上映作品紹介

◎コンペティション部門 PFFアワード2015

577本の応募作の中から、約4ヶ月もの厳正な審査を経て選出された20作品を、お披露目上映。まずは、気になる1作品から観てみよう!あなたの投票で賞が決まる「観客賞」にもご参加ください。
※審査員、賞一覧、審査方法などPFFアワードの詳細は、「PFFアワードについて」をご覧ください。

『モラトリアム・カットアップ』

監督:柴野太朗

ゆく川の流れは絶えずして現代版

テレビのアナログ放送終了に頭を抱えるフミヤは、小学校からの友人3人といつも喫茶店に集っては四方山話。かつてのピンポンダッシュも、高校時代の片思いも、フミヤのなかでは遠い過去ではなく、ちょっと前のこと。変化を望まない青年の奮闘を、虚構と現実を交錯させながら秀逸な編集でコミカルに描く。

セレクションメンバーからのコメント

平穏無事な毎日なら、今日は昨日と同じように過ごせる。でも年単位で考えると小さな変化は起きているはずだ。愛用していたモノが壊れる。なじみの店が閉店する。会わなくなった友がいる。フミヤはこの馴染みつくした生活にいつまでも安住していたい。モノも建物も環境も人も何ひとつ変わらないでいてほしいと思っている。若いに似合わず、ひとつひとつのモノやコトへの有難味に意識的であるとも言える。彼のようでいるなら、ゆくゆく迎える家族の変化(自分や妹はいずれ家を出るだろうし両親は老いていく)に対しても、あらかじめ心構えがしっかり出来るのかもしれない、とも思う。能天気にコミカルに描きながら、奥の深い作品です。

片岡真由美(映画ライター)

監督紹介

柴野太朗Taro Shibano

1992年新潟県出身/東京造形大学 造形学部デザイン学科映画専攻領域 卒業

幼少期にビデオカメラなどの機材に興味を持ち、小学生の頃には簡単な脚本を書いたり、友達をカメラの前に立たせて演出するというような「映像遊び」をしていました。やがて独学で撮影や編集の技術を習得し、今に至るまで断続的に映像作品の制作を行っています。
『モラトリアム・カットアップ』はそういった自分自身の経歴を盛り込んだり、自分の好きなアナログなアイテムなどを前面に押し出しながらも、独りよがりな作品にならないように視聴者の目線を意識して制作しました。また、物語の構造や映像表現に実験的な要素を盛り込みながらも、エンターテインメント性のある作品として成立させることを目指しました。深読みすればするほど謎や疑問も残ると思うのですが、それらも含めて解釈の自由さを残した作品にできたのではないかと思っています。
キャストは主に演劇をやっている人達と演技経験の無い人達とで構成しており、映画出演経験の無い人ばかりです。私はその人自身の元々持っているキャラクターを引き出していくという演出方法が好きなので、なるべく自然体で自由に演じてもらいました。

【繰り返し観ている作品】
『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』(2001年/原 恵一監督)

【好きな映画監督】
石井裕也

上映日時

[2015年/38分/カラー]
監督・脚本・編集:柴野太朗/撮影:中谷駿吾/録音・音楽:井上 湧/照明:中根 豪/撮影助手:北川弦己/制作進行:石井愛佳/制作進行:沖 ひかる/録音助手:積木 淳/録音助手:古賀陽大/タイトルロゴ・画像合成 : 柴野史朗/メイク:小澤奈奈/衣装協力:吉岡里歩
出演:守利郁弥、大石晟雄、竹林佑介、小林哲也、杉山つかさ、豊嶋梨那、尾中正樹、中嶋莞爾、樋口アイリ、安部敬太、安部直美

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