酷さが増幅していく。

  • 1980年/15分/カラー/8mm
  • 監督・脚本・撮影:石田 周
  • 協力:和田英樹、芦川 圭
  • 出演:霜田恵美子、高橋さやか、浜田裕次