招待作品部門
昨年のヴェネチア国際映画祭で、銀獅子賞=最優秀監督賞を受賞した傑作『ホモ・サピエンスの涙』が11月に劇場公開決定の報に、おお!この機会に全作品紹介せねば!とアジア初の「ロイ・アンダーソン・コンプリート特集」を実現。
27歳での鮮烈なデビューbut期待された2作目での挫折から25年、CM界の巨匠となり自らの美学を詰め込んだスタジオを拠点に、唯一無二の映画を携え2000年に復活!
以降「リビング・トリロジー」と呼ばれる3部作で世界を震わせ、映画の夢を叶える勇気をくれるスウェーデンの作家ロイ・アンダーソンをたっぷり楽しむこの特集。『ホモ・サピエンスの涙』の特別上映に加え、CM作品や監督メッセージも準備中!乞うご期待!
後援:スウェーデン大使館
ロイ・アンダーソンRoy Andersson
1943年生まれ、スウェーデン出身。初の長編映画『スウェーディッシュ・ラブ・ストーリー』(70年)が国内外で称賛されるも、2作目『ギリアップ』(75年)の後はCM制作に専念。2000年、「スタジオ24」を設立し完成させた『散歩する惑星』でカンヌ映画祭審査員特別賞を受賞。続く『愛おしき隣人』(07年)は同映画祭ある視点部門に出品。『さよなら、人類』(14年)でヴェネチア国際映画祭金獅子賞(グランプリ)に輝き、「リビング・トリロジー(人間についての3部作)」を完結させた。最新作『ホモ・サピエンスの涙』(19年)で、同映画祭銀獅子賞(最優秀監督賞)を獲得。観客をおかしな世界へ誘う不条理コメディの巨匠。
『スウェーディッシュ・ラブ・ストーリー』
郊外の祖父を訪れたペールは、アニカという美しい少女に出会い、恋をする。恋する2人をよそに、大人たちは複雑な事情を抱えていて...。純愛映画にして、霧の中に迷い込んでゆく不思議な物語。ラストシーンが印象的!ベルリン国際映画祭で4賞受賞。
原題:En kärlekshistoria1970年/スウェーデン/カラー/119分/35mmフィルム上映
脚本:ロイ・アンダーソン/撮影:ヨルゲン・ペルソン/音楽:ビヨルン・イスフェルト
出演:アン・ソフィ・シリーン、ロルフ・ソールマン、アニタ・リンドブロム
『ギリアップ』 *日本初上映
ウエイターとして静かな港町のホテルに雇われたよそ者の男。気難しいオーナーや美しきアンナら個性豊かな人々と共に働き始めたが、同僚に話をもちかけられ、犯罪に手を染めることに...。日本未公開、異色の犯罪映画。カンヌ映画祭監督週間出品。
1975年/スウェーデン/カラー/137分
脚本:ロイ・アンダーソン/撮影:ジョン・オルソン/音楽:ビヨルン・イスフェルト
出演者:トミー・ベルイグレン、モーナ・セイリッツ、ウィリー・アンドレアソン
『散歩する惑星』
とある惑星に住む人々に降りかかる不条理な出来事。スタジオセットを作り、全て固定カメラで撮られたワンシーン・ワンカットが、まるで絵画のような雰囲気を生み出している。唯一無二の世界観で描かれる世紀末映画!カンヌ映画祭審査員特別賞受賞。
原題:Sånger från andra våningen
2000年/スウェーデン・フランス/カラー/98分/35mmフィルム上映
脚本:ロイ・アンダーソン/撮影:イストヴァン・ボルバス、イェスパー・クレーヴェンオース/音楽:ベニー・アンダーソン
出演:ラース・ノルド、シュテファン・ラーソン、ルチオ・ブチーナ
『愛おしき隣人』
前作同様の手法で、北欧の街の人々の生活の断片を描く。対人関係も仕事も、誰も上手くはいかないけれど、それでも街には音楽が響き、バーは明日もある、はず...?ままならない日常の愛しさと哀しさの詰まった作品。カンヌ映画祭ある視点部門出品。
原題:Du levande
2007年/スウェーデン・フランス・ドイツ・デンマーク・ノルウェー・日本/カラー/94分/35mmフィルム上映
脚本:ロイ・アンダーソン/撮影:グスタフ・ダニエルソン/美術:マグヌス・レンフォルス、エリン・セゲルステット/音楽:ベニー・アンダーソン
出演:ジェシカ・ランバーグ、エリザベート・ヘランダー、ビヨルン・イングランド
『さよなら、人類』
おもしろグッズを売り歩く2人組のセールスマン。彼らの行く先々で出会う、時空間も現実も超えた、真面目でおかしな人々の人生と死の物語。ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した、壮大なトリロジーの完結作。
原題:En duva satt på en gren och funderade på tillvaron
2014年/スウェーデン・ノルウェー・フランス・ドイツ/カラー/101分
脚本:ロイ・アンダーソン/撮影:イストバン・ボルバス
出演:ホルガー・アンダーソン/ニルス・ウェストブロム
『ホモ・サピエンスの涙』 *特別上映
信じるものを失った牧師。戦禍に見舞われた街を上空から眺めるカップル。カフェの外で踊るティーンエージャーたち。不条理に満ちた世界で、一見、関連性のない挿話たちが、人生の絶望と希望を紡いでいく、万華鏡のような物語。
原題:Om det oändliga
2019年/スウェーデン・ドイツ・ノルウェー/カラー/76分
脚本:ロイ・アンダーソン/撮影:ゲルゲイ・ロパス、美術:アンデシュ・ヘルストルム、フリーダ・E・エルムストルム、ニックラス・ニルソン
出演:マッティン・サーネル、タティアーナ・デローナイ、アンデシュ・ヘルストルム
短編プログラム *日本初上映
日常のスケッチのようなタッチの学生時代の作品から、エイズ予防の啓発映画『何かが起きた』、そして「リビング・トリロジー」のプレリュードと言われる『ワールド・オブ・グローリー』まで、文体の変遷を見るのも興味深い。
『息子を訪ねて』 Visiting one's son
『自転車を取りに』 To Fetch a Bike
『10月5日土曜日』 Saturday October 5th
『何かが起きた』 Something Happened
『ワールド・オブ・グローリー』 World of Glory