上映作品紹介

◎コンペティション部門 PFFアワード2015

577本の応募作の中から、約4ヶ月もの厳正な審査を経て選出された20作品を、お披露目上映。まずは、気になる1作品から観てみよう!あなたの投票で賞が決まる「観客賞」にもご参加ください。
※審査員、賞一覧、審査方法などPFFアワードの詳細は、「PFFアワードについて」をご覧ください。

PFFアワード2015 審査員特別賞

『嘘と汚れ』

監督:猪狩裕子

勇気を出せなかったゆえに広がる罪

『きみの信じる神様なんて本当にいるの?』でPFFアワード2013の準グランプリに輝いた監督の新作は、大道具会社が舞台。冒頭、老人と若い女性が和気あいあいと一緒に作業する長いシーンで幕開けする。その後も続く作業場の光景に観客を引き込んだうえで、小事件が起き、心理劇へと鮮やかに変貌する。

セレクションメンバーからのコメント

正直でありたいと望んでも、共に生きる世界を願っても、生きていくことに精一杯で、綺麗な生き方なんて到底出来ず、抱えていたはずの理想は少しずつ歪み削られ違うかたちになってしまう。そうして汚れていく姿を実直に追い続けるこの作品は哀しくも潔い。冒頭でやさしく聞こえたはずのハミングは、息の詰まりそうな長い夜を経て「それでもこの世界は素晴らしいか?」という痛烈な問いへ変わる。いつかは感じることさえなくなるかもしれない葛藤を私たちから抉り出す。

木下雄介(映画監督)

監督紹介

猪狩裕子Yuko Igari

1984年東京都出身/ENBUゼミナール監督コース卒業

職場で考え続けた、誰かの犯してしまった一つのミスで人を疑ってしまう事への嫌悪感や、それを決めつけてしまう、安易な考え。そんな時、犠牲になる人と、それをなすり付けてしまう人と、それを傍観する人。どれも「私は」やっていないと言えば嘘になる。それほど人間は嘘や汚れを持ちながら生きているし、多かれ少なかれ、人はこの「汚れ」を背負っていると思ってます。結末がどうあれ、それを認めた人は、その中で自分とやっと戦えると思い、作品を作りました。
人物の後ろ姿をとらえることが多いのは、その人の気持ちを伝えるのは表情だけじゃなく、見えない部分からも想像できるはずだという思いがあったからです。
スーパー、ボウリング場、大道具の会社など、ロケ地を快く貸していただけたことに感謝しています。スーパーは断られ続けましたが、「いいよ。映画でしょ。大変なんでしょ」と、数軒目でOKしてもらえました。本物の場所で撮ることは大事なので、何度でもトライします。

【繰り返し観ている作品】
『永遠と一日』(1998年/テオ・アンゲロプロス監督)

【好きな映画監督】
テオ・アンゲロプロス

上映日時
  • 【 東 京 】2015年9月13日(日) 11:00~ / 18日(金) 15:30~
    ※同時上映『わたしはアーティスト
    ※各回とも上映後、監督、出演者など来場予定。
  • 【 京 都 】2015年10月6日(火) 19:30~
    ※同時上映『異同識別
  • 【 神 戸 】2015年11月3日(火・祝) 16:00~
    ※同時上映『
  • 【名古屋】2015年11月13日(金) 18:30~
    ※同時上映『わたしはアーティスト
    ※上映後、猪狩裕子監督、来場予定。
  • 【 福 岡 】2016年4月29日(金・祝) 11:00~
    ※同時上映『わたしはアーティスト
    ※上映後、猪狩裕子監督、来場予定。

[2015年/92分/カラー]
監督・脚本・編集:猪狩裕子/撮影:深谷祐次/録音:宇佐希望/助監督:太田達成/制作:高橋基史/制作:中島 光
出演:岡田瑞葉、真実一路、佐藤武史、青坂 匡、野口 航、高橋基史、戸田 司、八代定治、重田裕友樹、金子拓史、亀井史興、前川桃子、三森麻美、森山愛都子、金子るい、金子ねね、江口 信

このページの上部へ戻る