招待作品部門
誰にでも、何にでも、最初の一歩がある。
そのことを確認する「巨匠たちのファーストステップ」企画が15年ぶりに帰ってきます。
本年は長編デビュー作で映画史を構成してみました。一気にみると世界の映画が掴めます。
『息もできない』
2008年/韓国/カラー/130分
製作・監督・脚本・編集・主演:ヤン・イクチュン
出演:キム・コッピ、イ・ファ
- トーク
ゲスト - ヤン・イクチュン監督
俳優として活躍してきたヤン・イクチュンが自ら脚本を書き、資金を集め、製作にこぎつけた渾身の一作。「家族」という逃れられないしがらみの中で生きてきた男女の、純愛よりも切ない魂の求め合いに涙が止まらない。
ヤン・イクチュン
1975年生まれ、大韓民国出身。母国のみならず日本でも高い人気を誇り、菅田将暉とW主演で話題を呼んだ『あゝ、荒野』(2017年/岸 善幸監督) ではキネマ旬報ベスト・テンやアジア・フィルム・アワードで助演男優賞を受賞。
『メランコリーの妙薬』 *日本初上映
2008年/アメリカ/カラー/88分
監督: バリー・ジェンキンス
出演: ワイアット・シナク、トレイシー・ヘギンズ
一夜が明け、互いの名前も覚えていない男女が過ごす午後。整備され白人化していく街について話すうちに、二人はアメリカ社会で黒人として生きるということについて語り始める。ブラッドベリの短編にインスパイアされたという繊細な物語。
バリー・ジェンキンス
1979年生まれ、マイアミ出身。『ムーンライト』(16年)が、第89回アカデミー賞作品賞など3部門で受賞。続く『ビール・ストリートの恋人たち』(18年)もアカデミー賞助演女優賞ほか多数受賞。現在最も期待される俊英。
『郵便配達は二度ベルを鳴らす』デジタル修復版
1942年/イタリア/モノクロ/126分
監督:ルキーノ・ヴィスコンティ
出演:マッシモ・ジロッティ、クララ・カラマイ、フアン・デ・ランタ
イタリア北部の田舎町、軽食堂兼ガソリンスタンドを営む初老の夫と女ざかりの妻。ある日店に現れた男と不倫関係になった妻は、やがて夫を殺す計画を実行に移すが…。唯一無二の映画作家ヴィスコンティの官能サスペンス。
ルキーノ・ヴィスコンティ
1906年生まれ、イタリア出身。『郵便配達は二度ベルを鳴らす』で監督デビュー。63年、『山猫』でカンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞。主な作品に『ベニスに死す』(71年)や『家族の肖像』(74年)など。
『死刑台のエレベーター』ニュープリント版
1958年/フランス/モノクロ/92分
監督:ルイ・マル
出演:ジャンヌ・モロー、モーリス・ロネ
ジャズの帝王マイルス・デイヴィスが、ルイ・マルからの依頼を受けて、初めて映画音楽を手がけた奇跡のコラボレーション。静謐なトランペットの響きとスタイリッシュな映像で映画史に残る美しいフィルムノワールが誕生した。
ルイ・マル
1932年生まれ、フランス出身。J.クストーと共同監督した記録映画『沈黙の世界』(56年)が国内外で高い評価を受け、続く『死刑台のエレベーター』(57年)で鮮烈な劇映画デビューを飾る。その後も数多くの秀作を残した。
『ローラ』2Kレストア版
1960年/フランス/モノクロ/88分
監督:ジャック・ドゥミ
出演:アヌーク・エーメ、マルク・ミシェル、ジャック・アルダン
大西洋に面した港町ナント。初恋の人を待ち続けるキャバレーの踊り子ローラと、彼女に思いを寄せる男たち。恋と青春を溢れる情緒で謳いあげ、その奇跡のようなきらめきから「ヌーヴェル・ヴァーグの真珠」と讃えられる長編デビュー作。
ジャック・ドゥミ
1931年生まれ、フランス出身。名作『シェルブールの雨傘』(64年)でカンヌ映画祭グランプリを受賞。ついで『ロシュフォールの恋人たち』(66年)を監督。1990年、映画に包まれたその生涯を閉じる。享年59歳。
『ボーイ・ミーツ・ガール』
Boy Meets Girl
監督:レオス・カラックス
出演:ドゥニ・ラヴァン、ミレーユ・ペリエ、キャロル・ブルックス
若い男女の一夜の運命的な出会いを、モノクロ映像を通して幻想的に描写。主人公、アレックスは、のちに『汚れた血』『ポンヌフの恋人』でも同名の主役を務める監督の分身ドゥニ・ラヴァンドニ・ラバン。カンヌ映画祭ヤング大賞受賞。
レオス・カラックス
1960年生まれ、フランス出身。10代からカイエ・デュ・シネマに評論を書き、『ボーイ・ミーツ・ガール』(83年)で長編デビュー。主な作品に、『ポーラX』(99年)、『ホーリーモーターズ』(2012年)など。
『一瞬の夢』
1997年/中国・香港合作/カラー/108分/35㎜フィルム上映
監督:ジャ・ジャンクー
出演:ワン・ホンワァイ、ハオ・ホンジャン、ズオ・バイタオ
政府の犯罪追放キャンペーンが厳しさを増すなか、スリで生計を立てる青年。ひとりの女性と出会い将来への「夢」に目覚めるが…。現代中国に生きる若者の揺れる感情を鮮烈に描く。ベルリン国際映画祭にて2冠に輝く。
ジャ・ジャンクー
1970年生まれ、中国出身。ベルリン、ヴェネチア、カンヌ世界三大映画祭を制した中国の名匠。最新作『帰れない二人』は9月6日より公開。
『フルートベール駅で』
2013年/アメリカ/カラー/85分
監督:ライアン・クーグラー
出演:マイケル・B・ジョーダン、オクタヴィア・スペンサー
09年元日、22歳の丸腰の黒人青年が警官に銃殺された。全米で大きな波紋を巻き起こした実在の事件に巻き込まれた、ひとりの青年の最後の1日を淡々と描く。サンダンス映画祭で作品賞と観客賞をW受賞。
ライアン・クーグラー
1986年生まれ、アメリカ出身。13年、『フルートベール駅で』で長編監督デビュー。続く『クリード チャンプを継ぐ男』(15年)、『ブラックパンサー』(18年)のヒットにより、大きな注目を浴びている新鋭。