現在、早稲田大学では人材の育成だけではなく、ハリウッド映画のVFXにも負けないシステム構築にも力を入れています。単純計算で試算すると、日本映画がVFXやCG合成にかけられる予算はハリウッドの50分の1にも及びません。そのため、CGやVFXのクリエイターは非常に厳しい環境下におかれていますが、その技術レベルは世界に引けをとらず、非常に高いクオリティを誇っています。
そこで早稲田大学では、各施設や技術、優秀なクリエイターやエンジニアを有効に結びつけることで、設備、費用、労力、時間といったコストを抑えながらも、最先端映像技術を駆使したデジタル映画制作ができるシステムの創出を研究。現在、早大芸術科学センターや東宝スタジオなど、映画制作拠点間をブロードバンドネットワークでつなぎ、画期的かつ俊敏なデータのやりとりで完成を目指す映画制作を試みています。
すでに、『ザ・マジックアワー』『隠し砦の三悪人』では、芸術科学センターと東宝スタジオ間のインターネット高速回線を利用し、本庄の芸術科学センターの本編集データを東宝スタジオへ送り、東宝サイドでオフライン調整されたデータを再度芸術科学センターに転送することで、本編集と音楽録音を同時に行う試みを実施。このシステムでも高品質の画像合成処理や本編集が可能なことが実証されています。早稲田大学はこういった映像制作に関するシステム研究にも今後とも力を入れていく予定です。