母音

監督:北川敏徳

黒ってどんな色?白ってどんな色?

生まれた時から目が見えない秀男は、妻・いずみにランボーの「母音」という詩を朗読してもらうのが好きだ。目の手術をし、3日後に包帯が取れるという日も、高まる期待と不安の中で、彼はいずみに詩をせがむ。
「アーは黒、ウーは白、エーは赤…」で始まるランボーの詩が出発点だったというこの作品は、絵画の説明をする、ビデオを見る、ジョギングをするなど、日常生活の中での「見えること」を確認していく。そして次第に、「目の見える」観客にも、空にかかる電線や夜の自動販売機など、何の変哲もない風景が美しく見えてくる。「本当に見える」のは「見ようとする意志」が働くからだというように。

  • 1992年/36分/カラー/8mm
  • 監督・制作・脚本・撮影・編集・美術:北川敏徳
  • 音楽:佐野耕
  • 出演:佐野 耕、大星優美子、日能 舞