招待作品部門

イカすぜ!70~80年代

激動の60年代を過ぎ、生活が大きく変わり始めた70-80年代。
自ら生み出す映画=自主映画=の熱風渦巻くこの時代に、PFFは生まれました。
どんな人たちが、どんな映画が、風を起こしていたのか?
2028年の第50回PFFに向かい、毎年10年区切りで自主映画のみならず当時の傑作の数々を上映し、時代を、歴史を体感する企画をスタートします。自主映画は、もう既に、映画の歴史の中に力強く脈打っています。

<大森一樹再発見>


映画が好きすぎて映画になろうとしたひとの、
映画への愛と憧れが溢れる3プログラム

Director

大森一樹

OMORI Kazuki

1952年、大阪府生まれ。高校時代より8ミリ映画を撮り始め、大在学中に初めて16ミリで撮影した『暗くなるまで待てない!』が関西で注目を浴びる。76年ぴあ主催の「ぴあシネマブティック」での「ない!」シリーズ3部作が大好評となり、自主映画ムーブメントの先駆けとなる。77年にシナリオ『オレンジロード急行』で城戸賞を受賞。翌年、同作で商業監督デビューを果たした。その後『ヒポクラテスたち』(80年)『風の歌を聴け』(81年)『すかんぴんウォーク』(84年)『恋する女たち』(86年)『ゴジラ』シリーズ等多彩な作品を多数発表。惜しくも、2022年12月に逝去。

自主映画時代①8mm6作品一挙上映
*8ミリ作品は全てデジタル上映

『革命狂時代』

1969年/カラー/13分
監督:大森一樹
六甲高校2年時の記念すべきデビュー作!

文化祭用映画として製作を始めるも文化祭粉砕シーンで終わる、1969年という混沌とした年を大きく反映した一篇。

『ヒロシマから遠く離れて』

1972年/白黒/2分
監督:大森一樹
秀逸なタイトルの大森監督唯一の実験映画!

医大入学後、映画製作熱が増し、実験映画にも挑戦。インクに滲む紙束をめくる手をリズミカルに描写した作品。

『空飛ぶ円盤を見た男』(3部作)

1972年~/カラー&白黒/合計49分
監督:大森一樹
ライフワークとして始めた3部作を一挙上映!

大学入学直後の1作目から、「ヒポクラテスたち」後に製作した3作目まで、8ミリ映画独自の表現を駆使した作品集。

『明日に向って走れない!』

1972年/カラー/42分
監督:大森一樹
素晴らしいショットの連続は見逃せない!

恋人から別れの手紙を受け取った主人公の行動を、様々な映画のオマージュを織り交ぜ描いた疾走感に満ちた作品。

ゲスト
緒方 明(映画監督)
聞き手
モルモット吉田氏
自主映画時代②8mm+16mm2作品

『死ぬにはまにあわない!』

1974年/カラー/47分
監督:大森一樹
京都を舞台にしたハードボイルド映画に挑戦!

日活ニューアクションに触発され、初めて脚本を執筆し臨んだ、銃撃戦やカーチェイスシーン満載の意欲作。

『暗くなるまで待てない!』

1975年/カラー&白黒/70分/16mmフィルム上映
監督:大森一樹
初の16ミリによる「ない!」シリーズ最終作!

神戸を舞台に映画製作に打ち込む大学生たちの情熱的な姿を描き、当時の映画を志す若者たちに大きな影響を与えた傑作。

『夏子と長いお別れ』

1978年/カラー/25分/16mmフィルム上映
監督:大森一樹
映画愛に満ちた自伝的な青春映画

神戸を舞台に、『暗くなるまで待てない!』のヒロイン・稲田夏子が再び登場!名画座「文芸坐」が製作に乗り出す!

