coFesta2012

上映作品紹介

コンペティション部門 PFFアワード2012

1977年から続くコンペティション「PFFアワード」。自主映画の歴史を35年間目撃してきました。今年は更に驚きの新世代監督たちが登場しています。平均年齢23.6歳。そのセンスとちからを今こそスクリーンで体験してください!現在DVD化予定なしの16作品です。

「PFFアワード」についての詳細は、「PFFアワードについて」をご覧ください。

『あの日から村々する』

2012年/22分/カラー
監督・脚本・編集:加藤秀則
撮影:多賀世帆/音楽:林 暢彦/美術:祟
出演:黒田芽衣、斎藤芳廣、林 崇夫、小泉雄詩、山口祐子

原子力発電を全廃させた2021年の日本で悪夢の事故が再び!
2021年の日本。10年前の事故を契機に原子力発電を全廃したこの国の電力は、その半分が新種のクリーン発電方式「なめこ汁発電」によってまかなわれている。ある日、安全なはずの首都電力奥多摩なめこ汁発電所が事故を起こす。周辺住民に避難勧告が出されるが、逃げ遅れた人々の体に次々と異変が起こり出す…。
なめこ汁発電、カニ化する身体、幼児化した首相。そうした、いまの日本のきわめて表面的で軽薄なパロディを装いながら、この映画はあの事故がすでに起こったことではなく、いまなお起こりつつ問題であることを私たちに思い出させる。なぜ、いまこの場所に居続けるということが、こんなにも困難なことになってしまったのか。行き場のない憤りが言葉にならない叫びとしてこの映画の隅々まで響きわたるとき、それは日常の中に消えてしまいかけていた私たち自身の叫びと共鳴するだろう。(文・結城秀勇)

  • 東京 2012年09月21日[金] 15:30/2012年09月25日[火] 18:15
  • 神戸 2012年12月23日[日・祝] 13:15
  • 京都 2013年2月16日[土] 18:30
  • 福岡 2013年4月28日[日] 17:00
  • 名古屋 2013年11月14日[木] 11:30より8作品連続上映 ※本作は1番目に登場。

監督:加藤秀則

20歳/宮城県出身
多摩美術大学造形表現学部映像演劇学科在学中

中学生のころにチャップリン作品や『男はつらいよ』に出会い、コメディ映画に開眼。福島に住んでいた98歳の曾祖母が、原発事故のせいで村を離れなければならなくなったことを発端に本作の制作を決意。

審査員特別賞

『あん、あん、あん』

2012年/43分/カラー
監督・脚本:イノウエ カナ
撮影:寺澤知花/編集:石橋賢一/音楽:白鳥綾香/照明:縄手佑基
出演:辻本彩衣、近藤忠紀、大江志乃、黒糖きなこ、播野周平

ボーイッシュな女子高生を軸に浮遊する「女」のさまざま
女子校に通う肘木圭の周りには、多くの性愛があった。どうやら父は不貞行為している。友人のあずみと沢村先生の関係も怪しい。自分を求める大人たちがいる。男装をしてみても変わらない。保健室では、今日も養護教諭の福原トモコが私を待っている。解けた靴紐を結んでくれたあずみ。彼女にだけは素直になりたいと想う。「わたし」の抱える女性性嫌悪、それでも逃れることが出来ないこの(さが)と出会うため肘木は少しだけ勇気を出してみる。
作品を固める巧演者たちが素晴らしい。様々な年齢の女性たちを通して、「女であること」への意識を丁寧に浮かび上がらせる。例えばそれは、同居している祖母の存在や、夫から未だに名前で呼ばれる妻の存在だ。役割を変えながらも、そこで生きる女性の姿を捉える深い洞察がある。説明的な台詞を排除し、登場人物が発する生きた言葉に魅了され、物語の終わりには、肘木の迷いと決意をありのままに捉えた眼差しに瞠目する。(文・吉田光希)

  • 東京 2012年09月21日[金] 12:30/2012年09月23日[日] 18:15
  • 神戸 2012年12月23日[日・祝] 16:00
  • 京都 2013年2月16日[土] 18:30
  • 福岡 2013年4月27日[土] 13:30
  • 名古屋 2013年11月14日[木] 11:30より8作品連続上映 ※本作は7番目に登場(18:15以降に上映予定)。

監督:イノウエカナ

22歳/京都府出身
立命館大学映像学部映像学科在学中

もともと映像ビジネス面に興味をもち映像学部に入学。授業で提出した企画が通り、初めて監督・脚本を務めた作品が最優秀賞に選ばれ、映画制作ゼミに入る。本作『あん、あん、あん』は卒業制作となる。

『オハヨー』

2012年/13分/カラー
監督・脚本・撮影・編集:佐久川満月
出演:若松朋茂、三好 遥、宮里和誉

恥辱にまみれた失恋男子が疾走の果てに吐き出すものとは!?
ある朝男子は、バス停の女子高生に一目惚れをした。恋に悶え、妄想する日々。そして歌を作り始めた。憧れのあの子に渡すのだ。男子は勇気をふりしぼる。「あ…あの…すみません…これぜひ…聞いてください」。悲劇は、ここから加速する。「ちがうちがう! そーゆーのじゃないです! なんなの? あれ? あ”~~」。悔しさと、恥ずかしさ、そして吐き気…吐き気?? たどりついた廃墟で男子は吐きだした。性的欲求(イカ)を。彼女への想い(テープ)を。すべてを体内から排除し、海で再び生まれかわるのだ。ギターの墓場で男子は目覚めた。それは、彼女のためにつくった歌の墓場である。「オハヨー」。内向的男子の笑顔の裏には、哀切が満ちている…。
これは敗者の映画である。絶妙なリズムで刻まれた編集と、ヘッポコなサウンドトラックにのせて男子は走る。その叫びは、どこまでも切なく狂おしい。男子の恥辱にまみれた慟哭を13分に凝縮させた失恋ジェットコースタームービー。(文・長澤 豊)

  • 東京 2012年09月19日[水] 15:30/2012年09月23日[日] 12:15
  • 神戸 2012年12月22日[土] 19:00
  • 京都 2013年2月17日[日] 18:30
  • 福岡 2013年4月27日[土] 18:15
  • 名古屋 2013年11月14日[木] 11:30より8作品連続上映 ※本作は4番目に登場(15:00以降に上映予定)。

監督:佐久川満月

23歳/沖縄県出身
東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻編集領域在学中

沖縄県立芸術大学でデザインを専攻していたが、クラスで制作したドキュメンタリーの編集がきっかけで、映画を撮り始める。現在は編集マンとしての就職口を探しながら、次回作の制作を目指している。

エンタテインメント賞(ホリプロ賞)&映画ファン賞(ぴあ映画生活賞)、観客賞(名古屋)

