EXIT

監督:勝然武美

通りすがりの妊婦を襲った通り魔の殺意を内面から描いた作品。ある日、蛆虫を切り殺した事からそれまで眠っていた男の狂気は堰を切ったように溢れ出て、次の殺戮へと浸水していく。蛆虫、ゴキブリ、小犬、そして、妊婦。狂気と正気の錯綜する精神状態をモノクロとカラーにつかいわけ、主人公が殺人までに至る過程をじわじわと描いている。ラストシーンでは男の内的世界が象徴的に表現され、男がなにかの答えを求めて切迫していく様は観る者を圧倒する。映像的に、そしてテーマ性からみても非常に完成度の高い、見ごたえのある作品。

  • 1989年/32分/パートモノクロ/16mm 英題:EXIT
  • 監督・制作・脚本:勝然武美
  • 撮影:池宮直弘 音楽:竹内 淳
  • 出演:小竹林義一、勅使河原三郎、黒田福美、及川治芳