『山村てれび氏』
監督:阿部理沙(31歳/東京都出身)
山村家にある1台のアナログテレビの名は山村てれび氏。てれび氏はある日、地デジ化の影響で捨てられる悪夢を見る。同じ日、長女・市子は一人暮らしを始めるために家を出て行った。最新型デジタル対応テレビに立場を奪われてしまったてれび氏だったが、山村家の愛犬の供養のために久しぶりに帰ってきた市子とともに、彼は最初で最後の旅に出ることになる。
テレビが真ん中に置かれた茶の間、というどこにでもある家族の風景。それを覚えているのは家族たちだけなのではない。風景の真ん中にあったテレビもまた、彼らを見つめ返し、記憶していたのだ。