『かしこい狗は、吠えずに笑う』 予告編を観る

2012年/94分/カラー
監督・脚本・編集:渡部亮平
撮影・編集:辻 克喜/音楽:近谷直之
出演:mimpi*β、岡村いずみ、石田剛太、仁後亜由美、佐藤幾優

孤独な女子高生が初めて見つけた友情。その絆の行く先は?
苗字の“熊田”とその風貌から、クラスメイトに蔑称に近い形で“プー”と呼ばれる女子高生の美沙。当然、友達などいない彼女にとって心を許せるのはペットのインコと理科室の水槽にいる金魚だけだった。そんな彼女は、他の女生徒から妬まれるほど“かわいい”と評判の同級生、イズミと急接近。なぜか自分に興味を示すイズミに戸惑いを覚えながらも美沙は初めての友人の存在に心躍る。孤独な美沙が初めて手にした友情。しかし、その絆が…。
学園生活において“絶対”であり“すべて”であるとともに、“移り気”でもあるティーン世代の友情をキーに、まるで主人公の心模様をなぞるように晴天から曇天へと表情を変えていく転調の効いたストーリーが秀逸。その脚本の構築力と、最後まで観る者を惹きつける緊迫感をもたせた演出から確かな才気が立ちのぼる。いじめ問題、モラルの欠如、希薄な人間関係など、現代の日本社会の闇を見据える視点もまた鋭い。(文・水上賢治)

  • 東京 2012年09月19日[水] 12:30/2012年09月22日[土・祝] 14:45
  • 神戸 2012年12月22日[土] 12:30
  • 京都 2013年2月17日[日] 18:30
  • 福岡 2013年4月29日[月・祝] 11:00
  • 名古屋 2013年11月14日[木] 11:30より8作品連続上映 ※本作は8番目に登場(18:15以降に上映予定)。

監督:渡部亮平

24歳/愛媛県出身
立命館大学経済学部経済学科卒業

大学に籍を置いたまま上京し、シナリオ作家協会でドラマや映画のシナリオを学ぶ。2010年に制作したクレイアニメ作品がテレビ朝日の映像コンクールで全国グランプリを受賞。その賞金で本作を撮影した。

グランプリ&ジェムストーン賞(日活賞)

『くじらのまち』

2012年/70分/カラー
監督・脚本・編集:鶴岡慧子
撮影・照明・編集協力:佐々木健太/照明助手・助監督:入澤朱陽/制作:永井 浩
出演:飛田桃子、片野 翠、山口佐紀子、佐藤憲太郎、中嶋 健

仲良し高校生男女3人組のすれ違う心の揺れを瑞々しく描く
陸上での生活に適応した鯨は、なぜあえて新天地を目指す試練を選び、海へと還ったのか…。6年前に失踪した兄が気がかりな女子高生まち。同級生の朝彦とほたるの“仲良し3人組”は、高校生最後の夏休み、東京への小旅行を計画する。まちの兄が東京にいると知り、わずかな手がかりと期待を胸に、列車へと乗り込む。
思春期の持つ眩しさは、まだ未発達な自分自身の輪郭さえ気づいていない“無意識”が宿す光そのものにある。あやうさや艶めかしさも内包するその魅力を、スクリーン一杯に散りばめながら展開する意図的な仕掛けには、映像ならではの手法と試みが幾つも光る。永遠に続くかのように見えた子ども時代。どんなに満ち足りた環境でも、人はやがてその世界を抜け出し、何かを得て、何かを失う。渇望や喪失など、ままならない感情が芽生え始めた子どもたちの移りゆく表情と、揺れる心象風景を刻みながら、人はどのように大人になっていくのかを模索した青春群像劇。(文・鈴木沓子)

第17回釜山国際映画祭 コンペティション部門出品決定

  • 東京 2012年09月21日[金] 15:30/2012年09月25日[火] 18:15
  • 神戸 2012年12月23日[日・祝] 13:15
  • 京都 2013年2月21日[木] 18:30
  • 福岡 2013年4月28日[日] 17:00
  • 名古屋 2013年11月16日[土] 11:00より8作品連続上映 ※本作は8番目に登場(17:30以降に上映予定)。

監督:鶴岡慧子

23歳/長野県出身
東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻監督領域在学中

映画制作を志し、創設されたばかりの立教大学現代心理学部映像身体学科に入学。卒業制作である本作は、スタッフとキャスト全員が立教大生、主人公たちの高校は立教高校でロケを敢行した。

審査員特別賞

『故郷の詩』 予告編を観る

2012年/71分/カラー
監督・脚本:嶺 豪一
撮影:楠 雄貴/編集:小野寺拓也/音楽:今村左悶/楽曲提供:SPANGLE
出演:嶺 豪一、飯田 芳、岡部桃佳、林 陽里、広木健太

熊本から上京した大学生の、中途半端で空回りな愛しき日々
スタントマン志望の大吉は、故郷・熊本に可愛い彼女を残して上京。しかし東京での日々は、同じく熊本出身で映画監督を目指す天志と酒を呑み、ナンパし、完成することのない映画の構想を練ることに費やされ、気づけば卒業は目前だ。先の見えない未来と、叶わないかもしれない夢。恋愛も映画作りも袋小路に陥った大吉は、一世一代のスタントを計画する。
実在する男子学生寮・有斐学舎(ゆうひがくしゃ)を舞台に、まだ何者でもない若者たちのぐだぐだな青春が、当事者目線でセキララに綴られる。主人公が、監督・脚本・そして主演の3役をこなした嶺豪一自身であるのは、誰の目にも明らか。夢を語るものの実現に向けてなかなか努力できない大吉の焦燥は、はたして演技かそれとも地か。彼の悩みは若く青くクサいけれど、文字どおり、なりふり構わぬ捨て身の行動へと行きつくことで、青春の落とし前をつけるに至る。そう、本作は上京物語であると同時に、卒業の物語でもある。(文・皆川ちか)

第31回バンクーバー国際映画祭 招待作品部門出品決定

  • 東京 2012年09月20日[木] 15:30/2012年09月23日[日] 15:15
  • 神戸 2012年12月23日[日・祝] 19:00
  • 京都 2013年2月19日[火] 18:30
  • 福岡 2013年4月28日[日] 14:30
  • 名古屋 2013年11月16日[土] 11:00より8作品連続上映 ※本作は4番目に登場(13:30以降に上映予定)。

監督:嶺 豪一

22歳/熊本県出身
多摩美術大学造形表現学部映像演劇学科卒業

多摩美在学中は、劇中の舞台となる有斐学舎で4年間暮らしていた。大学の先輩である森岡龍監督の作品など、先輩の卒業制作などに俳優として出る機会が多く、現在は俳優としても活動している。

『極私的ランナウェイ』

2012年/76分/カラー
監督・脚本・撮影・編集:河合 健
脚本:牧野名雄、寺田 瑛/編集:田中悦子/音楽:日高ロンドン出身
出演:櫻井拓也、有元由妃乃、林 祐介、山崎智恵、箱田友紀

