招待作品部門
監督特集
世界初の大特集!
「東南アジアの映画制作は、先を行っている。そして、映画をつくる喜びに満ち溢れている。」と、語られてきた。
デビュー10年で、7本の長編映画を発表しているタイのナワポン・タムロンラタナリット監督は、軽やかな映画づくりでひと際輝く存在であり、話題を呼んだ短編映画は数えきれない。そして、日本の、東京の、ビビットな文化を愛してやまないことでも知られている。その、いきいきとした風を、吹かせよう。いま。ここで!
後援:タイ王国大使館
字幕協力:大阪アジアン映画祭、東京国際映画祭
★ 9/12『36のシーン』上映後に、ナワポン監督のオンライントークが決定!観客の皆さんとのQ&Aも行います
★ 『ハッピー・オールド・イヤー』9/17の上映に、音楽を担当した日本在住の作曲家ジャイテープ・ラーロンジャイ氏が登壇決定!
(*「ハッピー・オールド・フィルムズ2」の短編『シーン38』でも音楽を担当。)
★ 各作品上映前に、それぞれの作品に対する撮り下ろしの監督メッセージビデオを上映
★ 「ハッピー・オールド・フィルムズ1&2」と題された短編作品プログラムは、監督自ら選定
ナワポン監督のここが凄い!
アピチャッポンの世界的なブレイク以来、タイのアート系監督が注目されている。ナワポンの特徴はズバリ2つ。まずは「少女の時間の有限性」。実際に少女が主人公のもの以外でも、ナワポン映画のヒロインたちは清楚で、儚さを醸し出している。そんな儚くガーリーな魅力が満載。もう一つは「メディアへのメタ言及」。ナワポンは映画や写真やSNS等、現代メディアに自覚的。また形式もフィクションとドキュメンタリーを行き来し、映像と文字を自在に駆使した虚実皮膜の中で、抒情的かつ詩的にテーマを語っていく。まだ37歳、これから要注目だ!(文・作品紹介/夏目深雪)
※17(水)はトークあり
『ハッピー・オールド・イヤー』
留学していたデザイナーのジーンは実家の断捨離を始めるが......。大阪アジアン映画祭でグランプリを受賞したナワポンの最新作。モノを毅然と捨てるジーンが過去や情に絡め取られていく様が冷徹に描かれ、クール。『バッド・ジーニアス』のチュティモン主演。
- ゲスト
- ジャイテープ・ラーロンジャイ
原題:ฮาวทูทิ้ง.. ทิ้งอย่างไรไม่ให้เหลือเธอ
2019年/113分
脚本:ナワポン・タムロンラタナリット/撮影:ニラモン・ロス/音楽:ジャイテープ・ラーロンジャイ
出演:チュティモン・ジョンジャルーンスックジン、サニー・スワンメーターノン、サリカー・サートシンスパー
『BNK48: Girls Don't Cry』
AKB48の姉妹グループBNK48。26人のうち、シングルの発売ごと16人がメンバーとして選抜される。メンバーと競争する難しさなどの主にインタビューで構成され、若い女性の言葉の洪水なところもそうだが、ラストもメディアに自覚的なナワポンらしい仕掛けがある。
原題:บีเอ็นเคโฟร์ตีเอต: เกิร์ลดอนต์คราย
2018年/108分
撮影:ニラモン・ロス/音楽:ウィチャヤ・ワタナサップ
出演:チャープラン・アーリークン、スチャヤー・セーンコート、ジラダーパー・インタジャック
『ダイ・トゥモロー』
「人生の最後の1日は、ごくごく普通の日でありがち」。死の前日を、ナワポン御用達の俳優が演じるフィクションと、市井の人々の死に関するインタビューが交錯するなか、死にまつわるデータが無常さを醸す。ベルリン国際映画祭に出品のナワポン長編5作目。
2017年/75分
脚本:ナワポン・タムロンラタナリット/撮影:ニラモン・ロス音楽:トンター・ジッディー、ポックポン・ジッディー
出演:チュティモン・ジョンジャルーンスックジン、サニー・スワンメーターノン、パッチャヤー・プーンピリヤ
『フリーランス』
フリーランスのデザイナー・ユンは徹夜仕事が続き、体じゅうに湿疹ができてしまう。公立の病院に行くと新人女医が診察してくれるが......。タイ・アカデミー賞8冠を受賞したテンポのいいブラック・ラブコメディ。女医を『愛しのゴースト』のタビカ・ホーンが演じる。
原題:ฟรีแลนซ์ ห้ามป่วย ห้ามพัก ห้ามรักหมอ
2015年/127分