ゲスト
緒方 明(映画監督)
聞き手
モルモット吉田氏
必見!秘蔵長編映画豪華2本立て

『女優時代』

1988年/カラー/93分/16mmフィルム上映
監督:大森一樹/原作:乙羽信子/脚本:新藤兼人
出演:斉藤由貴、根津甚八、森本レオ、相楽晴子、川谷拓三
宝塚から映画女優へ。乙羽信子の半生を斉藤由貴が熱演

原作・乙羽信子×脚本・新藤兼人のテレビドラマ。映画界へ転身し、成長していく乙羽の姿を、当時21歳の斉藤由貴が見事に演じている。

【お詫びと訂正】
『女優時代』は35mmフィルムではなく、16mmフィルムの間違いです。お詫びして訂正いたします。

©ツインズジャパン

『悲しき天使』

2006年/カラー/113分/35mmフィルム上映
監督:大森一樹
出演:高岡早紀、岸部一徳、筒井道隆、山本未來、河合美智子
女性たちの生きざまが交錯するヒューマンドラマ

父親を殺した娘を追って大分県で張り込みを開始した刑事は、やがて意外な真実に直面する。紆余曲折の末完成した意欲作。必見!

ゲスト
緒方 明(映画監督)
聞き手
モルモット吉田氏

<斎藤久志再発見>


長廻しのロングショット、ひとを捉える独自の空間と時間、
惜しまれるその逝去・・・

Director

斎藤久志

SAITO Hisashi

1959年、東京都生まれ。85年、自主製作映画『うしろあたま』がPFFに入選し、87年には第2回PFFスカラシップ作品『はいかぶり姫物語』を発表。その後、廣木隆一監督の『夢魔』(94年)の脚本や、塚本晋也監督の『東京フィスト』(95年)の原案などをつとめたのち、『フレンチドレッシング』(97年)で劇場用映画デビュー。その後『サンデイドライブ』(98年)『いたいふたり』(02年)等を発表。最新作『草の響き』が映画芸術ベストワンを受賞し、今後の活躍を期待されるも、2022年12月に逝去。

『うしろあたま』

1985年/カラー&白黒/124分
監督:斎藤久志/原作:高野文子
超長回しで切り取る女子大生の現在と過去

1985年(第8回)PFF入選作。突然、髪を男のように短く切った女子大生の日々を淡々と描く。カメラ据えっぱなし、超長回しという独特のスタイルが早くも開花し、過去と交錯して反転する日常を鮮やかに捉える。

『0×0(ゼロカケルコトノゼロ)』

1984年/カラー/22分
監督:風間志織
ヌーヴェル・ヴァーグ女子高生監督、誕生の瞬間!

いつもと違う一日を過ごそうと街に出た二人の女子高生。次々出会う奇妙な人々の中で、彼女たちは自分たちの日常を発見する。当時高校三年生だった監督の圧倒的な感受性が躍動し、PFFスカラシッププロジェクトの始まりに繋がる。

ゲスト
風間志織(映画監督)
ゲスト
鈴木卓爾(映画監督・俳優・脚本家)
Director

風間志織

KAZAMA Shiori

1966年、埼玉県生まれ。84年、ぴあフィルムフェスティバルに『0×0(ゼロカケルコトノゼロ)』が入選。翌年、第1回PFFスカラシップ作品として『イみてーしょん、インテリあ。』を監督。監督作に『チョコリエッタ』(14年)など。

「特別企画:斎藤監督の現場で出会った3人が語り、秘蔵映画をみせる」

斎藤監督の映画に出演中の鈴木卓爾氏を訪ねたことで、矢口史靖監督、田中要次さん、3人の長い友情が始まった。秘蔵作品を上映し、数々のエピソードを披露しながら、斎藤久志監督の映画術を伝えていく。

ゲスト
鈴木卓爾(映画監督・俳優・脚本家)
ゲスト
矢口史靖(映画監督)
ゲスト
田中要次(俳優)
塚本晋也監督presents

『サンデイドライブ』

1998年/カラー/86分/16mmフィルム上映
監督:斎藤久志/製作:塚本晋也
出演:塚本晋也、唯野未歩子、丹治 匠、中山舞衣、小野麻希子
日常の延長線上にある"非日常"の逃亡劇

レンタルビデオ店の店長・岡村とアルバイトの結衣。ただそれだけだった関係は、結衣が浮気した恋人を殺した夜に一変。岡村は思いを寄せる結衣のため、共犯者となる。あてもない逃避行の結末は?塚本晋也監督主演&プロデュース。