夢を忘れた青年と金髪援交娘が北へと向かうロードムービー
日々のアルバイトを無機的にこなす青年・蚊崎(かざき)。カメラマンになる夢を抱いて上京したけれど、生活に追われて最近はカメラを手にすることもない。ある夜、行き倒れの金髪女サラと出会い、部屋に泊めることに。金色の髪に一房まじったサラの赤いメッシュに惹かれ、北へ行きたいという彼女と共に旅へ出る。旅先で様ざまな人と出会い、2人の心は次第に歩み寄るが…。
虚ろな目に半開きの口。目的を見失い、ただ生きているだけの状態である蚊崎は、もう焦燥すら感じられない。対照的にサラは身体全体を使って生きて、そのためリスクも引き受けざるを得ない。主演ふたりの役への憑依、とりわけ有元由妃乃演じる痛々しいほどやけっぱち、それでいて純粋な援交娘サラが強烈な存在感を放つ。手ずからカラーリング、ラブホテル、発泡酒、骨の折れたビニール傘、そして街頭で配られるティッシュと、物語を彩るジャンクなディティールから日本のリアルが立ちのぼる。(文・皆川ちか)

  • 東京 2012年09月20日[木] 12:30/2012年09月22日[土・祝] 18:00
  • 神戸 2012年12月22日[土] 10:30
  • 京都 2013年2月20日[水] 18:30
  • 福岡 2013年4月27日[土] 16:00
  • 名古屋 2013年11月14日[木] 11:30より8作品連続上映 ※本作は3番目に登場。

監督:河合 健

22歳/大阪府出身
日本映画学校映像科卒業

2011年春に日本映画学校卒業後は、フリーの助監督として商業映画の現場で鍛えられている。本作は学校の課題作品以外で初めて撮った作品で、助監督仕事の合間に時間をつくって完成させた。

『水槽』 予告編を観る

2012年/49分/カラー
監督・脚本・編集:加藤綾佳
撮影:倉本光佑/照明:川上高広/助監督:佐野真規/録音・整音:中瀬 慧
出演:生駒梨奈、小林寿生、山段智昭、小野孝弘、宇江山ゆみ子

田舎町でいじめを受けている女子中学生の強さと弱さに見惚れる
田舎町に暮らす中学生の千雪は、クラスメイト・裕輔からの軽率な告白をきっかけに、学校でいじめを受け始める。小さなコミュニティで発生した同調圧力から救ってくれる大人は何処にもいなかった。そんなある日、町に現れたひとりの男。どうやら訳アリらしい。千雪は男と出会い、少しずつ彼に魅かれていく。2人の関係は小さな町ではすぐに広まり、学校でのいじめにも拍車がかかる。告白した雄輔も千雪を気にせずにはいられなかった。
教室の水槽を見つめる少女は、囲われた金魚と、田舎町に暮らす自分を重ねていたのかもしれない。町の外からやって来た大人なら、きっと此処ではないどこかへ連れて行ってくれる…。小さな身体で、懸命に救済を手繰り寄せようとする千雪の切実な訴え。彼女の抱える不安を無言のままに表現し、同時に少女から大人の女性へと変わろうとする心理を見せる秀逸なラストにも注目してほしい。(文・吉田光希)

  • 東京 2012年09月20日[木] 18:30/2012年09月25日[火] 11:45
  • 神戸 2012年12月22日[土] 15:45
  • 京都 2013年2月18日[月] 18:30
  • 福岡 2013年4月28日[日] 12:00
  • 名古屋 2013年11月16日[土] 11:00より8作品連続上映 ※本作は5番目に登場(13:30以降に上映予定)。

監督:加藤綾佳

23歳/新潟県出身
映画美学校卒業

工業高校を中退し、アルバイトを経て上京。雑誌で大九明子監督と映画美学校のことを読み、同校に入学。大嫌いだった故郷とその中学校を描くことを決意し、卒業後に本作を制作した。現在は映像現場スタッフとして働いている。

審査員特別賞

『stay チューン』 予告編を観る

2012年/65分/カラー
監督・脚本・編集:伊藤智之
撮影:三宅 唱、山崎悠太/編集:横田新之介、海田晃弘
出演:原田シェフ、亀谷志奈子、山中雄輔、佐々木麻衣、平川和宏

ぱっとしない男子高校生、真の姿は深夜ラジオのスター投稿者!
イケてない男子高生ヒロト。しかしてその正体は、人気ラジオ番組の常連投稿者“三代目天津丼”だった。三代目天津丼を師と仰ぐ不良生徒マーシー、さらに憧れの女子アヤエも誘い、ハガキ職人クラブを結成。さえない日常が動きだし、浮かれるヒロトだがアヤエは瞬く間に三代目天津丼を凌ぐ常連リスナーに。また彼女とマーシーの仲も訝しむようになり、ヒロトのアイデンティティは追いつめられる。
趣味はラジオと自己嫌悪、そしてオナニー。兄のセクシーな恋人を妄想の対象とする一方で、アヤエで抜くことは己に固く禁じるバリバリの童貞。思春期という名の言い訳で武装する主人公の殻を破るのは、アヤエと、恍惚の人おじいちゃんだ。過剰な自意識、卑小な現実、持て余す性欲。それら全てを吐き出して疾走する彼の姿は、情けないほど愛おしい。全編に横溢するギャグに最初は失笑、次第に微笑、最後は爆笑すること必至。(文・皆川ちか)

  • 東京 2012年09月22日[土・祝] 11:30/2012年09月25日[火] 15:00
  • 神戸 2012年12月22日[土] 15:45
  • 京都 2013年2月20日[水] 18:30
  • 福岡 2013年4月27日[土] 11:00
  • 名古屋 2013年11月16日[土] 11:00より8作品連続上映 ※本作は2番目に登場。※伊藤監督、来場予定!

監督:伊藤智之

26歳/千葉県出身
映画美学校卒業

大学在学中に映画美学校に入学。修了制作として『stay チューン』を執筆したが、シナリオは激賞されたものの監督には選ばれず、卒業後に独自で映画化した。PFF入選は、まさに寝耳に水の体験だったという。

『飛び火』 予告編を観る

2012年/58分/カラー
監督・脚本・編集:永山正史
共同脚本:鈴木由理子/制作:武田祥/撮影:森脇由二/音楽:テレコフ
出演:仲田天使、鐘築健二、竹下かおり、筧十蔵、上杉シンヤ、満利江

夜の山道で助けてくれたオジサンの倫理観に恐怖で震える青年
牛乳配達店に勤めるヨシオは胃弱で気弱。パートのおばさんにもアルバイト青年にも何も言い返せない。配達車を運転するときだけが発散の場で、大音量で音楽を鳴らして日頃の不満をぶちまけ、ひとりシリトリに興じる。今夜も音楽を鳴らして山道を運転中、誤って犬を轢いてしまう。瀕死の犬を前にうろたえていると、通りがかりの地元のオジサンが応急処置のため自宅へ運んでくれる。それが、ヨシオの人生観を覆す一夜の幕開けだった。
犬の飼い主の女も交えた物語は、不協和音なラブ&コメディ&ホラーを展開。善意の塊のように見えたオジサンが次第に見せる、独特な倫理観と自分の核をしかと持つ行動は、ヨシオと観客の善悪の判断基準の根底をぐらつかせ、恐怖させる。だがさらに一転、確固たる自分を持たないヨシオはある種の啓示を受けることに。田舎町を舞台にしたホラー映画の形をとりながら青年の成長譚に帰結させる剛腕に、並々ならぬストーリーテリングの才能が光る。(文・片岡真由美)