脚本:ナワポン・タムロンラタナリット/撮影ニラモン・ロス/音楽:ウィチャヤ・ワタナサップ
出演:サニー・スワンメーターノン、タビカ・ホーン、ヴィオレット・ウォーティア
『あの店長』
タイ・ニューウェーブの原因の一つとも言われる、タイで未公開の世界の秀作を集めた伝説の海賊版ビデオショップについて、関係者や監督たちが証言するドキュメンタリー。ペンエーグ・ラッタナルアーンやバンジョン・ピサンタナクーンが出てくるのも見どころ。
原題:เดอะมาสเตอร์
2014年/80分
撮影:アムポーンポン・ユガラ/音楽:チャイバンディット・プートポンサップ
出演:ペンエーグ・ラッタナルアーン、ソンヨット・スックマークアナン、バンジョン・ピサンタナクーン
『マリー・イズ・ハッピー』
ヴェネチア国際映画祭に出品されたナワポンの2作目。400を超えるツイートが女子高生マリーと親友スリのガーリーな生活を牽引していく。ツイートは実在の少女マリーのものを使用し、不思議なリズムとツイートで女子高生のリアルを形作っていく様が見事。
2013年/127分
脚本:ナワポン・タムロンラタナリット/撮影:パイラット・クムワン/音楽:ソームシリ・セーンケーオ
出演:パッチャー・プーンピリヤ、チョンニカーン・ネートジュイ、ワスポン クリアンプラパーキット
『36のシーン』
釜山国際映画祭ニューカレンツ部門最高賞を受賞した初長編。ロケハン係のサーイと美術監督のウム。36のワンシーン・ワンショットが積み重ねられ、日常の風景の中で記録=記憶の旅に誘う。メディアへのメタ言説と詩情に溢れるナワポン節はここから始まった。
2012年/68分
脚本:ナワポン・タムロンラタナリット/撮影:パイラット・クムワン/音楽:ウティポン・リートラクーン
出演:コラミット・ワッチャラサティアン、ワンロット・ルンカムジャット
「ハッピー・オールド・フィルムズ1」
自選中編3本。『MAYTHAWEE』(11年)は、生徒会長候補の女生徒に関する毀誉褒貶が、インタビューやSNSで繰り広げられる。美人で人気者の彼女は親友から愛の告白をされ思わぬ事件に発展する。翌年初長編を撮るナワポンだが、手法は既に確立、かつビターなところが魅力の中編。
上映作品:
- 『世俗社会』THE TEMPTATION (Tang Lok)
- 『殺生』PANATIPATA
- 『メイタウィ―』MAYTHAWEE
「ハッピー・オールド・フィルムズ2」
自選短編16本。バンコクのデパート、セントラル・エンバシーのCMは、水原希子が出演するが、彼女のアシスタントのインターンの少女が語り手になる。水原のアジア的な美しさと少女の語りの初々しさが相俟って、瑞々しくガーリーな世界を作り上げている。
上映作品:
- 『シーン37』scene 37
- 『シーン38』scene 38
- 『シーン39』39
- 『シーン40』scene 40
- 『タイビデオ短編映画祭オープニング』short 15 opener
- 『回転』moon
- 『キーボード・ハスラー』keyboard hustler
- 『フレンドシット』friendshit
- 『ファン・ファクト』fun facts
- 『シェアしてくれてありがとう』thank you for sharing
- 『レイチェルとエリザベスとテクノロジーへの5つの道』rachel + elizabeth and 5 roads to technology
- 『フェイス/オフ』face/off
- 『ドラマの6テイク』6 takes of drama
- 『グラブフード』grabfood : free your hunger
- 『おみやげ』huawei : souvenir
- 『こうして私はここにいる』central embassy : this brings me here
ナワポン・タムロンラタナリット
1984年2月4日、タイ・バンコク生まれ。チュラロンコン大学芸術学部在学中に短編映画制作を開始。脚本家、脚本コンサルタント、映画評論家を経て監督長編デビュー作『36のシーン』(12年)で釜山国際映画祭でニューカレントアワードを受賞。監督作に『マリー・イズ・ハッピー』(13年)『あの店長』(14年)『フリーランス』(15年)大阪アジアン映画祭グランプリ受賞作『ハッピー・オールド・イヤー』(19年)ほか。