『青〜chong〜』は、学校の卒業制作としてつくられながら、鮮やかな語り口、テーマの新鮮さ、緻密にして軽やかな画(え)で圧倒的な支持を集め、昨年度の『ぴあフィルムフェスティバル(PFF)/アワード2000』でグランプリを含めた4賞を受賞。完成度の高さからそのまま一般公開が決定した、極めてめずらしい形になった。
主人公は、野球部の練習に明け暮れながらも、友達のとつるんで他校の生徒とケンカをしたり、電車で向かいに座った女の子のミニスカートをのぞいたり、美しく育った幼なじみに戸惑ったりする、どこにでもいる高校生。最近、姉が恋人を家に連れて来るという小さな事件はあったものの、平凡な毎日を送っている。そんな彼の名は楊大成(ヤン・テソン)。在日あるいは在日3世と呼ばれる朝鮮人だ。朝鮮人として誇り高く生きよ、と教えられてきたテソンは、姉の恋人も幼なじみのBFも日本人だと知り、おもしろくない。また、自分自身も日本人学校との試合で大敗して自信をなくす。そんなある日、日本人と付き合っているという理由で、幼なじみがいじめを受けたことを知り……。
ありがちな出来事、自然な感情、誰もが一度は抱く『自分は一体、何者なんだろう』という疑問。出会う悩みや喜びは同じなのに、在日という枠があるだけで、当たり前が当たり前でなくなる。そんな現実に、この映画はユーモアを含んだクールな視線でフォーカスを当てる。日本語で若さを示す“青”、朝鮮語で青の読みであるchong=チョン。シンプルでありながら多層的な意味を持つタイトルの通り、この映画は、在日3世の日常から『違うこと』と『同じこと』のボーダーラインを鮮やかに描き出した青春映画だ。
[TEXT:徳永京子]
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