東京で、関西で、特集の相次ぐ濱口竜介監督作品。東京芸大大学院の卒業制作ながら一躍世界の注目を集めた『PASSION』、4時間15分に及ぶ『親密さ』、PFF東京会場を沸かせた『不気味なものの肌に触れる』の3作品を名古屋開催の特別プログラムとして上映します。公開予定の少ない幻の作品群をこのチャンスに是非!
紡がれる人間関係とその距離感。風景が、言葉たちが映画を生んでいく
[2008年作品/115分/カラー]
製作:東京藝術大学大学院映像研究科/プロデューサー:藤井 智/監督・脚本:濱口竜介/撮影:湯澤祐一/録音:草刈悠子/編集:山本良子
出演:河井青葉、岡本竜汰、占部房子、岡部 尚、渋川清彦
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30歳を目前にした大学時代の同級生数人が、久々に集まる。あるカップルはその席上で結婚を発表するが、期せずして男の過去の浮気が発覚してしまう。そしてその浮気相手はその場にいた別の男とも関係を持っていたことがわかり……。それぞれに人生の転機を迎えた6人の男女の恋模様は、単なる恋愛感情だけにとどまらない人間関係の深みそのものをあぶり出して行く。
恋や愛についての他愛もないおしゃべりが、横浜の美しい夜景の中で積み重なって行く。そこにいるのは、映画を見る観客たちと同様に、月並みで平凡な人々だ。だが彼らのありふれた言葉や振る舞いが、時に私たちの人間性の核心、人生の核心に触れる。「暴力」や「真実」、そして「奇跡」について対話が紡がれるとき、そうした抽象的な概念が紛れもなくスクリーンに映し出されるのを目撃する。それは同時に、ありふれた私たちの日常生活の中から、「映画」が確かに生まれ出るのを目撃する瞬間でもある。
1978年生まれ。神奈川県出身。
東京芸術大学大学院映像研究科の修了制作『PASSION』(08年)がサン・セバスチャン国際映画祭や東京フィルメックスから高い評価を得る。その後も『THE DEPTHS』(10年)、『なみのおと』『なみのこえ』(11~13年/共同監督:酒井耕)、4時間を越える長編『親密さ』(12年)等を監督。現在は神戸に居を移し「即興演技ワークショップ」を9月から開催。
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