  • 東京 2012年09月22日[土・祝] 11:30/2012年09月25日[火] 15:00
  • 神戸 2012年12月23日[日・祝] 10:30
  • 京都 2013年2月21日[木] 18:30
  • 福岡 2013年4月27日[土] 11:00
  • 名古屋 2013年11月14日[木] 11:30より8作品連続上映 ※本作は2番目に登場。

監督:永山正史

28歳/神奈川県出身
東京工芸大学芸術学部映像学科映画研究室卒業

大学卒業後、映像制作会社に入社。大学時代の仲間と仕事で積んだ修練を発揮して本作を制作した。第15回PFFスカラシップ作品『水の花』監督の木下雄介らと3人で映像制作ユニットを結成している。

『Her Res~出会いをめぐる三分間の試問3本立て~』

2012年/12分/白黒+カラー
監督・脚本・撮影・編集:山戸結希
ピアノ演奏:堀 静香/録音:大和田麗衣/応援:坂本悠花里、中島彦次郎
出演:飯島みなみ、上埜すみれ、今村貴子、由比絵理子、加々美文康

対照的な女の子2人の出会いにまつわる、実験的恋愛短編集
ちょっとボーイッシュな風貌のみなみと、愛嬌のある顔がどこか周囲をいつも和ませるすみれ。傍から見るとどこにでもいるごく普通の女の子である2人が、どんな出会いをして、どんな状況にいて、どんな決定機を迎えれば、その互いの想いを成就させることができるのか? そんな女の子同士の恋と愛を試問形式で紐解く短編連作。
こうは書いてみたものの、そこまでストーリー性があって各編に連動性があるように感じられるかは、はなはだ疑問で作品はとにかくまだまだ荒削り。だが、それを補って余り有る才気が12分の随所にほとばしる。中でも特筆すべきは映像表現のセンスにほかならない。映像の切り取り方、つなぎ、さらにそのテンポなどの感覚は天賦の才を感じさせるに十分。『愛のむきだし』や『下妻物語』といった作品に存在するモノローグ、映像、音楽が渾然一体となって観る者を圧倒する映像の力、そんなパワーの宿る映像を生み出しそうな才能を感じてならない。(文・水上賢治)

  • 東京 2012年09月19日[水] 12:30/2012年09月22日[土・祝] 14:45
  • 神戸 2012年12月22日[土] 10:30
  • 京都 2013年2月17日[日] 18:30
  • 福岡 2013年4月29日[月・祝] 11:00
  • 名古屋 2013年11月16日[土] 11:00より8作品連続上映 ※本作は7番目に登場(17:30以降に上映予定)。

監督:山戸結希

22歳/愛知県出身
上智大学文学部哲学科在学中

2011年春に大学に映画研究会を立ち上げ、同年夏に処女作『あの娘が海辺で踊ってる』を撮影。撮影や編集は独学で制作した。今年の夏に3作目、冬に4作目、春に5作目を撮る予定。

日本映画ペンクラブ賞

『Please Please Me』 予告編を観る

2012年/65分/カラー
監督・脚本・撮影・編集:青石太郎
音楽:大堀晃生
出演:佐々木綾子、森 了蔵、森塔湖都音、小室裕樹、水野 哲

ささやかに幸せに暮らす女子大生が悪意の存在によって世界を発見
20歳の大学生・笹野さつきは、トレーラー運転手の父と団地で2人暮らし。親子の関係も良好で、彼氏もいる。ある日、さつきは清掃アルバイトの仕事先で「事件」を目撃してしまう。何気なく過ごしてきた場所で、不意に表出した誰かの悪意。疑わなかった日常は、それほど平和ではないのかもしれない。不安を覚えたさつきは、転職を決意する。
本作を無視できない理由のひとつは、人間関係の不和を積極的に“描かない”所にある。親子の不協和や、痴情のもつれなどは安易に使用しない。信頼出来る父親も、仲の良い恋人もしっかりと存在しているのだ。映画になりやすいエピソードには手を出さずに、それでも65分を魅せきる強度は、日常描写の中に立ち上がるさつきの感情とその変化、懸命に生活を営む人間の美しい一瞬を魅せる成熟した演出にある。「半径数メートルな日常」を描く凡庸さを打ち砕き、些細でも、一歩を踏み出すことの眩い精神の軌跡を見せてくれる。(文・吉田光希)

  • 東京 2012年09月20日[木] 18:30/2012年09月25日[火] 11:45
  • 神戸 2012年12月23日[日・祝] 10:30
  • 京都 2013年2月19日[火] 18:30
  • 福岡 2013年4月28日[日] 12:00
  • 名古屋 2013年11月14日[木] 11:30より8作品連続上映 ※本作は6番目に登場(15:00以降に上映予定)。

監督:青石太郎

22歳/東京都出身
武蔵野美術大学造形学部映像学科卒業

大学から映画制作を開始。視覚的・即物的であるという映画の大きな特徴を味方につけるべく、「作る/撮る」の境のない映画づくりを敢行。次作は変えて、ロケハン・取材に基づく、フィクションの制作を計画中。

『継母』 予告編を観る

2012年/22分/カラー
監督・脚本・撮影・編集:工藤隆史
脚本・音楽:高橋良輔
出演:佐藤可奈子、工藤尚代、高橋茂樹

父の再婚相手の過剰な世話焼きに可奈子はなんとか対処してきたが…
母の死から3年後、父は再婚した。そしていま父は死の床に伏し、彼女は実の母親でもない女性と、ひとつ屋根の下2人きりで暮らす。彼女たちを結びつけていたはずの父を失っても、2人は共に暮らしていくのか。母でもない女性を母と呼び続けることはできるのか。
典型的な2階建ての一軒家、なんでもない日常の一コマ、見慣れたはずの光景が、2人の女性の微妙な関係性によって、遠近感を狂わせていく。特殊な道具立てにも奇抜なアイディアにも頼らず、距離を置いて人物を見つめ続けるカメラと抑制の利いた音響によって、2人の女性の生活はホラーにもアクションにも変化していく。長回しの後にクロースアップが挿入される瞬間。薄暗い室内から外へと飛び出す瞬間。その都度この映画は表情を変える。「当たり前」の、なにかがほんの少しだけ違う。ただそれだけのことで、この映画の始めから終わりまで、彼女たちから目を離すことができない。(文・結城秀勇)

  • 東京 2012年09月20日[木] 15:30/2012年09月23日[日] 15:15
  • 神戸 2012年12月23日[日・祝] 19:00
  • 京都 2013年2月21日[木] 18:30
  • 福岡 2013年4月28日[日] 14:30
  • 名古屋 2013年11月16日[土] 11:00より8作品連続上映 ※本作は3番目に登場。

