577本の応募作の中から、約4ヶ月もの厳正な審査を経て選出された20作品を、お披露目上映。まずは、気になる1作品から観てみよう!あなたの投票で賞が決まる「観客賞」にもご参加ください。
※審査員、賞一覧、審査方法などPFFアワードの詳細は、「PFFアワードについて」をご覧ください。
男3人、車を降りて川を眺めては「あかんなあ」「そやなあ」と、却下、次の川を目指す。のんびりした会話に心なごませられるうち、いつしか小舟は形を替え、船は生き物に見えてくる。メダカの水槽が小宇宙に見えたように、この小さな旅は雄大な宇宙遊泳のようにも感じられるのだ。
この作品を観て、あらためて、何気ない毎日は探検の連続なのだと気づかされる。日々メダカを愛でることで、小さな船を拾うことで、日常が大自然へとつながっていくダイナミズム。周りにいる友人や生き物をごく当たり前に大切にし、遊び心を忘れずに穏やかに暮らすことが、世界の平和につながるのではないか、という希望までも感じさせてくれる。本作の心地よい映像と音楽を思い出すだけで、心の中がスーッと安らいでいく。清々しさこの上ない作品。
松瀬理恵(イベントディレクター)
1979年大阪府出身/大阪市立墨江丘中学校 卒業
中学卒業後は進学の道を選ばず、いろいろな職業に就きながら好きなことを模索しつづけて、今に至ります。映画に魅了されたきっかけは中学生のときに観た『バック・トゥ・ザ・フューチャー』。少年心をくすぐる数々のアイテム、ユーモアや優しさや冒険心に溢れ、映画には僕が好きなものすべてが詰まっている!と思いました。やがて、映画が生まれた国フランスに魅了され、フランス映画を字幕なしで観たい思いもあり、25歳のときフランスに約半年間留学しました。
第1作品『みちくさ』と『船』は、少年時代の遊びを、現在の友人たちと再現したような話です。子どもの頃は、日々、冒険ごっこに夢中で、現実と幻想の境目などなく、いつでも2つの世界を自由に行き来していたように思います。その感じを少しでも映像で表現できないかと思い、つくりました。2作とも、街から自然へと向かいます。街での日常から、何か糸口があって、知らないうちに幻想世界や冒険に導かれていくことを、今でも僕はどこかで待ち望んでいるから、かもしれません。
【繰り返し観ている作品】
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985年/ロバート・ゼメキス監督)、
『アメリカの夜』(1973年/フランソワ・トリュフォー監督)、
『有りがたうさん』(1936年/清水 宏監督)、
『サウンド・オブ・ミュージック』(1964年/ロバート・ワイズ監督)
【好きな映画監督】
チャールズ・チャップリン、ウディ・アレン、フランソワ・トリュフォー、ビリー・ワイルダー、ビクトル・エリセ、アキ・カウリスマキ、清水 宏、小津安二郎
[2015年/16分/カラー]
監督・脚本・撮影・編集・録音:中尾広道/声・音楽:波多野敦子/美術:花堂達之助/題字:小田中耕一/協力:高橋秀和、福井 悠
出演:大力拓哉、三浦崇志、中尾広道