第35回PFFぴあフィルムフェスティバル

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PFFアワードについて

審査講評

2013年9月20日(金)の「PFFアワード2013表彰式」にて、最終審査員5名およびパートナーズ各社より述べられた、各受賞作へのコメントと審査講評をご紹介します。(※登壇順。敬称略)

【各受賞作へのコメント】

  • ◇日本映画ペンクラブ賞

    【受賞作品】
    『夜の法則』監督:山下洋助

    【プレゼンター】日本映画ペンクラブ審査員 渡辺祥子、まつかわゆま、清藤秀人
    「とにかく面白い!若くして、すでにクライムサスペンス作品を確立されている」

  • ◇映画ファン賞(ぴあ映画生活賞)

    【受賞作品】
    『震動』監督:平野朝美

    【プレゼンター】ぴあ株式会社 岡政人
    「音楽映画、青春映画として、飽きることなく楽しめる作品。今すぐ劇場公開してもおかしくないほどの完成度!」

  • ◇ジェムストーン賞(日活賞)

    【受賞作品】
    『女島』監督:泉谷智規

    【プレゼンター】日活株式会社 佐藤直樹 代表取締役社長
    「3年以内にこの監督と映画を撮ってみたい。そう思わせる一本でした!」

  • ◇エンタテインメント賞(ホリプロ賞)

    【受賞作品】
    『愛のはずみ』監督:佐藤悠玄

    【プレゼンター】株式会社ホリプロ 堀義貴 代表取締役社長
    「役者を丁寧に写しており、物語の展開も面白かった。新たな題材を探して、ぜひ次の作品にチャレンジしてください。」

  • ◇審査員特別賞

    【受賞作品】
    『夜の法則』監督:山下洋助

    【プレゼンター】中村義洋(映画監督)
    「山下監督は、ダントツで映画がよくわかっている。僕がPFFに入選した24年前、この作品をみていたら辞めていたんじゃないかと思いました。そのくらい、羨ましい才能です!次回作を期待しています。」

  • ◇審査員特別賞

    【受賞作品】
    『女島』監督:泉谷智規

    【プレゼンター】森山未來(俳優)
    「16作品の中で群を抜いて、熱量が感じられる作品だと思いました。役者の肉体的なものだったり、色彩感覚だったりと監督のスケールの大きさも感じられました。次回作があれば、よかったら出演させてください!」

  • ◇審査員特別賞

    【受賞作品】
    『山守クリップ工場の辺り』監督:池田暁

    【プレゼンター】安藤親広(映画プロデューサー)
    「非常に独特で、淡々としている中に"笑い"と"強さ"を感じた作品でした。商業映画では、なかなかこういうテイストの作品とは出会えないので、個人的に楽しませてもらいました!」

  • ◇準グランプリ

    【受賞作品】
    『きみの信じる神様なんて本当にいるの?』監督:猪狩裕子

    【プレゼンター】橋本一(映画監督)
    「最小限のセリフと非常にこだわったロケーション撮影。監督のこだわりが効果的に生きている映画です。」

  • ◇グランプリ

    【受賞作品】
    『夜とケイゴカー』監督:市川悠輔

    【プレゼンター】中井美穂(アナウンサー)
    「本当にひどい人たちが登場する話で、『どこに連れて行かれるんだ私は』と思いながら見ていました。最後まで腕時計を見ることもありませんでした。いつの間にか、とんでもない場所に連れて行ってくれる作品です。」

【最終審査員による審査講評】

  • 森山未來(俳優)Actor Mirai Moriyama

    今回、ほぼ全ての作品を劇場のスクリーンでみせてもらいました。上映の度に監督が登壇する質疑応答があったのですが、僕はすぐに情にほだされてしまうので、これを聞いたら絶対に惑わされてしまうと思って、上映が終わる度にロビーに出て、時間を潰して戻ってくるということを繰り返していました。

    選ぶ側に立つということは本当に恐れ多いと思っていて、何度かお断りしていたのですが、今回やらせていただくことになって、16作品本当に面白かったし、とても刺激になりました。

    技術やセンスは本当に皆さん卓越していているんですが、個人的には『愛のはずみ』でヒロインがお米を炊いて食べたり、待ち伏せしている時にサンドイッチ食べたりする時の食べ方が、高校の頃に好きだった女の子の食べ方に酷似していて、グッと掴まれてしまいました(笑)。この作品のクローズアップの撮り方、照明、背景など個人的に好きで、今でも心に残っています。

    今回、賞に選ばれた方も、選ばれなかった方も、またどこかで出会えることを楽しみにしています。ありがとうございました。

  • 中村義洋(映画監督)Film Director  Yoshihiro Nakamura

    10年ほど前に、1次審査と2次審査をやらせてもらう機会があったのですが、ものすごくしんどかったことを覚えています。音が入っていなかったりする作品を沢山みました。今回、安易に引き受けてしまったのですが、仕事の忙しい時期とも重なってしまい、断ればよかったな…と思っていたのですが、途中で「どういうことになっちゃってるんだ、今の自主映画は!」と、非常にレベルが高いことに驚かされました。