監督:工藤隆史

22歳/神奈川県出身
早稲田大学商学部経営学科在学中

中学生のとき、妻夫木聡の出演作をみて映画制作を志し、大学の「稲門シナリオ研究会」という自主映画サークルに入る。自分と親との確執を元に『継母』の脚本を執筆した。継母役を演じているのは実の母親。

準グランプリ

『魅力の人間』

2012年/89分/カラー
監督・脚本・編集:二ノ宮隆太郎
撮影:西村洋介/音楽:pot au feu/録音:細川充由、市来聖史
出演:細川佳央、二ノ宮隆太郎、芦原健介、宇田川大介、皆川敬介

工場で働く男たちの中学生男子のような日常に浮かび上がる不穏
自動販売機の修理工場で働く男たち。無口な依田は周囲と距離を置き、いつもひとりで過ごしている。依田の態度が気に食わない先輩の高橋。そんな高橋を諫める大島。同僚の坂田は、依田と親しくなろうと毎日声をかけてくる。ある日、高橋が依田への不満を爆発させる。プライベートな問題も重なり、苛立ちながら夜の町を歩く依田は、合コン帰りでほろ酔いの坂田と出くわしてしまう…。
会話の話題はパチンコにガールズバー、昼休みにはサッカーや罰ゲームで盛り上がる――そんなぱっとしない彼らの日常を掬い取り、他者とうまく関わることの出来ない青年と、彼を取り巻く人間模様を、絶妙な距離感で描いた群像劇。個性溢れる俳優陣の中で、捉えどころがなく不思議な魅力を放つ男・坂田を演じるのは二ノ宮監督自身。次にどんな動きをするのか予測のできないこの男、一見ユーモラスに見えて、その実、鋭い眼差しで人間を観察している。そしてその視線は、本作全編にも貫かれている。(文・中西佳代子)

第31回バンクーバー国際映画祭 コンペティション部門出品決定

  • 東京 2012年09月19日[水] 15:30/2012年09月23日[日] 12:15
  • 神戸 2012年12月22日[土] 19:00
  • 京都 2013年2月18日[月] 18:30
  • 福岡 2013年4月27日[土] 18:15
  • 名古屋 2013年11月16日[土] 11:00より8作品連続上映 ※本作は6番目に登場(13:30以降に上映予定)。

監督:二ノ宮隆太郎

25歳/神奈川県出身
ENBUゼミナール卒業

日本映画学校の制作コースに入るも1年で挫折。それでも映画を撮りたくて、ENBUゼミナールの映像俳優コースに入る。本作は、小学生のときに母親が急死したときの周囲からの同情で感じた違和感が元になっている。

『ゆれもせで』 予告編を観る

2012年/20分/カラー
監督・編集:川原康臣
脚本:岡 太地/撮影:松井宏樹/録音:石川真吾/衣装:藪野麻矢
出演:神農 幸、本多 力

震災からひと月後、大阪の男が元恋人を連れ戻しに東京に来る
東日本大震災から1ヶ月後の2011年4月11日。バンドでの成功を夢見て東京で暮らす明海の部屋に元恋人の正雄が押しかけてくる。聞けば“放射能汚染を懸念して、地元の大阪に連れ戻そうと説得しに来た”とのこと。だが、いまある生活を最優先させる彼女に応じる気はまったくない。話しが平行線をたどる中、2人の前に突如、“黒い影”が出現。その正体を知ったとき、明海が出した答えは? 
どんより感じられる空の下、薄暗い部屋で放射能に怯える明海は当時の東京在住者の代表。一方、簡易防護服に身を包む正雄は関西圏の人々が抱いた被災地のイメージにほかならない。その2人が交差したときみえてくる放射能に対する問題意識の温度差や危機感の相違は、いまや忘れかけている震災直後に確かに存在した世の中の不穏な空気、止まったような時間の記憶を呼び覚ます。“あの日がすでに風化しているのではないだろうか?”。そんな声が見え隠れする作り手の視点が大きな問いを投げかける。(文・水上賢治)

  • 東京 2012年09月20日[木] 12:30/2012年09月22日[土・祝] 18:00
  • 神戸 2012年12月22日[土] 12:30
  • 京都 2013年2月17日[日] 18:30
  • 福岡 2013年4月27日[土] 16:00
  • 名古屋 2013年11月16日[土] 11:00より8作品連続上映 ※本作は1番目に登場。

監督:川原康臣

31歳/徳島県出身
ビジュアルアーツ専門学校・大阪放送映画学科卒業

05年、共にPFFアワード入選を果たした岡 太地が、脚本提供。現場でも意見を交換しながら撮影を進めていくうちに様々なアイディアが生まれ、自身初の恋愛映画が完成。得ることの多い共同制作となった。

『リコ』

2012年/65分/カラー
監督・脚本・編集:弓場 絢
撮影:西川達郎、添田康平、郡司浩輔、隈本遼平
出演:弓場 絢、榎本豊治、小池雄太、久保寺晃一、乙女絵美

中年男との同居生活で他者と繋がるすべを学んでいく無口な女の子
アパートの玄関に立つ女性、ゆりこ。部屋からは「遠慮するな、入れ。」と言う男の声。此処はどうやら、この“おやじ”の家らしい。親子ほど歳の差もありそうな2人だが、血縁関係は無さそうだ。恋人同士にも見えない。2人きりの炊事と食事。共食という行為が親密さを育む。おやじはゆりこをリコと呼んだ。関係が明示されないまま、唐突に始まる物語に喫驚する。我々は彼らの生活を見つめ続けることでしかそれを探すことは出来ない。
本作は、曖昧な関係を活写し、「時間」を魅せることだけには留まらない。注目すべきは、映画の中に巧みに仕組まれたフィクション性である。それは、何気ない所作の中で唐突に起こるアクションだったり、日常会話に挟み込まれた劇的な台詞で、それらが予想もつかない可笑しみを起こしている。誰かと共に生きるとき、確かに起こる他者への想い。そのリアリズムを突き破り、物語と正面から向き合おうとする意欲作。(文・吉田光希)

第31回バンクーバー国際映画祭 コンペティション部門出品決定

  • 東京 2012年09月21日[金] 12:30/2012年09月23日[日] 18:15
  • 神戸 2012年12月23日[日・祝] 16:00
  • 京都 2013年2月16日[土] 18:30
  • 福岡 2013年4月27日[土] 13:30
  • 名古屋 2013年11月14日[木] 11:30より8作品連続上映 ※本作は5番目に登場(15:00以降に上映予定)。

監督:弓場 絢

23歳/兵庫県出身
東京造形大学デザイン学科映画専攻卒業

字幕翻訳に興味をもっていたが、大好きな映画により関わるために監督を志望し、東京造形大学に入学。主人公のキャストに悩んでいたときに、友人からの「だってこれはアヤでしょ」の一言で、自ら演じることに。

招待作品部門 第22回PFFスカラシップ作品 お披露目

「PFFスカラシップ」は、PFFアワード入賞者による企画コンペから、1作品を、PFFが企画から公開までトータルプロデュースする映画製作プロジェクトです。本年は廣原暁監督。2010年のPFFアワード審査員特別賞受賞作品『世界グッドモーニング!!』がフランスで公開予定など、世界の注目があつまる中、自身の転換点となると話す『HOMESICK』を出来立てでご覧いただきます!

