1. ホーム
  2. PFFディレクターBLOG

PFFディレクターBLOGRSS

2012/02/02 07:14:04

エージェントとかセールスカンパニーとか呼ばれる会社あるいは個人があります

あっというまに帰国となりました。残念ながらJALのアムステルダム直行便が廃止されたので、10年ぶりくらいのKLM利用。機内では映画を見続けることにしているのですが、KLM(およびAir France)の映画紹介は、かなりどうでもいいマニアック、あるいは眉唾な裏話が必ずついてきて、面白いのでした。「日系航空会社の映画紹介ではあり得ないなあ・・・」と日本の真面目さをここでもまた発見する次第です。
往路は、実は「ひとりアニメ特集」をしてみましたが、機内上映ラインナップがハリウッド作品満載なのにびっくりです。「ハリウッド映画が日本ほど公開されないのかも?」と考えてみたり・・・

日本は、世界で一番各国の映画が配給・公開されている国です。映画祭のラインナップを交渉する際も、日本国内の配給会社と交渉するケースが多いので、海外の映画祭ほど、作品をハンドリングしているエージェントというか、セールスカンパニーとの交渉がないかと思われます。この「エージェント」とは、たとえば、日本作品ですと「日本以外の劇場公開、テレビ放映、映画祭出品、DVD化、リメイク」などの交渉窓口になるわけですが(日本を含む、という場合もあります)、どうしても大きな商売が優先になるのは、ビジネスとして当たり前ではあります。映画祭も、勿論、手間隙かけての効果の高い、大きな、マーケットがあるような映画祭に力が入ります。小さな映画祭は「交渉しても返事ももらえない」ということは、珍しくない話です。大きな映画祭とは集客力抜群のメガストア、小さな映画祭とは商店街の小売店みたいなものかもしれませんね、ビジネス的には。フランス、ドイツ、オランダ、イギリスなどに会社が置かれてる場合の多い、つまり、ヨーロッパで盛んな仕事です。
今、増加する日本からの放射性物質で汚染された貨物の陸揚げ拒否・返送でも話題のウラジオストック。「極東のヨーロッパ」と自分たちでも呼んでいるこの街に、「ウラジオストック映画祭」という、決して小さくない映画祭があります。コンペ部門の審査員を、桃井かおりさんや、岩井俊二さんが努めたこともある、東京から2時間半で行けるロシア=ヨーロッパです。この映画祭で昨年、日本からのコンペ作品の上映が出来ず、招待されたゲストは上映なしで帰国したという出来事がありました。フィルムの時代、人気作品のプリントの映画祭間転送がうまくいかず、ゲストの滞在期間に上映されずに終わった場に私も居合わせたことがありますが、ウラジオストックの場合は、フランスのエージェントからのデータがシステムの不具合で開かず上映できなかったのでした。何をどうしてもだめだとわかったのが、上映の2日前。すぐフランスに連絡したが、時差が8時間で向こうは深夜。つまるところ1日が消えてしまい、上映前日に電話でやりとりしながら再挑戦したが、だめで、審査員にはDVDで試写室審査に切り替えてもらい、会場は上映中止で平謝りの返金だったと、今回ミーティングした際に伺いました。
この話の教訓は「上映素材チェックは遅くとも1週間前に終わろう」ということですが、そのことに加え、時差もなく、2時間半で行ける製作国・日本にある素材で何とかならないのであろうか?という残念さ。しかし、製作者側にも「エージェントを通さなくてはならない」という契約=決まりがあり、それを破ることにかかる煩雑な交渉や、製作者&映画祭双方とも、今後の長い付き合いへの配慮からの判断であることも理解できます。同時に映画祭運営者にとっては「テープ上映が確実だ」「バックアップの用意は必須」ということの再認識でもあります。

あら?話がロッテルダムから離れてきました。
コンペ作品は無事完遂し、アイスランド、トルコ、中国、韓国(2作品。ひとつは3D!)、ギリシャ、ブラジル(2作品。ひとつは白黒シネスコ!)、ビルマ(!)、セルビア、ポーランド、タイ、ロシア、チリの最新作品をみました(日本作品は既に拝見してました)。こうしてまとめて観ると、不幸なセックスやドラッグや暴力、多いです。コミュニティの崩壊がまだ修復されないセルビアやロシアの辛さ、ひと際重いです。また、アジアって、なんだかスィートで柔らかな感じなんだなあと驚きます。そして、ヨーロッパの作品は、その作品国系のお客さんで溢れかえります。いやはや、面白いです。
*ロッテルダムには5段階評価方式の観客投票があり、上映翌日位には集計されリストアップされるのですが、コンペ作品で現在最も評価が高いのは、トルコ映画「VOICE OF MY FATHER」です。

見逃した作品も勿論沢山あります。ラウル・ルイス追悼トークや、フランスでつくられた足立正生さんのドキュメンタリーは、特に残念です。
そしてともかく帰国し、中旬からはベルリン国際映画祭に参加します。昨日ベルリンのタイムテーブルが発表され、業界人は早速スケジュール作成にはいっています。この時期、ベルリンと、アカデミー賞が話題です。


2012/01/31 17:07:52

三池人気変わらず高きロッテルダム

「ブログの頻繁な更新を実現できる」と前回言ってみたにもかかわらず、できてません。「最優先事項は映画をみること!」と決め、それが達成できるチャンスとなった今回の滞在。予想以上ハードです。が、目標のひとつの「コンペ作品の全網羅」は間もなく終了します。ロッテルダムのタイガーアワードは「世界の映画」が対象ですので、めったに観る機会のない国の作品にも遭遇でき、「世界各国で2011年に創られた新人の作品を一挙にみる」ということが、いかに刺激的で貴重な体験かをしみじみ実感しているところです。が、一方で、失敗したのは、「人と会う時間がない」。
1:映画をみる。2:人と会う。3:作品を出品する。この三つを全て同時に達成するには(そういう状況に置かれることが多いPFF)、ひとりでは無理だな~と90年代からずっと感じてきましたが、今回も同じため息です。映画をみるとは、即ち、映画の上映時間に合わせてスケジュールを決め、更に、そこで必ず約2時間を費やす必要がある。ということなのを、再認識。今回も、「ミーティングのみの日を設定し、滞在期間を長くすべきだったな・・・」と悔いています(ミーティングを集中的にこなして、映画はみない。というのは、映画祭では当たり前の仕事のやり方なのです)。同時に、見回せば「ひとりで参加する」映画祭や映画会社は、ごく少数派です。複数で滞在しないと1,2,3の同時達成は無理なのですね。映画祭のみならず、どんな仕事も、一人で出来ることに限界があるわけで、特に「時間」を要することは、どうにも工夫の仕様がない。と改めて学びます。更に、スマートフォンの普及により、メイルでのやりとりをPCでやってる場合ではなくなってますが、英語で携帯から通信するのは、ネイティブでない私には、ありえない時間がかかり気が狂う~~~~!!更に、携帯からの電話代高すぎる~~~~!!とかそんなこんなで、今回は、目標をひとつに絞り、映画をみることにまい進している次第です。同時に、一日5本平均の映画からの刺激が強すぎて、人と話していても集中力が落ちることを感じています。

と、前置きが長くなりましたが、会場でひときわ目立つ『逆転裁判』のポスター。「なんだこれは?」と思ったら、三池崇監督の新作ワールドプレミア&三池監督来場で盛り上がるロッテルダムなのでした。『殺し屋イチ』『オーディション』などで、世界中に熱狂的なファンを持つ三池監督。久方ぶりのロッテルダム登場に会場はもうそれは大騒ぎ。しかし、大量の作品を持つ監督なのに上映作品一本だけなんて勿体ないな~と思ってましたら、実は、『一命』と二本立てで、三池崇のふたつの顔、とでもいった企画が進んでいたそうなのです。が、予算削減のあおりを受けて、1本だけになってしまった、と。ああ残念!見てもらいたかったなあ『一命』・・・
"予算削減"それはいまや映画祭のサブタイトルに漏れなくついてくるとしか思えない言葉です。全く、ひとごとではありません。 で、『逆転裁判』。ゲームを映画化した奇想天外な映画で、映画祭向けとは言いがたい作品ですが、こちらの観客人気投票では、推定500本の作品の中で、現在、ベスト10にはいっており、しみじみ人気の高い三池監督です。 *おまけ(?)として、三池監督と緊張全開で食事の席にいる『東京プレイボーイクラブ』の奥田監督という珍しいツーショットを、ライターの中山治美さんからいただきましたのでご紹介します。

話かわって、コンペティションのタイガーアワード。2作目までの長編映画が対象ですから、PFF同様、監督はほぼ20代、30代です。
日本でみる機会の少ない中東、東ヨーロッパ、南米の作品など、驚かされるものが多いのですが、表現が政治的背景と切っても切れないのを実感します。数年前に、香港でルーマニア映画特集に通って以来、東欧映画の変化が気になっているのですが、今回のコンペにあったセルビアの作品から再び興味が高まり、時間がちょうどやりくりできたルーマニアのドキュメンタリーをみてみました。男女混合刑務所で、愛について取材した1時間の作品。設定そのものがあまりにも意外で、ぽかーんとしてしまいました。受刑者は私服で、女性は化粧ばっちり、アクセサリーも身に着けてます。受刑者同志のカップルが沢山いて、デートしてます。塀の外の一般人との結婚の際は、48時間の特別自由時間が与えられるので、その2日間を獲得するために、何度も離婚を重ねている夫婦がいます。なんといっても、取材者(数人)が、自由に刑務所内に入って、たっぷりインタビューや撮影をしているのです。全く不思議な1時間でした。実のところ撮影もインタビューも構成も「作品」としてのお薦めは難しいですが、未知の世界を知ったということでは、今もびっくりしています。

そして、日本映画ですが、すでに映画をつくっておられる方にはお馴染みの、フランクフルトの「NIPPON CONNECTION」のディレクター、マリオンさんから、「昨年の震災と原発事故以来、日本の若い監督たちがこれまでのエンターテインメント志向から、言いたいことを作品に織り込むという方向に転換したと聞いたけどほんとう?」と聞かれました。それがほんとうかどうか、「PFFアワード2012」に応募いただいた作品からはかるしかないので、「わからない」と答えるしかありません。マリオンも、作品探しに来日を続け10年たつわけですが、近年、日本の監督が自分の作品を自分で売り込む、プロモーション能力に長けてきたと感じるそうです。すばらしい~~~。しかし、変化がないのは、作品のクオリティの低さだと。「スクリーン上映に耐えられない音と画のクオリティの作品が多すぎるのは、なんとか意識を変えてほしい」と訴えております。
そして、「NIPPON CONNECTION」本年は、60~70年代の日本の政治的映画と、311を取り上げた映画の特集を準備中とのこと。こういった特集が日本で実現する機会はまずありませんので、参加しちゃおうかなとこっそり考えてみた私。また、311の映画は、誠に大量に生まれてきつつあるようですが、海外の映画祭関係者が一番早くみているなと思い知らされています。その中で「ダントツは、平林勇監督のアニメーション作品だ」というのは、トニー・レインズさんでした。

時差ぼけで朝4時とか5時とかに目覚めてしまう健康な生活を送っています。日本時間にすれば、午後なんですけどね・・・

2012/01/28 04:05:56

アンゲロプロスとオリンパス

ただいま、オランダ・ロッテルダム映画祭に来ています。
今回は、なんと申しましょうか、大変珍しい、そして大変残念なことに、PFF作品が招待されていないため、「一人で映画をとことんみる」という滞在に徹することとなりました。もしかしたら、初めての状況ですので、これまで一度も実現できていない「タイガーアワードノミネート作品完網羅」達成いきます!
個人的な事情で昨年連続参加記録のとまってしまったロッテルダムですが、一年ぶりの印象は「ますますフレッシュで活気ある映画祭」。皆様既にお気づきのように、写真を撮る習慣の全くない私ですので、その感じを伝えるビジュアルがなくて恐縮ですが、間違いなく、今、世界で一番「いい感じ!」そして、「21世紀らしい」映画祭だと思います。帰国までに、折々、その感じをお伝えできたらと思っています。
が、直前に聞いたテオ・アンゲロプロス監督の訃報に、まだがっくりきています。撮影現場での事故死!それも、警官の運転するバイクに撥ねられるなんて・・・実は、オリンパススキャンダルの出たときから、アンゲロプロス作品のことを頻繁に考えていました。何故なら、8年前のPFFでのアンゲロプロス特集は、オリンパスの力で実現したからです。

その体験から、私の中で、オリンパスは「表現」というものに理解ある企業のひとつです。一度お伺いした開発中製品のプレゼンテーション会場でも、『ミクロの決死隊』のようなカプセル型内視鏡や、『スターウォーズ』から始まり、さまざまな映画でおなじみのホログラムによる伝達装置などが目の前に実現しつつある様子など、忘れ難いものがありました。オリンパスのみならず、さまざまに激動する日本。「この状態を生きていくには、体調整えないとなあ~」と、正月早々胃カメラ飲んだ私は、そこでもカプセル型内視鏡を使ってみたくてオリンパスを思い出したものでした。現実には、直径1センチ弱の黒くて細くて長い蛇のような胃カメラをぐりんぐりんと飲みました。快、不快は操作する医者の技術によって差が大きく、今回は実に苦しかった。結果は、胃壁がますますひどい状態で、更に、「こういう症状の人はピロリ菌がいるんですよね~。胃がん発症者の7割はピロリ菌がいるので、薬で退治する人も多いんですよね~。でも退治できないで終わる人も結構いるんですよね~」と言いっぱなしにされまして、「脅しと薬剤師の仕事が医者の仕事みたいだな~」と改めて認識しました。ピロリ菌と共生しますけど。

変な話はやめて、ロッテルダムのタイガーアワードに戻ります。長編15作品のうち、日本からは、『東京プレイボーイクラブ』がノミネートされています。奥田監督は、昨年に引き続きのロッテルダム参加。日本公開も目前の多忙な中の長旅です。
賞の名称の「虎」。ほかにも、何らかのマスコットのある賞は多いです。バンlクーバーは「龍と虎」、ベルリンは「熊」、ロカルノは「豹」、ヴェネチアは「獅子」などなど。そして、本年から香港も、デジタルコンペティションという名前をやめて、「火の鳥」賞という名前に変わるそうです。香港映画祭発祥のきっかけとなったシネクラブに敬意を表し、その名前からとったそうです。
マスコットがあると、デザイン展開が楽しくていいなあ~と思う私ですので、PFFも何かできないか?とまた考えていました。「P」だから「パンダ」とか「ペンギン」とかいかがでしょう。どちらも白黒のデザイン展開も素敵だし、いいマスコットです。

朝九時台から上映の始まるロッテルダム。が、規則正しい生活ができるので、頻繁にブログ更新できたらと思っています。

2012/01/18 00:19:15

2月1日から公募受付を開始する予定です

思わぬ時間がかかってしまいましたが、「PFFアワード2012」公募受付を、2月1日から開始すべく、応募要項及び応募用紙の最終準備に入りました。応募締切は、変わらず3月31日当日消印有効です。こちらも、例年と同じく、作品の確実な到着のため、必ず書留郵便で発送ください&本年の3月31日は土曜日ですので、郵便局の業務時間にご注意ください。
来週、25日には、このホームページに応募要項と応募用紙をアップする計画です。
昨年まで、応募はminiDVあるいはVHSコピーをご用意いただいておりましたが、本年からはDVDフォーマットでの応募受付に変更致します。「何故これまでPFFではDVDで受付をしてこなかったのか」それは、個人作成のDVDは、再生があまりにも不安定だからです。つまり、PCでしか観ることのできないDVDが少なからず生じる=小さな画面での審査になってしまう、からです。
PFFは映画祭です。フィルムセンターをはじめとする、大きなスクリーンで作品を上映します。「映画祭上映に近い環境で審査する」ことを前提に、応募要項を決定しています。しかし、テープでの応募は日々困難が増しているこの現実に、DVDでの応募受付を始めます。

何かを生み出そうとしている「個人」は、今、この世界の希望です。
「組織のルール」が人の活力や意欲、感情、あるいは能力を壊す。「組織の利益」を行動基準にすると世界が狂う。現実をみる力が損なわれる。そんなことを改めて実感させる昨今の出来事をみていると、嘘の数字を自ら信じてしまった「大躍進」や「文化大革命」下の中国を思い出すのは私だけでしょうか?
映画のみならず、文化芸術エンターテインメントは、ウソを創ってホントを更に際立たせる装置です。そこには、言い訳の出来ない、逃げられない創作の手間暇、あるいは、肉体を酷使した実行が必要です。ウソを創るのに、嘘やごまかしは一切介入できない。だからこそ、文化芸術エンターテインメントは人に伝わります。映画のみならず、その力に度々触れているが故に、PFFは活動を続けています。
一方、ご存知のとおり、経済危機に真っ先に削られていくのは、文化芸術エンターテインメントの予算。増税や、選択肢の閉ざされた独占インフラの税金のような値上げを予告されると、1億3千万人に迫る日本の人口の「ひとりあたり1円」PFFにくれたなら、映画祭も映画製作も心配なく続けられるなあ、そしてその金額分、日本の映画文化の海外へのプロモーションや、国内での創作隆盛に貢献するがなあ・・・と妄想してしまいます。実は厳しい現実を豊かにするのは、文化芸術エンターテインメントの得意技ですが、あまり話題になりません。街の掃除や、生活インフラの整備と同列にある、人の暮らしを美しく快適にする必需品であるうえに、特に素晴らしいのは、そこには限りない選択肢があること。つまり多彩なことです。
多彩であること。それこそが豊かさ。それこそが、社会のまともさです。
今年も多彩な作品の応募を期待しています。・・・・う~ん、我ながらいささか無理な結びでした・・・
改めます。
未来の希望は個人の想像力と創造力からしか生まれないことを痛感する新年。その具体的な塊である自主映画。昨年4月1日以降に完成した自主映画であれば、全て応募可能な「PFFアワード2012」。ご応募お待ちしております。

2011/12/31 23:20:27

2012年3月「世界が注目する日本映画たち」ラインナップ決定

すでに所沢市近郊ではチラシの配布が始まっていますが、新年、3月17,18日に開催される、第12回「世界が注目する日本映画たち」。主催の所沢市と共に、PFF事務局でプログラミングを行っています。日本のみならず海外でも評判の作品を週末に一気に観る!というこの企画。会場は所沢市の総合文化センター「ミューズ」の中にある、通常、オペラやクラシックのコンサートも行われている「マーキーホール」です。
今回は、3月17日土曜日に、『奇跡』と『ヘヴンズ ストーリー』の2本。18日日曜日は、『歓待』『川の底からこんにちは』『海炭市叙景』の3本。というラインナップで決定です。
チラシ制作の段階では、ゲストが確定しておらず、追って発表とさせていただいていますが、現在のところ、『ヘヴンズ ストーリー』には、瀬々監督と主演のおひとり、山崎ハコさんが、『海炭市叙景』には、熊切監督が来場くださることが決まりました。ゲストは決定次第、所沢市のオフィシャルホームページに随時発表してまいります。
「2010年~11年に国内外で話題となり、かつ、所沢近郊の映画館で公開されていない作品」という、数ある邦画からの作品選定は、毎回、上映したい作品の山に悩まされます。更に、これまでは、35mmフィルム作品上映に限られていた会場設備に、今回からはデジタル作品も可能となり、一層困難な仕事となりました。
そこで、3月16日金曜日は、デジタル上映実現を記念する前夜祭として、『Peace』と『精神』を上映、かつ、監督の想田和弘監督をお迎えし、17&18日の上映作品に関係するゲストとの対談も予定しています。

2011年も残すところあとわずか。
新年も、映画と人との一層素晴らしい出会いをつくっていけたらと思っています。
一年間、ありがとうございました。

2011/12/27 01:51:14

やりきれない訃報の多い12月

森田芳光監督のご逝去について、整理がうまくできません。ごく身近な方にとっても、全く予期せぬ出来事だったと聞き、一層考えてしまいます。
かなしいことですが、多くの尊敬する、憧れの、お仕事をお願いしたことのある映画監督の訃報を聞いてきました。が、森田監督の場合、「自主映画の歴史上の人物がこんなに早くいなくなるわけがない・・・」という気持ちがぬぐえないのです。
「審査員という依頼は絶対に受けないことにしているけど、ほかのことだったら何でも言ってよ」とおっしゃって、かつて入選したPFFのことを気にしてくださっていました。最新作、『僕達急行 A列車で行こう』は、私が個人的に森田監督の得意技であると考える、おたくを描くことで、すごい傑作になってるのではないかと、公開を心待ちにしていた作品でした。森田監督が初めて8ミリカメラを手にしたころ「とにかく何か撮る!」と都内を様々な電車が走る姿を追いかけ、繋いだ『水蒸気急行』という、人の出ない映画をつくられています。「映画って、リズムなんだな~」と思わされる作品です。2006年、マクセルの協力で、自主映画界伝説の『ライブ・イン・茅ケ崎』と一緒に、この『水蒸気急行』を8mmフィルムからデジタル化して上映する特別プログラムをPFFで設け、上映後、監督に当時のお話などを伺いました。変わらず走っている方、という印象でした。
商業映画デヴュー作品『の・ようなもの』は、個人的に、まさに「落語家」がそこに生きている傑作だと思っています。「落語を映画化する」ということでは、現在、日活100周年記念として、デジタルリマスター版が公開中の『幕末太陽伝』の右に出るものはないかと思いますが、「落語家生活を映画化する」という点において、『の・ようなもの』は、他の追随を許さないのではなかろうか、と。独自の世界を持っている人たち、自分の好きで好きでたまらないもののある人たち、を映画にするときの森田作品を心待ちにしている私でした。偏ってますね・・・すいません。
ご自身のプロデューサーとしての活躍、そして、一緒に事務所を運営する和子夫人のプロデューサーとしての卓越した貢献、など、次代に伝えていただきたいことも沢山ある森田監督の突然の訃報は、70年代から大きく変化を始めた自主映画の歴史が、21世紀の現在、すでに充分に長い、ということを改めて私に突きつけるのでした。

2011/12/26 23:51:30

先にアップされた釜山レポートにあるように

この年末に、また風邪ひきまして寝込んでいました。迂闊です。
アップ前に記しておきたいと思っていたのですが、『ダムライフ』が釜山国際映画祭のニューカレンツコンペティションに招待された、北川監督の体験レポートがアップされています。この中にもありますが、10月に私がこのブログで記した、「受賞者とそうでない人の(表彰式入場の)ゲートが違うようだ」という北川さんからの連絡は、その場の混乱による間違いであったことがわかります。巨大な会場での導線つくり、難しい仕事です。映画祭はイベント。今回の釜山のように、巨大な会場で初めての表彰式を行うという場合の準備だけでも、どれだけの人材やリハーサルや打ち合わせが必要であろうか?と想像してしまいます。そもそも、会場が巨大であるということは、参加者の集合時間も、随分早くにする必要がありそうです。となると、仕込みは一体何時から?
つい職業病でそんなことをあれこれと・・・
しかし、新たなことに取り組むことを毎年繰り返している釜山。活力も生まれようというものです。「変わる」ことと「変わらない」ことがうまく組み合わされている状態は、理想的ですね、どんな仕事でも。「変わりたくない」という人たちの多い日本の(一部のパワーを持つ人たちだけ、と思いたいですけれど)状況をみていると、変わらないで何がいいことがあるのか、教えて欲しいなあ・・・とこの年の瀬に風邪ひいて寝ながら、しみじみ考えてしまいました。勿論、あの天災がなかったらと願いたい。その意味では、変わらないでいて欲しかった。が、世界は、この大きな犠牲のあと、賢くなれる、改良できると進むのが、人間の知性でありましょう。そもそも、年間3万人以上が自殺することが続いていた社会を「そのままがいい」と言ってはならないでしょう。個人的には、政治の中心地を福島に移すせばいいのにと思っています。江戸時代から行政は東京。もうそこに限界があるのではと。明治維新という言葉はあれど、単に人が入れ替わっただけで、制度はもしかしたら古代から現在まで千年単位で何ひとつ変わっていないみたいだなあ・・・と。東京ベースで先祖代々行ってきた行政の仕事をまるっきり変えることを意気に感じられる人が、新たに政治に参加してはどうでしょうか?守るもの、創るものは「国」で、官僚とか政治家とかの「家業」じゃないよね・・・
なんて、ここはそんなことを書くための場所ではないので、脱線してますが、首相が早稲田大学で学生たちに、TPPやら、消費税増税やらに反対する人たちの陰謀について話をしたというニュースや、外国人客接待のために国家予算が余る度に追加で買い込んだ高級ワインが47,000本たまってるとかのニュースが、泣けてくるのでした。早稲田大学にはPFFアワード入選を大学院への入学資格として扱っていただくことで、既に12名の方が学んでいます。カメラを通し人を正面から見つめる訓練を積んで来た彼、彼女らのことを思い出すと、そんな彼らに陰謀説を語る政治家・・・大学生の子供扱いされっぷりにびっくりしました。外国産ワインを買い込むセンスもしかり。海外の映画祭にお土産を持っていく場合、あるいは、来日したゲストを接待する場合、ポイントは「日本のもの」です。そこでフランスワインが登場したら、映画祭世界では笑いものだがなあ・・・政治の世界は違うのかなあ・・・いや、その前に国家予算をそんなことに・・・
余談ですが、ここ2年の私の国内外へのお土産定番は、十火の「丸」というお菓子です。毎年何か感動するお菓子をみつけてお土産に、と考えていろいろ試していまるのですが、一方で、間違いない定番というものもあります。虎屋の小さな羊羹のセットは、世界的に高い人気、はずれなしお土産と言えましょう。
食べ物の話は長くなるのでやめます。
話は戻りますが、北川さんの釜山レポートに続き、飯塚さんのバンクーバーレポート、そして、森岡さんの釜山レポートに、永野さんのバンクーバーレポート、と、年明けから順次体験レポートを掲載する予定です。2月には、最新PFFスカラシップ作品『恋に至る病』を持って木村承子監督がベルリンへ。そのレポートも引き続き・・・という計画です。ご期待ください。

2011/12/19 18:14:19

福岡で初めてのPFFスカラシップ特集

本日、園子温監督が福岡に『ヒミズ』のキャンペインに訪れておられるそうです。前作『恋の罪』公開中に、新作のキャンペイン同時展開・・・・売れっ子です。
その福岡で、年明け1月5日から、PFFスカラシップの特集が組まれることになりました。園監督の『自転車吐息』もラインナップされています。これまで21作品の製作をしてきたPFFスカラシップですが、今回、福岡では、会場となる福岡市総合図書館のキュレイターが11作品を選んでの特集です。
福岡市総合図書館は、映像のアーカイブを持ち、日本では東京国立近代美術館フィルムセンターと同じく、FIAF(国際フィルム・アーカイブ連盟)のメンバーです。特に、90年代から所蔵されているアジア映画は、宝の山と言えます。外部上映はほぼ不可能ですが、図書館内の映像ホール「シネラ」での定期的な特集上映など、収蔵作品お披露目を行っていますので、チェックなさることをおすすめします。

そんな「シネラ」でのPFF開催も、もう15年。毎回最新スカラシップ作品を紹介してきましたが、PFFスカラシップをまとめて観る事の出来る特集は、福岡初の出来事です。今回は全てフィルム上映。園監督の『自転車吐息』も、大変貴重な、この世に一本しかない、英語字幕も付いた16ミリフィルムでの上映です。先月末には、イタリアのトリノ映画祭で「園子温特集」が組まれていました。学生時代の8mm作品から最新作まで18作品を上映。およそ30年のキャリアを持つ、堂々とした巨匠なのだなあ園監督・・・・と、改めて認識です。

2011/12/16 12:34:07

『生きてるものはいないのか』を観て外に出たら、世界が違ってみえました

明日からPFFin神戸が始まります。オープニングを飾るのは「PFFアワード2011」からの2作品『春夏秋冬くるぐる』と『Recreation』です。それぞれの監督、日原さん、永野さんともご来場くださるのですが、『Recreation』は地元、神戸芸術工科大学在学中の作品ですので、教授の石井岳龍監督をお迎えして、師弟対談を企画しています。
石井監督が『突撃!博多愚連隊』でPFFに入選なさったのが1978年。33年後の今や後進を育てる側にたたれていることにしみじみするのですが、その神戸芸術工科大学の学生たちも参加したご自身の新作『生きてるものはいないのか』が、すごい。
前田司郎さんの戯曲を、前田さん自身が脚本化している『生きてるものはいないのか』。舞台は拝見しておりませんが、映画は、終わって外に出て歩き始めると、世界が全く違って見えるのです。
心底驚きました・・・・

というわけで、明日から暫く関西に滞在することとなり、本日はいささか修羅場。留守中の19日には、アップリンクで『あんたの家』上映と山川監督とジャーナリスト今井彰氏の対談が。元自衛官で気骨の人、山川公平監督が今井さんとどんなお話を展開するのか楽しみだったので残念です。また、「群青いろ」の上映会もこの週末。こちらはチケット完売という知らせをいただき、追加上映実現を祈っているところです。


2011/12/16 11:49:09

劇場デジタル化問題についての追記です。

二週間ほど前に、「デジタル化による日本における映画文化の未来について」というシンポジウムのことを書きました。既にその映像をご覧になった方も多いと思います。未見の方のために、パネラーの一人だった瀬々敬久監督が紹介なさっているものを載せておきます。『ヘヴンズ ストーリー』の公式サイトにありました。

http://ameblo.jp/heavens-story/day-20111125.html

新宿のK'sシネマで 先週まで上映していた『ヘヴンズ ストーリー』はDVD化予定がありません。できるだけ上映チャンスをつくりたいと思い、PFFが企画に参加させていただいている、所沢市主催のイベント「ミューズ シネマ・セレクション 世界が注目する日本映画たち」でも上映を致します。来年3月17日です。今回、K'sシネマでは、「ヘヴン=天」繋がりで、『天皇ごっこ』と『天使突抜六丁目』の相互割引サービスも実施したそうで、ちょっと感動してしまいました。『天使突抜六丁目』は気骨のプロダクション"シマフィルム"の贈る、京都を舞台にした一作ですが、監督の山田雅史さんのロマンチックさが色濃く出た忘れがたい作品です。京都のような古都を歩く時、こんな、どこにもない場所があるのではないか、と、ふと期待する人多いかと・・・

2011/12/01 23:41:12

ケン・ラッセルと侯孝賢と

ケン・ラッセル監督が亡くなりました。
私がPFFに初めて観客として参加したのが1987年、ケン・ラッセル監督の大特集と最新イギリス映画の特集に通いたくてでした。そして、これが、人生で映画祭の初体験でした。デレク・ジャーマン、ビル・ダグラス、アレックス・コックス、ニール・ジョーダン、デヴィッド・ヘア、ピーター・グリーナウェイなどなど。これら監督の作品上映チャンスが少なかった頃です。そして、告白します。当時「一般公募部門」と呼ばれた現在のPFFアワードが目的ではありませんでした。すいません。
しかし1987年。現在のPFFアワード応募監督のかなりが、まだ生まれていないなと思うと、大変な昔に思えます。映画祭カタログも買って今も持っています。後にPFFで仕事するなどカケラも思わなかったときでした。映画評論家の川口敦子さんのインタビューに、ケン・ラッセル監督が非常に感動していたのを覚えています。
そして、そのとき、実は、ケン・ラッセルより、多くのイギリス映画より激しいショックを受けたのが、偶然が重なって観た、侯孝賢監督の『童年往時』(原題であり、日本公開タイトルですが、PFF上映時タイトルは『阿孝の世界』でした)。そこから台湾ニューウェーブと呼ばれたあの時代を体験できたことを、しみじみ嬉しく思っています。
そして、侯孝賢監督と言えば、ナント三大陸映画祭。フランスで中国語圏の映画を積極的に紹介していた映画祭で、『フンクイの少年』(フンクイは漢字ですがうまく出ません・・・)で侯監督を高らかに世界に知らしめた映画祭です。これ、いわばチンピラ映画です。しかし、「映画の王道、それはチンピラ映画」ではないでしょうか?そのナント三大陸映画祭で『サウダーヂ』がグランプリというニュースに、改めて「チンピラ映画よ永遠に」と感慨が湧きました。
チンピラ映画の魅力、それは、「切なさ」です。断言してますけど。
そして世界に誇るチンピラ映画の本家、それは日活映画だったのではないかと。日活100周年を記念したチンピラ映画祭りをしたいくらいです。で、つい、ひとり映画祭して観てしまいました。『赤い波止場』(1958)と『紅の流れ星』(1967)二本立て。舛田利雄監督がセルフリメイクした二作です。ジャン・ギャバン主演の名作『望郷』をベースにした、東京から神戸に身を隠すチンピラの物語を、石原裕次郎(小栗旬を彷彿とさせます)が演じる『赤い波止場』そのリメイクは渡哲也(妻夫木聡を彷彿とさせます)が演じる『紅の流れ星』。10年という時の流れは、ヒロイン像を大きく変えていますし、ゴダールの『勝手にしやがれ』も導入したという『紅の流れ星』は、会話やスタイルに変化がありますが、どちらも切ないチンピラの話。あからさまな他の映画からのパクリは素晴らしいですし、あきらかに、後にこれらの作品を香港映画がパクって、更に震えるチンピラ映画を創りあげています。
映画は、盗んでなんぼだなあと、改めて思う二本立て。ただ、時の流れは映画産業の衰退も映し出して興味深いのです。『紅の流れ星』はあきらかに『赤い波止場』より低予算。60年代から映画産業の斜陽は叫ばれていたことを痛感しながら、でも今よりずっとお金あるなあと思うのでした。
この二作品をみたのは、神戸が舞台だからでもあります。
17日から始まるPFFin神戸。今回は夜の上映のみで8日間の展開。神戸には2日ほど参加しますが、その昼間に、これら2本の映画に出て来るロケ地を訪ねてみたいと思います。美術は両作品とも木村威夫さん。二作共通のロケ現場もあります。ロケから40年を超える月日が経っていますので、もう現存はしていないでしょうが、面影でもあればと期待です。
昔、映画評論家の宇田川幸洋さんが、史跡観光に行かなくても映画にすべて記録されているから、昔の暮らしは映画を観ればわかるというようなことをおっしゃってましたが、改めてそう感じる古い映画を観る喜びです。
あ、渡哲也さんといえば、東映映画ですが『仁義の墓場』これ、全人類必見。
・・・つい、映画ファンのブログ?になって失礼しました。
&ヨーロッパでは、中国語の出来る映画祭ディレクターがたくさん生まれた80年代なんだなあ・・・とふと思い出しました。

