『おーい、大石』
監督:菊沢将憲(41歳/福岡県出身)
平和活動に少しあきあきしていたキクザワが、荒川の橋の下で暮らしていたオオイシと再会する。彼らは、そこら辺の葉っぱの煙を吸って黄色い蝉と出会ったり、魚を釣ったり、劇をやったり、懐中電灯でシグナルを送り合ったりして過ごす。だが翌日オオイシは、タップを踏みながら川沿いの道の向こうに消えていく。
なんだかまったく現実感のない川向こうのスカイツリーを前に、二人の男は夢のように曖昧な時間を過ごす。世界の平和、帰るべき場所、いなくなった友達。そんなあやふやなものたちすべてに向かって、明滅する懐中電灯のあやふやなメッセージを、彼らは必死に送っている。