『HOMESICK』

2012年/98分予定/カラー
監督:廣原 暁
出演:郭 智博、金田悠希、舩﨑飛翼、本間 翔、奥田恵梨華

父は山奥でペンション経営。妹は海外放浪中。母は行方知れず。そして、ひとりになった家の引き渡しを迫られながら失業した30歳の健二は…。これは、自らの足で立つまでに、とても時間のかかる、私たちの物語。「家」とか「家族」とか「大人」とか「子供」とか、“社会”を “世界”を構成する私たち自身を、優しく後押しする映画の誕生。

  • 東京 2012年09月27日[木] 18:30 ゲスト来場予定!
  • 神戸 2012年12月24日[月・休] 15:30
  • 京都 2013年2月22日[金] 18:30
  • 福岡 2013年4月29日[月・祝] 13:30

廣原 暁
1986年生まれ。東京都出身。

武蔵野美術大学の卒業制作として監督した『世界グッドモーニング!!』が「PFFアワード2010」に入選、バンクーバー国際映画祭「ドラゴン&タイガー・ヤングシネマ・アワード」にてグランプリ受賞をはじめ、国内外の映画祭に多数出品された。その後の監督作に、オムニバス映画『紙風船』の第一話『あの星はいつ現れるか』(10年)、短編映画『遠くはなれて』(11年)がある。東京藝大大学院の修了作品『返事はいらない』(11年)は、第24回東京国際映画祭・ある視点部門へ出品された。2012年カンヌ国際映画祭に出品されたアッバス・キアロスタミ監督の『Like someone in love』に助監督のひとりとして参加している。

『HOMESICK』完成記念 ライブつき特別上映
フィルムセンター史上初!上映後、音楽を担当したARTLESS NOTEのミニライブを行います。

ARTLESS NOTE
2005年結成。ドラム×2、ギター×1という特異な編成で都内のライブハウスを中心に活動を続けるロックバンド。廣原監督作品に欠かせない存在として、『世界グッドモーニング!!』をはじめ、ほぼ全ての作品で音楽を担当している。今回、フィルムセンターでは、通常よりシンプルな構成での演奏を予定している。

『世界グッドモーニング!!』 予告編を観る

2009年/81分/カラー
PFFアワード2010審査員特別賞受賞作品
監督・脚本・編集:廣原 暁
出演:小泉陽一朗、新井美穂、泉 光典、森本73子、金山翔太郎

毎日流れる暗いニュース、母親との二人暮らし、代わり映えしない生活とぱっとしない自分。でも、ほんの出来心で盗んだホームレスのバッグから、自分を変える旅が始まる!内気な少年が、大きな世界と出会うロードムービー。第29回バンクーバー国際映画祭ドラゴン&タイガー・ヤングシネマ・アワードにてグランプリを受賞。

  • 東京 2012年09月27日[木] 15:30 ARTLESS NOTEのミニライヴを予定!

招待作品部門 日本映画最新作

公開予定作品をいち早く紹介します。本年は日本映画を支える俳優たちが集結した『Playback』と、子供の夢がそのまま映画になった、瑞々しい『リルウの冒険』です。


© Decade,Pigdom

『Playback』 予告編を観る

2012年/35mm/113分/白黒
監督・脚本・編集:三宅 唱
出演:村上 淳、渋川清彦、三浦誠己、渡辺真起子、菅田 俊

ふと気付くと、すっかり中年のまま、制服を着て高校時代を再体験している俳優ハジ。人生の分岐点に立ち、奇妙にも過去と現在を往復することになった彼は、そこで何を発見するのか?独特の時間感覚と美しい白黒映像がみる者の心を奪い、第65回ロカルノ国際映画祭インターナショナル・コンペティションに招待された。

  • 東京 2012年09月19日[水] 18:30 三宅 唱監督来場予定!

三宅 唱
1984年生まれ。北海道出身。

映画美学校フィクションコース初等科修了。短編『スパイの舌』(08年)が第5回シネアスト・オーガニゼーション・大阪(CO2)エキジビション・オープンコンペ部門最優秀賞受賞。2010年、『やくたたず』を製作・監督(第6回CO2助成作品)。『Playback』は劇場デビュー作。

『リルウの冒険』 予告編を観る

2012年/117分/カラー
監督・脚本・撮影:熊坂 出
出演:ジャバテ璃瑠、仲村渠さえら、ユール・ジャバテ、泉川珠羅、りりィ(特別出演)

たった一人の友達、こころが消えた。「リルウ、ゆめをわすれないで。」ゆめ? だれがみたゆめ?「ふたつそろわないとほんとうの意味がわからない物語がある」と、こころは言った。何者かによって異世界に招き入れられたリルウ。そして、リルウの冒険が、今、はじまる。『パーク アンド ラブホテル』の熊坂出監督。待望の新作完成!

  • 東京 2012年09月21日[金] 18:30 熊坂 出監督来場予定!

熊坂 出
1975年生まれ。埼玉県出身。

自主映画『珈琲とミルク』がPFFアワード2005の審査員特別賞を受賞。第17回PFFスカラシップ作品『パーク アンド ラブホテル』(07年)ではベルリン国際映画祭で日本人初の最優秀新人作品賞を受賞。全国公開される。PVやTV番組を数多く手掛けている。

招待作品部門 映画の“ルック”を浴びてみる!~マイケル・パウエル、エメリック・プレスバーガー&ジャック・カーディフ~

手軽で高度なビデオカメラの登場で、音が、画が、それなりに撮れる昨今。もうひとふんばり、映画のルックに力を注いでみませんか?イギリスを代表する製作・監督・脚本パートナー、パウエル&プレスバーガー、そして撮影のカーディフ。彼らの作品があなたを激しく刺激します!

