埋み火
監督:山内季子
審査員特別賞
レンタル可能/配信有り
奥底に埋めたはずの火の灰が、彼と再会して熱を持つ。
私が静かに発火する
田舎町のスーパーで魚をおろし続ける比富美は、小さなアパートで寝たきりの母親を介護中。東京から戻った大輔との再会で、心の奥深くに埋めていた希望の光に手を伸ばそうとするが…。20代半ばで介護に縛られる閉塞感を、手を洗うという行為で表現。比富美の未来に光が射すよう心を込めてエールを送りたい気持ちにさせられる。
江口のりこに少し似た風貌の比富美は、魚の生臭い匂いが染みついた手をゴシゴシ洗う。帰宅すると、母親のおむつを替え、再び手をゴシゴシ。大切な母親が快適に過ごせるよう心をくだいているが、介護生活の不安を聞いてくれる友人はいない。この生活からいつか解放された暁に自分に何が残るのか、そもそも解放されるのか、解放を望んでいいのかも、わからない。そんな暗闇の絶望感のなか手を洗いつづけるけなげな姿に、涙を禁じ得ない。
文:片岡真由美(映画ライター)
- 2014年/32分/カラー 英題:Banked Fire
- 監督・脚本:山内季子
- 撮影:足立友梨/編集:本田佐恵/録音:横田昌信/照明:尾山颯介/制作:小川 学/助監督:石黒裕章、田中 篤/撮影助手:小寺安貴
- 出演者:武田多佳、松原大貢、飯尾弘子
海外映画祭
2015年 | 第2回ジャパニーズ・フィルム・フェスティバル・インディア | インド |
---|
配信・放映
レンタル可能作品
料金:15,000円(税別) 貸出フォーマット:ビデオ