短篇小説

監督:日置珠子

審査員特別賞、観客賞(大阪)

レンタル可能

私の中に、彼女たちが残していったもの。

1人の女性作家がカメラの前で、自分が書いた3本の短編小説について語り出す。1作目は母の話。自分の名前を始めとする諸々に不満をもらし続け、様々なことに興味を持っては途中で投げ出し、それでも続いていく母の毎日。2作目は小学校時代の同級生の話。「遊んでいて帰りが遅くなったと言うと叱られる」という理由だけで「誘拐されそうになった」と大胆な嘘をつき、ケロリとしている。彼女はまた、長年付き合っていたボーイフレンドをあっさり捨てて、適齢期にたまたま付き合ったという理由で会社の同僚と結婚した。屈託なく純粋に自分を大切にしている彼女を“私”は少しうらやましく思う。3作目は、大学時代の映画研究部の後輩の話。喋らないというよりも、必要なことだけ言う。そんな過不足のない無口さが印象的だった彼女が撮った短編映画と、アルバイト先の喫茶店のこと。深い交流はなかったのに、何となくいつまでも気にかかる。
取り立てて大きな記憶ではないのに、作家の中に深く、長く残っている、愛しい女性たちの愛しいエピソード。その断片が、淡い色を重ねる水彩画のようなタッチで淡々と、そして暖かく綴られる。架空の作品のはずなのに、不思議と、本当に小説をべースにしているニュアンスがあちこちに感じられるのは、目線をあくまでも“私”に限定しているからか。その主観と客観のバランスが素晴らしく、観客を、読者にも目撃者にもしている。

  • 2000年/21分/カラー/16mm 英題:A Short Story
  • 監督:日置珠子
  • 撮影:日置珠子、小倉正彦 照明:小倉正彦
  • 出演:佐山奈穂子、亜里早、鈴木敦子、渡辺さやか

レンタル可能作品

料金:15,000円(税別) 貸出フォーマット:16ミリ、ビデオ

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