2011/11/29 01:37:17

デジタル化による日本における映画文化の未来について

と題されたシンポジウムが、フィルメックスの会期中に朝日ホール10階で開催されていました。が、迂闊にも逃した私。
その日、11階での上映が終わったあと、ロビーにアップリンクの浅井さんを囲む熱い熱気を発する人々の輪が・・・・「これは一体何?」と思いましたらば、階下で開催されたシンポジウム「デジタル化による日本における映画文化の未来について」の流れで、浅井さんがご自身の体験から、とりあえず試す価値ある、低予算で実現できる劇場のデジタル化のノウハウを引き続き伝授しておられるのだと、居合わせた利重剛監督に教えていただいた(あわわ)更に迂闊を恥じる午後でした。このシンポジウム、映像で観ることができるそうなので、これから検索してみます。
考えてみれば、PFFは現在、イベント開催会場の方々と映写技師の方々に頼ることばかり。昨年までの事務局は試写室を持っていましたので、8ミリ、16ミリ、35ミリ、デジタルと、全てのフォーマットに対応できること、スタッフも映写できること、が目標でしたが、それがなくなってから、一挙に弛緩してるのか自分?と深く反省しました。
それにしても、ノウハウを伝授する浅井さんの姿、頼もしかった。いつも「インディペンデント」という言葉が浮かんでくる方ですが、アップリンクの紹介する映画のように、ニッチなマーケットがとても重要だと改めて思う会話を、先日海外からのお客としたことを思い出します。
フィルメックスに合わせて来日した方々がいます。メイルでしかPFFとの交流のなかった方々と、そんな来日チャンスに直接お会いできるわけですが、今回は、PFF作品を頻繁に上映してくださるカナダの新しい、しかし熱心で誠実な映画祭、「新世代映画祭」のクリスさんと、『川の底からこんにちは』『ハラがコレなんで』を配給してくださるイギリスのthird window filmsの、アダムさん。「日本映画にこだわる西欧の映画人はみな友達!」という側面がありますので、やはり二人はお友達。別々のアポイントメントで始まったのに、いっしょくたになってしまいました。
アダムさんは、惚れた監督の作品をずっと紹介していくことに情熱を注いでおり、石井裕也、園子温、中島哲也、藤田容介、三木聡、といった監督を、可能な限り紹介し続けたいのだそうです。「海外で三木聡BOXを出したのはうちだけ!」と威張っていましたが、もっといろいろな監督と出会い、たくさんイギリスに紹介したいのです。
イギリスは、日本のようなレンタルビデオショップマーケットはなく、セル主流。それも、セルで一本数百円からというのですから、感覚が違います。ただし、セルの本数は、日本と同じく、メジャー系でなければ、数百本・・・それで公開とDVD販売で商売が成り立つのか?と不思議なのですが、ニッチなマーケットは手堅いとおっしゃる。『おくりびと』がめちゃコケるイギリスでは、癖の強い映画が強いのだそうです。
ただ、日本の制作会社、配給会社は、Celluloiddreams とFortissimoという、アジア系作品のセールスに強いと言われる2大エージェントはじめ、大きなところに作品を預け、高額で売ろうと狙うことが近年常識になってしまったので、彼らの商売では値段が上がりすぎて、時間をかけても、結局売れない=買えないということが起こりすぎていて、ほんとうに残念なのだと。小さいけれども、情熱ある会社に個別に対応してくれるほうが、結局はずっと得なはずなのに・・・と嘆いておられました。
とてもよくわかります。
日本映画、近年海外セールス苦戦。いえ、日本映画に限らず、小さい映画は世界中で冷えてます。
私が、出会う映画人(いや、映画祭人とか映画監督ですね、正確には)に近年よくする2つの質問があります。
Q:お国で有名な日本の監督は? A:ほぼ間違いなく、北野武と宮崎駿です。
Q:あなたが個人的に会いたい監督や、好きな映画は?A:非常に高い確率で、黒沢清と是枝裕和です。
これらBIG4の作品がどのくらいセールスに成功しているのか?となると、宮崎駿以外、楽観的な数字ではないのではないかと思われます。が、小さい売り買いをコツコツやることを覚悟すれば、意外にまだまだ開拓できる顧客がいるのではないかと、ビジネスに積極的にタッチしない私でも感じるのです。
それにしても、「好き」とか「会いたい」とかに挙がる黒沢監督と是枝監督。近年ますます、その技術の冴えにほれぼれするお二人です。黒沢監督のWOWOW作品、楽しみです。
*文中敬称略・五十音順で失礼しました

2011/11/28 05:22:33

愛?

東京フィルメックスが終了し、チケット3枚を使えず終わりました。が、これでも私にとっては成績がよい。以前、某映画祭で買い込んだ前売りを1枚しか使えずに終わったときもあったのを思い出し今更がっかりしたり、何度「当日券主義になろう」と誓ったのかも思い出したり・・・・今回はかなり慎重にスケジューリングしたつもりだったのですが、東京で仕事をしていると、どうしても仕事優先にせざるを得ない時があることを改めて痛感です。
それはともかく、一日に5作品観ることが可能なフィルメックスですが、今回は一日4作品参加が最多な日となり残念ではあるものの、多彩な映画をまとめて観ると、色々と刺激されます。
しみじみと思ったのは、「愛」。
正体の知れない、なんらかの映画への愛、映画製作への愛、が心を揺さぶるのだなあと、久方ぶりに初心に戻るようなことを感じてしまいました。そのきかっけとなったのは、『これは映画ではない』。「愛」としか言いようのないものが、そこにありました。
そこから、「愛」にも多種多彩なものがあるなあと折々考えています。たとえば、「映画愛」はたまた「自己愛」で映画は成り立つか?ということなどなど。と、頭ぐるぐるしてるときに、立川談志さんの訃報。
ご自身が落語というか、落語とイコールな存在というか、そんな稀有な方が死ぬということがあるもんか、と、多くの方がお感じになるように、私も呆然としています。そこから、ぐるぐると「では、映画監督における、映画とイコールな存在って?」と考えています。映画は、ひとりではできない創造だから、そんな存在は有り得ない、という結論も含め、ですが、それでも、そのポイントは?と。映画の技術?才能?映画への愛?敬意?畏怖?本人のチャーム?情熱?。簡単に答えが出るとも思えませんが、とにかく数日で必死にみた9作品を通して、不調な思考回路のメンテナンスも始まった感じの充実感があります。
そして、仕事と関係なく映画を観る喜び。この快感を感じることが、映画を仕事にする不幸とも言えましょう。

この週末は、随分以前にお伝えした「映画屋とその仲間たち」の4回目のボランティアバス出発でもありました。木曜夜から土曜夜までを使い、被災地で映画上映とフリーマーケットを行うのです。前回9月はPFF開催と重なり、さすがに誰も参加できなかったPFF事務局ですが、今回は3名参加です。私は東京で入稿間際の印刷物との格闘が必要で離れられませんでしたが、毎回同じ場所を訪問するこの活動、継続の力を発揮していることを参加者のお話しを伺うたびに感じています。
次回は1月、そして3月と、極寒の時期。寒さの想像がいまひとつできていないことに気づく今日この頃です。

2011/11/19 16:20:45

群青いろ作品とかエンディング・ノートとか

「群青いろ」は脚本家で監督の高橋泉さんと、俳優で監督の廣末哲万さんで構成される映像制作ユニット。2004年のPFFアワードで、それぞれの監督作品『ある朝スウプは』『さよなら さようなら』が、グランプリと準グランプリとなり、その後『ある朝スウプは』が劇場公開ヒットと同時に海外でも多くの受賞をし、一躍注目を集めました。その前もその後も、多くの作品を生むふたり。高校中退後完全に独学で映画をつくってきた二人は、最初、録音の方法がわからずサイレント映画を撮っていたとか。近年の長編作品は、PFF、東京フィルメックス、東京国際映画祭などでお披露目されてきました。ただし、「群青いろ」の作品でDVDで観ることができるのは、『ある朝スウプは』『さよなら さようなら』『14歳』のみ。他は上映の機会を逃さず観るしかありません。
そんな彼らの久方ぶりの自主上映会が決定という連絡をいただきました。12月18日午後5時から渋谷オーディトリウムにて。(最近頻繁にこのブログに登場する渋谷オーディトリウム。ものすごい数のイヴェントが行われていて、スタッフの気力体力に感服するばかりです。)昨年、東京国際映画祭でお披露目された最新作『FIT』の上映と、これまでの制作作品のダイジェスト紹介、トークショーなどで構成されるそうです。
『FIT』の東京国際映画祭上映に参加なさった方はお気づきでしょうが、あの会場で使用された英語字幕版は製作上の不備でいささか完璧な状態とは言えませんでした。が、その後ダビングをやり直し、素晴らしい状態のものが完成。ベルリンや香港での上映は大変美しい画面でした。この機会を逃すと次はいつ上映されるかみえない『FIT』。監督の廣末さんの作品を観続けている方には、驚きの新境地をみせられる渾身の力作です。

廣末さんのことを紹介していると、どうしても思い出すエピソードがあります。それは、2003年就寝中にアパートが火事にあった話。着のみ着のままで部屋を飛び出し難を逃れたものの、部屋には『ある朝スウプは』のビデオテープ(懐かしの8ミリビデオ)が入ったままのカメラが・・・・諦めるしかないと煩悶するなか、鎮火後の瓦礫の中から出てきたカメラの中身が奇跡的に無事で、PFFアワード2004に応募できた。と。嘘のような本当の話です。
そして、その火事は、階下にひとり暮らしの老婆が、電気代が払えず蝋燭の灯で暮らしていたことが発火原因でした。夜中に起きたときに灯がなければ不安です。そのために灯していたのでしょう。アパートは、『ある朝スウプは』の舞台にもなっている、一部屋と台所にトイレのみついた造り。かつては学生や新婚夫婦の生活場所として活躍していたタイプのアパートですが、1980年代後半からは、独居老人の入居が増え続けている、先日新宿で火災にあい多くの被害者を出したアパートと同じ系列の、"風呂なし低家賃"のアパートです。
1980年代からと書いたのは、橋口亮輔監督が90年代中盤まで同様のアパートで暮らしており「新規には一人暮らしの老人しか入ってこない」という話に驚いた記憶があるからです。すでにその頃から、老人の居住可能な住宅問題は始まっていたことを、改めて思い出しました。
かつては社員として生活を保障されていた「映画監督」という職業。現在ではフリーランスとして生きていくわけで、新たな立場での老後生活のサンプルケースがまだありません。ひとごとではない課題です。
また、かつては「社員」だったと同時に、「スタジオ」という職場に出勤していた映画監督。こちらも遥か昔の夢のような暮らしです。が、しかし、たまにスタジオで撮ることの出来る映画もあります。内田けんじ監督の新作は、フルセットでスタジオ撮影、35ミリ2キャメと聞き、いにしえの映画製作の日々を体験できるというだけでも感嘆しました。完成が大変楽しみです。

話がまたそれてきました。やっと拝見できた「エンディング・ノート」です。
一流大学を卒業して、一流企業に入り、役員まで務め退職し、専業主婦の妻としっかりした3人の子供と、仲のいい会話のある家庭を築き、これからゆっくりしようという矢先に末期がんが発見された父の死の準備を、末娘である砂田麻美監督が追う作品です。この一家を観ていると、とても懐かしい感じがするのです。多分、ここに「想定される日本の家庭」の象徴のような一家が登場するからではないかなと。あらゆる日本の家族のイメージ、消費者としてメーカーやメディアから想定される家庭、学校で語られる「家族」、そんな姿がここにあるなと思いました。日本では6000万人位という就労者のうち、大企業と申しますか、上場企業と申しますか、そんな職場にいるのは1200万人位だとか。この1200万人余りを前提に社会「イメージ」がつくられているのだなあと、妙に納得したのでした。「現実」は勿論違うのですが。
そして、もうひとつ、この映画ではっと気づかされたのが、「カメラを向けられることに慣れている主人公」です。監督のお父様、砂田知昭さんは、若いときは8mmカメラで、監督の麻美さんが成長されてからは彼女が常に持ち歩くビデオカメラで、膨大な映像を記録されています。記録されることが日常になっていることも、その発言が整理され、明確で、他者に向かう態度もオープンであることに繋がるのではないか?と感じられてならなくなりました。砂田知昭さんの世代では珍しい「記録される」暮らしですが、現在ではもっと頻繁に生まれています。今後の人々のメンタルが、撮られることで変化する=しているのではないかと、改めて考えはじめています。


2011/11/18 10:37:48

完売・・・それは甘美な響き

ぼやぼやしていたので、東京フィルメックスのチケット購入が駆け込みになってしまいました。平日昼間3回券の販売は一足先に終了していて、あわわわ~と涙。チケット販売の注意事項はちゃんと読まなくちゃね!と自分に注意。そして、購入中、完売回が次々告げられ、ひゃ~!と嬉しくなりました。イベントをやっていると、「完売」とか「売り切れ」ほどゾクゾクする言葉はありません。「いいな~」とうっとりしてしまいます。
完売、それは、①公開されるかどうかわからない作品。あるいは、②公開決定しているけれども、少しでも早くみたい作品。に生じがちです。PFFの場合、「PFFアワード」作品はあきらかに①なのですが、いわゆる一般映画のように完売が難しいのが現実で、毎年告知に工夫を重ねて改良を目指しています。いつか、軒並み完売!となりたい。
と「いつか」という言葉を使いながら、自分が結構長く映画祭に関わっているなあ、結構長く生きてるなあと思うことが最近ちらほらあります。
たとえば、佐藤雅子さんという方の料理本が復刻されました。「私の保存食ノート」「私の西洋料理ノート」の二冊。これは、私が少ないお小遣いをやりくりして人生で最初に買った料理の本でした。当時1,000円。復刻版は2,500円。その差に、なんだかものすごく長生きしてる感じがしてしまいました。確かロッキンオンでどなたかがこの本に触れていたので買った記憶があります。久しぶりにみてみると、当時、スパイスやら食材やらが今より遥かに入手困難だったことを思い出しました。そのあと、山のような料理本を試してきましたが、子供時代に本屋で悩んで一所懸命やりくりして買った本や物は、何度の引っ越しでも手放さないものだなあと、改めて確認したのでした。一方で、現在では料理本を読めば、おおよそその味がわかるかも・・・という料理本読み(ちょっと自慢かも)。何でも数を重ねれば、見識が生まれると信じたい、年月を重ねるほど賢く鋭くなると思いたい今日この頃。映画もたくさんみなくちゃね、と映画祭をおすすめする次第でございます。
神戸近郊の皆様、「PFFin神戸」チラシ配布が始まりました。神戸は座席指定制ではないので「パスポート」があります。毎日KAVCに通うことの可能な方には、お薦めしたいお得なチケットです。

2011/11/15 15:37:39

ベルリン・香港来日中

ベルリン国際映画祭のフォーラム部門ディレクター、クリストフ・テルへヒト氏は先月来日しましたが、今月は、パノラマ部門のディレクター、ウィーランド・シュペック氏がコンペ部門や他のセクションの候補作品ピックアップも兼ね来日です。近年、韓国、日本、台湾、中国と、アジアプログラミングの旅に同行する香港国際映画祭のプログラマー、ジェイコブ・ウォン氏も同時に作品を選びます。
PFFはベルリン国際映画祭ではフォーラム部門との縁が深く、パノラマ部門やジェネレーション部門への出品は数度しかありませんが、現在、ベルリン国際映画祭で最も長くディレクター職に就いていることになるこのパノラマ部門のウィーランド氏とは、最も長いおつきあい、と言えるかもしれません。
映画監督への道を探して、俳優としてスタートし、ミュージシャンでもあったといウィーランド氏は、自身が運営するパノラマ部門の「テディアワード」に象徴されるように、セクシャルマイノリティーの映画紹介にも力を入れています。ご本人もゲイで、パートナーと落ち着いた暮らしをしておられます。と書いていたら、10年ほど前まで、映画祭運営に携わる人には、セクシャルマイノリティーな人々が今よりずっと多かったなと、思い出しました。
ディレクターも、プログラマーも、映画祭スタッフも、配給や宣伝の方も、評論家も、マジョリティーがセクシャルマイノリティーで、マイノリティーが、ヘテロという感じですらあったような・・・ちょっとオーバーかなあ・・・いや、ほんとにそんな感じだったのですが、昨今、逆転している気がします。近年、さまざまな職業に就くチャンスが拡がっているのだと理解していますが、どうなのでしょうか。
と、そんなことを考えたのは、本年のPFFアワード入選作品『僕らの未来』の上映が、21日に精神科医の針間さんをお迎えして監督の飯塚さんとの対談つきでアップリンクファクトリーで行われると聞いたからです。
かつて、飯塚さん自身が「性同一性障害」の専門家である針間先生のカウンセリングを受けておられたということですが、今回は、針間先生から飯塚さんが作品の感想を聞く初めての時間になるかもしれないという話も企画者から伺いました。飯塚さんが映画監督としてこれからどんな作品をつくっていくのか、第一作である『僕らの未来』を目撃して、その先も多くの方が見続けてくれるきっかけになるといいなあと思っています。ひとりのつくり手の変化を見続ける人が増えること、が映画祭運営の喜びでもあり、つくり手自身の励みにもなるのではと思うのです。

話は戻りますが、ベルリンと香港のおふたりと話をしていて、劇的に増加したデジタル作品、減少した35ミリフィルム作品の話になりました。
本年は世界的に急速にデジタル化がすすみ、日本でも、待っていた約30本の候補作品中、1本しかフィルム作品がない、と。メジャー系劇場のデジタル化驀進中ですので、それに合わせて世界で一斉に起きていることなのですが、これは同時に、デジタル装備を導入できない(予算がない)アート系小劇場にとっての危機的状況にも繋がっているという話になりました。ドイツでは、既に切実な課題になっているそうです。
そして、話はどんどん飛んで行ったのですが、今、ヨーロッパでは「イタリアの若者と日本の若者が怒りを表明する日」が期待されていると。両国とも同じような経済的苦境に陥り、同じような歴史を持ち、どちらも若者がじっと黙っている。と。60年代&70年代の学生運動が激しかった日本とイタリア。どちらもその時期に公務員(機動隊とか警官とか公安とか)を大幅に雇用拡大し、昨今、その人たちの退職時期が重なりいわゆる"天下り"先創造のために、むちゃくちゃなことが展開されている。つまり「公務員最優先社会の肥大化に伴う未来ある若者への顧慮のなさ」が同じ状況だと。そういえば、イタリアと日本、うつ病患者の多さや、母親依存の高さも共通と言えないこともないか・・・など、思わずイタリアについて考えた、ドイツ・香港・日本の会話でした。
もうひとつ話が飛びますが、今回、311関係のドキュメンタリーが、少なくとも12作品完成しているということです。まだ制作中の作品もあるでしょうし、テレビ作品もあるでしょうから、きっと膨大な数生まれているのです。これらの作品を一挙上映というだけでも、1週間でも足りない企画になるのだあなあと、つい映画祭モードでカウントして驚いたのでした。


2011/11/14 00:05:30

自分のことより他人のこと

ただ今公開中の『ハラがコレなんで』(略称ハラコレ)は、言葉足らずな映画だなと、いろんな人たちの反応に触れて改めて感じています。
おしなべて、うまく自分のことを伝えることのできない人が、映画の主人公には多い。つくり手もそんな人が多い(?!)ので、おのずと言葉で語るのみではなく「伝える」工夫をしていきます。映画には、画があり、音があり、時間があり、語らずとも語るところが、他の表現との差異となるわけです。つまり、映画が「総合芸術」と呼ばれる所以でもあります。
ハラコレは9月の第33回PFFで特別上映をさせていただいたように、今、多くの方にお薦めしたい映画です。何故なら、主人公は「自分のことより他人のこと」だから。今、21世紀のキーワードは、そこにあると思うからです。
が、あまりうまく伝わらないようで、もどかしく感じているところです。未見の方も多数おられるでしょうから、漠然とした言い方になってしまいますが、常に他人のことを考えることが、ひいては自分の人生を豊かな未来に向かわせる、という単純かつ明快なこれからの世界の行方を描くことに挑戦した映画です。
この映画のエンディングから10年後、あるいは20年後、主人公は間違いなく、新たなコミュニティで、いわゆる"幸福"な日々を送っている、少しづつ、世界は豊かになっていく、と思います。が、その姿を想像できる人は、能天気な楽天家だけなのかもしれません。しかし、見えない未来の不安に脅かされ日々疲れて行くよりは、見えない未来の希望を具体化する日々のほうが、何かを生むことは間違いないでしょう。映画は、見えない何かを見せる道具。映画祭は、そこに向かう映画を、より多く紹介していける場所でありたいと思っています。
(見えない未来の不安に脅かされる日々、とは、たとえば、柔らかな脅しと化した宣伝で煽られる、将来への不安や健康への不安などが、とてもわかり易いかと。あるいは、他人と比較して自分を劣っている、遅れている、損している、と思わされる広告を浴びる、とか。ここ1,2か月でまた増えてきたような。そんなことやってる場合ではないのではいかなーという人が、映画をつくっていると思います)
ともかく、公開中のハラコレをご一見いただければ嬉しいです。幸福への近道、結構簡単だな~と。
そんなことを考えながら、今、来春の所沢での映画イベント「世界が注目する日本映画たち」ラインアップの大詰めにかかっています。対象になるのは、この1,2年、国内のみならず海外でも話題の日本映画です。チラシの制作も目前ですので、再見できるものは再見してと務めているのですが、なかなかこの時期にスクリーンでみることは難しく、DVDでの再見となる作品もあります。
数日前には、『奇跡』のDVDが発売されたので再見しておりました。ふと気づくと、この作品と『ハラコレ』の制作時期は近いのです。どちらも震災前に撮影され、その後の社会を予見しています。そして、『奇跡』も、自分のことより他人のこと。と、ちょっと強引に言ってしまえば、そんな映画です。
来春の「世界が注目する日本映画たち」は、3月16,17,18日の三日間。都内に映画を観に行くのはなかなか難しいという方々のために、一挙に必見の国際的話題作をお届けしようという企画で12回を数えます。今回からは、デジタル作品の上映も可能になり、プログラム対象作品の幅が広がったことで、傑作の山に悩む日々です。11月中にラインナップを発表し、年内にチラシを完成です。
こうして、仕事柄年々邦画を観る割合があがり続けています。今の目標は、週に最低一度は欧米作品をみに行く!アジア映画は映画祭でまとめてみる!と、中学生の目標日記みたいなブログで失礼しました。

この週末からはTOKYO FILMeX。監督自作自演の『ムサン日記』自主映画作家の皆様是非みて欲しいです。そして、特集される相米監督作品のラインナップをみていると、プロデューサーとの幸せな共犯関係をしみじみ感じます。プロデューサー志望者に是非通っていただきたいです。
と、よその映画祭宣伝してみました。
(相米作品、海外に紹介される機会少なく来ていますので、これをきっかけに変わってくるかもですね!)

2011/11/06 03:26:51

不覚にも行けなかった山形

山形国際ドキュメンタリー映画祭。前回は多忙で伺えなかったので、本年こそ!と意気込んでおりましたら、まさにそのとき風邪でダウンしたので「・・・寒いところはやめておこう・・・」とまたまた断念。そんな私に、親切にもカタログを一式送ってくださった事務局。感動して早速拝見しましたら、もう、涙、涙。悔し涙に暮れる日々です。
最大の涙は、市岡康子さんが審査員を務められると伺ったときから予想できたのに、改めてすごいテレビドキュメンタリーの特集!!!!のけぞりました。観たかったもののオンパレードです。勿論牛山さんの作品の数々.そして、実は、高倉健が壇一雄の愛したポルトガルの村を訪ねる「むかし、男ありけり」をみたかった!と、チラシを見ながら泣く土曜日。「這ってでも行け!映画祭」という声がはっきり聞こえました。
実は東京国際映画祭も、夢見た何割かしか通えていません。コンペなんて、一作品のみ、『デタッチメント』しか拝見していません。とほほ。ジェームズ・カーンが出ていること、トニー・ケイ監督がデジタルについて熱く語っていたこと、主演のエイドリアン・ブロディがエグゼクティブ・プロデューサーのひとりでもあること、などに興味を惹かれたのです。この作品、崩壊する公立高校が舞台なのですが、現役の高校教師の方はどのように捉えるのかなと思いました。早晩来るであろう日本の姿?そうではなくあって欲しいけど。
(唐突ですが、PFFが製作した『家族X』は、東京上映の際に高校生の映画鑑賞授業となる幸運に恵まれました。この作品をご覧になった高校生が、「親とちゃんと話してみよう」と思ってくれれば無茶苦茶幸せですが、まあ、それは置いといて、高校生が映画を映画館で観るチャンスは、もっと増えてほしいなと思います。)
高校生ではありませんが、大学生のつくった映画の話で(PFF関連の話ではないです)『西安の娘』『蟻の兵隊』の池谷監督が今立教大学で教えておられ、その教え子である赤崎正和さんの、『ちづる』というドキュメンタリーが話題です。監督の赤崎さんは、長く、重度の障害を持つ妹ちづるさんのことを人に話すことができなかった。が、この映画製作を通して、ご本人が変化した。これが、学校の課題を含む自主制作の存在価値でもあるなと思わされます。『ちづる』は、母という存在の奇跡に気づくことなく甘える子供の記録の部分もあるのですが、「人に話せない」という状況がなければないだけ、人生ラクだよ~ん!と、早く多くの人が開き直って欲しいなあと、しみじみ思う作品でもあります。
(「人に話せないことなんてないのだと気付くと人生ラクだよ」と大人は言おうキャンペーン!を繰り広げたいですね)
あ~、だんだん何言ってんだか~になってきましたが、別の話として、多くの映画監督が多彩な学校で教えておられることが、PFFにとって苦しくなってきています。と言うのも、応募作品のある学校で教えておられる方に、審査員を頼むことは出来ないからです。これ、予想以上に厳しい現実です。すごく困っているのですが、ふと自分を振り返って考えてみました。
海外の映画祭の審査員をお願いされたとき、そのラインナップにPFF関連の作品が入っている場合は、お断りしてきました。フェアではないから、と。が、もし、引き受けていたとして、「自分の知っている作品に、何らかの特別配慮をしたであろうか?」と問うと、「有り得ない」と即答できます。作品を作品として観る訓練は十分に出来ているからです。では、何故断るのか。それは、「そのことを理解しない人たちがいることがわかるから」としか言えないのかな.....と。つまり「あらぬ憶測をされたくない」という面倒回避の判断かと思った次第です。.同じく、PFFで審査をお願いしたい監督たちも、自分の教え子の作品がラインナップにあったとしても、そこに惑わされず審査に向かわれると思います。しかし、そこに疑いを持つ人をどうするか?これが映画祭に問われているなと、しみじみ思うのでした。
え~、どんどん話が飛んでますが、「審査は厳正。そこに裏取引はありえない」このことが映画祭世界は常識なのですが、そのことをしっかり理解してもらう努力が必要なのかと、また新たな課題です。

話は戻りまして、行けなかった山形ですが、実は審査に参加なさったアトム・エゴヤン監督とは監督が日本を去る前日に東京で、山形の東京ディレクター藤岡さんのお誘いで楽しい時間を共有できました。(監督の初期長編であり、海外への展開のきっかけともなった『ファミリー・ビューイング』の上映にかつてPFFが関係したいたことも効果あり?)奥様で監督の映画にも多数主演なさるアルシネ・カーンジャンさんも勿論ご一緒。二人合わせて何か国語喋れるの?というお二人ですから、日本語への興味、日本文化への興味も並大抵ではありません。
そんなお二人の一番印象に残るお話しは、ある国際映画祭でのエゴヤン監督のハラハラした体験。
某、超アートな映画作家の回顧展を成功させた某小さくない映画祭の話。クロージングのスピーチに登場したそのアート監督。気難しい彼にしては珍しく喜びもあらわに感謝のスピーチをなさって、それを受けて、その映画祭開催国の首相登場。締めの言葉を言うわけですが、そこで「○○監督の特集が成功して誠に嬉しく誇りに思う。○○監督には近い将来ハリウッドで大成功して大監督としてまたここに戻って来てほしい」と言ったそうな。
しーーーーーん。としちゃいますね。
エゴヤン監督は言葉がわかったので、優秀な通訳に眼で一所懸命にサインを送ったら、勿論優秀な通訳、うまくすっとばして話をまとめて「めでたしめでたし」だったと。
通訳。ほんとうに大切です。
それはともかく、少なくとも、スピーチするなら特集監督の作品を観ておくとか、資料で知識を入れとくとか、最低のマナーでは?
しかし、世界中の政治家、官僚、エスタブリッシュメントのアメリカ崇拝、度が過ぎているというかナイーブですね。呆れて誰も注意しないのが世界の衰退につながったのかなあと、大人として反省しました。
ともあれ、「一方的な片思いは未来なし。相手に追いかけてもらえる魅力をつける。」これが恋愛のテキストブックでは常識ではないでしょうか?
がんばれ恋愛道!・・・・って、そんな世界ですかね?

年内最後の都内で開催される映画祭「東京フィルメックス」開催も間近。
今度こそ、這ってでも行きます。

2011/11/04 14:22:25

お金持ちはドリーマー?