    気になった作品がいくつもありました。

    『それからの子供』。僕自身、何本も撮らせて頂いている仙台が舞台の作品ということもあって思い入れもありましたが、何をどう切り取るかというセンスには、天才だな、これグランプリだな、と思いました。

    『踊ってみせろ』。絵の切り取り方や時間の使い方も含め、これはすごいな、天才だな、これグランプリだな、と思いました。

    『LONG RIVER FRIEND』。これは面白いな、昔だったらこれはグランプリだな、と思いました。

    『山守クリップ工場の辺り』。もう完成されている作品なので、制作会社やソフト会社は、どんどん池田監督と仕事をするべきだと思います。池田監督が「もう辞めようと思った」と言っていたので、本当に選んでよかったなと思います。

    そんな中で、審査会議で話題にあがった6本のうち『カワツヒロアキ君、はい!』は賞から漏れてしまいました。僕はグランプリか準グランプリを穫るんじゃないかと思っていました。1位2位を争う面白さで、心を打たれました。ただ、5人それぞれの3位か4位だったんです。何か賞をあげられればよかったのですが…ただ、劇映画をつくる力は持っていると審査員の5人全員が感じているので、ぜひフィクションをみてみたいと強く思います。

    20年前、僕がPFFで賞をいただいて、いま43歳になりますが、いまだに若手と言われます。まだまだみなさん、先が長いです。これからも作品を撮り続けてください。楽しみにしています。

  • 中井美穂(アナウンサー)Announcer  Miho Nakai

    私は日本大学芸術学部の放送学科を卒業しておりまして、学生時代にはよく映画学科の卒業制作に駆り出されていました。ロケハンに行ったり、照明を持たされたり、タイムキーパーをしてお手伝いしていたことを思い出しました。当時つくっていたのは、やみくもな恋愛映画のようなものが多かった印象があります。今のように技術もなく、美しい画が撮れるわけでもなく、編集も思い通りにできなかったので、自主映画とは、変なエネルギーをもった得体の知れないものだと信じ切っていました。

    その後、テレビ局に勤めたり、演劇を見に行ったりと、映画との距離は多少あると思っていた中で出会った、今回の16本からは、今の若い人たちの考えやムードが感じられて、当たり前ですが、こんなに違うんだと思いましたし、一方で同じだなと思うことも多くありました。抽象的ではありますが、物を生み出すことの出来る皆さんを心から尊敬しています。

    もし私が男だったら、『疾走ラブレター』に登場して、土手を走って喧嘩をしたかったと思っています。他の監督たちのみなさんにも、このあとのパーティで一人一人に会ってお話しできたらと思っています。本当にありがとうございました。

  • 橋本 一(映画監督)Film Director  Hajime Hashimoto

    学生時代以来、久しぶりに自主映画に向き合うことができて、大変新鮮かつ楽しい時間を過ごすことができました。「ダメお父さん映画祭」なのかと思う作品が多かったのですが、今はそういう時代なのかと感じました。

    今回『いたいのいたいのとんでいけ』と『His Eye Is On The Sparrow』の2本が心に残りました。特に『いたいのいたいのとんでいけ』は、私も3歳の息子がいるのですが、落ち込んでいる時に、頭を撫でられるという全く同じような体験をしました。それで号泣したことがあったので、冷静にみることができませんでした。

    今回、久々に自主映画に触れ合いましたが、今後も機会があれば、今回味わったような新鮮な驚きを味わいたいと思います。皆さんもどんどん作り続けてもらえたらと思います。

  • 安藤親広(株式会社ロボット 執行役員 コンテンツ事業本部 映画部部長 チーフプロデューサー)Film Producer  Chikahiro Ando

    審査会議の前日の朝方3時くらいまで、『カワツヒロアキ君、はい!』と『山守クリップ工場の辺り』のどちらを推すか、ずっと悩み続けていていました。

    審査方法を荒木ディレクターに確認したところ「全作品観てもらって、一番心に残ったものを選んでください」ということだったので、最終的には『山守クリップ工場の辺り』に決めました。審査の進め方についても「5人の審査員で方法を決めてください」ということでしたので、5人で1本1本感想を言いながら、票を入れていくような形で進めました。

    基本的には、全作品に票は入っていて、その中でも『カワツヒロアキ君、はい!』は点数が多かったんですが、各審査員自身がイチオシする作品を選んだときに、『カワツヒロアキ君、はい!』はすべての審査員の次点でした。だから河津監督には、ストーリーのある映画をぜひ観せてほしいと思っています。相談にのれるのであれば乗るので、ここで諦めずに、ぜひご相談ください。

    嬉しかったのは、池田監督が「ここでダメだったら映画を辞めようと思っていた」という発言があって、人生の岐路に立っている時期に、今回の受賞を通して、もう一度やってみようと思ってもらえたら大変うれしいです。

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