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  3. No.34:『かしこい狗は、吠えずに笑う』in 第13回ニッポンコネクション

海外映画祭レポート

日本国内のみならず、海外の映画祭でも上映される機会が多くなったPFFアワード入選作品&PFFスカラシップ作品。このページでは、そんないろいろな映画祭に招待された監督たちにも執筆していただいた体験記を掲載します。

PFFアワード2012 エンタテインメント賞&映画ファン賞受賞『かしこい狗は、吠えずに笑う』in 第13回ニッポンコネクション(開催:2013年6月4日~9日)

サブ会場は、倉庫を改装したシアター。

バカみたいに幸せな映画祭

文:『かしこい狗は、吠えずに笑う』監督 渡部亮平

2013年6月4日~6月9日にドイツ・フランクフルトで開催されたニッポンコネクション。
そのメイン部門NIPPON CINEMA(※)に『かしこい狗は、吠えずに笑う』を選出していただき、わたくし渡部もフランクフルトに行ってきました。
(※このNIPPON CINEMA部門は日本のメジャー映画ばかりがノミネートされている部門で『アウトレイジ ビヨンド』『桐島、部活やめるってよ』『テルマエ・ロマエ』『横道世之介』『夢売るふたり』『鍵泥棒のメソッド』に並んで拙作『かしこい狗は、吠えずに笑う』もノミネートしていただきました。これが本当に嬉しかった!!)
ニッポンコネクションは世界最大級の日本映画祭だそうで、PFFディレクター荒木さんが「他の映画祭にはないアットホームな映画祭なので是非参加をお勧めします」と言ってくれてました。その言葉の通り超アットホームな映画祭でした、勿論いい意味で。

いま思い返せば、すべてが夢のような時間。

初日の夕方、ウエルカムパーティー。そこで『横道世之介』の沖田修一監督を見つけて挨拶に行った。ひと言だけでも話せたら嬉しいな、そう思いながら恐る恐る声をかけた。それがまさか沖田監督とドイツであんなにも濃い時間を過ごすことになるとは―。
「せっかくなのでビール飲みにいきませんか? ドイツなので」と誘ってみると、快く誘いに乗ってくれた。21時を過ぎてもまだまだ明るいドイツの空、あたたかくて優しい風。オープンテラスに座ってヴァイツェンビールで乾杯、映画の話をいろいろと聞いた。
それから毎日、沖田監督と行動するようになり朝から晩までビールとアップルワインを飲み続けた。
「いやぁ日本にいた頃は……」と完全にドイツ在住の日本人気分になり、日本で抱えている仕事のことを一旦すべて忘れ、ドイツのゆっくりした時間の流れをただ楽しんだ。

映画祭がゲスト向けにフランクフルト市内観光ツアーも計画してくれていて、それにも参加した。それが小学校の遠足みたいですごく面白かった。
ゲーテハウス、市場、ポスプロスタジオ、市庁舎。遅めのランチはアップルワイン居酒屋で、すごい肉の塊を出される、ドォーンって感じ。前菜がおいしくておかわりしたことを後悔。そして忘れられないのは噛み切れないソーセージの皮、恐るべき弾力だった。あまりにも噛み切れなくて「きっとどんなすごい人でも(偉大な映画監督でも)このソーセージの皮は噛み切れないだろうな」と想像してしまい、笑いが止まらなくなってしまった。バカみたいに幸せな時間だった。

メイン会場の様子。

夢のようなドイツでの時間を語ればまだまだあるが、そろそろ映画の話に戻さないと。
『かしこい狗は、吠えずに笑う』の上映はメイン会場。夕方早めの時間だったのに想像した以上のお客さんが入ってくれて感動した。映画を作ってよかったと改めて思った。
ひとつの映画を作る、その広がりを実感できた。なんか、映画ってすごいね。
Q&Aでは「どうして女の子の話を書こうと思ったのか?」、「物語を書くときどんなインスピレーションがあったのか?」など質問を貰った。
「どうして女の子の話を書こうと思ったのか?」については、〈高校生の頃、女の子が何を考えているのか、何を楽しいって思うのか、をよく友達と妄想して遊んでいた。女子高生って何を考えているか判らなくて面白い〉というようなことを答えた。
「物語を書くときどんなインスピレーションがあったのか?」については、〈友達だったらどこまで許すことが出来るか、どこから許せなくなるかそのボーダーを考えた。それでペットを友達に貸してって云われたら嫌だなあと思い、そのシーンをいれることにしました〉みたいな感じで出来るだけ真面目に答えた。

……だけど真面目に答えなくていいんだ、ということを今回の映画祭で学んだ。それは『横道世之介』の上映後、沖田監督のQ&Aを見て学ばせてもらった。
沖田監督が脈絡もなく何度も「ヴァイツェンビアー」と云うだけで笑いを取っていた。
人を楽しませるって、そういうことか。勉強になりました。

フランクフルト最後の夜。映画祭期間の中盤から来ていた『夢売るふたり』の西川美和監督、審査員として来ていたPFFディレクター荒木さん、そしてやっぱり沖田監督とフランクフルトの隠れ家バーに行った。いま思い返せば溜息が出るほど、素晴しい時間だった。
ぼくも映画監督になりたいな、って心の中で思った―。

ドイツニッポンコネクション、また絶対に参加したい。

現地でお世話をしていただいた映画祭ボランティアスタッフ、
交流して下さったゲスト監督のみなさま、
そして『かしこい狗は、吠えずに笑う』に関わっているみんな、
こんな素敵な体験をさせていただき、心から感謝しています。
本当にありがとうございました。

ドイツで買ったビルケンのサンダル、この夏はそれを履くつもりです。

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『かしこい狗は、吠えずに笑う』劇場公開決定!!
日程:2013年6月22日(土)~6月28日(金)
時間:21:10~(上映時間94分)
場所:オーディトリウム渋谷

★上映後は、豪華ゲストによるアフタートーク!
22日土曜 犬童一心(映画監督)
23日日曜 小林弘利(脚本家)
24日月曜 石田剛太(ヨーロッパ企画)/片岡礼子(女優)
25日火曜 中井圭(映画評論家)/松崎B健夫(映画評論家)
26日水曜 藤村忠寿(HTB『水曜どうでしょう』ディレクター)
27日木曜 駿河太郎(俳優)
28日金曜 柴田大輔(CM監督)/上野弘之(ROBOT CMプロデューサー)
(敬称略/急な変更がある可能性もあります。ご了承ください)
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