東京国際映画祭会期中は、同時に世界の映画人が東京に集合していた時期でもありました。
海外に作品を紹介する仕事の山が大きくなる日々も一段落し、今は一番胃の痛い「年明けの各国映画祭からの結果連絡待ち」の日々に入ってます。明るいニュースを近日中に発表したいものです!!
同時に、神戸のPFF開催の詳細が決定し、ただ今発表の準備中です。
今回、第33回のPFFは東京開催時期の変更に伴い、各地の開催時期も再検討。神戸12月、京都は年明け、福岡と名古屋は春になる見込みです。公共の施設は予算削減が、映画館は動員の低下が変わらず重い話題という、映画に関連する会話に、お金の苦労が入らないことは皆無な現代。「お金」ってとても大切だと思います。それを使ってできること、沢山ある。勿論PFFも資金の苦労なく運営してみたい・・・でも、「今この現実でできることをやる」のが仕事です。
映画祭の資金集めについて、海外の方法を伝授くださる方々もいます。アメリカでは「寄付」、ヨーロッパでは「公的援助」が大きいのですが、自分で昔から感じていたことを相談したりもします。たとえば、ロッテルダム映画祭の行っている「ヒューバート・バルスファンド」。サードワールドの映画作家の製作援助ファンドです。ここに、日本の監督も対象として入れてもらえないかな~という相談。無理だと知りつつですけれども。勿論、海外の映画人は、日本が驚異的に平等な国で、誰でも映画監督になるチャンスを持ち、映画人たちが世界でも珍しい生活のすべてを映画に費やし経済的に不安定な状態を続けている人たちであることを知っています。精選された一種のエリートで、それなりに経済的に恵まれている人たちが監督になるケースの高い欧州及びサードワールドの監督たちより、はるかに経済的に苦しいことを知ってます。が、国家の経済で言えば、日本はやはり高水準で援助の対象にならないのです。サードワールドは貧富の差が激しすぎて、たとえ映画に関わる人が日本の映画人より遥かに高収入でも"平均値"でぐっと下がる訳です。別の側面からみると、日本の監督はそこそこ食べて行けるから、映画に関われるという見方もされているということですが・・・国家と個人は"国際的"にはいっしょくたなのを粉砕できない無力さを感じる瞬間です。
とはいえ、別の見方をすれば、内需でそこそこ生きていける基盤を持つ日本であるとも言える訳です。
そして、世の中「お金」のために変になっていくとことに無自覚でいるのはもっと怖い。
目的があってお金が欲しいのと、「お金」それ自体が目的になるのでは、ちょっと事情が違うのは、こつこつ働いている人たちには当然わかっていること。お金を集めること、回すこと、増やすことしか興味のない世界の大金持ちの皆様は、世界が、未来が、自分たちの為のお金回収マシンだと思っているのだなあと、何度も何度もため息の出るニュースが続く毎日。少なくとも日本に於いては「大切なこととそうでないこと」がくっきりと明確になった3月のあの日からの体験があるはずなのに、まだまだ夢見る人の数は減らず、どこまで現実逃避するのかな~金持ち!(ここで"お金"から"お"をとってみる)、と心から驚愕する日々です。例えば期限の迫るTPP。一瞬PFFと紛らわしい(そんなことないか・・・)ところが更に気になるわけですが、世界経済とかグローバルとかいう言葉の元に世界を一括してコントロールしたいって、漫画か映画の中だけにしてください!です。考えれば考えるほど、『ダイハード4』か、『ターミネーター』か、が現実にやって来てますが、しかし、現実の世界に、超人ジョン・マクレーンも、ジョン・コナーも、無敵のターミネーターもいない。オソロシイ。「資産について考える合間に週に一本は映画をみて、夢想と現実の堺をちゃんとできる大人になってくれ!」という気分です。
TPPが具体的な恐怖として迫ってきたのは、昨年小さな報道がされた「ミツバチが消えている。原因不明」が気になってからです。ミツバチ。それは映画を観る人には甘美な響き。タイトルに「蜂」がある映画で忘れ難いのものは数ありますが、エリセの『ミツバチのささやき』アンゲロプロスの『蜂の旅人』は誰でも思い出すのでは?そして、花を追って旅する養蜂家の暮らしにイマジネーションの刺激されないクエイターはいないでしょう。(昔の漫画でちばてつやの名作「風のように」もありますね)その蜂が消える。なにごとか?とニュースを追っていましたら、ヴェトナムで使用された枯葉剤でも有名なモンサント社の殺虫剤ネオニコチノイドにより蜂の免疫不全が起こり、中枢神経と方向感覚の麻痺した蜂が帰巣できなくなった結果だと。そして、モンサント社はTPPをとってもとっても推進運動中とか。と、具体的な会社名を挙げる性格ではないこのブログなのに、なんという場違いなことをしている私。でも、こんな話って、『ターミネーター』を思い起こさせませんか?
まあ、現実が映画よりすごいので、映画産業衰退中でもあるわけですね。がっくし。
そういえば、先日の「ディズニーワールドに行きたかったので資金づくりに子供を100万円で売った」というアメリカの母親の話も仰天でしたね~。ぱ~っと『ミリオンダラーベイビー』のヒラリー・スワンク扮するマギーの母を思い出しました。(マーゴ・マーティンデイル。すごい女優です。)と言いながら、「ディズニーワールドってそんなに素晴らしいところなの?初体験しなくちゃ~」と思わされるところもあり、危険です。「あれ?なんだこれうまい宣伝だったの?」とかね。
『トゥモローワールド』『ソイレントグリーン』『日本沈没』『ターミネーター』『ダイハード4』思い出しすぎて気持ち悪いくらいの毎日です。
で、今週末公開作品では『ハラがコレなんで』お薦めです。いろんなことから解放される話。監督はまだ20代。これからの時代は1980年代生まれに委ねたほうが賢くない?密かにそう感じる人たち多くないですか?いやま~「ハリウッドチャンネル」とか読んでいると、とほほな20代も山盛りではありますが・・・

*有名なブログですが一応ご紹介です。
「サルでもわかるTPP」

2011/10/24 01:20:17

東京国際映画祭が始まりました

先週、金曜夜は、激しい雨に驚きながら、翌日の初日の準備に忙殺されているであろう東京国際映画祭(TIFF)のことを考えていました。現場の施工はじめ、大がかりな対策が必要な大規模な映画祭ですから、無事好天で迎えた初日の安心はいかばかりかと思います。他人事ながら「よかったな~」と。天気が気になる仕事、それは映画祭です。いや、殆どの仕事はそうなんですけど・・・("好天"と"荒天"は一字違いで同じ音なのが皮肉ですね)
土曜日は『家族X』トークイベントがあったりで、まだ参加できていないTIFF。折角の都内での映画祭ですから、会期中できるだけ多くの映画を観たいものだと考え、遅ればせながらプログラム検討に入っています。(また今年も出足が遅れました)
TIFFでは、26日13:20から、TOHOシネマズScreen6にて、PFFアワードグランプリ作品『ダムライフ』の特別上映があります。その上映前のシンポジウムでは、昨年の「日本映画・ある視点」部門の作品賞を受賞した『歓待』のプロデューサーを迎え、その後の作品展開についてじっくりお話を伺うそうです。昨年は"自主映画"というテーマのもと、私もシンポジウムに参加したこともあり「日本映画・ある視点」部門の作品は全て拝見したのですが、『歓待』傑作です。このブログをお読みの方で、多分未見の方はおられないとは思いますが、近年の日本映画で、国内外で素晴らしく評判となった作品のひとつですので、世界展開を目指す方々には参考になるお話が聞けるのではないでしょうか?
また、本日、19:00からは、六本木アカデミーヒルズ49オーディトリアムにて、「海外映画祭プログラマーサミット」が開かれるそうです。「ユニジャパンエンターテインメントフォーラム2011」の一環です。二時間に渡り、日本映画を頻繁に招待する海外映画祭のプログラマー5名が日本映画について話をするそうです。
そもそも、直前に開催される釜山国際映画祭に参加して、東京国際映画祭までの日々を近隣国での作品探しに使う、という<韓国・日本を含むアジアの旅>を設定するプログラマーは少なくありません。こんな企画がもっと増えるとパネラーにとっても経済的に助かる、お互いハッピーな企画だなあと思いました。今回のパネラーには、ベルリン国際映画祭のフォーラム部門ディレクター、ロッテルダム映画祭のアジア・アフリカ担当プログラマーも。どちらもPFF作品を長年招いてくださっている映画祭ですが、開催時期の近い映画祭ですので、近年はプレミア合戦がヒートアップしており、どちらにどの作品を観ていただくか、私の悩みのひとつになっています。
あるパネラーに「今回のサミットでは"共存共栄"をテーマにどう作品を分け合うかを話しあうのはどうか?」と冗談を言ってみましたら、「まず私の映画祭が欲しいものをとるので、残りをみなさんで分けるのはどうですか?という話になるだろうねえ~」と、予想どおりの冗談が戻ってきて、一緒に笑いました。ああ、どれだけ映画を獲ってこれるか、が大切な映画祭プログラミングの仕事。そことはちょっと違う映画祭PFF。他の映画祭のディレクターと立場が違うなあといつも感じる、いささか仕事内容を説明するのが難しいPFFです。

それはさておき、PFFでは、映画祭を運営しながら、映画祭に出品もするということを続けています。作品をディレクターやプログラマーにみせることの出来る時期と、その映画祭の監督や作品に対する扱いについて、とをあわせて、これまで20年以上の経験を元に、積極的に作品を出品したい、監督を招待していただきたい映画祭のリストめいたものができています。
プレミア上映に伴う監督招待の場合は、旅費、宿泊費、通訳、上映のクオリティ、観客の反応などさまざまな要素を元に考えますが、PFF関連作品の監督は、殆どの場合「初めての海外映画祭体験」となるのでそこが重いポイントになります。つまり、前提として「海外体験の少ない、言葉に不自由な、経済的に豊かでない、若い監督の参加。もしかしてひとりで参加する。」という条件を想定してすすめます。更に、その作品は、制作会社も宣伝会社もついていない、自主映画です。
現在のところ、上記の前提の監督にとって、完璧なサポート体制は、バンクーバー国際映画祭ではないかと思います。極端なことを言うと、お金を持たず、英語を喋れず空港に降り立ったそのときから、帰国の途に着くまで、経済的にも心理的にも全くぜんぜん心配のない映画祭です。
次に、ベルリン国際映画祭フォーラム部門も、上映のクオリティはもとより、言葉の面でのゲストサポートが素晴らしいです。更に、ここは、「アルセナール」という会員制の映画館(2スクリーン)を経営しており、フォーラム部門の上映作品からいくつかが、アルセナール含む、ドイツ語圏のアートシアターネットワークで公開されるチャンスがあります。つまり、ドイツ語字幕つきプリントを作成し、上映し、その収益分配がその後継続して行われるのです。実は、PFFも、ぴあフィルムライブラリー(PFL)を、このフォーラムの運営に感化されて始めたのです。多くのPFF作品を、アルセナールで上映していただいています。ただ、ここ数年、監督招聘予算が削減され、往復航空券の出ない場合があります。
ロッテルダム映画祭はベルリンの直前ですが、活気溢れる、若い監督には大変楽しい映画祭です。映画を浴びるように観るという点からも、狭い場所に20スクリーンあまりがひしめき、チケット発券ルールも結構ゆるく、映画漬け可能な映画祭です。ロッテルダムはホテル代が高いので、そこが、もし招待日数以上の滞在をする時は、悩みかもしれません。
釜山国際映画祭。観客の黄色い歓声とサインください!攻めに、「映画監督はもてる」と思わせてくれる映画祭です。この熱気は、全州映画祭もそうですが、韓国でしか得られないと思います。
このあたりの映画祭で最初の上映を設定できるといいなあと思っています。
勿論、他にも素晴らしい映画祭がたくさんあります。作品や監督の条件で、ベストの映画祭は全く変わるでしょう。そして、何より一番大切なのは「最初に作品ありき」。作品を熱望されて、がスタートラインです。

と映画祭の話をしてきましたが、しかし、東京は毎日が映画祭とも言えるなあとしみじみ思います。
22日土曜日の『家族X』トークの隣では、富田克也監督の(空族の、と書くべきか)『サウダーヂ』初日が熱気に包まれて展開されていました。毎回舞台挨拶ということで、ロビーは、関係者というかスタッフというか、上下左右に走り回る走り回る。興奮が伝わる伝わる。その様子をみていると、2階のオーディトリウム渋谷と、3階のユーロスペース、この3スクリーンで展開される一週間のイベントの数、ゲストの数は、映画祭よりすごかったりするのではないか?改めて考えました。4階のシネマヴェーラも入れると、更に。しかし、映画館ですからスタッフの数は限られています。運営の苦労を思うと、しみじみ感服です。全国的に、映画館運営の業務は増え続け、人は減り続け、みな、ものすごい労働量なのが伝わります。映画館で映画をみることに、少しでも貢献できたらと思います。

映画祭と映画館公開で映画をみよう!と言ったばかりなのに~!なんですが、恒例の渋谷TSUTAYAでのPFFコーナー企画の更新が迫りました。10月25日からは、先日、ベネチア映画祭で新人俳優賞を受賞した染谷将太さんと、ただ今ユーロスペースで公開中『サウダーヂ』富田克也監督のおふたりの選ぶ<冬でも熱くなる映画>です。必見の作品が並んでいます。ご期待ください。

2011/10/15 23:54:17

スペシャルメンションとは何か

映画祭のコンペで「スペシャルメンション」という授与が起きることがあります。
これは何なのか。日本語に直せば何がいいのか。長年考えているのですが、適当な言葉を見つけられず、「スペシャルメンション」という英語をそのまま使っています。もしかすると「審査員特別表彰」などが、一番近い日本語かもしれません。
近年、スペシャルメンションもオフィシャルな表彰として、証明証(表彰状のようなもの)が用意されたり、審査員コメントが公式に出されたりしますが、10年前くらいまでは、表彰式でアナウンスされるのみだった記憶(スカラシップ作品『BORDER LINE』がいただいた頃)があります。
スペシャルメンションは、つまり、審査員からの「私たちは、賞を一つに決めなくてはならないかったので、決断をしましたが、あなたの作品は受賞作品と遜色がありませんよ」という意思表示です。ですけれども、賞ではないので、「受賞」ではなく、「授与」という表現を使います。*殆どの映画祭は、コンペの審査員にグランプリ一本を選んでもらうので、他の作品にも触れたくなるのが審査員の心情と言えます。

昨日ご紹介した吉野耕平監督の『日曜大工のすすめ』は、なんと、釜山国際映画祭の短編コンペでスペシャルメンションだったそうです。そのことをツイッターで知ったという吉野監督。最先端?と申しましょうか、本人にいち早く知らせる方法はなかったのかな?と思うのですが、そのお話しを聞いた後に出かけた、ぴあが主催する落語のイベント「rakugoオルタナティブ」シリーズで、同様の話を聞きました。間もなく真打昇進となる春風亭一之輔さん。決定は、やはりツイッターで知ったそうです。なぜそうなったか、を調べてみると、師匠の一朝さんの携帯が電池切れで、何度も試みられた、協会からの真打決定電話を受けられなかったからだとか・・・その間に、協会のHPに発表された真打決定ニュースを見た人からのツイッターで昇進を知ったと・・・・
昨日今日と、いろいろ賞の発表について考えさせられることが重なり、ちょっと不思議な気持ちです。

本日の落語会は、立川志らく師匠の「名人の噺とは江戸の風が吹く噺なのではないか」(←乱暴なまとめですいません)という言葉に触発されて企画されたもので、昼、夜と立川志らく師匠が二席づつ登場なさいました。昼のゲストは故・桂枝雀さんのお弟子さんの桂雀々さん、夜のゲストは、春風亭一之輔さん。この落語オルタナティブシリーズは、ちょっと違った視点からの落語会企画で、とても刺激的。毎回通うことは全然できていませんが、できるだけ参加したいと思っている企画です。落語初体験の方をお誘いしたい会でもあります。

そしてまだ風邪が治らず、鼻声でふがふがしてるのですが、PFF東京開催準備佳境な頃から現在まで数か月、ちょっと世の中の動きから隔絶されてたかも?と慌てている昨今です。で、発令されてましたね。暴力団排除条例・・・・詳細把握できていませんが、なんだかすごい・・・そんなときに、新・文芸坐で行われる岡田茂プロデューサーの特集上映。チラシをしみじみみちゃいました。殆ど観てるけど、またみたい。やくざ映画の灯よ永遠に!です。未見の方、必見です。映画は「何が起きてもOK」「何を描いてもOK」な創造物でいて欲しいと、青臭いことを改めて思います。こんなときですから、『青春墓場』シリーズの奥田庸介監督の新作でありメジャーデビュー作品となる『東京プレイボーイクラブ』、未見ですが、期待が高まるばかりです。

2011/10/15 02:04:17

ああ釜山

今日は(もう"昨日"ですね)釜山の閉幕だなあと考えながら、水キムチの作り方を書いた本を読んでいました。好きなのにめったに遭遇できない水キムチですから、自分でつくってみようと思った次第です。米のとぎ汁からつくるとは知りませんでした・・・
そして、釜山滞在中の北川仁監督(『ダムライフ』でコンペに参加中)から、クロージングセレモニー途中にPFF事務局に届いた連絡で、受賞はないようだと知りました。
・受賞者には内示があるらしい
・受賞者とそうでないものは、入るゲートが違うようだ
・受賞者でないものには、通訳がついていないようだ
それらを考えあわせて、受賞はないようだ。
という、ここには箇条書きしましたが、なかなか臨場感あふれるメイルでした。
PFF制作の『タイムレスメロディ』が釜山でグランプリをいただいたときには現地にいた私ですが、内示は一切ありませんでした。あれからもう12年。そういえば、その時代は、グランプリ作品は韓国での配給が行われるという特典もありました。会場も、今の海沿いのリゾートタウン、海雲台ではなく、釜山タワーのある街中でした。今は遥かに大きな映画祭となった釜山。オーガナイズに効率が求められるようになり、いろいろとやり方を変えてきたのでしょう。何はともあれ、内示のある映画祭はそれほどないと思います。通訳がついているかついていないかで、受賞があるかどうかバレる、というケースは、何度か体験したことがあります。ああ、そういえば、こんなことやら、あんなことやら、そんなことやら、いろいろありましたね。PFF作品と一緒に世界の映画祭を旅してみて、賞の発表を待つ身になった体験が、表彰式の構築のアイデアを与えてくれたとも言えるなと再確認です。

釜山には、今年もたくさんの日本の映画人が参加していたわけですが、15分の短編映画『日曜大工のすすめ』が短編のコンペティションに招待された、PFFの予告編や、映画祭の先付映像を近年創って下っている映像作家、吉野耕平さんも、2泊3日の駆け足滞在をしてきたと聞きました。初めての海外映画祭参加は、なんだか凄い体験になったようで、映画祭スタッフに「多分賞とってないと思うから最後まで居なくていいよ」と言われたとか・・・。「目がシロクロする」って、こんなときに使うといい表現かなあ・・・と申しましょうか、ぶったまげました。すごすぎる釜山。ワイルドです。

その『日曜大工のすすめ』は、先日お伝えしたNO NAME FILMSというタイトルで上映される10本の短編の一本です。公益財団法人ユニジャパンが「若手映像作家育成」のために行う制作で、監督とプロデューサーとペアで参加し、映画製作を一貫して学ぶという趣旨。15分という長さは厳しく決められています。こちらはデジタル作品ですが、もうひとつ、同じ趣旨でVIPO制作の30分の短編映画制作プロジェクトがあります。こちらは35ミリフィルムでの制作を経験するという趣旨で、予算もぐっと上がります。
どちらのプロジェクトも、共通するのは「公的資金で制作されている」こと。それが何を意味するかと申しますと、「収益をあげてはならない」ということ。つまり「商品としての映画」として、市場に出してはならないのです。となると、ものすごくアヴァンギャルドで過激な作品が出現してほしいのが、映画祭上映作品を探す私の望みです。が、一方、どちらも「若手映像作家育成」のためのプロジェクトですので、それなりに、市場で通用する作品が期待されるという、非常に難しいポジションを持つわけです。さはさりながら、NO NAME FILMSと題された10作品上映は、監督たちが自主上映を行うことを決めた訳です。

今、映画で最も困難な過程は、作品の公開を多くの人に知ってもらう、観に来てもらう。ということです。これは、予算のない映画にとっては、砂漠で道に迷うような途方に暮れる行程です。書きながら胃が痛くなります。今週、風邪から8割がた回復して、まず、渋谷ユーロスペースで公開中の『家族X』のトークを見に行きました。佐々木敦さんと吉田光希監督の対談。すごく面白かった。前作の『症例X』で何か"自分の映画"を掴んだ
と感じた吉田監督が、『家族X』では、誰もが知っている俳優さんたちと、『症例X』と同じつくり方ができるかどうか、も、ひとつの挑戦だったと。そして、次作では、全く違うことをやってみるかもしれないと。楽しみになりました。が、この対談、満席でのトーク、とはいきませんでした。そして、外に出てふと気づくと、2階のオーディトリウム渋谷ではワン・ビン特集が。ちょうど監督のトークがあったようで、東京っていろんな人がいっぺんに集ってるというの、久しぶりに街に出て再認識です。星の数ほどあるイヴェントから、どうやって自分の作品を選んでもらえばいいのか・・・う~ん。
あ、ワン・ビン監督の新作『無言歌』は、昨年の東京フィルメックスで上映され、それを観た配給会社ムヴィオラが公開を決定しました。「公開プリントで観ると、細部までくっきり状況がわかって、全然印象が違うので必ず再見するように」とムヴィオラの方に言われていますが、まだまだ強烈に記憶されている映画です。『無言歌』と『一命』、今の日本に、効くと申しましょうか、どちらも強烈です。

あ、なんだか話が飛んでしまいました。
作品をつくる、公開劇場を探す、というところまでは、随分とチャンスが増えたと思うのですが、その後の、公開=宣伝する。人を映画館に呼ぶ。ということは、更に困難になってきています。ここには、映画をつくることとは、別の情熱、別の仕事が必要なので、エネルギーを振り絞って一度は出来ても、複数回はなかなかハード。いい方法はないものだろうか、と、このことも、いつも頭を離れない課題です。

また話は変わりますが、ユーロスペースでは、フレデリック・ワイズマン特集も始まりますね。これまた3時間当たり前~という長い映画ばかりですが、ウッディ・アレンも欠かさず観るというワイズマンのドキュメンタリー。「俳優として演技のアイデアを盗みに行くのかな?」という話になるほど、普通の人々の顔、行動、たまりません。それと、関係ないですが、ワイズマン監督、お顔がですね、ヨーダに似ておられるのです。それでファンな私かも?しかし、ご本人は、びっくりしたのですが、大柄なんです。勝手に小さい人と思っていた自分を反省しました。


2011/10/12 14:21:18

そして『サタンタンゴ』台北へ

第33回PFF東京開催終了から10日があっという間に過ぎました。事務局は映画祭の後片付けに集中しています。そんな中、会期中にひいた風邪を押さえこんだと思ったら、終了後に復活して珍しくダウンしてしまった私。健康だけがとりえだったのに、とほほです。これを人はエイジングと呼ぶ・・・・のだとしみじみ実感中。そしてやっと今、年内開催の決まった神戸会場の準備、来春の「ミューズシネマセレクション 世界が注目する日本映画たち」のプログラミング、そして、今月更新の、TSUTAYA渋谷店PFFコーナーの展開に着手しました・・・・遅い・・・
と言ってる間に、PFFアワード入選作品が招待されたバンクーバー国際映画祭と、釜山国際映画祭が始まりました。バンクーバーのアジア映画を対象にしたコンペ「ドラゴン&タイガーアワード」は、前半に展開され、結果の発表がありましたが(ニュースをご参照ください)、釜山はまだ数日を待たなければなりません。
コンペの発表を待つのは、実に辛いものです。両映画祭に参加しなくなって3年。現地で結果を待つのと、日本で待つの、どちらが辛いかと申しますと、実は日本にいるほうが、気が重いことを発見しています。実際コンペに並ぶ作品を観ることができること、異国の喧騒や人との交流を楽しむこと、など、現地のほうが、気持ちを整理できるチャンスが多いからでしょうか。健康だったら、ここで早速山形国際ドキュメンタリー映画祭に飛んでいって、気分転換と映画漬けになりたいところだったのですが、その山形ももう終わりです。なんということでしょう。こちらも2回連続不参加です。
「健康に勝る宝なし」を実感する秋。寝てる間におそろしい小説を読みすぎて、悪夢ばかりみてたのも、敗因でしょう。あまりにリアルな夢の数々に、「予知夢?」とか呟いている私です。思い出すたびに怖い。いっそ脚本にでもしてみようかと思うくらいです。

そんな無駄話はさておき、『サタンタンゴ』のプリントが、台湾の台北に旅立ちました。
11/3~26に開催の台北金馬映画祭での上映です。インターバルのところで、3つのプログラムに分けて(part 1,2,3という表記にしてました)上映するそうです。なるほど。
かつては、金馬賞(台湾映画アカデミー賞と申しましょうか・・・)を持つ、この映画祭しか台湾にはなく、90年代にはPFFの作品も上映していただいたものですが、昨今はすっかりご縁の薄くなってしまった映画祭だっただけに、名前を聞くにとても懐かしい映画祭です。
そして、台北、加えて北京。近年私の愛する美味二都。名前を書くだけで行きたくなります。
健康回復すると、食欲も出るってことでしょうか・・・

話は突然変りまして、緊急連絡です。渋谷ユーロスペースにて11月19日(土)より始まる「NO NAME FILMS」。PFFアワード入選監督含む、10監督の15分の短編映画が一挙に上映されます。次代の新鋭を求めるプロデューサーたちに是非目撃して欲しい10作品です。


2011/10/01 17:55:37

そして34回へ

昨夜、コンペティション部門「PFFアワード2011」各賞を発表する表彰式をもって、「第33回PFF ぴあフィルムフェスティバル」の東京開催が終了しました。このあと、「PFFアワード2011」入選17作品は、年明けのPFFin名古屋、神戸、京都、福岡開催で上映されるとともに、国内外の映画祭出品をすすめていきます。それらの情報は、随時PFFのHPにて、ニュースとしてアップします。
そして、本年の表彰式での各賞へのコメントは、ただいまHPにアップしております。加えて、最終審査員からの総評も、追って掲載していきます。

昨夜のフィルムセンターでの表彰式には、現在来日中のドバイ映画祭とサンダンス映画祭のプログラマーが客席におられました。同時通訳で表彰式の様子をご覧になっておられましたが、檀上で賞を発表する皆様の、作品に対するコメントの正直なこと、誠実なことに、非常に感動したとのこと。「PFFの審査は若者の人生を変えてしまうかもしれないので、ものすごく緊張する」と、最終審査員の皆様が毎回おっしゃいますが、私たちは大変な重課をお願いしているのだなと、改めてありがたく、感謝した次第です。
また、塚本監督、阿部プロデューサーの指摘なさった「似た作品が多い」という現実。これは予備審査の段階でも話題になります。ある種の均質化が促されている現実を破壊する作品、これが更に切実に求められている昨今。34回にはどんな作品が登場するのか、期待が高まります。
そして、たまに話題になるのが、入選監督たちの表彰式でのスーツ姿。2008年の30周年から、びしっと決めた写真が残るように、「特別な、自分にとってのフォーマルな服装で参加して、表彰式で日常と違う特別な気分になろう!」と話している表彰式。スーツを選ぶ監督が多いのは、私たちには不思議はないのですが、「若いクリエイターが何故スーツ?」と思う人がいるのも確か。「スーツ=クリエイティブではない」とは全く思わない私たち。むしろ、非日常的で面白いと思ったりするのですが、いかがでしょうか?

表彰式の後は、入選監督たちと、全ての作品をご覧いただいた、予備審査員、パートナーズ各社審査員、最終審査員との懇親会がフィルムセンター内特設会場で行われます。その後、監督たちは、各人のスタッフやキャストの皆様と打ち上げに、PFFスタッフはスタッフ打ち上げが待っています。海外や東京を遠く離れた土地での映画祭では、合同での打ち上げも可能ですが、PFF入選作品はほぼ東京近郊在住者による作品群。膨大な人数になるであろう打ち上げは、PFF事務局体力の限界で実現できません。それぞれいい夜になることを祈って、三々五々フィルムセンターを去るのでした。

*やはり表彰式後にオーディトリウム渋谷に駆けつけて『サタンタンゴ』を観るのは無理でした。オーディトリウム渋谷からの報告によると、上映はつつがなく終わり、PFFでの上映前売り券をお持ちながら、台風で来場できなかったお客様も参加できたそうで、ほっとしているところです。


2011/09/30 00:37:52

本日4:30pm表彰式

コンペティション部門「PFFアワード2011」の5賞、7作品がいよいよ本日発表されます。
結果を待つ入選監督の気持ちになると、どんどん重くなる私の気分。17本の入選作品から、最大でも7作品、だぶったりすれば、5作品しか賞には該当しないのですから、胃が痛い。
しかし、人生いくらでもチャンスはあります。今日残念な結果になった人も、明日には明るいニュースが待っている可能性は大!です。本日出会う人たちとの交流を深めていって欲しいと願っています。

そして、表彰式のあと、深夜の0時からは、渋谷円山町のオーディトリウム渋谷で『サタンタンゴ』上映です。オールナイト上映ということもあり、今回の上映では、2回ある休憩時間をたっぷり取る予定だと劇場から連絡いただきました。詳細は本日オーディトリウム渋谷のHPにて告知されるそうです。
先日も書きましたが、一巻めに多少ノイズが乗りますが、プリント状態はかなりよいです。このラストチャンス、掴んで欲しいと思います。


2011/09/29 12:29:39

本日上映最終日

いよいよ明日30日は表彰式とグランプリ作品の上映が残るのみとなり、本日が、プログラム上映最終日です。
ただ今、監督始めゲストを迎えてPFFアワードプログラムを上映中。そして、クロージングナイトを飾るのは、『恋に至る病』です。
PFFの始まった20日にはまだ夏だった季節も、今日はすっかり秋。大人の汗疹に悩んでいた初日が、急激な気温の変化にひいた風邪にかみすぎた鼻まわりが痛くて終わるという、なんともロマンのかけらもない四季の移ろいを感じる、初めて会期を9月に移したPFFです。
本日も、明日のグランプリ上映のみの参加も、当日券があります。
更に、グランプリ作品は、東京国際映画祭「日本映画ある視点」部門での上映もあります。
明日の表彰式での賞の発表は、PFFのHPで随時行って参ります。明日の表彰式、私たちも緊張してきました。


2011/09/28 05:05:52

あと3日

第21回PFFスカラシップ作品『恋に至る病』のお披露目(総勢7名で舞台挨拶です!アーバンも登場予定!)と、表彰式の準備に突入したら、はっと気づけばもう28日です。第33回PFFもあと3日を残すのみ。PFFアワード作品も、残るは11作品の上映。本日は3プログラム6作品、明日は2プログラム5作品をご覧いただきます。毎回上映後に、ご来場くださった監督と、短いながらトークの時間を持っています。私か、時に事務局の江村がご紹介させていただいておりますが、29日は、共催の東京国立近代美術館フィルムセンターの研究員の方に初めてご登場願う予定でおります。私たちとは全く違う環境で映画に日々触れておられる方々が、どのようにPFFアワード入選作品をご覧になるか、どんなトークが交わされるか楽しみです。
今年のPFFアワード17作品、「ぴあ映画生活」とも協力して、作品紹介を厚く展開しております。それらを始めとする作品情報からも、作品が気になっていたけれども見逃した方は、今後のPFF全国展開での上映や、国内外の映画祭上映情報を随時HPでお知らせしますので、チェックしてください。

今年の招待作品は、昨年までと比較して、予測不可能なプログラムを増やし過ぎたかなあと今、ふと考えています。『サタンタンゴ』7時間半がほんとうの嵐とともに始まり、終わったのが象徴的だったように(お知らせ:30日深夜よりオールナイト上映がオーディトリウム渋谷であります。プリント状態は、8割強大変美しく、ところどころ、傷とノイズがありますが、是非!今度こそ最後の上映です!)、長谷川和彦監督をお迎えしてのトークも、終わってみればゴジさんの健在ぶりがはっきりわかって嬉しくなる時間となりましたが、やはり、先に繋がることを祈ってしまいます。黒沢清監督をお迎えした回は、「教える、というのはなんて大変なんだろう・・」ということをしみじみと実感する時間となりました。非常に深い話に突入できたかもしれない話題が時間切れになったのは惜しかった。黒沢監督には、「映画長話」へのサインまでご快諾いただき、恐縮しています。
・・・・って、主催者がまた感想書いてしまった・・・

この「映画長話」(リトルモア発行)。ほんとに映画の長話です。楽しそう。そんな中、202ページにある「日本の個人の金融資産の七五パーセントぐらいを六十歳以上の老人が持っている。ほぼ八百兆円です。その人たちを映画に投資させなければならない。これほどの資産の偏りは日本だけでしょう(略)」という一節は怖かった。最近、部屋探しをしたときの怖い思い出が甦りました。自分が古いアパート好きなのがよくわかった部屋探し。とあるかつての高級マンションでは、自転車置き場に埃だらけの自転車が満載。しかし、「自転車置き場に空きはない」ということで、新規の持ち込みは不可能。不動産屋の話によると、アパートの会議で議題に上がる度に、既得権を持った住民が「あの自転車は必要」とがんとし撤去に応じないそうな。老夫妻の居住なのに、埃の積もった子供の自転車が3台、とかね。「守る」「手放さない」のは別のものにしてほしいなあ・・と思ったものです。
あ、話題が別の方向へ行きそうなので終わりましょう。
第33回PFF、今日28日と、明日29日は当日券がございます。30日、表彰式は完売ですが、式のあとのグランプリ上映のみに参加可能な当日券の発売を行います。
まだPFF未体験の方、是非一度ご参加ください。

2011/09/24 14:23:11

折り返し地点に到達しました

今日は開催五日め。丁度中間地点に到達しコンペティションプログラム一回目の上映の八つのうち四つが終了。これから五つめのプログラムの上映が始まります。同時に招待作品部門最後のプログラムが、今夜、黒沢清監督と廣原曉監督を迎えて行われます。また、今日はカルトブランシュの日でもあります。3時から、地下小ホールで、『生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言』を見て、河瀬直美監督が語る時間です。
2階はPFF、地下一階はカルトブランシュ。涼しい風が秋を感じる土曜日。ひととき浮世を忘れて映画三昧いかがでしょう。銀座の歩行者天国もいい気分で散歩できますよ。ご来場をお待ち致しております。

2011/09/23 09:01:28

当日券あります

前売り券は、上映日の2日前までの販売で、残りは当日券に回ります。例えば、本日のプログラムの前売りは21日で終了しました。間の一日は、当日券に回すためのシステム上どうしても必要な時間です。そして、表彰式を除く全プログラムが、当日券販売を予定しています。本日の3つのプログラムも、当日券ございますので、是非お越しください。

さて、共同開催のフィルムセンターの力なしには集められない状態のいいプリントで傑作を上映できた招待作品部門も、明日24日で終了し、後半のPFFはコンペティション部門のPFFアワード一色になっていきます。全回、監督、スタッフ、キャストの来場が予定されています。大スクリーンで日本の最新映画を堪能してください。HD作品の急増により、8mm作品時代が遥か昔のような感覚に陥り、スクリーンを見ながら茫然としたりする私です。
そして、クロージングナイトを飾る第21回PFFスカラシップ作品『恋に至る病』のお披露目には、木村監督はもとより、我妻三輪子さん、斉藤陽一郎さん、佐津川愛美さん、染谷将太さんと4名が揃い、賑やかな舞台挨拶が実現します。
30日はいよいよ表彰式。こちらのみはチケットが売り切れですが、式が終了したのち、グランプリ作品の上映のみの当日券を発売する計画があります。発売時間など詳細は追って会場および、HPのニュースとして発表しますのでお待ちください。

いよいよ中盤となる第33回PFF。本日の招待作品は14:30『青春の蹉跌』と長谷川和彦VS岩井俊二、そして17:30『太陽を盗んだ男』と長谷川和彦VS河瀬直美。二度とない映画と人の組み合わせの一日となる予感。お出かけください。


2011/09/22 01:13:32

いよいよコンペティション部門「PFFアワード2011」上映開始です

初日&二日目と招待作品部門の上映が続いた第33回PFF。
本日からコンペティション部門の上映が始まります。
ノミネートは17作品。各作品とも、二回上映で、一回は土日あるいは夜の回、もう一回は平日昼間の回の上映です。毎回、監督がお越しくださり、トークを予定しています。また、お配りするアンケート用紙(今後の宣伝のために、みなさんがどこで上映情報を得ておられるのか知りたいのです)の裏面には、作品への感想をお書きいただく欄を設けていますので、当日直接お話しなさるか、書いていただくか、つくり手へ何か伝えていただけると嬉しく思います。会場の様子は、本年も、昨年に引き続きカメラマンの内堀さんが報告してくださるフォトブログを特設しました。アワード監督たちの来場の様子も素早くあげていきますのでお楽しみに!