マイケル・パウエル (写真・左)
映画監督
1905-1990/イギリス生まれ
エメリック・プレスバーガー
脚本家・小説家
1902-1988/ハンガリー生まれ

31年から5年間に23本の低予算映画をこなし腕を磨いたマイケル・パウエルは、『スパイ』(41年)で、脚本家として紹介されたエメリック・プレスバーガーと出会い意気投合。42年、共同で製作・監督・脚本を行うため「アーチャーズプロダクション」を設立。11作品を発表し高い評価を受け、デヴィッド・リーン、アルフレッド・ヒッチコックと並ぶイギリスの誇る映画監督となる。しかし、60年にパウエルが単独で監督した『血を吸うカメラ』の性的で暴力的な描写が大変な非難を受け映画界を追放状態に。後に、マーティン・スコセッシを始めとする熱狂的パウエルファンの監督たちによる再評価で、『血を吸うカメラ』は今や傑作のひとつとして知られている。

ジャック・カーディフ
撮影監督・映画監督
1914-2009/イギリス生まれ

マイケル・パウエル作品『老兵は死なず』で第二班撮影に参加し注目され、続く『天国への階段』『黒水仙』『赤い靴』で撮影監督として不動の地位を築く。他に、『山羊座のもとに』『アフリカの女王』『王子と踊子』『ランボー/怒りの脱出』など多彩な監督の撮影監督を務め、アカデミー賞はじめ数々の受賞がある。映画監督としても『息子と恋人』で高い評価を受け、『あの胸にもう一度』は日本で人気を博した。絵画への造詣が深く、自らも絵筆をとった。

『老兵は死なず』
THE LIFE AND DEATH OF COLONEL BLIMP

1943年/35mm/163分/カラー 【日本語字幕投影】
製作・監督・脚本:マイケル・パウエル、エメリック・プレスバーガー 第二班撮影:ジャック・カーディフ
出演:デボラ・カー、ロジャー・リヴセイ、アントン・ウォルブルック、ローランド・カルヴァー、デヴィッド・ウォード

ボーア戦争、第一次&第二次世界大戦と、3つの戦争を生き抜くキャンディ少将を通して、変わるもの、変わらないものを見事に描く。国境を越えた友情、女性への愛と敬意、そして、デボラ・カーの3役も注目!記念すべきパウエル&プレスバーガーの製作会社「アーチャーズ」第一作。イギリスでは現在もベスト映画に選ばれる傑作!

※古いプリントでの上映になる可能性があり、お見苦しい部分やお聞き苦しい部分がある場合があります。あらかじめご了承ください。

  • 東京 2012年09月18日[火] 15:30/2012年09月26日[水] 18:00

『天国への階段』
A MATTER OF LIFE AND DEATH

1946年/35mm/104分/白黒+カラー 【日本語字幕投影】
製作・監督・脚本:マイケル・パウエル、エメリック・プレスバーガー 撮影:ジャック・カーディフ
出演:デヴィッド・ニーヴン、キム・ハンター、レイモンド・マッセイ、ロジャー・リヴセイ、ロバート・クート

第二次世界大戦。墜落する戦闘機から遺言を無線で語る英国兵ピーター。受ける連合国兵ジューン。天国では、ピーターを探しに天使が地上に派遣される。ピーターは死んだのか?生きているのか?国家間の確執が噴き出す生死裁判を、壮大なセット、カラーと白黒のコントラストの妙、合成など、映画の粋を凝縮して魅せる必見作!!

※古いプリントでの上映になる可能性があり、お見苦しい部分やお聞き苦しい部分がある場合があります。あらかじめご了承ください。

  • 東京 2012年09月18日[火] 19:00/2012年09月26日[水] 15:30

『黒水仙』
BLACK NARCISSUS

1947年/35mm/100分/カラー 【日本語字幕つき】
製作・監督・脚本:マイケル・パウエル、エメリック・プレスバーガー 撮影:ジャック・カーディフ
出演:デボラ・カー、サブー、フローラ・ロブソン、ジーン・シモンズ、ジュディス・ファース

ヒマラヤの麓、険しい崖に張り付く、かつての王の愛人たちの宮殿を学校と病院として成功させる命を受けた4人の尼僧。秘境の村は彼女たちを変えていく…。オールセットとマットペインティングでつくりこまれた隔絶された世界が驚愕と感動を呼ぶ驚異の映画。複数部門のアカデミー賞を受賞。百聞は一見に如かず。見るべし!!

※古いプリントでの上映になる可能性があり、お見苦しい部分やお聞き苦しい部分がある場合があります。あらかじめご了承ください。

  • 東京 2012年09月21日[金] 16:30(小ホール)/2012年09月26日[水] 13:00
  • 神戸 2012年12月24日[月・休] 13:00
  • 福岡 2013年4月29日[月・祝] 16:00

『赤い靴』
THE RED SHOES

1948年/35mm/136分/カラー 【日本語字幕つき】
製作・監督・脚本:マイケル・パウエル、エメリック・プレスバーガー 撮影:ジャック・カーディフ
出演:モイラ・シアラー、アントン・ウォルブルック、マリウス・ゴーリング、ロバート・ヘルプマン、アルバート・バッサーマン

マーティン・スコセッシの映画保存活動第一作にも選ばれた名作だが、公開時英国では「バレエを撮るなんて…」と冷遇された。童話「赤い靴」をベースに、芸術の為に人は生きられるか?を問う。新作の主役に抜擢された新人バレリーナが、作曲家との恋を取るか踊りを取るかのはざまで…。テクニカラーとバレエ撮影の頂点!

※古いプリントでの上映になる可能性があり、お見苦しい部分やお聞き苦しい部分がある場合があります。あらかじめご了承ください。

  • 東京 2012年09月18日[火] 12:30/2012年09月21日[金] 13:30(小ホール)

特別上映作品
『ヒズ・ロードシップ』
His Lordship

1932年/35mm/72分/白黒 【日本語字幕つき】
監督:マイケル・パウエル
出演:ジェリー・ヴァーノ、ジャネット・メグリュー、ポリー・ワード、ベン・ヴェルデン、マイケル・ホーガン

若きマイケル・パウエルが挑戦した量産低予算映画から、現存する貴重な1作を上映。「自主映画?」とさえ感じる、さまざまな映画の楽しさをリズミカルにつなぎ合わせたミュージカルコメディ。ロンドンの配管工バートは、父の残した称号故に、“貴族”との話題がほしいアメリカの新進女優に結婚を持ちかけられるが…。 DVD未発売。

※古いプリントでの上映になる可能性があり、お見苦しい部分やお聞き苦しい部分がある場合があります。あらかじめご了承ください。

  • 東京 2012年09月21日[金] 19:15(小ホール)/2012年09月22日[土・祝] 12:15(小ホール)
  • 神戸 2012年12月24日[月・休] 11:00

招待作品部門 追悼 森田芳光監督  幻の8mm作品たち

20代の森田芳光監督が生んだ貴重な8mm作品を、追悼特別企画として上映します。
監督の監修のもと、8mmフィルムからデジタル化したヴァージョンでの上映です。二度とないチャンスとなる可能性大!

第一部の上映後&第二部の上映前に、ゲストトーク実施!
第一部の作品上映後と、第二部の上映前に、芦澤明子さんをお招きしてお話を伺います。当時の貴重なお話は必聴です!

