PFFアワード2016 グランプリ
『食卓』
監督:小松 孝(34歳/埼玉県出身)
年金生活を送る父・政夫と、ニートで詩人の息子・広志。彼らが暮らす一軒家では、食事も別々で、家族らしい交流もない。そこにネットの結婚相談所で政夫と知り合った寿美子が、妻として共に住むことになり、彼らの家族のかたちは変わっていく。酒を止めようとする政夫、三人が囲む食卓。だがそれが理想の家族生活であるわけでは決してなかった。
タイトルにある食卓は、かつてそう思われていたような家族の団欒を提供する場所ではない。だが、「食べる卓」である役割から解放されてフライパンアートの置場となった食卓は、ちょっとだけ自由になれたようにも、見える。