そして昨日は、ものすごい暴風雨の中、『サタンタンゴ』上映を完遂しました。が、実は、万が一、上映中断を余儀なくされる事態に備えて、代替上映の場所を探しました。"字幕投影"という、通常の会場では対応の難しい課題のある上映ですのであまり希望は持っていなかったのですが、渋谷に新しく誕生した「オーディトリウム渋谷」が名乗りを上げてくださり、ほっと安心。更には、フィルムセンター上映が無事終了の見込みになったにも関わらず、上映を希望してくださり、緊急上映を決定することになりました。
9月30日、深夜零時からスタート。朝8時終了?という計画です。詳細は、本日アップ予定のオーディトリウム渋谷HPでご確認ください。当日券のみ。値段はPFFと同じです。
しかし『サタンタンゴ』、今の日本で観ると、異様に浸みます。資本主義社会における棄民の話として読むと、あまりにもタイムリーでぞっとするほどです。夜こそ元気になってしまう方など、是非30日の天使の贈り物のような上映にご参加いただければと思います。

今日はコンビニで2857円の電気代を支払ってきました。最近出現した「太陽光促進付加金」という項目。ちょっと前までは他の名目だったな~、と、また「カムイな現代」を考える夜。そんなことを考えてる場合ではない始まったばかりのPFF。今日から本格的に多くのつくり手が集います。ぜひ一度ご参加ください。

2011/09/21 09:08:50

『サタンタンゴ』上映します

本日の『サタンタンゴ』上映行います。
昨夜からお問い合わせいただいておりますが、今日も変わらず第33回PFF開催します。
正午から始まり、7時間半で間に2回15分程度の休憩ですから、8時見当の終了です。
昼食を済ませてお越しいただき、「映画を4本ほど続けてみる」、という気持ちでいてくだされば、あっというまに終わりましょう。(念のための首枕のご用意などもいいかもしれません)

昨日は、PFF初のピアノ演奏つきクラシック映画の上映を行いました。柳下美恵さんの演奏による『限りなき鋪道』『陽気な巴里っ子』。『陽気な巴里っ子』は85年前、『限りなき鋪道』(当時の銀座の街が目がくらむほどしっかり記録されています)は77年前の作品とは俄かには信じられないフレッシュさ。撮影技術も息をのみます。
そして、ピアノ演奏つき上映って、素晴らしいですね。と再確認。また、画面にあわせて片手でピアノ演奏、片手でちょっとした小道具を使っての効果音の制作など、ピアノ奏者とは演出家でもあることと、その技術にもほれぼれしました。
そして、『陽気な中尉さん』の日本語字幕の日本語が、現在、俄かには理解できないこと!日本語の変化にも、改めて気づかされます。劇中の手紙も、手書きの日本語に変えている素晴らしい工夫に溢れているのですが、達筆すぎて、読めない・・・80年という年月で、言葉とはこんなにも変わるのか・・・と実感しました。
「映画とは教養である」「映画とは歴史の記録である」と言われることを実感した午後のあとには、最新作『ハラがコレなんで』で石井裕也監督をお迎えしました。この回では、「映画は出来たときすぐ観る、リアルタイムで観る」ことのできる幸せを、改めて実感しました。
って、主催者が感想文かいてどうする!とつっこまれそうです。

本日の『サタンタンゴ』は、ドイツでみつけたドイツ語字幕つき上映。ニュープリントのような状態のいいものではありませんが、貴重な機会です。是非ご体験ください。


2011/09/20 01:39:56

始まります!

というわけで、9月20日PFF初日がやって参りました。
本日は、映画史に輝く名作『陽気な中尉さん』で始まります。ルビッチをPFFで上映する日が来るなんて、嬉しい!ありがとうフィルムセンター!とワクワクしてる(主催者なのに)私です。
そして追いかけて、ルビッチと成瀬のサイレント作品二本立てプログラムを大盤振る舞い(と自分で言う)!。『陽気な巴里っ子』と『限りなき鋪道』。いつの時代も、山ほど国内外の映画をみて自分の映画を追及していた日本の映画監督たちの息吹、が伝わるプログラムになるといいなと、そんな企画です。ピアノ演奏を柳下美恵さんにお願いしました。

そんな優雅で楽しい午後の後、オープニングナイトには石井裕也監督の最新作『ハラがコレなんで』の特別プレヴューです。『ハラがコレなんで』は仲里依紗さん主演。今回の石井作品は"奇跡"が起こります。11月の公開を前に、海外映画祭からの招待も相次ぐ『ハラコレ』ですが、カナダのバンクーバー国際映画祭では、今年一番面白いアジア映画ということで、アジア映画特集のクロージング上映作品に決定しました!監督もカナダに飛びます。勿論、今夜、PFFにもお越しいただきます。

石井監督と言えば満島ひかりさんとかえってくることが多いわけですが、満島さんも出演なさっている『一命』を先日ひとあし先に拝見しました。今回最終審査員をお引き受けくださった瑛太さんと夫婦役を演じておられます。ご存知のように、こちらは小林正樹監督の『切腹』のリメイク。白黒映画がカラーの3Dになることも話題です。昔、『切腹』にあまりにも驚いた私は、滝口康彦さんの原作を探しました。「異聞浪人記」。同時に、同じ小林監督の『上意討ち』にも茫然として、読みました。同じく原作となった滝口さんの「拝領妻始末」。そして、「江戸時代、暗黒・・・江戸時代ひどい・・・」と思いながら、他の"江戸もの"を通し(池波正太郎、杉浦日向子、藤沢周平などなどなど)「江戸在住の一部の人たちはそうでもない暮らしを得ていたのかも・・・」とも感じ月日が経ちました。
が、今回、『一命』を拝見して、再び甦るあのショック。同時にもっとショックだったのは、「あれ?今って江戸時代とかわらないかも?」という現実。江戸時代が終わって150年が経とうとしているのに、この400年、実際の政治や社会の構造は何も変化してないのでは?と愕然と気づかされる映画でした。『一命』。思わず「カムイ」を読みたくなりました。

なんて、これから公開される映画のことに話してる場合ではないのです!
本日から30日までの10日間(26日月曜日はフィルムセンター休館ですのでご注意ください)展開します第33回PFF、ぜひお越しください。


2011/09/19 10:06:16

明日開幕!第33回PFFぴあフィルムフェスティバル

 「節電解除」で会場運営に心配がひとつ減ってほっとし、最終審査員の瀬々監督、塚本監督、そして『恋に至る病』に出演いただいている染谷さんのモントリオール&ベネチアでの受賞を喜び、ユーロスペースや山形や東京など大小さまざまな秋の映画祭の情報の到来にときめいているうちに、あっという間に初日が・・・
ここでお知らせです。
フィルムセンターで開催する映画祭では異例の「全席指定制」のPFF。前売り券発売は、上映2日前までチケットぴあにて可能です!つまり、明後日、21日の『サタンタンゴ』はまだ前売り券購入可能です。今回は、主催者側(私たちです)には残念ながら、まだ表彰式しか完売してません・・・是非前売り券をお求めになり、ゆったり気分で会場へお越しください。
というのも、フィルムセンターには厳しいルールがあります。映画を最初から最後まで十全に満喫していただくために、上映開始と同時に、当日券の販売は終了。つまり、遅れて会場に到着すると、当日券は購入できないのです。が~ん!
そんなストレスから解放されるためにも、前売り券の購入をお薦めするPFFです。
*そして、前売り券で完売となりますと、当日券の発売はありません。

明日はPFFでは珍しい、ピアノ演奏つき上映です。初日20日と翌日21日は、「BLACK &WHITEの誘惑」企画。白黒映画を満喫です(余談ですが、英語と日本語では色の並びが逆になるのが面白い)。実は3日目、22日の『七人の侍』は、この「BLACK &WHITEの誘惑」企画に半分重なり、塚本監督のトークが、もうひとつの企画「映画のレッスン」に重なるという、翌日からの「映画のレッスン」へのブリッジのようなダブル企画でもあります。とっくにお気づきだったでしょうか?更に、『七人の侍』は、昔も今も、世界で最も有名な日本映画。世界を視野に入れる活動が必須となるこれからの日本の映画人にとって未体験では済まされない作品として、スクリーンでこの作品を観るチャンスの少ない新世代へのブリッジとしての上映でもあります。
そして、白黒と塚本監督というと、思い出すのが、数々の塚本作品とあわせて、『ウルトラQ』。60年代初期テレビシリーズの傑作です。勿論、白黒。塚本監督の『ウルトラQ』愛は有名ですが、なんと『ウルトラQ』着色版が発売になりました!うわ~観たいような怖いような・・・実は『ウルトラQ』偏愛の私の心は揺れる・・・と同時に、映像着色の技術が、放射能汚染をひとめでわかる着色、につながる部分はないのか考えてしまいます。
色、あるいは臭いを着けることができれば、現在私たちの生活を脅かす"みえないもの"のひとつが確実にわかるようになれば、改善そして改革への状況は大きく変わると思えてなりません。

ともあれ明日から30日までのPFFで、映画と人と新しい出会いと新しい発見が訪れることを願って、ただいま会場準備真っ只中です。

2011/09/06 22:20:47

長谷川和彦監督に2プログラム登場いただきます

第33回PFF招待作品部門「映画のレッスン」に、長谷川和彦監督が2プログラムに渡り参加くださいます。9月23日金曜祝日、午後2時30分からの回と夕方5時30分からの回です。
まず、最初の聞き手は、岩井俊二監督。長谷川監督の脚本作品『青春の蹉跌』上映後のトークです。
岩井監督にとって、『青春の蹉跌』は青春映画の金字塔、オールタイムベストの一作だそうで、長谷川監督に当時のことを含め、映画製作や世相、そして、映画監督作品について様々にお話を聞いてみたいということです。
そして、長谷川監督は、岩井監督の『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』を93年の日本映画監督協会新人賞に強く推したときから、ずっと注目なさっていたそうです。
そんなお二人の初めての映画談義。きっと映画のみならず、広く深く拡がっていくのではないか・・・と予想します。
二番目の聞き手は、河瀬直美監督。長谷川監督の『太陽を盗んだ男』上映後のトークです。
河瀬監督の『沙羅双樹』は、長谷川監督旧知の山崎裕カメラマンによる撮影。それを観た時に「かつて草月ホールで観た自主映画を現在にみているようだ・・・」と驚かされたという長谷川監督。一方、河瀬監督にとって、長谷川監督は、伝説の人。今、一番興味のあるフィクションにおける俳優の演出について聞いてみたいことが多いそうです。

岩井監督、そして、河瀬監督。どちらも強烈な個性と美学を持ち、パイオニアとして道を切り拓くおふたりと長谷川和彦監督がどんな時間を展開するか、企画したこちらもスリリングで、日に日に期待が膨らんでいます。
また、『青春の蹉跌』と『太陽を盗んだ男』を連続でスクリーンで観るチャンスも、かなり稀少。多くの人に参加いただきたいと願っています。
あ、最後に、長谷川監督には、1981,1982,1984,1985,1986年の5回、PFFアワードの審査員を務めていただきました。当時は審査員がマイベスト1を選ぶシステム。当時長谷川監督が推薦した作品も後日ご紹介いたします。


2011/09/03 17:49:39

『生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言』一週間に3回上映!

あらら。上映を決定した時には全く予定のなかった『生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言』が、同じ週に3回都内で上映ということに・・・
まず、9月19日敬老の日に、池袋・新文芸坐での「追悼・原田芳雄」にて。次に、9月23日、渋谷・ユーロスペースにて「イメージ福島」特集の1作品として。そして、9月24日、京橋・フィルムセンター地階小ホールにて「カルトブランシュ」で「男と女」というテーマのもとに。全く違うテーマで3か所で上映される、恐るべし『生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言』!です。

9月24日は、PFFの企画です。昨年から参加している学生のための映画イベント「カルトブランシュ」。映画の上映+選者による対談で、映画を更に楽しむ時間を提供する企画。今回は、第33回PFF開催期間を含む、3回の土曜日の、午後3時あるいは3時半から開催です。
●9/17 15:30~ 『さらば愛しき大地』(柳町光男監督)富田克也監督と城繁幸氏がセレクトして対談。テーマは「ロード"サイド"ムービー」
●9/24 15:00~ 『生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言』(森崎東監督)河瀬直美監督がセレクト。木下雄介監督が聞き手。テーマは「男と女」
●10/1 15:30~ 『スワロウテイル』(岩井俊二監督)VERBALがセレクト、窪田崇監督が聞き手。テーマは「インターナショナライズされ続ける日本の未来を綴る、プロティック・ムービー」
河瀬監督は、この、カルトブランシュと、PFFの招待企画「映画のレッスン」での、「太陽を盗んだ男を観て、長谷川和彦に聞く!」回にも登場くださいます。奈良在住の河瀬監督。東京滞在の短い日々にハードワークさせているPFFです・・・

『生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言』は、名古屋のキノシタ映画製作。DVD発売の予定はありません。旅の踊り子(倍賞美津子・本作で日本アカデミー賞主演女優賞を受賞)と、原発ジプシー(原田芳雄)を中心とした濃厚な群像劇。主な舞台は、もんじゅくんの福井です。
『生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言』をみたいと常々思っておられた方、是非24日のカルトブランシュへお越しください。と宣伝してみました。
(6回も作品タイトル書いたのも、初めてかもです・・・)

話はかわりまして、昨日タル・ベーラの名前について書き漏れていた追記です。
英語での表記は「BELA TARR」それで、翻訳されると「ベラ・タール」となるのでした。


2011/09/02 15:09:33

タル・ベーラという名前

第33回PFFで、『サタンタンゴ』7時間半の上映が決定しました。
9月21日(水)正午から、間に2回の休憩を入れ、午後8時終了予定で組みました。
フィルム上映で、日本語字幕はビデオ投影です。
そして、上映可能なプリントを世界中に尋ねて、遂に見つけたのはドイツ語字幕つきプリント。
ですので、ドイツ語字幕もついています。ドイツ人のご友人お知り合いにも、是非お薦めください!

PFFでタル・ベーラ作品を紹介したのは、1984年。『秋の暦』です。日本で最初のタル・ベーラ紹介でした。そのとき私はPFFに居ませんが、話を聞くと、ハンガリー大使館の全面的な協力のもと、プリントの手配や、カタログの製作など、進めたそうです。
タル・ベーラという名前も、大使館に相談して、日本語読みを決定したということで、今でも時々話題になる「どう読むのが正しいのか?」について、PFFでは「タル・ベーラ」を採用です。

ハンガリーは、日本と同じく、姓が先で名前が後。「タル・ベーラ」は、この習慣を踏襲して、苗字のタル、名前のベーラ、という順番です。「タール・ベラ」という音のほうが近いという説もあるそうですが、ご本人が来日したときに、「タル・ベーラさん」と紹介されることに異議は唱えなかったということです。しかし欧米では、名前が先で苗字が後という習慣の国が多く、英語からの翻訳では、「ベラ・タール」と記載されること多いですね。

今年は9月のPFFの『サタンタンゴ』(日本でDVD発売の予定はないようですから、貴重なチャンスになりますよ!)、12月の東京フィルメックスでの新作『ニーチェの馬(原題直訳は『トリノの馬』)』お披露目と監督の来日、と、タル・ベーラな年末になりそうです。
自身の最後の監督作と語っている『ニーチェの馬』の劇場公開は来年。盛り上げていければと思います。


2011/08/19 01:24:24

間もなく、公式サイトリニューアルです

昨日から、沢山のお知らせが続くPFFです。

1:「バルト沿岸5カ国と日本との共同制作フォーラム」の詳細をアップしました。
海外在住の日本人でも応募可能です。
必要なのは、まず、つくりたい映画の企画と、熱意です。そして、英語で展開される日々ですので、言葉のコミュニケーションの出来る人が望ましい。
2:間もなく、PFFアワード2011の最終審査員を発表します。
3:追いかけて、第33回PFFの詳細を網羅しリニューアルした公式サイトをアップします。
&映画祭チラシも完成が近づいています。8月25日から、都内への配布を開始します。

いよいよ開催一ヶ月前となった第33回PFF。
現場の運営準備はこれから本格的に始まります。今年は初めてのボランティアスタッフ募集も行っています。多くの出会いを期待しています。

2011/08/10 23:06:46

日本映画がすごいことになっているのです

招待作品発表と口走りながら、まだ発表できてないのは、まるで天使か悪魔かに魅入られたように、プリント探しに翻弄されている某作品の存在からです。
心臓に悪い日々ですが、もう後がない!明日には決定です。

同時に本日は、11月に遠くリトアニアで開催されるワークショップの打ち合わせをして、いっとき、プログラミングの深い穴から逃避していました。
リトアニアに、バルト海沿岸諸国と、日本の才能が集合し、合作映画のワークショップを三日間に渡り実施しようという企画で、PFFが日本の窓口を務めることになりました。応募締切を今月末とし、来週には公募告知の予定です。

その打ち合わせの席で、この二か月PFF漬けだった私がうかつにも見逃していたことを教えられました。今、日本映画がすごい。と。
5月のカンヌ国際映画祭に2本、ただ今開催中のロカルノ映画祭に2本、間もなく開催のモントリオール世界映画祭に2本、ベネチア映画祭に1本、サンセバスチャン映画祭に1本、と、これだけ多くの映画祭のコンペティションに、日本映画が選出されているのは、前例がないのです。驚愕の数字と言えるでしょう。更に付け加えまして、手前味噌のようで恐縮ですが、来月のPFFでご紹介するPFFアワード2011作品から3作品が、10月のバンクーバー国際映画祭と釜山国際映画祭のコンペティション部門への招待が決定しました。各映画祭の情報解禁日にはお知らせ致します。
と、ここまでで11作品。これからベルリンも選定に来ます。一体一年間でどれだけ国際映画祭のコンペティション出品記録を更新をするのか日本映画!
映画祭は映画の世界の一部ですが、時代を少し早く反映する場所です。ジャーナリストの方々に、是非、この新記録を取材してもらいたいなと思いました。

が、やっぱりPFFに思考が戻ります。
少しでも早く皆様にプログラムを発表できるよう邁進します。

2011/07/30 01:59:53

PFFプログラム、かなりみえてきました

今週は結構必死でした。・・・なんだか間抜けなこと言っててすいません。
ここで「決定です!」と晴れやかにプログラム発表することが目標でしたが、未決部分があり残念な夜です。
本年のプログラム、新作映画の上映は、PFFアワード17作品と、PFFスカラシップ作品、そしてもう一作を間もなく発表します。
恒例となりました、旧作を参考上映しながら映画をより深く知るプログラム、も、今年は充実しそうです。長谷川和彦監督、黒沢清監督、岩井俊二監督、河瀬直美監督らから次世代へ伝承する企画、を練っています。
また、ふたつ、びっくりプログラムを実行できるかどうか、予算との戦いも進行中。こんなときに「国会運営年間予算一千億円」という桁の違う話を聞かされると、利子の一部でいいからわけて~!と涙がぽろ~りこぼれてきます。(←国会運営予算貯金されてるわけではないので利子はないですが)

先日お話しましたが、週末に岩手県田野畑村岩泉町、宮城県南三陸町歌津、東松島、など廻り、その直後に「東北三県から自衛隊撤収」のニュースを聞き、大変な作業が地方自治体にかかっていることを痛感しました。瓦礫の撤去は生半可な重機や人手では足りないと実感しました。瓦礫にしろ、放射性廃棄物にしろ、ゴミの捨て場に茫然とする日本の現状。実は私もゴミ問題に直面。放射能除去機能を持つ浄水器を設置するか?と考え、しかし、そのフィルターを廃棄する場所が決まらなければ、単なる汚染源を増やすだけだ~、と実行できません。汚染されたものの安全な廃棄場所が無い、が、さまざまな除去装置は販売されている・・・・生活って、ほんとに難しいですね。映画祭のプログラミングは、比べて何と明快なことでしょう。みせたい映画+みせたい映画祭、の結びつきですもの。
というようなことを、今週来日した釜山国際映画祭アジアプログラマーのキム・ジソクさんと話しながら考えていました。9月のPFFのあとは、10月のバンクーバー、釜山、山形、東京国際、11月の東京フィルメックスと、PFFと縁のある映画祭が立て込んでいます。国内の映画祭の競争もなかなか熾烈な昨今ですが、大きな国際映画祭は、作品のプレミア合戦がヒートアップし、情報収集に余念がありません。5月のカンヌ、8月のロカルノとベネチア、9月のトロント、10月の釜山に、1月のロッテルダムと2月のベルリン。出品する側も、映画祭が競合するシーズンは、出品駆け引きの季節です。勿論PFFアワード2011作品も、出品営業開始しました。

話は変わりまして、繰り返しのお知らせです。
情報誌ぴあの休刊で、PFFも終わるのではとご心配くださる方、多いです。
PFF事務局は、現在、ぴあ編集部とは別の運営ですので、大丈夫です。変わらず継続していきます。ご安心ください。チケットぴあ始め、ぴあも活動変わりません。更に、私の将来の心配をいただくこともあります。ありがとうございます。恐縮しています。311で変化を余儀なくされた日本。映画も今後変化します。きちんとみていきたいと思っています。


2011/07/24 16:11:34

雑誌「ぴあ」の最終号販売中

雑誌「ぴあ」の最後を飾る特別号が先週書店に並びました。おまけに39年前の創刊号復刻版がついている豪華な一冊です。
「ぴあ」という雑誌名と、「ぴあ」という会社名が同じなために、「ぴあという会社が終わるのでは?ひいてはPFFが終わるのでは?」というご心配をおかけしている気配を感じていますが、終わるのは雑誌だけですので大丈夫です。
無くなると不便を感じる雑誌ぴあ。完全保存版のぴあ最終号是非お買い求めください。
そして、なくなる前にPFFも是非一度ご体験ください。九月二十日から十日間に向け、映画祭貯金をどうぞよろしくお願いします〜!でもPFFまだ続くんですけど。”現在進行形”のときに話題になりたい私たちです!
なんだか宣伝な内容になってしまいました…
ここ数日は、以前少しお話した「映画屋とその仲間たち」の有志との岩手宮城まわりに初参加できました。車を運転しない私には大型車での移動そのものも得難い体験でした。デコトラが皆無なことが淋しかった深夜の高速道路です。

2011/07/23 11:37:04

スカラシップ作品クランクインしました

第21回PFFスカラシップ作品いよいよ撮影開始しました。監督は木村承子さん。PFFアワード2009にて『普通の恋』で審査員特別賞を受賞。このスカラシップ史上二人目の女性監督が挑むのは、作品タイトルともなる『恋に至る病』。四人の登場人物を我妻三輪子さん、斎藤陽一郎さん、佐津川愛美さん、染谷将太さんが演じます。この顔ぶれだけで、ゾクゾクと期待が高まる私です。
そして、本格的な映画製作は初体験となる木村監督をがっちり支えるのは、撮影監督:月永雄太さん、録音:村越宏之さん、美術:井上心平さん、音楽:アーバンギャルド、編集:増永純一さん、助監督:菊地健雄さん、製作担当:和氣俊之さんらです。『恋に至る病』のお披露目は、映画祭の最後を飾る9月29日最終回を予定しています。チケット発売は8月中旬予定。その他の招待作品は、まだまだ練り込みちゅう。すいません。もう少しお待ちください。が、ひとつだけ発表しますと、『太陽を盗んだ男』を、長谷川和彦監督はじめ豪華ゲストをお迎えして上映致します。ご期待ください。

2011/07/19 17:01:49

原田芳雄さんのことで頭がいっぱいです

第33回PFFの会場となるフィルムセンターに打ち合わせに行ったあと、「この風景はどこかでみたぞ・・・」とSALEの看板の目立つ銀座を歩きながら、思い出そうとしていました。あ!とうろたえたのは、なんのことはない、昨年まで、まさにこの時期にPFFを開催していた、その風景の記憶だったのです。
思えば暑い毎日でした・・・・「夏フェスだったのだなあ~」と今頃実感です。
そして、今年の会期は9月20日から30日。何と、もう、開催二ヶ月前になってしまったのに、あまりに高濃度な「PFFアワード2011」ラインナップ決定に押され、招待作品の決定に遅れが生じています。明日にはオフィシャルサイトのプレオープンとして、アワード17作品を写真つきで紹介し、招待作品決定次第アップです。

「2ヶ月前だ2ヶ月前だ」と、呪文のようにつぶやいていたら、原田芳雄さんの訃報が襲いました。自分でも驚くほど悲しい。映画の記憶は原田さんと共にあったと言ってもいいのかも・・・と非常にうろたえました。ご本人にお目にかかったのは、黒木和雄監督の『美しい夏キリシマ』をPFFでご紹介させていただいた時のみで、それはもう話かけるどころではありませんでしたが、監督たち始め、これほど多くの方に愛される俳優はいないのではないかと感じていました。
『美しい夏キリシマ』は、仙頭武則プロデューサーが、黒木監督に「ご自身の一番辛い記憶を映画にしてみるという新たな挑戦はどうですか」とお話になったところから始まったと聞いたことがあります。新たな挑戦をする時に、側に居てほしい俳優。そんな人のような気がする原田芳雄さん。昨年の若松孝二監督の特集では、阪本順治監督が原田さんの輝く『寝盗られ宗介』を選び、この作品に思い入れの深い若松監督は大変喜んでおられました。その阪本監督の『大鹿村騒動記』が原田さんの遺作となりますが、まだ暫くは平静に観ることができそうにありません。

2011/07/08 21:03:45

「PFFアワード2011」入選作品を発表します

ニュースにて、「PFFアワード2011」入選17作品を発表致しました。
作品の詳細は、来週アップする第33回PFFオフィシャルサイトにてご紹介します。

本年は長編の力作が溢れ、最終決定まで誠に悩める日々が続きました。そして、現在の日本で「自主映画とは何か?」について、更に考える日々ともなりました。(余談ですが「PFFアワード」は短編でも中編でも長編でも全てOKの映画祭ですよ!)
まず、近年感じていた「俳優陣の充実」に、驚くべきものがあります。
また、DV、家庭崩壊、近親相姦など、シリアスな題材の映画化への巧みな技に息を飲むことが重なり、自主映画=無邪気な、あるいは稚拙でひとりよがりな映画、という過去からのイメージはほんとうに間違っていることを改めて多くの方に知らせたくなりました。
同時に、エンターテインメントへの挑戦とその成功に感心し、一方で、実験的挑戦的な作品の増加にもときめき、ひとことではお伝えするのは難しい、誠に多彩な映画を浴びるように拝見できました。
そして、入選作品は、もし言葉にすれば、「この作品を超えた豊かな未来」がみえる、「可能性が強く匂う」映画たちなのかもしれないと思いました。
勿論、これら17作品には、それぞれ美点と同時に、欠点も溢れています。が、「もしかしたら誰かを驚嘆させる力」を持つ可能性が少し高い作品たちであると言えると考えています。

応募いただいた作品の多くが、しっかり地に足をつけて、何かを伝えようとしていました。
コンペティションという定めのもと、作品を"選ぶ"のは、16名のセレクションメンバーにとって、重い毎日でしたが、ここには今みるべき映画が全てあると言っても過言ではないと思います。
これから、HPや映画祭チラシでの作品紹介で、ご自分の肌にあいそうな作品を選び、9月20日~30日の第33回PFF(ぴあフィルムフェスティバル)で、是非体感して欲しいと願っています。

2011/07/08 12:40:34

いよいよ今夜

今夜零時までに「PFFアワード2011」ラインナップの発表をすべく、事務局一同準備に邁進しています。
まずニュース欄で作品の発表を行い、このブログで今年の傾向をお伝えし、ご応募いただいた皆様には、郵送で詳細をお送りし、そして来週、いよいよ「第33回PFF」のオフィシャルサイトをスタートし、作品スチル含む詳細をお披露目します。

本年はかつてない力作の溢れる年となり、ラインナップ決定に至るまで嬉しくも辛い日々が続きましたが、自主映画ならではの熱と想いを、9月20日から始まる第33回PFFにて是非体感して欲しいと願っています。未体験の興奮をお約束します。

2011/06/19 14:40:55

知りたい

雨の多い季節になり、福島にも降る。「このままでは汚染水が溢れる」と発表され続けてはや何日・・・の福島第一原発の水の行方が、よくわからない。ということは、メルトスルーにあわせて、落ちて行ってるのかな汚染水?
映画の見過ぎ、想像しすぎでしょうか?
地下に浸みた汚染水は、どのようなルートでどのようなスピードでどこに拡がっていくのかを予測し、最悪の事態に備えるための対策団はつくられているのでしょうか?
その前に、汚染の拡がりを防止するための、土木建築による手立てを講じる部隊は作られているのでしょうか?
汚泥の保存場所("廃棄"とか"投棄"ではなく、数百年に渡る"保管"ですよねこの場合)確保の道程は?
それがどんな公式発表をみてもみえません。
多分、気を揉んで、何とかしたい専門家がたくさんいると期待しているのですが、どうすれば結集できるのでしょうか?

たとえどんなに深刻であろうと、現実を知りたい。
今、何が起きていて、最悪の場合どうなるのか。その想定される最悪を回避し、最善にするために、どんな対策と具体的な行動が行われているのか。
過去のレポートはいらないので、今の現実と対策と実行案を知りたい。と切実に思っています。
その上で、未来を安全にするためにかかる経費については「税金」という形で出してもいいけれど、過去の失敗の尻拭いに使われる増税はお門違いだなあ、責任者で何とかしなくちゃなあ~仕事だからな~って、もはや民意ではないかと思うのですがどうでしょうか?不詳の子の失敗に、仕方がないとお金を出す、哀しい親の図でしょうか日本国民?でも国政は子供には出来ないですからねえ・・・責任ある大人、それもものすごく重い責任を果たすことを期待された大人が何万人と取り組んでいる、対価も高い仕事です。衆参両議員722人&国家公務員94万5千人。そして地方公務員398万7千人。三人寄れば文殊の知恵と言いますから、これだけいればそのネットワークにも期待です。

と中学生のようなブログを書いてるのは、「若い映画作家が海外で生き延びるにはどうすればいいのか?」を応募作品を拝見する合間に考えてしまうからです。
映画のマーケット縮小は何年も前から言われており、共同制作もこれから益々盛んになるでしょう。その気があれば、どこで暮らしても映画を創ることは可能です。
まず「つくりたい作品があること」が大前提ですが、一緒に動く「プロデューサー」(あるいは自分がプロデューサーを兼ねても)と、「言葉」の問題を何らかの方法で解決できればOK。その前に、日本以外で暮らすことを楽しめるか楽しめないか、があるでしょうが、そんな悠長なことを言ってる場合ではないかもしれない現実です。近年、映画は世界的に「つくりたい」という根源的な欲求に立ち返る、そんな自主映画の王道の時代がやってきた気がしていますし、新たな一歩を踏み出してほしいと思います。
そして、言葉は、映画のためには圧倒的に「英語」。
企画書を日本語と英語で用意することを習慣付けることを是非お勧めしたいです。言葉で助けてくださる人、きっといます。探してみてください。


2011/06/16 21:53:20

ここでも即戦力が求められている?

