16t(ジュウロクトン)

監督:森石和志

優秀賞

世間はお盆休み。都会は日々の喧騒を忘れ、蝉時雨だけを街角に響かせていた。そこにやって来た黄色いヘルメットの男たち、香川と先輩の斎藤。「今頃働いているのなんて、俺たちだけだよな」。植木屋のアルバイト2人の会話はいつもちぐはくな平行線。しかしどんなに互いを罵っても、永遠に離れることは出来ない。なぜなら彼は地縛霊。都会の異空間を、どこまでも2人きりで生きるしかない存在なのだ。大木の梢では、鮮血の滴る香川の腕が、所在なく風に揺れる。日本津々浦々、どこにでもありそうな空虚な風景に、存在を忘れられた人間たちの悲しい虚無感が漂う…。ホラーでもコメディでもない新ジャンルのスプラッター労働ムービー。

  • 1991年/55分/カラー/8mm 英題:16t
  • 監督・脚本・撮影:森石和志
  • 制作:藤井 恭 協力:栗山造園
  • 出演:香川 尚、斎藤信吾