PFFがロバート・アルトマン、ダグラス・サーク、クリント・イーストウッドに続いて贈る「アメリカの輝ける才能」シリーズ。ゴダール、ヴェンダース、ファスビンダー、スコセッシらが惚れた異才(偉才)フラー。その誰にも真似できないエモーション!
今では邦訳を読むことが難しくなってしまったフランスの小説家ロマン・ガリ(ジーン・セバーグと結婚でも知られる)の自伝的物語を「これはガリの叫びだ」と感じたフラーは、「人種差別主義者の猛獣使いが黒人を襲うように犬(ホワイト・ドッグ)を調教する」部分を芯に映画として新たな命を吹き込む。知らずにホワイト・ドッグを飼うことになり途方に暮れる主人公の女優を当時アイドルのクリスティ・マクニコルが演じたことや、衝撃の結末が話題になるが、米国では公開されなかった。
1912年生まれ。アメリカ出身。
新聞記者、小説家、映画脚本家などを経て、1949年に『地獄への挑戦』で監督デビュー。ジャーナリスティックな感性や第二次大戦従軍経験を活かし、常に脚本も自身で執筆。強烈な暴力描写・登場人物の心理探究・社会的不正に対する抗議を織り込んだ自由で独特な低予算娯楽作品を大プロデューサーの運営するメジャースタジオ下でありながら数多く生み出し、後年、多くの映画作家に強い影響を与えた。フランスでは特に人気が沸騰。ジャン=リュック・ゴダール『気狂いピエロ』での自身の役以降、ヴィム・ヴェンダース、スティーヴン・スピルバーグら若手監督の作品に俳優として多数の出演も。1997年没。
[1982年/アメリカ/90分/カラー/35ミリ]
監督・脚本:サミュエル・フラー/製作:ジョン・デイヴィソン/製作総指揮:エドガー・J・シェリック、ニック・ヴィノフ/脚本:カーティス・ハンソン
出演:クリスティ・マクニコル、ポール・ウィンフィールド、バール・アイヴス、ジェイムソン・パーカー、クリスタ・ラング