NHK朝のヒロインに堀北真希決定というニュース。尾野真千子、井上真央、多部未華子、宮﨑あおい、池脇千鶴(敬称略)と、映画を観てきた人には「おお!」というキャスティングが続く近年。「新人発掘を映画に託し、安心できる女優を登用?」という図に見えなくもなく、いろんな場所で「即戦力」が求められる昨今だなあと感じます。テレビドラマをきっかけに、彼女たちの出演した映画を遡って観る視聴者が増えると嬉しいと同時に、映画もテレビも、次世代育成のゆとりを持てる状況を工夫しなくてはなと、自らの足元をみてしまいます・・・
 
今、渋谷ユーロスペースで公開中の『スリー☆ポイント』。自主映画作家の代名詞のような山本政志監督の新作に、明日は柴田剛、富田克也、真利子哲也のこれまた根性入った3監督のトークがあるそうで、「引き継がれる自主映画魂?」という感があります。歴史の伝承を目撃しに、明日、渋谷へ!みたいな感じでしょうか。
*富田克也監督の新作『サウダーヂ』は吉祥寺バウスシアターの「爆音映画祭」で、真利子哲也監督の『NINIFUNI』は東京テアトルで体験できます。
先日、生きる映画史のような犬塚稔(1901~2007)の自伝(ほぼ100歳で執筆)を遅ればせながら読み、脚本家、そして映画監督として、サイレントから映画の黄金期、そしてテレビ映画の時代まで知るその生涯が如何に稀有なものかを感じました。「歴史」。そこから発見できるものが多いなと昨今感じています。本年、第33回PFFは、映画の歴史を裏テーマに、プログラムを構成できなかと考えはじめています。
勿論、有無を言わさぬ歴史の"最先端"は、PFFアワード2011作品。これら作品を中心に、10日間でどんな映画の歴史を紡げるか、刺激的なプログラムを目指します。
そして、いよいよ仕事が切羽詰まってきたので、このブログ更新もプログラム発表まであまりできないことを予測。
また、これからは映画祭に集中なので、最後に、先日お名前をあげた菅谷昭松本市長のインタビューをご紹介します。

http://www.fng-net.co.jp/itv/index.html

 
インターネットの情報を検索してるとき、文字で起こされたもののほうが、映像をみるより時間がかからず助かる、と感じてる自分のゆとりのなさを知る昨今。文字起こしをしてくださっているサイト(「ざまあみやがれい!」や「みんな楽しくHappyがいい♪」「小出裕章(京大助教)非公式まとめ」など)はありがたい存在です...って、映画映像を生業にする身で、とんでもない発言すいません。
第33回PFFでは、た~っぷり映画映像の力、お見せします!

2011/06/15 02:31:55

映画の命は長い

岩波ホールで、伝説の『原発切抜帖』が上映されることが話題です。3年前に逝去された土本典昭監督の作品をここから体験なさる方が増える可能性を想像して、嬉しくなりました。また、ポレポレ東中野では、先月、伝説の『夏休みの宿題は終わらない』が上映されていました。そのほか、九州の熊本にある素敵な映画館、DENKIKANで、映画祭が始まるニュースをもらいました。

全国各地で、原発に関連する映画の上映企画が次々と生まれて来ている様子です。

そして、こんな時にしみじみ思うのは、映画の「保管」「保存」の大切さです。
制作されてから10年20年の時間はあっと言う間に過ぎていき、いざ、久々の上映となったときに、「作品の行方がわからない」「上映に耐えられない状態になっていた」ということは珍しくありません。
PFFでも、かつて、8ミリフィルムで制作された(=ネガとポジが同じなため、この世に一本しか存在しない)作品が、どこかの上映会に貸したまま紛失した。という悲しい話を何人かの監督たちから聞いたことがあります。

作品さえ残っていれば、今やその命に終わりがないようにできるのではないか?とすら思える昨今の修復や保管の技術。生まれた作品の命の継続に意識的な製作者が、この機に更に増えるのではと期待します。

話は変わりますが、ドキュメンタリー映画『蟻の兵隊』の主役、奥村和一さんが亡くなられました。PFF事務局が毎年3月に所沢ミューズで企画参加する三日間だけの映画祭「世界が注目する日本映画たち」で過去にご紹介した作品です。
この「世界が注目する日本映画たち」、本年は311の影響で中止となりましたが来春は再開です。ご期待ください。

2011/06/14 00:58:27

試験前の中学生のように

切羽詰まっているときほど、全く関係ないことをやりたくなりますよね。
今、現実逃避に、映画館で観たい映画リストや、新居のインテリア案なんかつくちゃって、「中学生か?」と反省している深夜です。悪くすると色鉛筆探しそうです。「小学生か?」です。シールも貼るか?そんな馬鹿をやっていると、暫く自分に禁止を誓った福島第一原発情報収集の封印を解くようなサイトが送られてきました。妊婦の友人から「辛いけど最後まで読みましたが、ご存知でしたか?」と。

カレイドスコープ http://kaleido11.blog111.fc2.com/

視覚に訴える力の大きさを実感する、直視するのに勇気が必要な写真。
妊婦や幼児を持つ親たちにとって、この現実はどれだけ重いかと想像します。子供の給食を断る手続きや、プールの日を休ませる手続きなど、都内でそれがいかにマイノリティーな行動か知るという体験談も耳にします。長野県松本市の菅谷昭市長のように、知識と経験と現実把握力と決断力と行動力ある首長に恵まれた市民の幸せを羨む声も多いです。
「知識と経験と現実把握力と決断力と行動力」のある、今、現実を改善できる人材が、そこまで枯渇しているはずはないと信じたい日本ですが、そもそもそんな人物を「探し出す」術がないのかも・・・「今何が必要か」わかっている人が探す立場にいないとそうなるなあ・・・う~む、仕事はしみじみ何でも同じだなあ、問題点も同じだなあ、と、改めて身に沁みます。
しかし、21世紀の子供たちを20世紀の価値観の犠牲にしては国が滅びますから、ここは知恵の集めどころです。大人は常にそこを考えて生きていかなくてはですね。
ああ、しかし、国が"滅びる"とか"亡びる"とか、ここまで現実感を持って言う日が来るとはなんだか嘘みたいです・・・・

ところで劇場公開中の映画ですが、『NINIFUNI』是非!

2011/06/13 18:59:55

のんびり上映、どうでしょう

フィリピンのマニラから、バスで6時間ほどの高地に、バギオという文化芸術活動の盛んな都市があります。山形国際ドキュメンタリー映画祭でもお馴染みの、キッドラット・タヒミック監督の住む土地でもあります。そこに移住した日本人の友人と15年ぶりに再会しました。
私自身はフィリピンはマニラとケソンに20年近く前(ひゃ)、インディペンデント映画の状況をリサーチに行ったことしかありませんが、そのとき、一日に何度も遭遇した「無計画停電」が印象に残っています。自家発電を導入している場所もありましたが、映画学校など、停電中は上映中止(試写をしてもらっている最中でした)で、庭の、マンゴーがたわわに生る木の下で、のんびりおしゃべりをしました。
今もフィリピンでは、無計画停電は当たり前(工場や病院など、切実に困るところには自家発電装置完備)、上水道完備なし水汲み当たり前、自然災害からの自己復旧当たり前、の暮らしを、無理せずゆったり過ごしているそうです。健康であることや、助け合いが重要な生活でもあるでしょう。
この夏、日本各地で強制的な節電や停電が実行されるかもという報道がされています。個人的には極小の電力消費生活なので、健康を害してない限り不便は殆どないかと思っているのですが、仕事のほう、「第33回PFF」会期中に、残暑厳しい日があるかもと想定しなくてはなりません。タイムテーブルを思案しながら、これまで想定しなかった場面をあれこれ想像します。「電気のない映画祭はどうなるか?」「万が一の災害避難はどうするか?」「情報発信方法はどうするか?」などなど。危機管理は、刺激的でとても面白い仕事です。
安定した変わらない日常をキープすることに使うエネルギーが、「必要な場面」と「そうでない場面」がある、としてもいいのでは?と、フィリピンの体験を思い出しながら、考えます。
世界で一番時間を正確に守る国という冠の揺るがない日本ですし、勿論、映画を予定通りご覧いただけるよう、万全を期して臨みますが、万一停電になったなら、「PFF会場でのんびりおしゃべりしたなあ・・・」とあとから懐かしめるような、そんな映画祭にしたいなと、考えました。「電気がないと大変なことになるぞ」と脅かされながら暮らすより、不便を楽しめる状態をつくりたい。映画祭に集うのは、そんな人たちでは?とも思います。

ところで、最近ぽかーんとしたニュースはこれでした。

 党のイメージ刷新を検討する自民党改革委員会(塩崎恭久委員長)は10日、中間提言をまとめた。「古い自民党」から脱却しようと素案で首相経験者の公認禁止や派閥政治との決別を明記したが、派閥幹部や首相経験者の反発に加え、石原伸晃幹事長も認めず、これらの項目は削除された。

 塩崎氏は10日の同委で「どれだけ改革のメニューを盛り込んでもつぶされる」と委員長を辞任。谷垣禎一総裁直属の同委による改革が骨抜きに終わり、派閥やベテラン議員による支配をかえって印象づけた。

 同委は5月26日に発表した素案で首相経験者の公認禁止と派閥政治との決別を目玉に据えたが、「塩崎君が派閥を抜ければいい」(伊吹派の伊吹文明会長)、「無所属でも勝つ。お好きなように」(首相経験者)と反発が相次いだ。
.
漫画みたい・・・
「これまで慣れ親しんだ暮らし」を「変える」ことを楽しんでいける、その変化の恐怖を和らげるサポートができるのが、エンターテインメントであり、文化芸術なのだろうなあと思いながら、あまりの現実のとんでもなさに、企画書や、脚本を書いておられる方々はお悩みではないかと想像します。
こんなとき、もしかしてはっ!とその悩みから解放される映画は、『ふゆの獣』?ドロドロ恋愛映画by内田伸輝監督。
何故か今、この映画が浮かんできました。

2011/06/13 12:10:36

ハラがコレなんで

いよいよ今週末公開のハッピー映画『あぜ道のダンディ』に続き、11月公開を控え仕上げ作業中の石井裕也監督の『ハラがコレなんで』。この新作の国内外映画祭への窓口をPFFが行うことになりました。昨年は『川の底からこんにちは』『君と歩こう』、今年は上記2作品と、複数の長編作品公開が続く石井監督。PFFのHPでも、過去に入選なさった監督の新作公開を紹介するコーナーがありますが、年に数本の公開が続く人たち、おられますね。是非、その秘訣を知りたいと思い、第33回PFFで何か企画できないかと考えています。
毎年なんとかしたいと思いつつ「PFFアワード」のセレクションと、PFFの招待作品の決定時期が重なることを避けられません。本年もいよいよ数種類の企画を推進するため、寝食を忘れ痩せることを願う日々がまいりました。あわせて本年も、カルト・ブランシュ企画をご一緒することになりました。第33回PFFの初日9/20まで、ざっと3か月。いよいよ企画のラストスパートです。アワードの入選発表は7/10までに、招待企画も、7月に順次発表を目指しています。
そんな中、インドのデリー来春開催されるアジア女性映画祭から、日本の女性ドキュメンタリー監督の特集をしたいという相談が来ました。日本のドキュメンタリーには女性監督が多い。フィクションより遥かに。拝見できてない作品も多く、推薦などおこがましいことです。同時に、レンタルショップや図書館で立ちすくむように、自分の観ていない作品の山に途方に暮れるとき、映画を仕事にする重さと、未知の世界を外からひらかれる喜びが湧いてきます。一種のマゾ?と自問自答する瞬間です。

2011/06/08 15:39:01

3兆円を6211万人で割ってみる

「PFFアワード2011」応募作品を拝見しています。作品と作品の間のリフレッシュに、ちょっとニュースをみてみたら、「原発を全て止めた場合のエネルギー生産必要経費年間3兆円」という試算が政府発表されたとの読売新聞ニュースが出てました。その経費は、電気代として国民負担になる。とも(←でも、それって現状と何ら変わらないんですけど・・・)。
統計局の本日時点での発表によると、実態の掴めない岩手、宮城、福島の3県の就労者データを除外して、現在の日本の就労者人口が、6211万人とのこと。
3兆円を試しにこの数で割ってみると、ひとり年間約5万円弱。月間4千円強。
しかし、今後送電網の自由化が早急になされれば、安全でずっと割安な小さい発電を私たちが個別に選択できる未来が間違いなくやってきますし、既にその未来は夢レベルではない確実なものですから、落ち着いて長い目でみれば、安心と安全を買う金額として、5万円をどう判断するか?の私たちの価値観にかかってくるなと思いました。
「3兆円」と言われれば、ひゃ~!と冷や汗でちゃいますけど、就労者が増えれば、金額も下がりますね。就労率は、決して高くない日本の現状を、ちょっとこの計算でも認識してしまいました・・・56パーセントです。新たなエネルギー産業が生まれれば、就業率も上がる可能性がありますし、新しいことを始めるときの幸福感は、更に何かを生むのでは、と期待できます。
やっぱりここでも「さよなら20世紀」進行したいです。自分の中の勝手なキャンペーン名ですけど・・・
と、そんなことを書いている私は、実は、文化芸術に時間とお金を使って惜しくないと感じる社会を望むものです。そのために働いているものです。ですから、社会のインフラが壊れて、その再生が最優先の状況に、文化芸術の可能性をどう導入できるのか、実は涙がぽろりとこぼれる毎日でもありますが、とりわけ40歳以下、特にこれから母親になる人たちと、10歳以下の子供たちがさらされている危険と、それが更に悪化する可能性を想うと、背筋が凍り今起こっていることから目を逸らすわけにはいきません。
同時に、映画を中心としたクリエイティビティの力についても、考えずにはいられません。
たとえば先日お伝えした、渋谷TSUTAYA4階のPFFコーナー6/25変更ですが、今回は、雑誌「ぴあ」休刊も記念して、「雑誌で知ってみに行った映画、あのときみてて、ほんとうによかった映画」ということで、『東京公園』の公開迫る青山真治監督と、『監督失格』話題沸騰の平野勝之監督に登場願います。
毎回不思議であると同時に感動するのが、作品をセレクションしてくださる方々のリストが、決して重なることがないことです。それはそれは見事に違います。こんなときにも、映画の豊かさと可能性を実感するのです。100人いれば100種の人生。それを昇華する映画という媒体は、多様な社会の賜物ですから、生まれ続けて欲しいと願います。

*青山監督が初めて舞台演出に挑戦する『グレンギャリー・グレン・ロス(GGR)』天王洲銀河劇場にて、明後日10日が初日です!


2011/06/07 00:39:05

雑誌の「ぴあ」が休刊です

紙媒体の「ぴあ」を定期的にご覧になっていらっしゃる方が、今これをお読みになっておられる方の何割かは不明ですが、ぴあ誌の1972年から約40年に渡る存在が消えるのは、ひとつの時代の終わりを象徴することは確かだなあと感じています。また、この、雑誌「ぴあ」創立者が、もともと映画監督志望の映研の学生たちだったことから、創刊5年後の1977年にPFFが始まるのですから、たとえ、インターネットの「ぴあ」は続いても、歴史上のある寂しさはぬぐえません。同時に、雑誌「ぴあ」がなくなることで、PFFもなくなるのでは?とご心配くださる方々がおられるのは、この雑誌とPFFが一体化したイメージだったのだと再認識させられました。

ご安心ください。PFFは続きます。

休刊の発表以来、さまざまな方々が「雑多なエンターテインメントの情報をまとめてみることによって、思わぬ映画、演劇、音楽など、自分の得意分野でないエンターテインメントに出会うことができた」という体験を語っておられました。私自身も、幸い雑誌「ぴあ」が傍にあるオフィスにいたことで、食わず嫌いに陥らなくてすんだかな?と思うところがあります。また、現在、第一線で活躍する映画監督の多くが、雑誌で情報を得ていた世代だと感じています。6月25日に更新する、渋谷TSUTAYA4階のPFFコーナーでは、その世代の監督に、たとえば「ぴあ」で偶然見つけて、「あ~あのときこの映画をみておいて、ほんとによかった!」と今でも思う作品を紹介していただく予定でいます。企画詳細決定次第お知らせします。

ところで、先日、海外映画祭関係者が相次いで来日する季節だとお伝えしたのですが、いくつか情報が抜けていました。
まず、ロカルノのディレクターの名前が抜けてました。昨年ディレクターに就任したオリヴィエ・ペールさんです。また、ニューヨーク・リンカーンセンターのリチャード・ペニャさんは、今回は、ND/NFの選定ではなく、秋のニューヨーク映画祭の選定のための来日でした。ちなみに、ND/NFは、「ニューディレクターズ ニューフィルムズ」と読み、春に、まだNYでは馴染みの薄い、少数厳選された世界の精鋭監督を紹介する企画で、非常に注目度&重要度が高いものです。

この季節、海外の方と会い、自分の英語力の低下を突きつけられる厳しい季節でもあります。英語に触れる時間が減ると、英語力は衰えていきます。観る映画が圧倒的に邦画になっているのが、いささか辛い原因のひとつでもありますが(ある外国語の映画&音楽を浴び続けるのは、かなりの語学訓練になります)、仕事柄、邦画圧倒的多数は止まらないでしょうから、あとは勉強です。大人になったほうが勉強しなくちゃいけないなんて、子供の時は考えてもみなかった・・・なんだかこの20年、このことばかり思います。子供時代は、勉強の習慣を着ける時期だったんですねえ・・・あんなに時間のあった子供時代に、このことを知っておきたかった・・・

2011/06/02 13:31:19

エンターテインメントの力

今ちょっと私怒っています。それはもちろん、馬鹿馬鹿しさ1万パーセントの内閣不信任案提出です。怒るとますます中学生化してくるので、幼稚なブログですいません。国の危機を何とかしたいというより、自分たちの存在の危機を何とかしたいという感じに、茫然とさせられます。更には、漫画や小説にあるように、「これって、大きな問題から私たちの目を逸らすための大芝居?」とまで思えてきます。映画の見過ぎですか?
全く報道されませんが、三日前にはコンピューター管理法=サーバー法案が通過していますし、3月には、年間2000億円の「思いやり予算」を5年間米軍に支払うことも決定しています。「過去からの声を継続する」ことと、「管理をすること」が仕事と思ってるんだろうなあ・・・という現実を感じます。具体的に、国政に携わる人々は一体これからどんなことをしたいのか、どんなビジョンがあるのか、具体的に何が失敗だと認識し、何をどう改善するのか、明確なものが見えません。そこが怖くてたまりません。何故なら、ビジョンのない人たちは、過去に固執し、変化を恐れるからです。そして、国政に携わる人たちは、権力と国家予算を持っているのです。

映画の学校などで、たまにお話することがあるのですが、繰り返し伝えたいと思うのは、「映画の仕事」も他の仕事も、この世の中の仕事は全部同じであるということです。目的があり、それに向かう準備と実行と結果がある。そのプロセスをより早く、安全に、確実に、そしてよりよく進めるために、技術と経験を身につける。あるいは、秀でた人の力を借りる。全ての仕事は、コツコツとした地味な作業の集積です。でも、どうも、映画の仕事には特別なものがあるという幻想がある。勿論「幻想があるうちが花」とも言えますが、そこにある「特別なもの」は、多分、映画に限らず、「どんな苦労も苦にならない」かどうか、ということなのではないかと思います。そして、そのことも、まず、コツコツと仕事してみないと、発見できません。
でも、政治の仕事は、このプロセスのない場所?と感じるのです。それも怖さの原因のひとつです。いや、どんな場所にも、まともに仕事している人はいます。まとめて一括りにしてはいけないですね。ごめんなさい。

そんな「仕事のプロセス」というものを、具体的に目撃できるのが、もしかしたら、日に日に拡大を続ける「シルク・ド・ソレイユ」かもしれません。1984年にモントリオールから始まって、現在、世界各地に常設劇場を展開するこの新しいサーカス。映画のサーカスのイメージから、その"哀しみ"(フェリーニの「道」とかね)が少々辛く足を運ばず、誠に遅れてきた観客となった私ですが、彼らの非常に高度な仕事の技術に感服しました。
人を幸せにするために、自らの肉体と技術を使い、素早く、安全に、確実に、そして見事なチームワークで表も裏も仕事する姿を、多くの人に見てもらいたいと、今頃言ってる私です。(小学生の時にみたら、きっと中学校では新体操部に入ったね!と一瞬思ってしまいました。まあ、有り得ないでしょうけど・・)
そして、エンターテインメントの力は「命がけの仕事に必ず伴う哀しみ」にあるのでは、とも同時に思いました。古いタイプのサーカスにある哀しみは「漂泊者の哀しみ」という面が強いのですが、「シルク・ド・ソレイユ」のパフォーマンスにも、ある種の哀しみが漂います。それは、人前で肉体をさらし緊張と美を持続する高度な仕事=エンターテインメントにおける特有の哀しみではないかと思います。そこが、エンターテインメントが、一過性の楽しみでなく、観客の人生の投影を受け得る、持続性のある喜びをもたらす、人類に不可欠なものであり続ける由縁ではと思いました。

ところで、最近は、映画『トゥモロー・ワールド』のことが年中頭にぐるぐるしてます。311以来、あらゆるディザスター映画が記憶の底から浮かんできてるのですが、最近はこればかりです。

2011/06/02 10:03:24

さよなら20世紀

「ざまあみやがれい!」というサイトが、日々充実してきています。
このサイトをみていると、心臓が痛くなって、呼吸困難を感じることもあります。何故そうなるのか、考えてみると、それは、認識するには困難すぎる現実と、死の恐怖、への体の反応なのではないかと思うに至りました。現実が、あまりにも怖い。しかし、現実は消えてなくなってくれません・・・
しかしこのサイト、タイトルだけみると「何?」とひいてしまいます。が、忌野清志郎のステージでの一瞬を記録した言葉だという説明に、安心します。
清志郎がエンディングテーマを歌っている映画を昨年続けて2本みて(『ちょんまげぷりん』と『酔いがさめたらうちに帰ろう』)清志郎のプロフィールに、逝去という言葉が出てこないことを知りました。この世界認識、すごいと思うと同時に、その存在に改めて打たれました。
怖いものは何もないように振る舞った20世紀は終わり、21世紀は、20世紀的手法は全く無力だと思い知らされることが相次いで起こっています。現実を再認識せずには、何も生まれません。過去の経験は、役立ちません。「黙って俺の言うことを聞け」的体質は、過去の遺物です。
PFFアワード2011の応募者は、1980年以降生まれが圧倒的です。これからの人生の人たちばかりと言っていいでしょう。まだ子供がいない人が多いでしょう。責任を先送りして、問題を先送りにする体質の仕事に、つかない、つけない人、受動的ではなく、能動的に生きようと志している人、ゼロから何かをクリエイトすることができる人が多いでしょう。しかし、主に昨年制作された今年の応募作品には、「何かが起きることを待っている」世界が多い。が、今、私たちはそれらの作品を「何かが起きた」あとで見ています。何かが起きたあとに生まれる映画。それは、来年、あるいは再来年に見ることができるわけです。私は、私たちは、今からそれが楽しみでたまりません。同時に、この状況で観てもすごい映画、との出会いも、楽しみでたまりません。
9月の第33回PFFでの上映作品、7月中旬には、招待作品も含め、ラインナップの発表を目指しています。ご期待ください。

2011/06/01 00:30:16

海外からプログラマーの来日する季節です

ただ今PFFアワード2011審査真っ最中の私たちですが、昨年まではこの時期、アワード作品のラインナップ決定後ひと月が経過し、英語字幕のあるものはそのまま、ないものは、同時通訳しながら、海外のプログラマーにお見せしていました。
ということを思い出したのは、6月、7月に来日する海外の映画祭の方々からの連絡が届き始めたからです。
バンクーバー&ロンドンの作品探しにトニー・レインズさんが、ロカルノ国際映画祭のディレクターが、NYのニューディレクターズ・ニューフィルムズのためにリチャード・ペニャさんが、釜山国際映画祭アジア映画プログラマーのキム・ジソクさんが、連続して来日します。追って、トロント国際映画祭、モントリオール国際映画祭と、続くことでしょう。どうやって各氏に作品をみてもらうか、これから取り組みます。

昨年10月のブログで、私自身の海外の映画祭参加の居心地悪さについて告白してしまいましたが、映画祭運営と、映画祭への作品出品との両立という自分の仕事のおかげで、映画祭を客観的にみる訓練もされているのかな・・と感じることもあります。
映画祭、特に国際的な大きい映画祭を使いこなすことが出来る人は、それほど多くはありません。そんな中で、河瀬直美監督は、ひとつの確固たるポジションを持った大きな存在だなあと、カンヌの報道をみながら、改めて思いました。同時に、世界の注目が集まる場所で、自分の創作活動のアピールをきちんとすることができる日本人のクリエイターが100人いたら、これからものすごく大きな力になるなあと、切実に思いました。
そんな人が増えるための活動の一端にどう寄与できるか、PFFの課題はまだまだ増えていきそうです。

2011/05/27 01:13:38

まさか我が身にこれが・・

起きるとは予想もしてなかったことが起きました。
国民年金支払いの確認書が届きましたら、見事にこれまで支払った年月の三分の一しか記録されていませんでした。かつて加入していた厚生年金に至っては、全く記録されていませんでした。
「これか~」とため息が出ちゃいました。
追い打ちをかけるように、クレジットカードの請求書が来たら、日本にいた日に、海外での買い物が記録されていました。
「出た~」と声が出てしまいました。
どちらも、解決までにどのくらい時間がかるのやら、やれやれです。
引っ越しも控え、仕事との両立に人生で二番目くらいに慌しい数か月が予想される昨今の私ですから、そんなときのいつもの妄想「家事をしてくれる人がほしい・・・」が湧いてきます。「執事いたらいいな~、『バットマン』シリーズのマイケル・ケインみたいな、夢のような執事~」とかね。そういえば、執事映画のベストの一本と言える『日の名残り』をモチーフにしたという最近の舞台『鎌塚氏、放り投げる』面白かったです。

が、まさか我が身にこんなことが起きるなんて・・・と茫然とする、なんて言葉じゃ全然足りない、そんなことを言う余裕もない、今回の震災と原発事故。3か月近くを経ても、正確に現実を把握して、対処方法を決めて、長期的な展望を構築して、ということにすら困難を極めている政府の様子をみると、年金問題と同じく、長い長い自民党政権時代に仕事の仕方を忘れてしまったんだなあ・・・硬直してしまったんだなあ心も体も・・・という現実を知らされます。そのうち仕事のカンを取り戻すことができる人もいるのでしょうが、そもそも仕事したことがない人の層のほうが厚い=取り戻すカンもない状態なのかもしれない~と笑うに笑えず、泣くに泣けません。とりあえず、議事録のない会議も多いことがわかってきましたし、震災と原発に関するすべての会議は、生中継いかがでしょうか?

今夜、「映画屋とその仲間たち」のボランティアバスが出発しました。
これから隔月で一年間、映画関係の有志がそれぞれ被災地で行いたい活動を持ってこのバスに乗り合い、それぞれ、現地との関係を結んでいくのです。発起人は二人の映画プロデューサー。ボランティア活動には団体名が必要なため、上記の名称です。PFF事務局からは、今回は1名参加しています。来週その体験報告を受け、次回7月から、この先長く続くことになるであろうPFFにとっての被災地訪問計画を固め、実行していく予定です。


2011/05/25 01:26:11

食い倒れが趣味です

無趣味な人間だと自分を思うのですが、もし"趣味"というのが「どんなに時間やお金をかけても惜しいと思わないこと」だとしたら、食べることが一番"趣味"に近いかな?とふと思うときがあります。
すごく健康に悪いですが、「食い倒れツアー」とか組んでしまって、国内外で「地元の人より詳しい!」という驚嘆の言葉をいただくことも度々あります。外食の機会には、つい店を選ぶ役を引き受けることが多いです。身を以て申し上げることができますが、健康にはよくない趣味です。バランスをとろうとか考えてしまい、自炊はとっても健康的なものをつくるんですが、まあ、根本的に食べ過ぎ飲み過ぎで、役にたちゃしません。

そんな私ですから、住むところ、旅するところには、美味しいものがあってほしいと願うので、美味しいもの率の高いアジアの映画祭に行くチャンスには、心が弾みます。一方、映画祭のメッカ、ヨーロッパは、あまり食指の動かない街が多いのが正直なところです。
しかし、流石にパリは美味しい店の多いこと多いこと。その期待でフランスの他の都市に行くと、美味しい店の少ないこと少ないこと。が、フランスと言えばやはり映画祭はカンヌ。「毎年PFF作品の出る映画祭がパリにあれば、少しは行く機会もあるのにな~」と、ちょっと残念であったりします。が、既に思い出になってしまったパリの美味しかった店の数々を思い出させた店が、人形町にありました。美味しい店の多い人形町(住もうと思っていたこともあります)ですが、その店は、フランス人のおかみさんがいるカフェで、おかみさんのご両親がパリで経営していたカフェの雰囲気をそのまま日本で再現したかったのだそうです。素朴でいながら繊細で温かい料理や、お店の人の人柄に触れると、食いしんぼうなら必ず通過している池波正太郎氏のエッセイに登場する、思い出のジャンの店は、こんな感じだったのではないか?とひとり想像したりします。

・・・美味しい、とか、思う、とかだらけの文章になってしまいました・・・・とほほ。
フランスのことを考えてしまったのも、まだカンヌのことを考えているからだと思います。特に、ラース・フォン・トリアーの記者会見をみて、映画監督の質疑応答について考えていました。
「質疑応答に答えることは、誰にでもうまくできるということではない」というのが、私がこの20年の映画祭生活で学んだことです。今回のトリアーに対する質問が聞けていないので、あの質疑応答について把握できているとは言えないのですが、映画祭運営の立場から言えば、「質疑応答が下手すぎる」監督です。
質疑応答はうまいほうがいい。なぜなら、素晴らしい話は作品をより一層輝かせるだけに留まらず、広く、映画監督や、映画というものへの敬意を生む、からです。
そもそも「監督は映画の完成責任者である」と「映画祭世界」では定義されています。プロデューサーではなく。
そして、監督の話を、その作品を観た上で更に聞くのは何故か?と言えば、映画監督という人は、その映画に現れた世界を更に超える、豊潤なもの持つ人であるとの期待があるからです。歴史、哲学、美学のみならず、今この世界への感応力や、ある種のシックスセンスも期待されていると言ってもいいかと思います。
映画監督、大変です。
企画から完成まで血を吐くような思いをした数か月のあと、更に、宣伝で、映画祭で、質問責めの数か月がある。
けれども、質疑応答の経験は、映画監督にとって、客観的に自分の作品を再把握できる、稀有なチャンスでもあると、映画祭は考えています。

2011/05/23 15:01:15

気づくとカンヌ終了していました

また一か月以上更新していませんでした。
(この科白、多すぎますね・・・)
その間に第64回カンヌ国際映画祭終了しました。
今年は、日本経済新聞の古賀重樹さんのレポートで、行かなくても行った気分になれるという評判です。
カンヌがらみでは、『一命』公開に向けて、現在ごく一部しか入手できない原作者・滝口康彦さんの著作が復刻されることを願っています。

年明けに家族に不幸があり、それに続く311と、歩いて戻った自室のモノのすさまじいでんぐり返りなどで、なんだか薄闇の中にいるような茫漠とした日々が続いていたのですが、このところ、やっと、光の中を歩いている実感が湧いてきました。
幸い、本年のPFFは会期を秋に移行しておりましたので、第33回PFF、9月20日の初日に向け、いよいよ本格的に準備開始です。「PFFアワード2011」も、15名の予備審査員の情熱をもって、遂に審査佳境に入り、7月初旬に入選作品の発表です。

そして、ふと気づけば、昨年『キャタピラー』で前夜祭を飾ってくださった若松孝二監督が、すでに『三島』『ホテル海燕ブルー』の撮影を終わろうとしています。すごいパワーです。
実は、生身の人間のエネルギーに触れたいと、最近は、本多劇場、コクーン、明治座、王子小劇場、草月ホールなど、舞台を巡る時間の多かった我が身をいささか反省しました。

