577本の応募作の中から、約4ヶ月もの厳正な審査を経て選出された20作品を、お披露目上映。まずは、気になる1作品から観てみよう!あなたの投票で賞が決まる「観客賞」にもご参加ください。
※審査員、賞一覧、審査方法などPFFアワードの詳細は、「PFFアワードについて」をご覧ください。
亡くなった者は5日間だけ血縁者の身体を借りることができる憑依装置が発明された。アパートに現れた元上官「珈琲隊長」と青年・吉永が戦時の話をしていると吉永の恋人ヒロミが来て、嫉妬をあらわにする。やがてヒロミは別の人格になり…。話のわかりにくさも含めて、独特の話法に魔力が宿る。
敗戦の真実を巡る緊迫したSFサスペンス映画、と思いきや、突如男女が別れ話に揉めるラブコメに。セリフや身振り一つで、緊張と笑いを自由に行き来し、その交錯の果てに衝撃的な結末へとたどり着く。モノクロの不明瞭な映像や、フレーム外から響く音も含め、全てが緻密に作り上げられた大傑作。しかも、それら全てがたった一部屋で繰り広げられているなんて、まったく信じられない。どれだけ映画の可能性を信じれば、こんな奇跡が起こせるというのか。
廣原 暁(映画監督)
1985年北海道出身/東京芸術大学 大学院映像研究科映画専攻監督領域 在学中
立教大学現代心理学部映像身体学科在学中に、実習や映画サークルの活動を通して映画制作を始めました。卒業後、自分は撮影に向いていると思い、東京芸術大学大学院の撮影照明領域に入りましたが、やっぱり演出のことも気になるので、今年4月から監督領域に入り直しました。
『帰って来た珈琲隊長』は、もともと立教の卒業制作として撮ったものが元になっています。当時、提出期限が迫っていたため、ひとつの部屋だけで撮ると決め、せめてもの贅沢として8mmフィルムで撮影しました。たぶん、僕にとって最初で最後の8mmになると思います。卒業制作は簡易テレシネで提出したもので、今のバージョンとはずいぶん違ったものでした。
鶴岡慧子は立教の映画サークルの仲間です。彼女の『くじらのまち』(PFFアワード2012グランプリ受賞作品)では僕が撮影をつとめ、『帰って来た珈琲隊長』には隊長役で出演してもらいました。
【繰り返し観ている作品】
『アワーミュージック』(2004年/ジャン=リュック・ゴダール監督)、
『スパイ・ゲーム』(2001年/トニー・スコット監督)
【好きな映画監督】
小津安二郎、ヤスミン・アフマド
[2015年/52分/白黒]
監督・脚本・撮影・編集・録音:佐々木健太/助監督・美術:鶴岡慧子/照明・助監督:吉田 譲/撮影助手:野堀俊宏/照明助手:十河真奈美
出演:佐藤憲太郎、鶴岡慧子、片野 翠、岡信奈津子