ワンピース『Whatever』

1996年/カラー/11分
監督:斎藤久志
出演:唯野未歩子、塚本晋也

★『サンデイドライブ』制作をインスパイアしたワンピース作品を特別上映
※ワンピースとは?(第39回PFFより)

ワンピース『DON'T LOOK BACK IN ANGER』

1998年/カラー/16分
監督:斎藤久志
出演:鈴木卓爾、唯野未歩子、丹治 匠

ゲスト
塚本晋也(映画監督)
ゲスト
唯野未歩子(女優)
© 2021 HAKODATE CINEMA IRIS
© 2021 HAKODATE CINEMA IRIS
© 2021 HAKODATE CINEMA IRIS
© 2021 HAKODATE CINEMA IRIS
© 2021 HAKODATE CINEMA IRIS

『草の響き』

2021年/カラー/116分
監督:斎藤久志/原作:佐藤泰志
出演:東出昌大、奈緒、大東駿介、Kaya、林 裕太
走ること 愛すること そして自由

作家・佐藤泰志の映画化シリーズ第4弾。心を病んで郷里に戻った和雄は、精神科医の勧めでランニングを始める。地元の青年たちとも交流し、生活は安定したかに見えたが......。"幸せ"の定義を覆す、大胆な脚色が見事。

<日比野幸子プロデューサー再発見>


常に若い才能に注目した日比野幸子氏。「小型映画」編集部時代から多くの自主映画を紹介し、2本の映画をプロデュース。
PFF参加後はコンペ部門の審査員を、また海外招待部門のディレクターとしてアジアの新鋭をいち早く注目するなど、
PFFの礎を築いた方を追悼する。

Producer

日比野幸子

HIBINO Yukiko

1946年、岐阜県生まれ。8ミリ映画専門誌「小型映画」の編集部に在籍し、多くの若い自主映画監督を誌面で紹介。また、古井由吉の芥川賞作品を映画化した『杳子』(77年)や、長崎俊一監督の商業デビュー作『九月の冗談クラブバンド』(82年)のプロデュースを担当。70年代から長くPFFアワードの審査員を務めたほか、当時、日本では劇場公開が難しかったアジアやヨーロッパの意欲的な作品を紹介する「海外招待作品」のディレクターを務めた。2022年12月に逝去。

【プロデュース作品】

杳子ようこ *デジタルリマスター版ワールドプレミア上映

1977年/カラー/80分
監督:伴 睦人/原作:古井由吉
出演:山口小夜子、石原初音、後藤和夫、真家宏満、絵沢萌子
山口小夜子主演、幻の映画がデジタルで甦る

古井由吉による、芥川賞を受賞した同名小説「杳子」の映画化。70年代、8ミリ作家が、芥川賞原作で16ミリ長編映画を撮ることは大事件だった!研ぎすまされた感性の持ち主である二人の姉妹の心の軌跡を描く。

ゲスト
渡部 眞(撮影監督)
ゲスト
長崎俊一(映画監督)
Director

伴 睦人

BAN Bokuto

1949年生まれ。日大芸術学部放送学科に在学中『解体新書』を発表。75年、ハリウッドの映画状況を学ぶため渡米。翌年、「私自身のハリウッド」を目指して『杳子』に着手。2年の歳月をかけて同作を完成させた。(『杳子』公開時のパンフレットより引用)

【アジア映画の新鋭紹介 台湾・侯孝賢監督】

風櫃 フンクイの少年』

1985年/台湾/カラー/101分
監督:侯 孝賢(ホウ・シャオシェン)
出演:ニュウ・チャンザイ、チャン・シイ、チャオ・パンジュ、
チェン・ボージョン、
リン・シウリン
台湾ニュー・シネマを世界に知らしめた傑作

この後、エドワード・ヤンと並び世界的巨匠となった候孝賢が、初めて自伝的な題材を扱った青春映画の傑作。潮の香りに満ちた港町・風櫃で過ごす怠惰な日の放つ魅力がナント三大陸映画祭でグランプリを獲得。1985年の第8回PFFで上映。