しかし311では、人間の、社会の、組織の、設備の、弱点や隠されていことが、次々と露呈して唖然とすることが多く、だんだん感覚が麻痺しそうで怖くなります。
一方で、核廃棄物の廃棄場所がないことが、一般常識になったことは、よかったなとも思っています。
まさか20世紀型社会に逆送して、困ったことは弱い場所に押し付け自分は安泰、という発想をする40歳以下の人たちがいるとは思わないのでちょっとつぶやくと、各戸にひとつ、厚い鉛の箱を用意して、廃棄物を引き受ける。もちろん企業や役所は、消費電力に応じ、巨大な箱分を引き受ける。あるいは、建物内に廃棄場所設置をする。そんなリアルなことが必要な時代ではないでしょうか。
耳に入ってくるのは、「あれ?中国や東欧の映画に繰り返し語られてきたような、もしかして共産主義的官僚的中央集権国家なのかしら日本?」とのけぞる話の数々。映画をたくさんみる利点は、いろんな社会事情を知って、自分の生活の解釈に引用できることもひとつありますね。

2011/04/18 00:35:46

台北滞在中

人口2300万人の台湾からの膨大な義援金に驚いて、突然お礼の旅にやってきました。
仕事含めて4回目の滞在ですが、回を重ねる度に、しみじみとその暖かさ、人の心のゆとりが身にしみる街です。(台湾では台北にしか来たことがないのですが、他の街は更に良いとも聞いています)
これまで一度もゆっくりした自由時間がない台北滞在でしたので、今回は、気候も散歩にまさにうってつけの薫風ですし、最新アート探訪というテーマもつけてみました。

例えば、「崋山創意園区」という、廃酒造所を改造したギャラリー・ショップ・レストランを含めた広大な芸術空間へ行きました。ここは、まだ劇場や野外音楽堂などを建造途中ですが、既にオープンした一角に触れるだけでも、北京の芸術村を連想させる新しい息吹を感じる場所です。
とても画になる空間ですから、結婚記念写真を撮るカップルがそこかしこにいました。
余談ですが、記念写真は、巨大なサイズにして飾るのが決まりだそうです。*玄関を開けた正面の壁一面がその写真、という新婚夫婦の姿が映画に出てきたりしますね・・・

「台北当代芸術館」も訪ねました。
ここは、現代美術館で、1930年代に建てられた赤煉瓦作りの小学校(終戦後は市政府が使用)を利用した趣のある場所です。コンセプチュアルアートの企画展をやることが多いそうで、今回も「芸術は爆発だ」的なテーマで若い作家たちのグループ展が開催されており、あきらかに芸術系の学生のクラス集団での来場もありました。
クラシックな外観に、メタルとガラスのフィーチャーチックな内装のギャップが面白い入り口ロビーで購入したチケット(入場料は日本円で約150円)が、まず、傑作。携帯の写真でぼやけてあまり役に立ちませんが、銀色の、手榴弾を模った、キーホルダーにもなる厚手のチケットです。Image033.jpg
これ、日本でつくったら、多分単価500円は下らず、実現の可能性ゼロです。
更に、このチケット、手榴弾のピン部分が折れるデザインになっており、入場の際は、ピンをもぎられます。そのアイデアに心から感動しました。
香港でも台湾でも、印刷物の凝っていることにいつも驚かされますが、今回もすっかり参りました。考えてみれば台湾は、韓国と同じく徴兵制を敷く戦時下体制の国。手榴弾を使ったことのある男性が国民の大半でした。ディテイルにも詳しいですね。

今回は市内にある松山空港という、もともと国内線の為の空港に到着しました。
聞いてはいましたが、日本からのフライトは、放射能チェックがあります。試しにこの一ヶ月頻繁に着ていたコートのままチェックゲートを通りましたが、問題ありませんでした。
地元のコンビニやスーパーでは、まだ義援金の呼びかけが続いており、そのためのポスターも貼られています。瓦礫の前で呆然とする親子のシルエットです。あるスーパーでは、「日本製品を買おう」という棚を設定していましたが、売り上げははかばかしくなさそうで、「この製品は全て2/27以前につくられたもので安全です」という張り紙がありました。
夕方のニュースでは、福島第一原発からの、東京(250キロ見当)、大阪(500キロ見当)、北海道(600キロ見当)の距離を説明する図が示され、近年台湾から、いえ、中国語圏からの旅行者人気No.1(スー・チー主演の北海道が出てくる映画『狙った恋の落とし方』の大ヒットから)の「北海道」の人々にインタビューしていました。「北海道は安全なので、是非訪問してほしい」と地元は訴えますが、海外からみると、その距離の違い、危険度の違いがイメージしにくいことを改めて実感しました。確かに、普通の暮らしをしてたら、日本の地図は全く頭に入ってないだろうと思います。日本でも?ましてや、海外ですから・・・


映画関係者の間で、今回の震災に対して出来ることから始めようという動きがあります。山形国際映画祭では、山形映画センターと一緒に映画の巡回上映を始めたそうです。東京の映画人グループ(呼称未決定)はボランティアバスの定期便を出す計画をすすめています。詳細決定次第、お知らせしたいと思います。

2011/04/11 17:04:10

音楽とともに1万5千人デモ

kouenji_4p_2.jpg昨日の午後2時から6時まで続いた、高円寺反原発デモの写真を、内堀さんから受け取りました。

映画祭を生業にしている私ですから、全く政治的な人間ではありませんが、人類の危機には無関心ではいられません。これまで、ロンドンでロックフェスと連動した反原発デモ、デモの根付いたベルリンでラブパレードと、無差別爆撃反対デモと、3回参加したことがありますが、日本では昨日初めての体験をしてきました。そして、警官や公安など、警備の多さに驚きました。

高円寺はピースなデモだったのですが、「デモ」というだけで「怖いもの」、「危険なもの」という前提があるのが日本なのかなあと、海外での明るく気楽な雰囲気を思い出しました。
・人の集まる広場をなくす
・大学を郊外に分散させ学生の集会をなくす
という政策が日本では70年代から着々と進められてきたことは聞いていましたが、集会を徹底的に嫌悪する社会が長い年月かけて形成されたのだな~と、昨日改めて納得しました。

デモって、気軽に「こんなこと考えてる人がこんだけいますよ」と示す行動ですので、例えメディアで報道されなくても(この報道のされなさっぷりも凄いですけど・・・)、その場にいた人の記憶や感覚が拡がることが重要だと感じています。「反原発だから、東京電力に抗議しなくては意味が無い」「代替エネルギーを提示できないのに反対してはいけない」という考えも多いそうですが、問題は東電のみならず原発推進の国を支持してきた、今20歳以上の投票権を持ち、様々な方法で考えてを伝えられる私たち全て。そして、エネルギー源としての原発をやめる選択をすることは、ちっとも難しいことではないのですが、様々な不安からこれまでの価値観を変えることの難しい人が多いこと、その不安の排除が難しいことを痛感しています。

と書いていたら、今、また大きな地震が起きました。
福島と茨城です。
福島には、危機的状況の原発があります。素人には手に負えません。
そして、茨城以北には、まだ実態が掴めないほど多くの、不安な暮らしをしている人がいます。
「危険なものを何らかの事故や悲劇の前に取り除く」それは普通に人のとる行動だと思います。
危険なものがすぐそばにある不安。そのことのほうが、これまでの暮らしを変える不安より大きい、と感じている人は、多いと思います。

2011/04/09 14:29:05

数字

ブエノスアイレス国際インディペンデント映画祭での『家族X』コンペティション部門出品にあわせ、吉田光希監督がアルゼンチンへの旅に出ました。カナダ・トロントでのトランジット数時間をあわせ、片道30時間を超える旅です。往復で3日が費やされると思うと、ちょっと腰が痛くなりました・・・
ブエノスアイレスまでの「作品」の旅は何度かありますが、「監督の招待」は初めていただきました。得がたい体験であることを祈っています。

私の南米体験は、10年前のブラジルのサンパウロ(短編映画祭に参加しました)しかありません。LAで乗り換えて向いました。映画祭への海外からのゲストは集団行動をさせられること、車の窓にも鉄格子がつけてあること、休日に開かれた骨董市の価格の驚くほど高いこと、などから、よく聞く「南米の貧富の差は激しい」という印象は変らなかったのですが、実は南米の中産階級層は拡大を続けており、現在貧富の差が最も大きいのはロシアとアメリカとイランだという話を聞きました。特にアメリカの変化は大きいらしい、と。

米総人口の1%の最富裕層が、全国民の年間収入合計額の25%を稼ぎ、全資産の40%を持所持している、と。1985年にはこの1%の最富裕層は、総収入の12%の稼ぎで、総資産の33%を所持していた。つまり、1%の最富裕層の収入はそれから18%増加し、同時に中産階級の所得が減少している、と。
そして、この「18%」という数字は、米国の経済成長に近い数字であり、つまるところ、経済成長の果実はすべてトップ1%の金持ちの懐に入った=富の独占が加速している、と。
また、この独占状況は、19世紀より悪くなりつつあるのではないか、と。
更に、連邦議員のほとんどが1%の富裕層に所属している、と。
平等、チャンス、という言葉がアメリカの形容詞につかなくなって久しいのも、むべなるかな、と納得する数字です。

お金ついでに、原子力安全委員会の委員報酬がひとり約1,650万円(年収)ということを聞き、「この金額の制作費もない映画が沢山ロードショーされるてるよう~!」としみじみしました。
本来"億"単位欲しい映画製作費を、その10分の1,100分の1で乗り切るのは、もう珍しくない現実は苦いのですが、しかし一方で、同じ1,650万円という金額で、もっと多彩で可能性のあることが映画には出来ますね。そのことを追求して行こうと改めて思います。

もうお金の話は置いておいて、少しほっとした数字です。
東北大学には、夏目漱石の幼少からの書籍資料が驚くほどの数収蔵されています。実は私は漱石ファン。できれば東北大学図書館で漱石資料の番をして残りの人生を過ごしたいと妄想したりするのですが、残念ながら司書の資格も、学芸員の資格もありません(映画祭ディレクターは資格のいらない仕事です)。それで、ずっと漱石資料の損傷がどの程度がが気になっていたのですが、仙台の友人が親切に確認してくださったところ、5冊ほど補修しなくてはならないものが出た程度だとのことでした。
二度と大きな地震が東北地方で起こらないことを改めて祈ります。

東京は、ここ数日の強風と本日の雨で、折角の桜が花見に興じることも出来ずに散っていっています。被災地の蔵元から、宴会をしてお酒を飲んで欲しいというメッセージが出ていましたが、本日は利き酒会に参加します。また好きなものの話で恐縮ですが、東北の日本酒はしみじみ美味しい。振り返れば、一番愛飲しているのは福島のお酒で、奥の松、飛露喜、大七など、呑み飽きることがありません。

ところで明日、高円寺でおおきなデモが予定されています。
近年PFFの会場でオフィシャルカメラマンをやっていただいている内堀さんが写真を撮るそうなので、週明けにご紹介します。
http://www.magazine9.jp/matsumoto/110406/

2011/04/08 18:43:14

「PFFアワード2011」へのご応募ありがとうございました

3月31日の消印有効で締め切りました「PFFアワード2011」公募へ、602作品のご応募をいただきました。
沢山のご応募、ありがとうございました。
応募受付の終了した作品は、随時、エントリーフォームに記された"応募責任者"宛に、作品受領の葉書を御送りしております。ご確認ください。

現在、一次審査が始まっています。
15名の審査員が1作品を最低3名で観、討議の上推薦する「一次審査会議」にて一次通過作品を決定。続き、一次通過作品は15名全員で拝見した後、長い時間をかけて行う「二次審査会議」にかけられ、入選作品が決定します。
7月上旬決定予定の入選作品は、応募の皆様へ郵送でお知らせすると共に、HPにて発表します。

昨夜の揺れは東京でも強く、怖い時間を過ごしました。東北地方では、深夜の激しい揺れや警報に、どれだけ長い恐怖の闇夜を過ごされただろうかと、胸がふさぎます。また、原発に対する海外の敏感な反応のニュースも今後更に増えそうです。
世界がすっかり変化する前に創られた作品を、変化の後に拝見する本年のPFFアワード2011のセレクション。審査する側の眼が一層問われる日々になりそうです。

2011/04/05 17:26:35

東京の夜・ベルリンの夜

昨夜香港から帰国し、東京の夜がぐっと暗くなったのを再確認しました。
多分、1960年くらいの雰囲気では・・・と数々の映画を思い出しながら予測する、映画原理主義の私です。その頃に都内でロケした映画の街並のように、ぱっとみたところ、どこにどんな店が展開しているのかわかりにくく、なかなかエキゾチックで素敵で、ヨーロッパの街のようです。

香港映画祭の昼食会で、アメリカのインディペンデント映画特集「REDISCOVERING AMERICAN INDIES」で上映される『Jess + Moss』の監督&スタッフと同席になりました。ベルリン国際映画祭でも上映されたこの映画、同じテーブルにいた『FIT』の廣末監督や『世界グッドモーニング!!』の廣原監督も、同じくベルリンで上映された奇遇もあり、暫くベルリンの話をしていました。監督のClay JeterはLA在住。ベルリンに魅せられ、3週間滞在したけれども、もっと居たかった、と。「3週間旅せずベルリンだけで退屈しなかったの?!」と驚くと、地元の知り合いが出来て、街の様子がわかってきた数日めからは、毎日夕方5時くらいに起きて、夜の映画祭上映映画を2本ばかりみて、そのあとは、地元の人と一緒でなくては場所がわからないような店に入り、世が更けるにつれて盛り上がる店、夜中に開く店を、次々にはしごして朝が来て、ホテルに戻って朝食を食べて、寝る。という毎日を送り、その、決して旅行者にはわからない店と、集う人々に、すっかり夢のような時間をもらったそうで、LAに帰りたくなくてしょうがなかったそうです。
なるほど。
私のベルリンの日々とはあまりに違います。

でも、今の東京の夜の町並み、Clayの魅せられた秘密の店が隠れているベルリンに似た雰囲気が、いいですね。


汚染された水を海に流してしまったのね・・・という驚きにうちのめされた一日が過ぎています。が、放射性廃棄物をドラム缶に詰めて海底に沈め続けたイギリスはじめ各国の前例もありますし、海に捨てるということを、普通の方法と考えている層があることを再認識させられた感があります。
イギリスといえば(なんだか無理やりな続け方ですね)、イギリス映画復活といわれるように、現在公開中の『わたしを離さないで』『英国王のスピーチ』は、確かに大変見ごたえがあります。


2011/04/03 01:05:44

ジャッキー・チェンと香港国際映画祭

香港ではやけにブログの更新が頻繁なのですが、それは、宿泊場所にごく近い上映会場がふたつあり時間にいささか余裕があるからです。こんなことが可能な映画祭は、あまりありません。

本日の最後は、石橋義正監督の新作『Milocrorze-A Love Story』で締めくくりました。「I SEE IT MY WAY」という特集の4作品の一本で、ひとことで言えば、"ちょっと変わった映画を、若い観客向けに特別上映する"企画で、英語がまだ堪能ではない若年層の為に、中国語字幕投影のサービスつきです。(香港国際映画祭は基本的に英語字幕のみの上映です)、本日はイースター休暇を控える週末の夜でもあり、オープニングやクロージングに使われる大劇場が満杯の盛況。日本公開はこれからの、この『ミロクローゼ』、山田孝之さんのひとり3役が素晴らしい!ファンになります。鈴木清順監督も拝めます。(注・マイキー一家は出てきません)

既に報じられましたが、ジャッキー・チェンの呼びかけたチャリティーコンサートで、2億円の義援金が集まった香港。そのほかにも、ショッピングモールの入り口に、「日本のために祈ろう」と書かれた愛の木(←勝手に命名。写真を撮る習慣がないため、これまた写真なしですいません)が置かれていたり、スターバックスで、ある時間帯の売り上げを義援金にすると発表すると長蛇の列が出来るなど、さまざまな善意をいただいている香港。石橋監督は、上映後のQ&Aの最後に、「お伝えしたいことがあります」と、香港からいただいたさまざまなサポートに、深くお礼を伝えて、舞台を去りました。大人な監督の行動に感動しました。

ジャッキー・チェンは香港国際映画祭とは殆ど縁がなく、映画祭スタッフからはあまり話しが出ません。また、昨今香港でジャッキーは「テレビで養毛剤の宣伝をしているおじさん」という認識で、10代20代はジャッキーの映画をみたこがないのが普通、という話を数日前に聞いて、ちょっとうろたえたばかりでした。・・・・しかし日本でもそうですね。冷静に考えると。
かつて映画の中で、ジャッキーが縦横無尽に駆け回った街も、殆ど面影がない近年の香港。更に香港を象徴するフェリーも廃止の方向と聞き、寂しさが増します。

311まではテレビを全くみない生活をしていた私ですが「もしかして速報はテレビニュースが一番早いかも」と、一生分(ちょっとオーバー)みていたこの数週間。印象的だったのは「わからないことを喋るとすぐばれる」ということがよくわかったこと。そして「コントロールされた情報しか流れない」のは本当なのだな、と確認できたことでした。
また、この3週間続く「わからない者が発表し、わからない解説者が解説し、わからないメディアが質問し」を海外でみると、その不思議さが際立ちます。そこだけ「平和な日本」が脈々と生きてるのを感じるのです。
数々の映画の中で、危険地帯はフリーランスのジャーナリストしか行きませんし、わかっている専門家は、必ず"狂っている"とパージされますが、「現実も同じかも~」とか口に出したくなったりして、映画原理主義になりそうなので、この辺でテレビにお別れです。それは、今、集中的に映画をみることが出来たことで、映画の力を、再確認できているからかもしれません。
テレビと映画、その役割は完全に別であり、比べるものでは全くありませんが、ひとつのメディアとして、映画は世界の変化に敏感で有り得る、人類の信頼に応える強靭さを持ち得る、時間と思考の詰まった媒体になりえる、と確認できてきた気がします。
そしてあと一日で香港国際映画祭ともお別れです。

付記:韓国映画『The Journal of Musan』は、日本公開が決定しているそうです。迂闊ですいません。必見作品です。


2011/04/02 09:52:55

台湾映画特集など

全く違う話題で、エドワード・ヤン、ホウ・シャオシエン、ツァイ・ミン・リャンという台湾の3監督の話を、イギリスの映画評論家トニー・レインズさんとした矢先に、台湾からの義援金が100億円を超えたと知り、あの小さな国の日本への親愛に、たじろぐほどの感動を覚えました。どんな風に感謝を伝えればいいか、考えています。
近年、台湾映画がまた興味深くなってきたと盛んに言われています。上映日と滞在日があわないため、拝見できていませんから恐縮ですが、香港国際映画祭でもTAIWAN CINEMA RETURNSという小特集があり、「The Forth Prortrait」「Hotel Blackcat」 「Return Ticket 」「When Love Comes」の4作品が上映されています。そして、素晴らしいタイミングで、台湾映画を多数収蔵している福岡市総合図書館の映像ホール・シネラで、丁度昨日から一ヶ月かけて、台湾映画の歴史をたどる特集が展開されています。貴重な作品満載ですので、是非多くの方に観ていただきたいです。
http://www.cinela.com/#f

PFFの福岡開催会場であるシネラは、通常通り上映が行われておりますが、仙台での会場であった仙台メディアテークからは、施設の復旧にどのくらいの時間がかかるか不明との知らせがきています。
3月11日は、西と東をふたつの別の国にするような天災、と続く人災、だったと海外にいると改めて感じます。東京あるいは、静岡から東は、恐怖を体感し、今後の生活を変えていくことが必要であり、同時にそれが新しい大きな希望という実感がありますが、そこから西は、これまでの日常を継続可能ですので、感覚に大きな違いがあり、それが今後の日本だと思います。福岡市総合図書館と仙台メディアテーク、この二つのホールの状態の違いが、東西の差異を象徴しているかもとふと思いました。

そして、昨日の話題に繋がりますが、香港では、日本の状況を日本人に聞く人は、殆どおりません。気遣いもあると思います。が、こちらから積極的に話をしたほうが、自分たちの状況を客観的に整理できますし、現状は知られていないことも、同時に理解できて役立つとも感じます。
最も知られているのは、勿論、津波、そして最も恐れられているのは、原発事故です。一方、エンターテインメントの自粛は、全く知られていません。が、映画祭世界では、「沖縄コメディ映画祭」の開催で、日本は大丈夫だという理解もあり、エンターテインメントは対外的な印象付けに役立つことを改めて実感しています。

これから、東は、放射能という静かな見えない脅威との向き合い方を探しながら、静かに生活の改革をすすめていく必要がありますが、西は、別の道を進んで欲しいなと思っています。「大丈夫」だと国内外に伝えるためには、西の平常化と、東の福島への遷都が、私が非常に効果的だと思う国の再建です。
311前には戻れないことを前提に、子供たちに危険のない社会をつくるための方法を構築しなくてはなりませんが、人類にかつて例のない今回の状況ですから、どこにも何のマニュアルもありません。私たちがゼロから始めるしかないのだなということをしみじみ再認識するのも、海外という距離を置いた場所にいるからこそだという気がします。そして、月末のイギリス王室の結婚式に日本の皇族が参加しないことをいささか残念に思ってます。日本の状況を、広く伝える得がたい機会だからです。
海外に出る機会をお持ちの方は、出来るだけ計画を変更せず、出来るだけ外に出て交流を続けることが日本のために有効だなとも感じる香港滞在です。


2011/04/01 09:47:04

PFFアワード2011公募締め切りました&香港

日本も暖かくなってきたそうですが、香港も本日は珍しく青く輝く、暑くなりそうな空です。
「PFFアワード2011」の公募は昨日3/31の消印有効で締め切りました。ご応募ありがとうございました。これから、1作品を3人で拝見する一次、全員で拝見する二次、と続く審査を15人で取り組み、7月にはご応募いただいた皆様に入選作品の決定をご連絡できる予定です。
暫くお待ち下さい。

さて、3月11日のあと初めて参加した国際映画祭となる香港ですが、「邦画の上映後の質疑応答で、災害のことを聞かれるか?」ということを日本にいるある監督に尋ねられました。
私が目撃できた質疑応答はまだ『世界グッドモーニング!!』のみですから、事例がなさすぎるのですが、観客からの質問は、そこからはじまることはなく、監督のほうから話す。というケースが多いのではないかと予想しています。
例えば、今回、『世界グッドモーニング!!』の廣原監督は、上映前の挨拶から、「災害前につくられたこの作品を、災害を体験したあとでどう感じるか確認したいから皆さんと一緒に見る」と話しました。
そして、上映後には、「すごく古い映画をみているように感じた」と。
この作品に、何かに対する恐れや、崩壊の予感を込めていたことが、現実のものになってしまったことがまだ自分でも整理できていないこと、また、自分自身でもそして観客にも満足してもらえていたラストシーンが、災害のあと、非常に辛いシーンになったと。それは、鳥瞰で主人公を捕らえていくシーンです。
製作当時は、そこには優しく見守る視線があると自他共に感じていたが、今回、ヘリコプターから撮られた助けを求める人々の姿を見たあとは、残酷なシーンにみえたこと、など、言葉を捜しながら、もどかしげに話していました。

また、一昨日の授賞式での想田監督の受賞コメント、以下をご覧ください。↓
http://documentary-campaign.blogspot.com/

職業柄、映画監督と言葉を交わすことの多い私ですが、優れた映画監督(のみならずクリエイター)は、未来を感応すると実感しています。3月11日以降やりとりのあった監督たちは、皆残らずこれまでの日本の価値観が大きく変容することを、極端に言えば、これまでの生活はありえないこと、変えなくてはならないことを当然として受け止めています。また、過去の企画や脚本が、全く別世界のものにみえる感覚を持っている様子です。自分にとって映画とは何なのか、自分はこれからどう活動していくのか、を、多くの人と話して整理していく場所を持つことが、今とても重要なのではないかと感じますが、映画祭はその場所のひとつだと、今これを書きながら思っています。

香港国際映画祭は、バラエティに富む映画祭です。プログラムのセクション数、コンペの数、イベントの数はアジア1.2を争う規模ですが、特に、若い観客の創造に力を入れていることを、昨今強く感じています。
今年面白かったのは、「Festival Tour」。映画ファン10~15名で構成されたグループを20組構成し、映画批評家や研究家が一組づつに担当配備(?)され、映画祭から5作品をセレクト、鑑賞したあと、その映画についてディスカッションする。というツアーです。映画をみて、語る。その行為が、観客を育てることになると同時に、映画監督にとっても、得がたい機会なのだなと、改めて映画祭の役割を感じる今回の滞在です。

さて、本年はロッテルダム国際映画祭に行けなかった私。昨日、ロッテルダムのコンペティションでグランプリ(タイガーアワード)を受賞した話題の韓国映画『The Journals of Musan』をやっと拝見しました。
「喧嘩のシーンを本気でやりたかったので、人に頼むわけにはいかないから自らが主演を演じたが、顔を腫らし、鼻血を出しながらの撮影が多くなり、かえってスタッフに心配をかけて、やりにくくさせて申し訳なかった」と話していた人気沸騰になりそうなPark Jung-bum監督。きっと日本でもいづれかのアジア映画祭で上映されるでしょうから、是非ご覧ください。この作品含め、脱北者を取り上げる作品の増加が興味深い韓国映画です。
ほんとに日本にはたくさんアジア映画を上映する映画祭があって嬉しいなあ~見逃しても何とかなるな~と実は思ってしまう不埒な私。プログラマーの皆様、よろしくお願いします。
そして、チベット映画の『Old Dog』と『The Sun Beaten Path』も是非上映してください。(見逃したので・・・)


2011/03/31 12:43:44

香港国際映画祭に来ています

3月20日に始まり4月5日に閉幕する、香港国際映画祭に参加しています。
所沢で開催する「世界が注目する日本映画たち」が終了してからの渡航を組んでいたので、終盤の参加となりました。が、丁度コンペティションの表彰式も昨夜だったので、ノミネートされた監督たちとも同じ時期の滞在が可能となりました。

コンペティションの結果としては、PFFから出品した『世界グッドモーニング!!』は国際批評家連盟賞のスペシャルメンションに留まりましたが、ドキュメンタリー映画を対象にした「人道賞(HUMANITARIAN AWARD FOR DOCUMENTARIES)」グランプリを、想田和弘監督の『Peace』が受賞しました。
日本公開が迫る『Peace』。是非ご覧ください。

香港も異様な寒さが続いており、道行く人々はすっかり冬支度です。
が、元気な中国本土からの買い物客が観光バスを連ねてショッピングモールを埋め尽くし、ホテルの近くのシャネルのお店では、入場制限をして長い列をさばいています。
ああ、この購買意欲に溢れる人々を日本に招聘できたらなあ・・・と思わずにはいられませんが、日本を避ける雰囲気は日に日に高まり、キャセイパシフィック便で招待された監督たちの帰国フライトが、関空行きに変更になるかもしれないということで、今、気を揉んでいます。

見えない恐怖の中どう暮らしていくか、どう映画に向きあっていくか、考える香港の日々です。

2011/03/24 12:27:08

PFFアワード2011締め切りまで1週間です

東京では水パニックが始まっていますが、乳幼児と、母体となる女性たちを最優先に、おおざっぱに言って、30歳代までの人たちに、安全な水を確保してもらいたいです。
日本に潤沢に水はありますから、近日中に東京も落ち着くと思います。そして幸いにも、私は水道水を飲んでも心配のない年齢です。年とることは、気楽になる側面も時にはありますね。

さて、「PFFアワード2011」の応募締め切りが、来週に迫りました。
3月31日木曜日の消印有効です。作品の確実な到着のために、郵便書留でのご応募を御願いしていますが、郵便事情が困難な地域もあると思いますので、ご確認ください。
が、皆様に覚えていただきたいのは、PFFアワードは続くということです。今回を逃しても、次回があります。落ち着いて作品に取り組んでいただけることが、私たちの望みです。


2011/03/23 14:55:08

東北に首都を

仙台でPFFを開催してくださった仙台メディアテークが建物の損傷で閉鎖されていると聞きました。頻繁な避難訓練の成果か、怪我人なく退避できたそうです。
東京で、各地の様子を見聞きしているのは大変居心地の悪いものです。
同時に、「復興」を思うとき、首都を福島あるいは宮城に移すのが最も力強い、効果の高い方策なのではと思えてなりません。
私たちの生活のあらゆる面が、大きな転換期を迎えていると感じます。

が、日常は続いています。
20日から始まった香港国際映画祭に、PFFから『世界グッドモーニング!!』と『FIT』がアジアン・デジタル・コンペティションに選ばれています。廣原監督と廣末監督が上映と表彰式に参加します。
両名ともキャセイパシフィック便の渡航招待をいただいているのですが、出発が成田空港から羽田空港に振り替えになりました。羽田と成田、ふたつの国際空港の話題が出るたびに、三里塚闘争を考えます。そして、三里塚を撮り続けた監督のひとり、小川紳介作品の数々が、アテネフランセで収蔵され、観る機会が整ったのはしみじみ素晴らしいことだと思い出します。

「PFFアワード2011」の応募作品が例年より早いペースで集まっています。昨年までの「12月1日締め切り」を目指して製作されていた方々からのご応募だと想像しています。審査準備も整い、開始を待つばかりです。

本年の芸術選奨文部科学大臣賞の映画部門に、『ヘヴンズ・ストーリー』で瀬々敬久監督が、新人賞に、『トイレット』で荻上直子監督が選ばれました。両作品とも昨年のPFF招待作品だったこともあり、嬉しいニュースでした。

そしてまた、「復興」という課題に戻ってきます。長くたゆまない活動が必要だと痛感します。遷都は効果的だと、やはり思います。


2011/03/17 22:37:07

何も言葉がみつからず・・・

東北地方太平洋沖地震により被災された皆様と、ご家族の皆様に、心からのお見舞いを申し上げます。
出来ることなら1週間前に戻りたい、と、日本中が願っている今、何を書かけばいいのか内臓がねじ切れるような苦しさを感じています。

PFF事務局スタッフは、全員大丈夫です。PFF関係の各地の方々とも連絡がとれました。
事務局の入っている建物も安全で、お預かりした作品は万全です。ご安心ください。

世界中から、お見舞いメイルが届いています。
国内外への映画の紹介と上映への働きかけは、継続して行っています。
PFFは、変わらずこれからの映画のつくり手のために活動しています。
PFFアワードの公募も、映画祭も、変わらずあります。
今回の一時休業のような、震災の影響から活動に何らかの変更が生じる際は、随時お知らせします。

多くの想いの詰まった作品の数々を預かり、不特定多数の方々が集まる映画祭運営、に従事する者として、改めて責任を考える日々であり、映画の力について想いを巡らす日々であり、力ある映画祭を構築することを模索する日々です。

被災された方々の想像を超える体験、寒さ、不安、無念、悲しみ、そして希望の発見を思うと、ほんとうに何も言葉がありませんが、これからもPFFは映画に向き合って行きます。

そして今、福島原発事故の収束を強く祈っています。

2011/03/04 00:45:52

ベルリン国際映画祭に行ってまいりました

古い話題で恐縮です。
そして、1ヶ月以上の更新なし、恐縮です。

昨年の、吹雪による空港閉鎖と、哀しく夜汽車に揺られ二日間かけてのベルリン入りの悪夢はもう繰り返されず、心底ほっとしましたが、やはり寒い寒いベルリンの冬。
建物の中はぬくぬくですから、会場移動のたびの厚いコートの始末が面倒で、丸めてバッグに入れられる薄いコートにしようと、つい、東京で思いついたのが墓穴。戸外を歩くのに泣けました。ベルリンでは、暖かいコート必須を再学習しました。

今回は、3作品と5名の監督スタッフキャストと揃い、さまざまに点在する会場を廻りました。
「家族x」の吉田監督と「世界グッドモーニング!!」の廣原監督(本年のベルリン国際映画祭上映作品中最年少監督でした)が上映後の質疑応答を体験したのですが、会場ごとの客層の変化、反応の変化に大いに刺激され、巨大な映画祭を肌で感じる毎日になったようです。
詳細は、これから各人のレポートにお任せするとして、
到着して最初に「話題作だな」と実感したのは、ヴェンダースの3Dピナ・バウシュドキュメンタリー「Pina」と、タル・ベーラの「the Turin Horse」。
両作とも日本公開決定の様子ですので、是非ロードショー体験してください。

the Turin Horseは、少ない英語字幕上映に参加したのですが(コンペ上映作品はドイツ語字幕上映がメインになります)待ちかねた世界中の映画祭関係者が一堂に会しましたね・・・という会場風景で、観客の期待が熱く渦巻く時間でした。この作品が公開される日本。ほんとに日本の映画ファンと、上映環境はすごいなあと誇りに思います。
ニーチェの神経に深刻なダメージを与えたエピソードをタイトルに持つthe Turin Horse、ニーチェへの再注目が高まる現在を実感します。

そして、岩井俊二監督と瀬々敬久監督という、高い作家性と技術と人気を持つ監督たちが、殆ど自主映画と言っていい挑戦作(「Vampire」と「へヴンズズトーリー」)を製作していることが改めて世界に伝わるのを目撃できたことも、今、映画を志す人たちにとって、今回のベルリンの刺激体験となることを感じました。
ベルリン国際映画祭。もしかすると、世界三大映画祭の中で、最も現在をあらわす、先鋭的な映画祭となっていくのではと期待しました。

*瀬々監督の「ヘヴンズストーリー」は、再々ロードショーが始まります。


2011/01/26 18:57:33

PFFアワード2011公募間もなく開始です!