芦澤明子(撮影監督)
70年代森田監督と8ミリサークルで共に上映活動を展開。女性撮影監督のパイオニア。近作は『贖罪』『わが母の記』『南極料理人』など。

森田芳光
1950年生まれ。東京都出身。

学生時代から独自の映像感覚で8ミリの自主映画制作を続け、活発な上映活動も行う。28歳の時に撮った8mmのフィクション長編『ライブイン茅ヶ崎』が78年のPFFに入選。一躍注目を集める。81年、自身の資金で制作した35ミリ長編『の・ようなもの』で劇場映画デビューし、絶賛される。続き、角川アイドル映画の監督に抜擢など、数々の話題を呼ぶ。第5作『家族ゲーム』(83年)は、新しい映画の登場を強烈に印象付け、日本アカデミー賞優秀作品賞、キネマ旬報第一位をはじめ、数々の映画賞を受賞。以後、松田優作と再び組んだ夏目漱石の『それから』(85年)、世界一早くe-mail通信を物語に導入した『(ハル)』(96年)、大ベストセラーの映画化『失楽園』(97年)、『模倣犯』(02年)、大女優の競演『阿修羅のごとく』(03年)、ひとつのライフスタイルを提案した『間宮兄弟』(06年)、異色の時代劇『武士の家計簿』(10年)など、幅広いジャンルにわたり斬新な話題作を次々に発表。2011年12月急逝。遺作は『僕達急行 A列車で行こう』(11年)。

【第一部】

  • 東京 2012年09月23日[日] 11:30(小ホール) 上映後に、ゲストトークを予定!

『映画』

1971年/パートカラー/31分
監督・撮影・編集:森田芳光
出演:森田芳光、峰友秀、勝山節子

森田監督が「自分にとって映画とは何か」を探索したパロディ作品。監督自身が劇中に登場し、ラブロマンス、任侠映画、政治映画など、あらゆる映画のパターンを演じている。ついには、自らの次回作の予告編まで組み込むという、映画の概念に体当たりした意欲作。

『遠近術』

1972年/パートカラー/76分
監督・撮影:森田芳光

毎日8mmフィルム1巻分の撮影を自らに課し、32日分のフィルムをつなぐという斬新な試みを実行した作品。現像後に編集するという手順を外し、カメラの中でモンタージュを完成させたことで、カメラ=映画であることを連想させる。

【第二部】

  • 東京 2012年09月23日[日] 14:30(小ホール) 上映前に、ゲストトークを予定!

『水蒸気急行』

1976年/カラー/59分
監督・撮影・編集:森田芳光

ルールの読み切れない配列に従って走る電車のカットにラジオの天気予報や'60sポップス、FEN放送などがかぶさる独特の編集、縦横無尽のカメラワークと大胆不敵なカッティングが列車の窓越から見える風景をより生々しく伝える意欲作。当時、自主映画ながら自らホールを借りて公開し、破格の動員を記録したという画期的な作品。

『ライブイン茅ヶ崎』

1978年/カラー/77分
監督・撮影・編集:森田芳光
出演:青木真巳、石井 保、三沢信子

森田監督が提唱した「ニューエンターテインメントシネマ」の第2弾作品。茅ヶ崎生まれ茅ヶ崎育ちの若者たちの飾り気のないリアルな日常が、独特のリズミカルな構成で綴られる瑞々しい青春映画。『AKIRA』でも知られる大友克洋監督(当時24歳)が、本作の宣伝用イラストレーションを担当していた。1978年のPFF入選作品。

招待作品部門 テレビドラマに挑戦!WOWOWドラマをみる。

映画もテレビも作品をつくる手間隙、注ぐ情熱は「創作」という意味において同じです。本年話題のWOWOW製作ドラマを一挙上映し、ドラマ制作の魅力を堪能します。

祝・ヴェネチア国際映画祭正式出品!
長時間テレビドラマ異例の映画祭招待実現!という嬉しいニュースも記憶に新しい『贖罪』。その「国際映画祭ヴァージョン」での特別上映が決定しました!

『贖罪』

2012年/270分/カラー
監督・脚本:黒沢 清
出演:小泉今日子、蒼井優、森山未來、小池栄子、水橋研二、安藤サクラ、加瀬亮、池脇千鶴、長谷川朝晴、伊藤歩、田中哲司、新井浩文、香川照之

「告白」で知られる湊かなえの原作小説をドラマ化。世界的に高い評価を得る黒沢清監督が、人間誰もが隠し持つ毒や心の闇を、5人の女性の視点から描ききる衝撃作。連鎖する悲劇を彩る豪華キャストたちの迫真の競演も話題に。今回、監督の手により、WOWOWオンエア時300分より30分短く完成した「映画祭ヴァージョン」での上映が実現。

  • 東京 2012年09月22日[土・祝] 14:00(小ホール) 黒沢 清監督来場予定!

黒沢 清
1955年生まれ。兵庫県出身。

立教大学在学中パロディアス・ユニティにて、万田邦敏らと自主映画製作を続け高い注目を浴び、同時代の日大芸術学部映画学科の長崎俊一、石井聰亙(現:岳龍)、早稲田大学の山川直人ら、70年代後半~80年代の自主映画界を象徴する作家のひとりとなる。81年、『しがらみ学園』がPFFに入選。その後、『太陽を盗んだ男』の制作進行など現場経験を経て、83年、ピンク映画『神田川淫乱戦争』で監督デビュー。映画のみならず哀川翔主演Vシネマでも、多彩な話題作を連発。『CURE』(97年)で本格的に国内外の注目を集め、『カリスマ』(99年)、『回路』(00年)、『アカルイミライ』(02年)など国際的賞賛も相次ぐ。初めて家族を中心に描いた『トウキョウソナタ』(08年)で第61回カンヌ国際映画祭ある視点部門審査員賞を受賞。長時間のテレビ作品『贖罪』(12年)は国内で高視聴率をマークしたのみならず、世界の映画祭で上映が相次ぎ、その人気の高さを更に印象付ける。昨年、パリのシネマテークで、異例の大掛かりな回顧展が組まれた。東京藝術大学大学院教授。

『エンドロール~伝説の父~』

2012年/117分/カラー
監督:石井裕也 脚本:福島カツシゲ、石井裕也
出演:中村獅童、萩原聖人、板谷由夏

587編の応募作の中から選ばれた第4回WOWOWシナリオ大賞受賞作のドラマ化。20年ぶりに故郷に帰ってきた売れない映画監督が、死を目前にした親友の願いを叶えようと、街の人々を巻き込んで大奮闘する、笑いと涙あふれる人間ドラマ。『川の底からこんにちは』の石井裕也監督がテレビドラマに初挑戦し、新境地をみせる。

  • 東京 2012年09月23日[日] 17:45(小ホール) 石井裕也監督来場予定!

石井裕也
1983年生まれ。埼玉県出身。

『剥き出しにっぽん』で「PFFアワード2007」グランプリを受賞。『剥き出しにっぽん』を含む自主制作長編4作品が世界で注目され、アジアンアワードにて第一回「エドワード・ヤン記念」アジア新人監督大賞を受賞。続く、第19回PFFスカラシップ作品『川の底からこんにちは』(09年)が大ヒット。『君と歩こう』(09年)、『あぜ道のダンディ』(11年)、『ハラがコレなんで』(11年)などがある。2012年本屋大賞第1位に輝いた『舟を編む』が2013年公開予定。

ぴあ ホリプロ 日活 公益財団法人ユニジャパン 東京国立近代美術館フィルムセンター 一般社団法人 映画演劇文化協会 セガサミーグループ 一般社団法人 日本映画製作者連盟 NPO法人 映像産業振興機構(VIPO) 協同組合 日本映画監督協会 早稲田大学
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