Director

侯 孝賢(ホウ・シャオシェン)

HOU Hsiao-hsien

1947年、中国出身。大学卒業後、脚本家・助監督などを経て80年に監督デビュー。1980年代、『冬冬の夏休み』『恋恋風塵』など、多くの作品を発表。エドワード・ヤンらと並び、台湾ニューシネマを担った代表的な監督の一人となる。

【アジア映画の新鋭紹介 韓国・李長鎬監督】

旅人ナグネは休まない』

1987年/韓国/カラー/105分/35mmフィルム上映
監督:李 長鎬(イ・チャンホ)
出演:キム・ミョンゴン、イ・ボイ、コ・ソルボン
提供:福岡市総合図書館
80年代韓国映画界を代表する李監督の代表作

『寡婦の舞』に続き日比野が招いた李長鎬監督作品。1987年、第10回PFFで上映。3年前に亡くなった妻の遺骨を埋葬しようと妻の故郷へ向かう男の、祖国分断のために帰郷できない悲哀を描く。鮮烈な色彩も注目された秀作。

Director

李 長鎬(イ・チャンホ)

HOU Hsiao-hsien

1945年、韓国出身。65年に映画界へ参入。初監督作品で韓国映画興行の記録を塗り替え、鮮烈なデビューを飾る。『旅人は休まない』はベルリン映画祭など数々の映画祭で上映され、国際的にも評価を得た。代表作に『風吹く良き日』(80年)など。

<山中瑶子監督『あみこ』への道>


「映画監督とは作家なのだ!」と知ったとき、
『あみこ』の生まれる土台ができた。
みずから眼耳を拓かれた映画を紹介する

Director

山中瑶子

YAMANAKA Yoko

1997年、長野県生まれ。19歳から20歳にかけて自主制作した『あみこ』がPFFアワード2017で観客賞を受賞。翌年、第68回ベルリン映画祭フォーラム部門に史上最年少で招待。NYの映画祭で鑑賞した坂本龍一氏も絶賛。監督作に『魚座どうし』(20年)など。

『ホーリー・マウンテン』

1973年/アメリカ、メキシコ/カラー/114分
監督:アレハンドロ・ホドロフスキー
出演:アレハンドロ・ホドロフスキー、ホラシオ・サリナス、ラモナ・サンダース、アリエル・ドンバール、ホアン・フェラーラ

外部の圧力によって進路に悩まされていた16歳の私には、劇薬でした。「映画が好きならこれを見た方がいい」とVHSを貸してくれた美術の先生、ありがとう。もしくは、余計なことしやがって。かもしれません 笑(山中瑶子)

Director

アレハンドロ・ホドロフスキー

ALEJANDRO Jodorowsky

1927年、チリ生まれ。70年、監督・脚本・主演・音楽をこなした『エル・トポ』はジョン・レノンなど名立たるアーティストに絶賛され、現在でもカルト的な人気を博す。代表作に『サンタ・サングレ/聖なる血』『エンドレス・ポエトリー』など。

『ポゼッション』

1980年/フランス、西ドイツ/カラー/124分
監督:アンジェイ・ズラウスキー
出演:イザベル・アジャーニ、サム・ニール、ハインツ・ベネント、マルギット・カルステンセン、ヨハンナ・ホーファー

観る人の数だけ解釈が生まれるような映画ですが、私はこれを究極の女性映画と受け取りました。ガンガン不貞を働き、のたうちまわろう。人生は一度きりだからこそ、後悔も失敗もまるごと抱えて絶叫していこう!それで大丈夫。(山中瑶子)

Director

アンジェイ・ズラウスキー

ANDRZEJ Zulawski

1940年、ポーランド生まれ。アンジェイ・ワイダの助監督を務め、67年にテレビドラマで演出家デビュー。71年、父親との共同脚本で長編映画を初監督。『ポゼッション』が第34回カンヌ映画祭で上映され、世界的に注目を集める。16年、75歳で逝去。