新年のご挨拶を多くの方にいただきながら、あっというまに1月が終わりそうな、慌しい毎日で失礼を重ねています。
ちら、ほらと、PFF終わるという噂が・・・という言葉が年賀状にあらわれていますが、いいえ大丈夫です!ちゃんと続きます。
ご心配をおかけして恐縮です。
コンペティション部門「PFFアワード2011」の公募受付開始も2月1日に迫りました。
これからは、3月31日を、PFFアワードの新たな応募締め切り日としてご記憶くださると嬉しいです。

そして間もなく、オランダのロッテルダム国際映画祭が始まります。
1996年以来、欠かさず通って多くの世界のインディペンデント映画をみせてもらったロッテルダムですが、遂に連続参加記録をストップして、本年は参加を断念します。残念です。多種多彩な映画を、確実に、そして便利に観ることができるロッテルダムは、大量に映画をみたい人には気楽で嬉しい映画祭です。多くの人に参加して貰いたいと思っています。
しかし、2月のベルリン国際映画祭には参加できるよう、ただいま鋭意努力中です。本年のベルリンには、PFFからフォーラム部門に3作品が招待されていますが、そのうち、『家族X』と『世界グッドモーニング』は監督&スタッフが参加します。
昨年は寒波で辛いヨーロッパでしたが、本年は温暖な気候を期待したいものです。

最後になりましたが、12年ぶりに会期を変更する2011年のPFF。どうぞ皆様、本年もよろしく御願い申し上げます。

2010/12/28 17:29:43

PFFアワード2011公募期間決定しました

本年も残すところあと4日という、この年の瀬の発表になってしまいましたが、「PFFアワード2011」公募期間が決定しました。
2011年2月1日(火)から応募受付を開始し、3月31日(木)当日消印有効で締め切りです。
応募要項などに、変化はありません。
作品の確実な受け取りのために、必ず郵便書留でのご応募を御願いします。
そして、この、3月31日締め切りは、これから暫く変らず継続の予定です。

公募期間が従来の"12月1日締め切り"から、三ヶ月後になったことを示すように、「第33ぴあフィルムフェスティバル」の開催も、夏から、秋に変更します。1999年から12年間、年末年始返上で展開した審査が、これからは、ゴールデンウィークを返上で、ということになりました。
入選作品の発表は、初夏を予定しています。
作品のご応募をお考えの皆様は、3月31日の締め切りを覚えてください。
応募用紙は、現在最終準備中。
1月中旬までにはPFFのホームページにアップします。

ただいまPFF事務局は渋谷へと引越しの最終準備中。今度はぐっとコンパクトなスペースになるので、自宅に引き取るものの山とも格闘中です。
公私ともに、整理整頓の2010年の最後の日々。新年をさわやかに迎えられる予感がします。

それでは皆様、よいお年をお迎えください。


2010/12/07 13:16:19

嬉しいことがたくさん

ミヒャエル・ハネケの新作『白いリボン』が全回満席でスタートしたそうです!
すごく嬉しい・・・・。銀座テアトルシネマです。
そこから歩いて約10分の、ヒューマントラストシネマ有楽町では、「ミヒャエル・ハネケの軌跡」と題して、これまでのハネケ監督映画を全て集めることに成功した映画祭が展開されています。
凄いです。
ハネケの存在が、ごく普通にそこにあることが、やたらと嬉しい12月の東京です。

そして、熊切和嘉監督の新作『海炭市叙景』が、フィリピンのシネマニラ映画祭で、グランプリの「リノ・ブロッカ賞」を受賞したというお知らせをいただきました。更に、最優秀俳優賞が、『海炭市叙景』に出演した全ての俳優に対する「アンサンブル」賞として贈られたそうです。なんとも粋な審査員ではありませんか!いや、勿論映画のあらゆる出演者が光っているからですが、審査員の悩みと、「アンサンブル」賞という解決法をみつけたときの悦びを感じます。

リノ・ブロッカは、91年に交通事故で不慮の死を迎えたフィリピンの伝説の巨匠です。その作品は、フランス人プロデューサーの管理のもと、なかなか観ることが難しいと言われていますが、日本では、今はなき国際交流基金アセアン文化センターで展開した「東南アジア映画シリーズ」や、アセアン文化センター廃止後の、国際交流基金アジアセンターでの「アジア映画講座」で90年代に数度紹介されました。そのときのプログラマーが、現在、東京国際映画祭「アジアの風」プログラミング・ディレクターの石坂健治さんです。PFFでは、その運営を担うことで、多くの東南アジア映画を体験する幸運に恵まれました。
(と書いていて、80年代~90年代は、圧倒的にアジアとの交流が日本のテーマだったのに、21世紀のこの対アジアへの急速な撤退が怖くなりました・・・・)

ブロッカ作品は、世界中の映画祭で現在もぱらりぱらりと上映が行われています。どこかの映画祭でブロッカの名前をみつけたら、是非体験してください。『マニラ・光る爪』が圧倒的に有名ですが、実は私は、『スター誕生』にかなり呆然としたことを、思い出します。

そして、この『海炭市叙景』のブロッカ賞受賞ニュースを石坂さんにお伝えしたところ、香港アジア映画賞の新人監督賞は「エドワード・ヤン賞」だし、フィリピンは「リノ・ブロッカ賞」だし、各国が偉大な監督の名を冠した賞を出しているが、日本はどうかしら?という話しが出ました。

"新しい世代の監督に贈る賞に冠されて、世界中の映画監督が悦びを感じる名前"
・・・・う~む。日本には素晴らしい監督が多すぎて、ひとつに絞るのは難しそうですね。日本の全ての映画賞に映画監督名を!というのもあるかもしれません。

と、そんなことを考えているときが、一番気楽なのですが、実はただいまPFF事務局は、年末の渋谷への引越し準備で修羅場なのに重ね、短編映画の製作、来春の所沢イベント「世界が注目する日本映画たち」準備、嬉しくもおそろしい恒例になってまいりました、1月のロッテルダム国際映画祭と2月のベルリン国際映画祭への作品出品準備と、バタバタと追われています。

1月4日から、PFF事務局は東京都渋谷区東1-2-20 住友不動産渋谷ファーストタワーに、ぴあと一緒に引越しです。電話番号も03-5774-5296にかわります。1月4日には新オフィスの片付けを終えて、馴れない渋谷生活が始まります。


2010/11/26 15:08:52

独身男

フィルメックスに別れを告げて、PFF名古屋開催に向います。
見逃した一本『独身男』が大層面白いらしいです。
コンペの1作品なのですが(私は10本中4本しか拝見してないのですが)、北京電影学院を卒業したハオ・ジェ監督の長編第1作で、故郷を舞台にした独身の老人たちの物語だそうです。

現在中国のオフィシャルな人口比は、女性1に対し男性1,2とのこと。
色々な統計を集めた『世界の国 一位と最下位』という岩波ジュニア新書で知りました。
この本が、面白い。
たとえばこの数字。世界初の老人大国になった日本の大きな課題は、小子化の歯止めですが、一組の夫婦がつくる子供の平均数は、1977年の統計で2.19人。そして、2005年は2.09人(国の発展の為には、2.1人が最低目標だそうです)。つまり、27年間の変化は、それほど大きくありません。
一方、30歳~34歳の未婚率は、1975年から2005年までの30年間に、男性は14.3%から47.1%へ、女性は7.7%から、32,0%へ、と、明らかに大幅に増加しています。
つまり、晩婚、非婚が珍しくない社会となっているわけです。
というわけで、現在世の中では婚活という名のもと、「結婚の奨励」がされている様子ですが、婚姻に関係なく、子供を持ち、育てることの出来る社会になることも、効果的なのではないかと感じます。

話しは戻って『独身男』ですが、この作品のみならず、フィルメックスで拝見した作品は、素人の、そこに住む人たちが演じるという映画が多かった。近年の日本の自主映画に、俳優を使う作品が増えていることと対比して、非常に面白く感じました。
それから、24日にデジタル上映が機材の問題で中断するアクシデントがありました。私も丁度会場で体験したのですが、最初、プロジェクターのオーバーヒートかと思いました。同じ現象が起きるからです。が、デッキの問題と聞き、ますますデジタル上映は怖いという感を強くしました。
デジタル上映は、上映素材、デッキ、プロジェクターのみっつの相性によって、全く動かない、音が出ない、画が出ないということが、簡単に起こります。高機能になればなるほど、面倒です。バックアップ機材を用意する費用も膨大です。映画祭世界では、実は、フィルム上映が一番シンプルでありがたい気持ちです。
上映中断、中止、払い戻しなど、映画祭にとって一番胃の痛い問題を乗り切るスタッフの皆様を労いたくなる夜でした。
あ~、デジタル問題を考えていたら、私も胃が痛くなりました・・・

2010/11/22 18:48:57

PFFもボランティアの募集を始める気持ちです

東京国際映画祭期間はびっしりと他の仕事に覆われ、全く作品を観ることが出来ず、ほんとにかなしかったため、少しゆとりの生じた東京Filmexは出来るだけ参加しようとしています。久しぶりの映画祭参加に、ちょっと緊張したりして・・

東京Filmex

今回初めて開会式から参加しました。初日だけ東京国際フォーラムで開催する!その仕込みと撤収の大変さを想像して眩暈がしたり、藤岡朝子さんの通訳に改めて感動したり、ボランティアの活躍に感心したりして、「PFFも"ボランティア無し体制"を変える必要があるなあ」と、しみじみ感じました。時代は変る。これまで"責任"の意味でボランティアは登用せず、スタッフを雇うことを続けてきたPFFですが、来年の開催は、ボランティア募集できるよう準備します。
実は私、東京Filmex第一回の審査員だったのですが、そのとき、アピチャッポン・ウィーラセタクン作品と、ロウ・イエ作品の競り合いとなり、『ふたりの人魚』がグランプリとなりました。今回オープニングの『ブンミおじさんの森』をみながら、両監督とも活躍していてよかったな~と感慨深いのでした。が、しかし、それ以来コンペ作品を全てみることの出来た年のないだめな私。折角日本で、日本語字幕つきでその年の話題作見ることができるチャンスである「映画祭」を、もっと自分に生かさなくてはです。

そして、『ブンミおじさんの森』に加え、ジャ・ジャンクー監督の『海上伝奇』、『鉄西区』のワン・ビン監督の初フィクション映画『溝』と、3作品の製作クレジットの思いっきり重なっていることに、改めてしみじみと欧州の映画製作援助の重要性とにその対象外の日本を再認識しました。日本のプロデューサーの資金獲得の困難さを、折々に痛感させられます。
また、今日まで拝見した作品は、「皆、自分の道を行くのだ!」と繰り返し告げられる作品群でした。同時に、各作品には、いかにして各人が切り取ると決めた瞬間を残すかの創意工夫があふれています。そうして、世界の映画監督たちが挑む挑戦は、非常に近しいということにも気付かされます。「集中的に映画をみる」ことの意義を再認識すると共に、映画祭の存在理由の数々を改めて考えます。

ところで、最近「日本再鎖国はどうか?」と耳にすることが多くなった気がします。ほんとに鎖国したら、現状では飢餓が起きますね。一部の特権者たちを除くと、生活は激変でしょうが、どうも多くは現状維持が可能という夢想に成り立っているのではと思わされます。ワン・ビン監督の『溝』は、飢餓、抑圧、思想や言論の統制、などを具体的に描き、言論、思想、表現、信教などの自由が保障される生活を送れる我が身の幸運を感じさせます。

というわけで、東京では、幸運にも、大小問わず絶えず映画のイベントが展開されています。
本日知人から送られてきたこの情報は、墨田区でのイベントです。
廃校を会場に、映画と音楽とで構成されるようです。
http://pia-eigaseikatsu.jp/news/0/41374/

一方で、観たい映画をそう簡単に観ることができない土地があります。
しかし、各地で積極的に映画上映を実現しようと活動している人たちがいます。
例えば本日(過去に北九州でPFFを開催していたことがあるご縁から)2週間後に北九州で、イ・チャンドン監督と青山真治監督の対談もある映画祭が開催されるお知らせをいただきました。
http://kitaqcinema.jugem.jp/

ここで日本で東京Filmexに次ぎ2番目となるイ・チャンドン監督の新作『詩』の上映もあります。告知時期が遅れたため、非常に苦労している様子です。是非多くの人に伝えていただければ、そして参加していただければと思います。

また長くなってしまいました。
最近の映画以外の驚きは、やっと読んだ『鞍馬天狗』が倉田典膳というアナキストの物語で、革命以後の社会構築の難しさを描いた物語であることを知ったことと、世界のベストセラーになった『肥満と飢餓―世界フード・ビジネスの不幸のシステム―』に描かれた状況の多くは、既にかなり早くに映画に描かれていることを知ったことです。
21世紀に次々と表出するおそろしいことは、ほぼ全て20世紀には気付かれていたのだなと改めて思いました。(紀元前に既に気付かれていたことも多いでしょうが・・・)また、前世紀のSF小説も現実を先取りしていて、怖かったなと。例えば映画になった『ソイレント・グリーン』(1973年)は、間近なのかも・・・と、ちょっとぞっとしたりするのでした。

そして木曜日からは名古屋でPFFが始まります。
是非ご来場ください。PFFアワード2010監督大集合で今年最後の上映を飾ります!

2010/11/18 19:25:02

ミヒャエル・ハネケ映画祭が実現するそうです

haneke01.jpg昨年のカンヌ・パルムドール受賞の『白いリボン』公開にあわせて、ミヒャエル・ハネケの過去の全作品を堪能できるハネケ映画祭が実現するそうで、ものすごく驚き&感激してます。
す~ば~ら~し~
未体験の方は、是非、この機会に見知らぬ人々とスクリーンでハネケ作品を鑑賞していただきたいなあと願わずにはいられません。
ハネケ作品ほど、ひとりで部屋で観ることが似合わない作品はない、と、心から思います。
(ひとりで観てしまった人も、是非再体験していただきたいです)

このチャンス、多分、最後になるのではないかと思えますので、12月4日の『白いリボン』(銀座テアトルシネマ)公開と同時に、ヒューマントラストシネマ有楽町で始まるというハネケの特集、駆けつけてください。

と、思わず言ってしまいましたが、実は、詳細の発表は今週末だそうです。あと数日、全貌の発表を待ってください。今、問い合わせされても現場は困ってしまうかと思います←じゃあ、話すなってことなんですが、すいません。早くお知らせしたかった・・・

今週はフィルメックスと、仙台でのPFF作品上映、来週はPFFin名古屋、再来週はハネケ、と、盛りだくさんな年末がひたひたとやってきています。


追伸:詳細発表されました
http://www.ttcg.jp/human_yurakucho/topics/2010/eigasai_contents/


2010/11/16 16:18:18

40日ぶりに更新いたします・・・

はっと気付くと、11月中旬でした。
この40日で、「暑い」から「寒い」に季節は完全に移りました。
春と秋がなくなるって、ほんとうかもしれません。

40日を振り返ると、今年初めての休暇で北京に行き、4年ぶりに風邪を2回ひき、渋谷TSUTAYAのPFFコーナーを更新し、来春の所沢ミューズでの企画をし、PFFの京都開催、福岡開催、神戸開催が終了し、東京国際映画祭も終了しました。
今週は東京FILMEXが始まり、仙台でのPFFアワード作品上映他があり、来週はPFF最後の開催地名古屋での3日間が始まり、そして、年明けのロッテルダム国際映画祭とベルリン国際映画祭へのPFF関係作品の出品が決定し、11月が終わる予定です。
12月は、眩暈がしますが、いよいよ事務局の引越し準備修羅場です。

例年、12月1日はPFFアワードの公募締め切りでした。が、来年度、「PFFアワード2011」の公募発表はまだ準備が整いません。多くの人の合意の必要な来年度の開催時期の最終決定がまだだからです。ただ、単純に"10月1日から12月1日"という、この12年間の公募スケジュールが、数ヶ月後ろにずれていくことになる予定です。
そして、新たなスケジュールを11月末には発表できるかと予測していましたが、それも少し遅れそうです。ともあれ、発表から数ヵ月後の締め切り設定になるのは間違いありません。

ところで、一年か二年に一度、北京への旅を楽しみにしています。
今年は二年ぶりとなってしまいましたが、食べることに集中する人たちとの食べ物だけが目的の単純明快なツアーです。今回は現地の友人入れて総勢10名参加を実現できた、かつてない充実の旅となりました。
日程が、反日デモ勃発を報じられる日々と重なったため、驚いたことに帰国のフライトはこれまで経験したことがないほどの空席だらけでした。多分、どのフライトも総勢20名しか搭乗していないと思われました。驚きはしましたが、のびのび座れてラッキーでした。
そして、現地の人々は、冷静でした。大きな問題から眼を逸らすために、色々な情報が利用され、上のレベルに押し上げられていることを知っているからです。
それはともかく、北京の食は凄いと思う私に、台湾の食が一番と常に言う友人がいます。
台湾も色々な面で違う素晴らしさに溢れていて、先日観た『トロッコ』(遅くてすいません)で、台湾にもまた行きたくなるのでした。


2010/10/02 14:25:21

PFF来年も開催ですよ

先日スタッフから、公募についての問い合わせの際に「来年もありますよね」と小さな声で聞かれることがある、と聞きました。
ほ~
あります。来年も。
しかし、会期が少し後ろになる予定です。
あわせて、公募の締め切りも少し延びます。
11月末の発表をお待ちください。

年末に、ぴあの移転に伴い、PFF事務局も一緒に渋谷に引越しします。その準備もあり、11月12月は大騒ぎです。年明けに、新しいオフィスで(ほんとに新築のビルです)色々新しくスタートです。

2010/10/01 00:33:35

ポン・ジュノとジャジャンクーが・・・

うわ、前回からまた一ヶ月経ってしまいました・・・・
そしてもう映画祭の季節、秋。PFFも全国を旅しますが、
東京では、東京国際映画祭と、Tokyo Filmexのラインナップが発表されました。山形国際ドキュメンタリー映画祭の開催は今年はありませんが、近年の作品上映が行われています。行けないままに、ポルトガル映画祭は終わってしまいました。

そして、PFFからも作品を3本出品しているバンクーバー国際映画祭が始まります。今年も一足先にカタログが送られてきましたので読み始めましたら、コンペの審査員に、ジャジャンクーとポンジュノが!本年のPFFアワード入選作品から『世界グッドモーニング!!』と『白昼のイカロス』がコンペに選ばれたのですが、彼等に作品を観てもらえるのは、何と素晴らしいプレゼントでしょう!2007年以来バンクーバーには出かけていませんが、しみじみ懐かしくなりました。
また、アピチャッポンの短編プログラムが、「アピチャッポンと平林勇」と題して、本年のPFFで招待作品としてご紹介した平林勇監督とふたりの特集になっているのにも感動。
一方で、近年海外映画祭への参加がめっきり減っている自分を改めて痛感しました。それは、ラインナップにかつてなく未見の作品を多く感じたからです・・・・

少なくとも、年間6~8箇所の海外の映画祭への参加が普通だった日々は遠く、ふと気付くと本年はまだ3箇所のみ。更に、そのまま増えずに終わる予感がします。
特に、今年は釜山国際映画祭のディレクター、キム・ドンホ氏がいよいよその役を去る年。世界中から映画祭関係者が集まると予測しますが、その釜山に行く予定もありません。なんということでしょうか!我ながらびっくりです。
で、色々考えてみました。

多分、大きな原因は、その「居心地の悪さ」かなと思いました。
私自身の、他の映画祭への参加ポジションがいささか複雑になりがちなこともあり、海外の映画祭との付き合い方に困難を感じることがあります。
海外の映画祭に参加する際に、私の立場は、映画を観る場合は映画祭のディレクター&プログラマー、 作品を提供する際は映画プロデューサー、となります。というのも、PFFという映画祭を運営していると同時に、PFFアワード作品や、PFFスカラシップ作品を中心に、作品を映画祭に出品するという、他の映画祭にはない活動をしているからです。
また、PFFは、日本の自主映画がコンペティション応募の9割以上を占めるため(「3名以上が応募作品を最後まで必ず観る」という審査のプロセスを考えると、応募本数の多さを競うことは不可能なため、長く海外への積極的な公募を行っていないので当然なのですが)、日本語での上映をメインとし、英語字幕をつけることを国内上映では優先していません。

さて、世界の映画祭での交流とは、「作品を招く」「人を招く」という交渉が大きな割合を占めますが、PFFの場合、簡単に言えば、私が招かれて、それに対して招き返すということを設定するのが非常に困難です。PFFのコンペの審査員は、日本人優先。招待作品部門は、年によって企画を変え、明確に定期的な招待枠を設定していない。上映は日本語中心。海外のジャーナリストや映画祭関係者の招待枠はない・・・・と挙げていて、改めて、ありゃりゃ~と頭を抱えました。
おおざっぱに言えば、映画祭予算は優先的にPFFアワード作品とPFFスカラシップ作品の上映のために注ぎ、人的国際交流が優先されない現状では、「招かれたら招きかえす」という基本的な交流が、日に日に重荷になって足が遠のくというのがある、という現実を噛み締めました。

映画祭は映画関係者にとっての社交場。そしてもうひとつ、ビジネスや政治の世界と同じく、欧米人の価値観で構築された場。そこでの交流にエネルギーを使うことを、再度考えなくてはと考えながら、他にも色々考えなくてはならないことが多すぎて、考える時間をつくることにしました。
映画祭開催期間の変更は、PFFではこれまで1989年と1998年とに2度行ってきましたが、色々な環境の変化に伴う業務のスムース化をはかる為にも、2011年、第33回も、多少会期の変更を計画しています。発表は11月下旬を予定。あわせて「PFFアワード2011」の公募期間も締め切りが先になります。

さて、この一ヶ月は、PFF全国展開のプログラミング、チラシ製作、宣伝準備などに忙殺されていましたが、間もなく一段落します。HPもアップし、各地でチラシ配布も始まりました。来春の所沢でのイベント「世界が注目する日本映画たち」の企画始めました。来年は、3/18,19,20日の開催で、3/18(金)は初めての試み"前夜祭"として、異色の企画をすすめています。TSUTAYA企画10/25更新回始めました。映画専門大学院大学で、市山尚三さん、高橋洋さんとシンポジウムに参加しました。映画祭は"特別"な仕事ではなく、"普通"に仕事なのだと伝わるといいなと思いました。キネマ旬報のインタビューを受けました。変化し続けるキネマ旬報を感じました。こうして時々人と話すことで、自分の仕事が整理されることを痛感したふたつの体験でした。無料上映でカンパだけで成立するということに興味をひかれ「911映画祭」に参加してみました。911の朝トロント映画祭からの帰国ができなくなった体験があるからかもしれません。11の演劇や音楽や芸能の舞台を鑑賞しました。いくつかの舞台で"技術"は表現を高みに上げることを痛感しました。そして10月。京都のPFFです。Twitterやらなくちゃ駄目だよと言われてます・・・・


2010/08/29 22:03:45

あの監督がこんな作品を推薦しています

『悪人』
『ゲゲゲの女房』
『あんたの家』
TSUTAYA渋谷店4階のPFFブースをリニューアルしました。 これから2ヶ月は、「その本気さにやられました」というテーマで、『悪人』の公開を控える李相日監督、『ゲゲゲの女房』の公開を控える鈴木卓爾監督、そして、各地で上映されるPFFアワード2010入選監督から、『あんたの家』の山川公平監督の3名に、強烈な印象を残した映画を5作品づつ推薦いただきました。 実はこの企画、今年2月から二ヶ月ごとに展開しています。「何をみようかな」と迷ったときに、ともかくこのブースにある作品を片っ端からみるといいよという企画です。 ここで、これまで推薦いただいた作品を一挙にご紹介します。 非常識に長くなってごめんなさい。お暇なときに、ちょこちょこご覧いただけると嬉しいです。 さて、現在展開中のPFFブースでは、3監督がどんな作品を推しているか、是非渋谷TSUTAYAを覗いてみてください!


TSUTAYA PFFブース企画2010 vol.1
おすすめします!
今、元気の出る16作品。
未来の映画を担う4名が、新生活を始めるあなたを元気にさせる
とっておきの作品教えます。

2月25日より展開

◉市井昌秀監督 『隼』『無防備』

『聴かれた女』 山本政志監督
「変態」の対義語は「常態」?いや違う。「普通」か。「普通」って何?
引越し先の部屋の壁の薄さから思わず隣室の盗聴を始める男。
そんな男に感情移入していくオレって変態?
俗に言う「変態」が許容される映画。変態バンザイ!

vibrater.jpg『ヴァイブレータ』 廣木隆一監督
「誰かと触れ合いたい」って感情は孤独である自分を再認識させる。
孤独な女にさりげなく差し伸べる男の手。
からからの心をそっと、優しく撫でてくれる。
ほんのちょっと元気出ます。

◉井上真行監督 『死ねない奴』『一秒の温度』

『飛べ!フェニックス』 ロバート・アルドリッチ監督
人間、なんとかなるんじゃないかと思わせてくれた、ような気がする映画。
汗ばんだ手を握ってワクワクして観た、ような気がする映画。
映画がいつか断片的な記憶になっていく時、生き抜く力をもらった事だけは確信してる映画です。

grand.jpeg『グライド・イン・ブルー』 ジェームズ・ウィリアム・ガルシオ監督
不信!不安!不自由!
現実に行き場を無くした時、
ここで一人、白バイ警官は戦ってる。
その姿が荒野と溶け合い、とてつもない安心感に包まれる映画。
大人だって信用できる大人が欲しい!
迷わず観ずに、迷ったら是非観て下さい。

◉石井裕也監督 『剥き出しにっぽん』『川の底からこんにちは』他

olive.jpeg『オリーブの林をぬけて』 アッバス・キアロスタミ監督
ブッシュ政権時に「悪の枢軸」とまで言われたイランで作られた映画。でも本当に優しくて良心のある映画。核兵器云々よりも、こんなにもあたたかくて深い眼差しがイランにある事の方が僕らにとっては重要だと思います。

『イエロー・サブマリン』 ジョージ・ダニング監督
『アバター』を観た直後に、どうしてもこれが観たくなってDVDを買いました。この心地良い想像力の世界に漂うような感覚が僕は好きです。誰もが言いたいのに言えない「All You Need Is Love」を、しれっと歌い上げたレノンはやっぱり素敵です。

『河』 ツァイ・ミンリャン監督
暗くて深い闇を抱えた崩壊寸前の人間達を、愛の眼差しをもって傍観的に観察するような、そんな映画です。意味化を拒むかのように進んでいくストーリーの中で、ワケも分からず時たま感動させられます。人生なんて、そもそもワケが分かりません。

kakko.jpeg『カッコーの巣の上で』 ミロス・フォアマン監督
とにかく人間の臭い(駄目さ)をビシビシ感じます。そういったものに触れると、本当に勇気づけられます。安心もしますし、愛おしい気持ちになります。イケメンもいいですが、欠陥人間だって、視点を少し変えればすごくチャーミングに見えるんです。

『黄金狂時代』 チャールズ・チャップリン監督
チャップリンには憧れています。軽いユーモアの中に隠された哀しみ、哀しみの中に隠されたユーモア。この人は「人生」というものを完璧に悟ったんじゃないか、その上で極上の娯楽映画を作ったんじゃないかと僕は勝手に想像しています。

◉満島ひかりさん 女優

『乙女の祈り』 ピーター・ジャクソン監督
まるで作品の中に何かが宿ってしまったかのように、全ての瞬間が瑞々しい。
作品の中の人々は、人間というよりも、生き物と呼ぶ方が、ふさわしいと思う。

『サマリア』 キム・ギドク監督
こんな映画は観たくなかった。16歳の時に観て、衝撃を覚えた。
キム・ギドク監督の作品はほとんど鑑賞したけど、この作品に、最も心が痛んだ。

koisuru.jpeg『恋する惑星』 ウォン・カーウァイ監督
フェイ・ウォンがもの凄く可愛い。魅力的過ぎて、恋してしまいそうなくらいに
想像力が、好奇心がみなぎる映画です。多分、50回は観たような。

『ローズマリーの赤ちゃん』 ロマン・ポランスキー監督
信じられないほど怖い。ミア・ファローを始め、役者が皆本当に素晴らしい。
音楽も、演出も、素晴らしい、他に類をみない作品。ただ、信じられないほど怖
い。

lolita.jpeg『ロリータ』 スタンリー・キューブリック監督
夢うつつな、哀しい愛の話。観る時によって、状況によって、感じ方が様変わり
する。優しさと虚しさが、作品中に煌めき、漂っている。


TSUTAYA PFFブース企画2010 vol.2
悩んだ時はこれをみる!
~私の人生を明るく照らす秘密の映画たち~
3人の映画監督がこっそり教えます

4月28日より展開

◉石井裕也監督 『剥き出しにっぽん』『川の底からこんにちは』他

straight.jpeg『ストレイト・ストーリー』 デヴィッド・リンチ監督
悩んだ時は、シンプルなものが一番。主人公のお爺ちゃんが兄貴と十年ぶりに再会するラストシーンは、この上なくシンプルで、だからこそ胸を打たれる。静かでやりきれない、孤独な夜に一人で観るのが乙だと思います。

『アンダーグラウンド』 エミール・クストリッツァ監督
悩んだ時は、楽しいものが一番。ただ楽しいだけのものは馬鹿げているし、腹が立つ。だがこの映画は、人間に課せられた宿命のような悲しさを吹き飛ばそうとする、人間の根源的な明るさ、パワーを感じさせてくれる。

garp.jpeg『ガープの世界』 ジョージ・ロイ・ヒル監督
悩んだ時は、ファンタジーが一番。原作者は、僕が高校生の時から大ファンであるジョン・アーヴィング(映画監督よりも昔から作家に憧れます)。想像力さえあれば、人生のどんな苦しみや悲しみをも乗り越えられる。

『モダン・タイムス』 チャールズ・チャップリン監督
悩んだ時は、チャップリンが一番。「教師も政治家も、大人なんて誰もが嘘をついているんだろ」と疑っていた中学生の時、チャップリンだけは「本当」を真摯に語っている気がした。それは今でも変わっていない。

◉塚本晋也監督 『鉄男』『双生児』『ヴィタール』『鉄男THE BULLET MAN』他

shichinin.jpeg『七人の侍』 黒澤明監督
高校生のころ、劇場中の観客がどよめくというすごい体験をした。それ以来、そんなどよめきのほんの少しでも起こせないかと映画を作り続けています。

『ブレードランナー』 リドリー・スコット監督
ご存知サイバーパンクの金字塔。「鉄男THE BULLET MAN」のお父さん的存在です。今回は特にこの映画へのオマージュが強い。映像美を追求する徹底的なパワーに力をもらいます。

taxidriver.jpeg『タクシードライバー』 マーティン・スコセッシ監督
何度見たことか。見るたびに新しい発見がある。「タクシードライバー」のようなエポックメーキングな映画が作りたくて、映画作りの旅を続けていると言えます。

『青春の蹉跌』 神代辰巳監督
ショーケンのなんとかっこいいことか。井上堯之さんの音楽のなんといかしたことか。中学生のとき、はじめて怪獣映画でない日本映画を映画館に見に行った作品。僕の青春そのものです。

『赤い殺意』 今村昌平監督
本当のできごとがカメラの前で起こっているのかと思ったほど衝撃を受けた。ヌーヴェルバーグの映画を見るような、俳優の体から発するエロティシズムを含んだパワーを感じた。

rainman.jpeg『レインマン』 バリー・レヴィンソン監督
心が落ち着くので、何回でも見る。ぼくにとっては癒しの映画です。俳優の演技に、深いメソッドがあるようで、映画を勉強したことがないぼくはそれはどんなメソッドなんだろうと興味がわく。



◉深川栄洋監督 『自転車とハイヒール』『60歳のラブレター』他

et.jpeg『E.T.』 スティーブン・スピルバーグ監督
初めて映画館に行ったのは、子供会での体験。スクリーンの迫力、音の振動、大勢で一緒に観る環境に、同じく映画初体験の姉二人と圧倒され、終演後も放心状態。深川家は無言のまま、帰路に就きました。僕の原点です。

