PFFがロバート・アルトマン、ダグラス・サーク、クリント・イーストウッドに続いて贈る「アメリカの輝ける才能」シリーズ。ゴダール、ヴェンダース、ファスビンダー、スコセッシらが惚れた異才(偉才)フラー。その誰にも真似できないエモーション!
キース・キャラダイン演じるマイケルは、人気絶頂の歌手時代、街を牛耳るエディの愛人セリアと恋に落ち喉を切られ、今はアル中のホームレスに。そのエディの画策で起きた黒人と白人の対立暴動のさなか、復讐の機会が訪れ・・・「メロドラマとはアクションのあるドラマのこと」と語ったフラー。マイケルの唄を聞けるフラッシュバックや馬で駆けるシーン、暴動の迫力など、無国籍アクション映画の薫り立つ、その若さとエモーションに眩暈がする、最後の映画作品。
1912年生まれ。アメリカ出身。
新聞記者、小説家、映画脚本家などを経て、1949年に『地獄への挑戦』で監督デビュー。ジャーナリスティックな感性や第二次大戦従軍経験を活かし、常に脚本も自身で執筆。強烈な暴力描写・登場人物の心理探究・社会的不正に対する抗議を織り込んだ自由で独特な低予算娯楽作品を大プロデューサーの運営するメジャースタジオ下でありながら数多く生み出し、後年、多くの映画作家に強い影響を与えた。フランスでは特に人気が沸騰。ジャン=リュック・ゴダール『気狂いピエロ』での自身の役以降、ヴィム・ヴェンダース、スティーヴン・スピルバーグら若手監督の作品に俳優として多数の出演も。1997年没。
[1989年/フランス・ポルトガル/93分/カラー/35ミリ]
監督・脚本:サミュエル・フラー/製作:ジャック・ブラル/製作総指揮:ジャック・エリック・ストロース、パトリック・ドゥロノー、アントニオ・ダ・クンハ・テレス
出演:キース・キャラダイン、ヴァレンティーナ・ヴァーガス、ビル・デューク、アンドレア・フェレオル、ベルナール・フレッソン