鈍色ノ雨ガ降ッテクルッ

監督:鳥居洋太

レンタル可能

近未来の日本なのか、日本によく似た場所なのか。その町では、天気予報の最後に必ず「鈍色(にびいろ)の雨」に関するアナウンスが流れ、人々はその雨を絶えず気にかけて生活していた。「鈍色の雨」とは、空気中にあるH.U.A.Nという物質が、別の物質ビオレンチェ(VIOLENCE)と結びついた時にできる蒸気が上空に上がり、雲を形成して降ってくるものだと言われている。しかし、雲も雨も人間の目には見えず、降って来たらどうなるのかもわからない。雲1つない青空の下で、人々はただ不安に身を硬くするしかなかった。そんな町の団地で、息子が母親を射殺する事件が起きる。一方、かつて父親を首吊り自殺で亡くし、自分と視線も言葉も交わさない母親と2人で暮らす高校生トモロウは、いつからか、死にまつわるイメージを見聞きすると、頭の中で子供の声が聞こえるようになっていた。ある日トモロウは、母親を殺した息子が団地の公園で自殺するのを目撃し、彼が使った拳銃を持って帰って来る…。
鈍色とは濃いねずみ色のことで、昔の喪服にはこの色が使われていたという。肥大化する不安とストレス。はびこる暴力と噂。希薄な親子関係。“今”の“日本”を侵食する気分を、見えない雨をモチーフに見事に映像化した。サウンドエフェクトの使い方も効果的で、観ている側も「鈍色的」な不安や不快感をリアルに感じさせられる。抜けるような青空や子供の笑い声が不気味に思える作品。

  • 1999年/45分/カラー/video 英題:A GRAY RAIN IS GOING TO FALL
  • 監督・脚本・撮影・編集・音楽:鳥居洋太
  • 出演:水野泰志、今 大輔、有川ゆか、高見秀樹、酒井健宏、瀬理泰弘、鳥居正子、鳥居優作、森田真澄、古田喜久、牧野貴志、厚田幸子、鳥居洋太

レンタル可能作品

料金:15,000円(税別) 貸出フォーマット:ビデオ

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