『あみこ』

2017年/カラー/66分
監督:山中瑶子
出演:春原愛良、大下ヒロト、峯尾麻衣子、長谷川愛悠、廣渡美鮎

PFFアワード2017観客賞受賞の山中瑶子監督の初監督作。16歳の女子高生あみこが、ニヒリストでありながら、サッカー部の人気者アオミくんに恋をして暴走していく。本作で、山中監督はベルリン映画祭に史上最年少で正式招待。

『おやすみ、また向こう岸で』

2019年/カラー/24分
監督:山中瑶子
出演:三浦透子、古川琴音、中尾暢樹

テレビの放映用に作りましたが、やることは映画のときと何も変わっていません。ぜひスクリーンで上映できたらと思っていたので、念願です。フランソワ・オゾンのバカンス映画に触発され、このような形になりました。(山中瑶子)

ゲスト
山中瑶子(映画監督)
ゲスト
古川琴音(『おやすみ、また向こう岸で』出演)

<塩田明彦監督がみつめる
相米慎二の少年少女>


少年少女映画の魅力の核心とは何か。彼ら彼女たちはいかに映画を生き、いかに"死"と出会うのか。そのとき彼らに何が起きるのか。80年代から90年年代にかけて、何本かの少年少女映画の傑作を撮り、一世を風靡した相米慎二監督の世界を、自作『どこまでもいこう』も絡めつつ考察する。(塩田明彦)

Director

相米慎二

SOMAI Shinji

1948年、岩手県生まれ。72年、日活撮影所に入り、長谷川和彦などの下で助監督を務める。
80年、『翔んだカップル』で映画監督デビュー。翌年、『セーラー服と機関銃』で成功を収める。01年、逝去。代表作に『台風クラブ』(85年)、『お引越し』(93年)など。

©1983 キティフィルム
©1983 キティフィルム
©1983 キティフィルム
©1983 キティフィルム

『ションベン・ライダー』

1983年/カラー/118分/35mmフィルム上映
監督:相米慎二
出演:藤 竜也、河合美智子、永瀬正敏、坂上 忍、原 日出子

『どこまでもいこう』

1999年/カラー/75分/35mmフィルム上映
監督:塩田明彦
出演:鈴木雄作、水野真吾、芳賀優里亜、鈴木優也、安藤 奏
Director

塩田明彦

SHIOTA Akihiko

1961年、京都府生まれ。大学在学時より自主映画制作を始め、83年に黒沢清監督作品に助監督として参加。翌年の第7回ぴあフィルムフェスティバルに、監督作『ファララ』が入選。代表作に『害虫』(02年)、『さよならくちびる』(19年)他。

『お引越し』

1993年/カラー/124分/35mmフィルム上映
監督:相米慎二
出演:桜田淳子、中井貴一、田畑智子、笑福亭鶴瓶

ゲスト
塩田明彦(映画監督)

<アルノー・デプレシャン監督
『女囚701号 さそり』を語る>


アルノー・デプレシャン監督特集の特別プログラムとして、
熱愛する日本映画を語り尽くす

『女囚701号 さそり』

1972年/カラー/87分/35mmフィルム上映
監督:伊藤俊也
出演:梶芽衣子、横山リエ、夏八木勲、渡辺文雄、扇ひろ子

女たちの復讐が、我々みんなの仇を取ってくれるから。まるで古代彫刻のように梶芽衣子の顔が謎めいているから。歌舞伎なのか、ブレヒトなのか、何だかわからないが最高の演劇の伝統を受け継いでいるから。それでいて悦楽的なまでに背徳的...。何よりタランティーノの『キル・ビル』は伊藤俊也のこの作品なしには生まれなかったから... 女囚さそり万歳!(アルノー・デプレシャン)

ゲスト
アルノー・デプレシャン(映画監督)
ゲスト
梶芽衣子(本作主演)
Director

伊藤俊也

ITO Shunya

1937年、福井県生まれ。東京大学文学部卒業後、60年に東映撮影所に入り、助監督・脚本家を務める。70年、千葉真一主演『やくざ刑事シリーズ』の二作目を野田幸男と共同監督し、監督デビュー。代表作に『誘拐報道』(82年)、『花いちもんめ。』(85年)他。

<驚異のデビュー作>


「どうしたら映画監督になれるのか?」
今も続くその問いに、あの時代はこう答える

PARCOムービー第一弾・鮮烈20代デビュー!

『ビリィ★ザ★キッドの新しい夜明け』

1986年/カラー/109分/35mmフィルム上映
監督:山川直人/原案・脚本:高橋源一郎
出演:三上博史、真行寺君枝、室井 滋、石橋蓮司、内藤剛志

いろんな虚構メディアから抽出したエッセンスを集結させてその象徴的フィクション世界を構築し、その世界の中の人々を何とかして現実的に面白く楽しく見せられないかなという、言わば虚構世界的バーチャルリアリティを目指しました。(山川直人)

『ビハインド』

1979年/カラー&白黒/60分
監督:山川直人
出演:伊藤清彦、室井 滋、石井葉子

音楽、詩、風景、写真、政治的主張、社会と個人の隔離、思い込みやふとした行動など、あらゆる象徴的シーンを積み重ね、ストーリーテリングでなく、イメージ映像の交錯によって映画の面白い語り方ができないかなと、そんな挑戦で作りました。(山川直人)

ゲスト
山川直人(映画監督)
聞き手
石川泰地(映画監督)
Director

山川直人

YAMAKAWA Naoto

1957年、愛知県生まれ。早稲田大学教育学部に進学すると同時に、「早稲田大学シネマ研究会」に入会。78年に制作した『ビハインド』が、翌年のぴあフィルムフェスティバルに入選。前衛的な作風で、多くの映画ファンに支持されている。

(C)1970 FOUNDATION FOR FILMMAKERS
(C)1970 FOUNDATION FOR FILMMAKERS
(C)1970 FOUNDATION FOR FILMMAKERS

『WANDA ワンダ』 *鶴岡慧子セレクト

1970年/アメリカ/カラー/103分
監督:バーバラ・ローデン
出演:バーバラ・ローデン、マイケル・ヒギンズ、ドロシー・シュペネス、ピーター・シュペネス、ジェローム・ティアー
片隅でかすかに瞬く一番星のような一作

バーバラ・ローデン監督・脚本・主演のロードムーヴィー。世の中から塵のごとく扱われるワンダという人物を、〈監督の目〉と〈役者の身体〉の両極から、自らの内に集約して創り上げた彼女の先駆性と創造性は奇跡。(鶴岡慧子)

Director

バーバラ・ローデン

BARBARA Ann Loden

1932年、アメリカ生まれ。モデルやダンサーとしてキャリアをスタートさせ、57年に舞台デビュー。61年にエリア・カザン監督作『草原の輝き』に出演、64年には同監督演出の戯曲『アフター・ザ・フォール』でトニー賞助演女優賞を受賞。80年、48歳で逝去。

<『陽炎座』4Kデジタル完全修復版
ワールドプレミア上映>


鈴木清順監督生誕100年を寿ぎ、
4Kデジタルで甦るSeijun World!

『陽炎座』 *4Kデジタル完全修復版 ワールドプレミア上映

1981年/カラー/139分
監督:鈴木清順
出演:松田優作、大楠道代、中村嘉葎雄、加賀まりこ、原田芳雄
世界の巨匠たちを魅了した鈴木清順が4Kで甦る!

<清順美学>と呼ばれる奔放華麗な映像美で、ウォン・カーウァイ、ジム・ジャームッシュら多くの映画人に影響を与えた鈴木清順。その絢爛たる映画術が頂点を極めた【浪漫三部作】の第二作。美しい女たちの愛と憎しみの渦に翻弄される主人公には、鈴木清順の大ファンだったという松田優作。

Director

鈴木清順

SUZUMI Seijun

1923年、東京都生まれ。48年、松竹大船撮影所へ入り助監督に。54年、日活へ移籍。
56年に本名・鈴木清太郎名義で『港の乾杯』を初監督。58年、鈴木清順に改名。後に「清順美学」と称される独自の世界観の映画を数多く手掛ける。17年、93歳で逝去。