『グーニーズ』 リチャード・ドナー監督
母にお小遣いを貰って初めて友達と観た映画。ロードショーでは無く、何度目かのリバイバルでした。プロになり、深川くんはどんな映画が作りたい?と聞かれたら、いつもグーニーズの様な子供が活躍する冒険活劇が作りたいと言ってます。

kazoku-game.jpeg『家族ゲーム』 森田芳光監督
映画の専門学校に入った時、実は監督は無理だと思って、録音部志望でした。色んな映画を観る内に、僕の様な人間がスクリーンに居た。『なんでもない、普通の人々』。僕はこの映画から『お前でも良いよ』と言われた気がする。

『百貨店大百科』 セドリック・クラビッシュ監督
大人になり、僕はフランス映画に人生を教わりました。そして映画はフランス映画に学んだように思えます。僕には夢がある。数年後、ヨーロッパに旅立つ。今まで作った映画を仏訳して、上映会をしていた頃のように映画館を回る旅を。

『スティング』 ジョージ・ロイ・ヒル監督
日本では無い映画。お洒落で、ユーモアに包まれ、人生を語り、出演者は素直、音楽は豊かに流れ、痛快な物語。あのメロディーが聞こえてくると、その世界にひき込まれる。誰にもあると思いますが僕には特別な一作。


TSUTAYA PFFブース企画2010 vol.3
スクリーンでみたい!
映画祭でみたい!
はじまる!
第32回PFFぴあフィルムフェスティバル

6月25日より展開

◉石井裕也監督 『剥き出しにっぽん』『川の底からこんにちは』他

ba-ton.jpeg『バートン・フィンク』 ジョエル・コーエン監督
中学生の時、深夜のテレビ放送で観ました。思春期に抱えていた孤独や不安、人生に対する違和感のようなものが、この映画の中に描かれている気がしました。あくまでも「気」ですが。だからこそ非常に勇気づけられた覚えがあります。

『真夜中のカーボーイ』 ジョン・シュレシンジャー監督
ビデオで観ました。「よく分からない人達」が「よく分からない世界」の中でもがきながら、戦って負ける話です。この「よく分からない」感じがとても印象的で、リアルなんです。この「よく分からない」は、時として「よく分かる」よりも貴重です。

『短編集ヤン・シュヴァンクマイエル』 ヤン・シュヴァンクマイエル監督
高校生の時、美術の先生がビデオで見せてくれました。「衝撃」以外の何物でもなかったです。世界は広い、と思いました。映画で人生観が変わったのは、これまでチャップリンとシュヴァンクマイエルだけです。

『赤い橋の下のぬるい水』 今村昌平監督
18歳の時、深夜のテレビ放送で観ました。ああ、ここまで自由に映画を作ってもいいのかと、背中を押された作品。女の「潮」が高く高く噴き上がる場面では、人間の「自由」を感じました。以後、自由を感じられる映画は偉大だと確信。

jack.jpeg『ジャック』 フランシス・フォード・コッポラ監督
BSのテレビ放送で観ました。人より4倍のスピードで成長してしまう少年の物語。少年とその周囲の人達が楽しそうに笑えば笑うほど、どこか哀しげに見えるという、不思議で優しい世界観。同監督の『ゴッド・ファーザー』より素敵です。

◉荻上直子監督 『かもめ食道』『めがね』他

『モーターサイクル・ダイアリーズ』 ウォルター・サレス監督
革命家チェ・ゲバラの若き日の旅行日記。親友とふたり、バイクに二人乗りして旅をする。青い空とまっすぐに続く道。この映画を見ると、明日、旅に出たくなる。若者だけがもつ自由で
尊い時間を満喫してください。

cho-noshita.jpeg『蝶の舌』 ホセ・ルイス・クエルダ監督
涙です。素晴らしいラストシーンです。人と馴染めない少年が老いた先生からいろんなことを教わります。自然のこと、蝶のこと、人生のこと。しかし、スペインの内戦が少年から大好きな先生を引き離す。ああ、涙。

『イル・ポスティーノ』 マイケル・ラドフォード監督
詩は、ときにどんなものよりも強く心を動かされる。イタリアの小さな島で、詩人と地味な郵便配達員が交流する。島の美しい風景とうっとりするような詩が重なって、見てるこちらもう
っとり。耳元で囁かれたい。

『天国の口、終りの楽園』 アルフォンソ・キュアロン監督
エロイ!すばらしくエロイ!美しくエロイ!17歳の少年2人が年上美人と「天国の口」を目指して旅をする。メキシコの暑くて青い風景の中、酒飲んでセックスして、少年たちは大人になる。ラストはジーンと切ない。

『グッバイ、レーニン!』 ヴォルフガング・ベッカー監督
ドイツ統一直前に倒れた母。昏睡状態から覚めた母に、ショックを与えないよう、統一された事実を隠そうとする息子。その奮闘ぶりが優しくて悲しくて可笑しい。空に浮かぶレーニン像に重たい歴史を想う。

◉平林勇監督 『TEXTISM』『SHIKASHA』他

suika.jpeg『西瓜』 ツァイ・ミンリャン監督
やりきってるところが素晴らしい!怖じ気づかず、やりたいことを、やりたい放題にやっている。ストーリーで追わず、絵画や彫刻と同じ見方で見ると、ゴロッとした強烈な印象が残る。

『楢山節考』 今村昌平監督
やりきってるところが素晴らしい!人間という動物の陰影がギッシリ詰まった作品。カンヌ映画祭のパルムドールを2回も獲った今村昌平監督作品。

『ダーククリスタル』 ジム・ヘンソン監督
やりきってるところが素晴らしい!人間は1人も出てこないけどアニメじゃなくて実写映画!すべて想像上の生き物!ここまでやりたい放題作れるなんて!

『オアシス』 イ・チャンドン監督
やりきってるところが素晴らしい!扱いづらいテーマや設定を、堂々と真正面から逃げずに作っている。ここまで出来る女優がすごい!それをやらせる監督もすごい!

karune.jpeg『カルネ』 ギャスパーノエ監督
やりきってるところが素晴らしい!馬肉!肉!肉!肉体!40分という中編で、ここまで肉な世界観を構築できるのが凄い。うらやましいのひと言。

2010/08/28 23:01:10

夏休みではありません・・・・

あ!と気付くと前回の日付から40日経ようとしています。
第32回PFF終了からは、一ヶ月が経ようとしています。
ずっと、映画祭の後片付けと、秋の全国展開の準備をやっています。かなしいかな、夏休みだったのではありません。
それにしてもこの暑さ。欧州の人々が長期休暇を強制され、休み方に困っている様子を旅先でみたことも多い私には、休みは自分でとるほうがいいのでは?という考えがあったのですが、しかし、今ちょっとその考えを変えつつあります。全国民休暇制度を導入して、猛暑の期間、心配なく休むことができるようになると、何か変らないでしょうか?子供たちの夏休みと同じく、大人も夏休みにする。オフィスビルでフル回転するエアコンが止まる効果とか、長い時間をかけての心身の疲れのほぐしとか、自分の趣味の再発見とか、多彩な効果が生まれそうな気がしています。
子供手当ての前に、大人手当てが急務では?というようなことをぼ~と考えながら、秋のPFFツアーのプログラム大詰めです。
まず、最初の開催地、京都です。追いかけて福岡、名古屋、神戸と続きます。
そのあとは(例年より少し遅れていてすいません)第33回PFF開催の具体化が始まります。

caterpillar.jpgPFF京都開催の会場は「京都シネマ」です。ただいま『キャタピラー』などを公開中で、東京の若松孝二特集を京都のプログラムにも、という希望も出ています。
>>京都シネマ

今回、若松孝二特集でしみじみ再確認したのは、「映画で食べていく」ということを微塵も揺るがせない若松孝二という監督の意志です。監督の、山あり谷ありの半世紀に渡る映画生活は、現在の若い監督たちにとっては不可能な体験や、その時代が含まれていますので、そのまま導入することは有り得ないのですが、「映画で儲ける」という強烈な意識は、目撃できるだけしておきたいものだと改めて思いました。
wakamatsu-wakamono.jpg例えば『キャタピラー』。単館系の作品の「東京から徐々に全国に広がる」という公開の流れを覆し、自主配給でほぼ全国同時公開を成し遂げたこと、入場料金を自分で設定し交渉したこと、徹底的に体を張ってのキャンペインを展開したこと、など、驚くべき挑戦が多数起きています。企画から公開までの長い年月、意志の力をキープすることが、一番大きな仕事とも言える昨今の映画の仕事を、改めて考える、若松監督の行動です。
>>『キャタピラー』公式サイト

2010/07/20 00:43:26

映画は映画監督が引っ張っていくと、PFFは考えています

catarpilar.jpg第32回PFFぴあフィルムフェスティバル始まりました!
今年は映画祭ニュースでPFFスタッフが日々の状況をご報告するとともに、オフィシャルカメラマンとして現場に張り付いてもらっている内堀さんにも、会心のスチルを使ってレポートしてもらっています。
コンペティション部門「PFFアワード」の1回目の上映が終了して、今日は最初のフィルムセンター休館日。これからの上映プログラムの最後の準備をしています。
robi01.jpg実は、今年の「PFFアワード」は、女性客の増加を強く感じています。嬉しいことです。自主映画とか、商業映画とか、そんな区別なく映画を楽しむ人の増加にも関係しているのではないかと思います。
PFFアワードの上映は、毎回できるだけ監督をお招きしてお話を伺っています。というのも、今更改めてお話するまでもなく、PFFでは応募された映画は監督が牽引しているという前提で考えているからです。

一ヶ月以上前の話で恐縮ですが、先月、馬車道の東京藝術大学大学院映像研究科と、西新宿の映画専門大学院大学で話しをする機会がありました。
東京藝大のほうは、フランスの国立映画大学La femisのプロデューサーコースの学生6名を日本に招聘しての、日仏合同ワークショップの一貫でした。私は海外の映画祭がいかにチャンスとなるか紹介する役だったのですが、誰に向って何を話すのか、迷う場所でした。何故なら、それは、参加者の、立場の違い、望みの違い、言葉の違いが、多彩な場所だったからです。
フランスのプロデューサーコースの学生にとって、プロデューサーとしてやるべきことは、同級生の監督の望む映画を実現するために、用意されている補助金をいかに獲得するか奮闘することです。明確な目標と、獲得すべきノウハウがあります。一方、日本のプロデューサーコースの学生にとっては、無名の若い監督への補助金も、無名の若いプロデューサーに降りる補助金もありません。現実では、プロデューサーを志す人たちの多くは、何らかの映画製作をしている会社に就職することが目標であることがわかりました。プロデューサーとしてのスタートラインが非常に差のある日仏だということを再認識です。同時に、そのワークショップの時間には、監督志望者も、一般の人もいました。何を話すのがよいのか、迷いました。更に、6人のためにフランス語の通訳もされます。そうなると、日本語で伝わりやすい言葉使いと、翻訳されて伝わりやすい言葉使いの使い分けも混迷しました。言い訳しているわけではないのですが、非常に難しい時間でした。
そして、その一週間後に、映画専門大学院大学で、同じくプロデューサー志望の学生たちに、PFFのことを話す機会がありました。こちらも、プロデューサーとしてのキャリアの始め方に皆さん悩んでおられることを感じさせられました。就職のチャンスを、皆さん探しています。
同時に、日本で「プロデューサー」は映画をどうプロデュースすることを前提としているのか、そもそも、その仕事の役割をどう定義しているのか、興味を持ちました。というのも、学生さんたちから、この監督の作品をプロデュースをしたいとか、この企画をプロデュースしたいとかいう具体的な話を伺う機会がなかったからかも知れません。また、考えてみると、PFFの活動は、監督を中心に置いたもので、他の視点で考えてみることがないため、「プロデュース」の意味が明確ですから、他の「プロデュース」がよくわかっていないのかもしれない自分も発見しました。

saitama.jpgこれは一部では良く知られているのですが、昨年から最も話題になった自主映画『SRサイタマノラッパー』の入江監督のブログです。
http://blog.livedoor.jp/norainufilm/archives/51672315.html
映画祭の最中に持ってくる話題ではないかもしれませんが、作品が話題になっても、収入は限られてる、という現実。映画をやればやるほど疲弊する、という現実を改善することは、常に映画に関わる人々の課題です。更には、観客がいるという状況をどうつくれるか、も、重い課題です。
sakuragiminden.jpg実は『SRサイタマノラッパー』は、ゆうばり国際映画祭グランプリ受賞後、DVD発売が決定したことでPFFの応募を取り消ししたいと入江監督から連絡を貰い、当時の予備審査員たちはとても落ち込んでいた大人気作品でした。常にその動向を皆気にしていました。先日のコクーン歌舞伎『佐倉義民伝』では、重要な出演者としてこの映画のキャストが配されており、嬉しくなりました。

bff2010_.jpg話しはまた飛びますが、同じく先月は、吉祥寺バウスシアターで開催された「爆音映画祭」が大成功を収めました。吉祥寺のホテルに宿泊して通った人も沢山いたそうで、ロックフェスのような映画祭で素晴らしい事象です。
映画が人をときめかすことが出来るということを証明する。これも映画に関わる人の課題です。

PFFでも、上記の課題に対して、出来ることからコツコツと活動を続けていますが、その世界は果てなく広く深く、まずは自分たちの活動である「映画祭」で出来ることが最初です。そして、PFFアワードに応募した方々に、映画祭会場で、実際にどんな作品が応募されているのか、入選しているのか、どんな人が監督しているのか、体験して貰いたいのが、今、映画祭真っ只中の私たちの最大の望みです。志を同じくする人たちが知りあえば知り合うほど、何かが生まれる可能性は高まります。映画祭という場で、多くの出会いを願っています。

2010/07/04 15:12:35

PFF休止?!

先日、キネマ旬報「絶滅危機種問題」のページに、突然、PFF存続の危機と書かれて一同すっかり戸惑っていましたら、今度は、WikipediaのPFFページに「休止を発表」とどなたかが書き込みなさっておられ、PFF事務局一同びっくり仰天です。
いや~、威張って言うことではありませんが、正直いって、いつでも存続の危機ですPFF。確かな保証のない世界です。でも、一回も休止の発表も、その前段階の、休止の決定すらもありません。

いやはや初めて、どこからも一度も取材されていないのに確定記事の出る怖さ、というのを、身をもって体験しました。これまで色々な方々から聞いていた「裏をとらない情報発表」って、こういうことかと、納得です。
このご時勢ですし、いえいえ、考えてみればずっとずっと長い間、文化芸術活動はどこも困窮を極めている日本です。しかし、それもまた人生というわけで、今はただあとわずかに迫った映画祭初日に向けての準備に邁進するばかりです。

週明け早々映画祭カタログを印刷に入れ、ゲストの皆様への最終案内をし、現場のシフトを整え、表彰式の準備をし、現場に搬入を始め、映写テストをし、などなど、などなどで、10日間があっというまに過ぎて、はっと気付くと7月15日。と予測です。

今年は、コンペティション部門のPFFアワードに、新しい賞が設定されます。
「映画ファン賞(ぴあ映画生活賞)」です。
ぴあ映画生活の会員から公募された映画ファンの審査員8名(予定)が、PFFアワード入選作品を全て映画祭会場でみて、審査会議を持ち、1作品に映画ファン賞を授与します。
賞は「最も映画館でみたい監督」に贈られます。

もうひとつ、Post-itの協賛で、PFFアワード上映に際して、上映作品の感想を新発売の強力post-itに書き込んで特製ボードに貼り付けるというイベントが行われます。
会場では、PFFアワード2010特製post-itが用意され、書かれたコメントはpost-it特設サイトにも掲載です。お気に入りの作品を是非是非ひろくアピールしていただき、自主映画をみたことのない人の背中を、ちょっと押してくださると嬉しいです。

今は日曜の昼下がり。
カタログ原稿の最後の編集をしています。
そんなこんなでシネマヴェーラで行われている足立正生特集に、計画通り通えていません。
若松映画でも、寺島幹夫さんの参加している作品は面白いなあと思っていましたが、足立映画の「性教育ピンク映画」シリーズ寺島幹夫、面白すぎました。セックスシーンの殆どないピンク映画を乗り切る手法はこれ?と感心も。寺島幹夫参加作品を全て網羅する計画、潰えっぱなしです。

映画といえば(と申しましても、殆ど映画の話題のブログですけど)、秋の映画祭のプログラマーが来日する季節となりました。PFFにも試写にやってくる彼等との会話で、話題は園子温監督の『冷たい熱帯魚』が一番多いでしょうか。私も拝見してPFFのプログラムに入れたかったのですが、同時にバタバタと諦めかけていた作品の上映が決定してプログラム枠が足りなくなってしまいました。愛犬家殺人事件を題材にしたものすごい映画です。血の苦手な方にはおすすめしません。でも、お楽しみに!

2010/06/15 18:33:13

若松作品の状態について

カタログ制作やプリントチェックなどに追われ、もう二週間が経ってしまいました・・・。
若松孝二監督特集のプリントチェック、出来るものは全て終了しました。

『血は太陽よりも赤い』(1966)は、噂通りの掛け値なしの傑作です。これが残されたただ一本のプリントということで、大切に上映されてきたそうですが、カラーパートの色の劣化はあります。*映画祭チラシには、白黒と記していますが、パートカラーの作品でした*そして、ショックなことに、最後の巻の崩壊が始まり、湾曲しています。これは、大変惜しい出来事ですので、何らかの改善方法がないか、ただいま必死に調査中。エンディングの重要な作品ですから、良好な上映を目指します。

『性の放浪』(1967)は『血は太陽よりも赤い』に連続してみたのですが、ほぼ同時代に製作されたこれら2作品の豊かさに眩暈がしました。
『性の放浪』は、現存する唯一のプリントである、16ミリ・シネスコサイズプリントでの上映です。ロードムービーでもある、この色褪せない面白さを、どう伝えたらいいのか・・・兎に角、『血は太陽よりも赤い』と『性の放浪』は是非ご覧いただきたいと改めて思いました。『性の放浪』のプリント状態は上々です。

『性賊/セックスジャック』は、誰もが声を揃える傑作であることを、再度確認です。秋山未知汚の存在感を、『ゆけゆけ二度目の処女』(シネマヴェーラの足立正生特集で上映があります)とあわせて、堪能していただきたいです。代々木公園の安保反対デモをゲリラ撮影したオープニングシーンからクラクラ。是非フィルムで体験して欲しい、瀬々敬久監督の選んだMy Best Wakamatsu作品です。プリント状態は、こちらも上々です。
>>シネマヴェーラ 足立正生の宇宙

有名な『胎児が密猟する時』。My Best Wakamatsuに選んだ石井岳龍監督が、「当日は、どうしたらこんな発想が湧くのか監督に伺いたい」とおっしゃっていますが、登場人物は2人だけ。場所はあるアパートの部屋だけ。という実験作であり、男のどうしようもなさに関する映画です。これも、プリントはきれいで素晴らしいです。

『聖少女拷問』。唯一の80年代の作品です。こちらも、現存する唯一のプリントである16ミリシネスコサイズでの上映です。最新作『キャタピラー』と共通する、戦争という暴力から来る女性への抑圧についての映画です。昭和初期の東北の冷害が生んだ飢饉のため、身売りするしかなかった5万人以上に昇る娘たちの側に立った作品で、兵隊に代表される権力者への怒りが根底に流れる、若松監督らしい作品と言えるかと思います。色の劣化が少し始まっていますが、充分にきれいです。なんだか大作の風格があります。

最後になりますが、今回の特集記念に、若松プロダクションが所蔵するネガから、一本ニュープリントをつくることを決めたときに、若松監督が選んだのが『新宿マリア』(1975)です。監督にとって、思い出深い作品で、黒テントの女優、中島葵が主演しています。新宿の街を舞台にした、35年前の歌舞伎町、百人町、ゴールデン街の姿をくっきり残す作品ですが、他の上映作品といささか赴きの違うことに驚きました。監督がレバノンで毎日耳にしていた唄をバックに、美少女売春婦と、テロリストと、スクープを狙う記者と、その夫である映画監督が登場します。今回上映する若松作品の中で、一番ざっくりとした登場人物の設定かもしれませんし、他にない濃密なベッドシーンにも呆然とします。同時に、かなりロマンチックな恋の物語でありながら、強引な展開は、当時執拗に警察にマークされ大変な日々だったという若松プロダクションの状況を反映しているのかもしれません。そして、プリント状態ですが、現像所から色がにじむことを連絡いただきましたが、色むらが少し出ています。

以上が今日までチェックできたプリントです。その他ですが、『腹貸し女』と『寝盗られ宗介』は、状態のいいプリントであると報告を受けています。『逆情』は、プリントの完成待ちです。もうひとつ、サプライズ企画を、若松特集の最終回となる、7/25日17:30~の回で計画しています。実現次第お知らせします。

>>各作品の上映日程はこちら

2010/05/31 19:40:55

シネマヴェーラで足立正生特集が

adachi.jpgチラシ完成が明日に迫り、ただいま発送や配布の準備に追われるPFF事務局です。
6/19(土)~7/9(金)に、渋谷シネマヴェーラで足立正生特集「足立正生の宇宙」が開催されます。
http://www.cinemavera.com/index.html

全19作品でラインナップされたこの特集は、日大映研時代の貴重な自主映画も含め、足立正生監督作品を中心に構成されていますが、足立正生脚本&若松孝二監督作品も5作品上映されます。『日本暴行暗黒史 異常者の血』『性犯罪』『ゆけゆけ二度目の処女』『新宿マッド』『性輪廻 死にたい女』です。
みたい。

また、PFFで上映する『胎児が密猟する時』にも登場する主人公丸木戸定男が活躍する「性教育ピンク映画」シリーズ3本『堕胎』『避妊革命』『性地帯(セックスゾーン)』もあり、1960年代後半のむちゃくちゃでアナーキーな若松プロの熱が伝わる特集でもあります。
そんなわけで、PFFからのDMにも、足立特集のチラシを同封する計画浮上中です。こんなに沢山通ったら、夏のPFFまでに皆様の映画貯金が尽きるのでは・・・と心配でもありますが、お伝えしてみました。
この特集チラシ、なかなかにきっぱりと「革命」なデザインで、映画のスチル使用ゼロなところが、非常に面白いです。

PFFスカラシップ作品『家族X』はクランクアップして、皆様精算に追われています。PFFは、明日からカタログ制作に入ります。こうして、新たなステップに入る6月のPFF事務局です。
これから、ゲストの追加情報や、短編スペシャルでの上映作品情報など、公式サイトでアップしていきます。また、ここでも詳しい作品情報をお伝えします。


2010/05/28 17:41:58

若松孝二特集企画詳細です

若松孝二特集~こわくない!!はじめての若松体験~
と題して、今回のPFFで若松孝二監督の特集を行います。



『キャタピラー』@若松プロダクション


『逆情』


『新宿マリア』


『血は太陽よりも赤い』


『性の放浪』


『聖少女拷問』


『胎児が密猟する時』


『性賊/セックスジャック』


『寝取られ宗介』
若松孝二の「名前は知っていても、作品をみたことがない」人の数は驚くほど多いと感じ続けてきたことがきっかけです。"若松監督は怖い"というイメージが先行していることも感じるのですが、作品をご覧になるとすぐわかるのが、監督の子供のような直感とフットワークの軽さ、若者のような「今これを映画にしなくては」という使命感、そして、年を経たこその、次代を担う人たちへの暖かいまなざし。そして、その映画は簡潔で明確なのです。
この機会に、是非、独自の道を歩む若松監督の初体験を、特に女性にしていただきたいと考えています。(ちなみに、最新作『キャタピラー』の助監督は若い女性ばかりですよ)

さて、ラインナップです。100作品を超えるといわれるフィルモグラフィーの中から、今回は、ソフト化されていない作品を中心に、監督の思い出も伺いながら6作品を選びました。ニュープリント制作が実現した作品もあります。
また、現在活躍中の監督たち3名が、自分の一番印象に残った若松作品を選び、上映後、若松監督に直接作品について伺うという「MY BEST WAKAMATSU」企画も実施します。

<PFFのためのニュープリント作成作品>
『逆情』1964年、
『新宿マリア』1975年*公開時のタイトルは『売春婦マリア』ですが、脚本タイトルである『新宿マリア』が若松監督のなかでは映画イトルです。

<未ソフト化作品>
『血は太陽よりも赤い』1966年、
『性の放浪』1967年、
『聖少女拷問』1980年

<名作>
『腹貸し女』1968年
MY BEST WAKAMATSU<石井岳龍監督選&対談>『胎児が密猟する時』1966年
MY BEST WAKAMATSU<瀬々敬久監督選&対談>『性賊/セックスジャック』1970年
MY BEST WAKAMATSU<阪本順治監督選&対談>『寝盗られ宗介』1992年

また、7月15日には「前夜祭特別上映」として、最新作『キャタピラー』を東京で初めて一般上映です。若松監督、主演の寺島しのぶさん、大西信満さんが舞台挨拶に登場します。

この『キャタピラー』、6月にまず沖縄で公開が始まります。米軍上陸が日本で最初に行われたのが6月の沖縄だったからです。8月には、広島と長崎で原爆投下の日の公開、東京は終戦の日(の前日の土曜日)の公開と、非常に覚えやすいスケジュールでの公開が控えています。
また、この12月には、存命中の映画監督としては異例の、40作品にのぼる回顧展がパリのシネマテークで開催されることも決定したそうです。
その衰えることのない世界の理不尽さに対する怒りと、行動への情熱を、今回の特集をきっかけけに、もっと知りたくなる方が増えることを願っています。
・・・・と書くと、また、"怖い映画ばかり"だと思われてしまうんだろうなあ・・・と困っています。


『キャタピラー』
>>公式サイト

2010/05/26 13:11:34

PFFチラシ進行&爆音映画祭はじまる

sogo-hyo1.jpg昨夜映画祭チラシが校了しました。
初校戻しをきれいなままで・・・・を目標にしましたが、ぜんぜんダメダメで、これまでの人生、初校に全く問題なく進行できた体験が、たった一度しかないことを悲しくかみ締めたのでした。
そしてHPも、早いアップを目指して格闘中。前売り券は、6月12日から発売。それまで、プログラムの細かい紹介をここで続ける予定です。(まず明日は、若松孝二特集の詳細をお伝えしたいと思っています)

チラシデザインは、ponyrideの塙さん。イキのいいのが登場しますのでご期待ください。
ポスターは、大島依提亜さん。原画は渡部満画伯。そしてこれから本格的に始まる映像制作は、吉野耕平さん、表彰式の映像は山岡信貴さん。レギュラーメンバーで、よりよい映画祭クリエイティブを目指します。
山岡さんは、新作映画『死なない子供たち』があります。
『死なない子供たち』
>>公式サイト
mitakahanten.jpg先週お亡くなりになった荒川修作さんの三鷹天命反転住宅(左写真)を舞台にした作品で、山岡さんご自身がここに住んでおられます。一度しかお邪魔したことがありませんが、これが、素晴らしい。あんまり居心地がよくて、ものすごく長居してしまい、その後も暫く住みたい欲求が続き困りました。今思い出すと、やっぱり住みたい。天命反転住宅が、この『死なない子供たち』にどう撮られているのか、楽しみです。


bff2010_.jpg楽しみと言えば、今週末から始まる爆音映画祭。
主宰するboidの樋口さんから、デジタルの音調整の困難を伺いましたが、そうなのです。映画祭でも、デジタル作品の上映は、フィルムより遥かに困難だというのは、知られていない事実。
その困難なデジタル上映が多数ある今回の爆音映画祭。行きたいプログラム満載ですが、会場のバウスシアター・Theater2での関連イベントに登場する『スコット・ウォーカー 30世紀の男』上映に感動してます。
スコット・ウォーカー。60年代に人気だったウォーカー・ブラザーズのメンバー。知らない人はぜんぜん知らない、でも『ポーラX』でわかる人は多いかもの人。私にとっては、人生最初に「ロックを漫画にすることに成功してる・・・」と感動した水野英子の漫画「ファイアー」のモデルとなった人です。『スコット・ウォーカー 30世紀の男』は、ベルリン国際映画祭で最初に観ましたが、監督は若いアメリカ人。それまで何箇所かで上映するたびに、「スコット・ウォーカーを知ってる人いますか?」と質問してきたが、毎回数人しかいなかった、自分も良く知らなかった、と話してました。
制作出資者のひとりがデヴィッド・ボウイで、余裕のコメントを作中で述べてます。

ボウイといえば、昔イギリスのロック雑誌のインタビューで"夢は図書館のある家を持つこと"と言ってましたが、この映画でのコメント、自宅の図書館らしき背景で撮られており、「お!夢達成か?」と思いました(当たり前か)。同じころ同じ雑誌で読んだインタビューで、間もなく来日するダライ・ラマ(呼び捨てていいのか)の「ミルクティは、チベットのよりイギリスのほうがずっと美味しいですよ。あたりまえじゃないですか。あはははは」という言葉が、忘れられません。そのインタビュー全体から伝わる、ダライ・ラマの信じられないくらいリラックスしてて正直な感じが、他の人のインタビューになかったからです。その後、ロンドンのマダム・タッソー蝋人形館でみたダライ・ラマの人形に、これまた仰天。鼻毛と耳毛がふさふさしてて、笑ってて、蝋人形なのに、リラックスしてて「悟るってこういうこと?」とひどく感心したのでした。

話が逸れましたが、爆音映画祭では、カート・ヴォネガット作品の映画化では唯一の成功作と言われる『スローターハウス5』はじめとする大作の数々の中で(乱暴なくくりですいません)、3人の若い監督作品が上映されます。入江悠さんの『SRサイタマノラッパー』、瀬田なつきさんの『彼方からの手紙』、関連イベントで、製作中の『サウダージ』が話題の富田克也監督『国道二十号線』。最近、会う人たちの間で最もよく名前を聞く監督たちです。

爆音映画祭
>>公式サイト

最後に、李相日監督の『悪人』がいよいよ完成しました。
吉田修一原作の殺人についての映画。主演は妻夫木聡と深津絵里。ものすごく楽しみです。

『悪人』
>>公式サイト

2010/05/16 11:16:41

素晴らしき30年代生まれ監督たち

2006年のPFFアワード審査員を務めてくださった伊藤俊也監督から、新作『ロストクライム 閃光』の試写案内のお電話をいただき、大変恐縮しています。三億円事件の真相を追う刑事たちの物語です。1968年、白バイ警官、ジェラルミンケース、色々なイメージが頭に浮かびます。
7月3日公開。試写に行く習慣のない私はまだ拝見しておりませんが(映画は映画館でね!)面白いことは間違いないと思います。勿論拝見します。
torakkuyaro.jpg2007年のPFFアワード審査員を務めてくださった鈴木則文監督から、ご著書「トラック野郎風雲録」発刊の案内と、その発売を記念しての「鈴木則文映画まつり」(文芸坐・5月15日~24日)のチラシとお手紙をいただきました。大変恐縮しています。"トラック野郎シリーsuzukisokubun.jpgズ奇跡の全作上映と、全国則文ファンの募金により実現した『忍びの卍』ニュープリント公開を含む、最高傑作24本を一挙上映!"という濃い映画まつりです。行かねばなるまい。そして、もともと小説家を志していたという則文監督ですから、エッセイ集も間違いなく面白いはず。必読ですね。
更に、2008年のPFFアワード審査員を務めてくださった佐藤純彌監督の新作『桜田門外ノ変』も公開を控えています。

ふと気付くと、皆さん1930年代生まれです。そして昨年のPFFの特集はクリント・イーストウッドと大島渚。本年は若松孝二。この3人も30年代生まれです。

大きな戦争を記憶し、復興する街の息吹を知り、職業としての映画監督という道のあった映画の黄金期に活躍し、その後の政治の時代であり映画衰退の時代を試行錯誤し、強い心と頭と体で生き抜いて来た方々。そんな映画監督たちの知恵と力が伝承されていくことを願わずにはいられません。

しかし一方、こんなふうに名前が並ぶと、「映画って男の仕事?」と呟いてしまうのでした。


『ロストクライム 閃光』
7月3日公開

『桜田門外ノ変』
10月16日公開

新文芸坐l公式サイト

2010/05/15 17:05:10

撮影所があった頃はきっと・・・

genba.jpg今朝から『家族X』の撮影が始まりました。午後は少しだけぴあをロケ地に撮影です。

オフィスで仕事している私の傍らを、撮影スタッフが出入りしている状況に「きっと撮影所で映画をつくっている時って、こんな感じだったのだろうなあ」と想像しました。スタジオにセットを組み、スタッフルーム、俳優部屋があり、小道具大道具を内部でつくり、録音撮影衣装の部屋があり、事務所があり、ミーティングルームがあり、食堂があり、全部その場所で済ませることが出来る撮影って、時間も経費も計算しやすかろうとしみじみしました。今、撮影はセッティングと撤収とめまぐるしく巡回です。みんな陽に焼け尽していきます。天候が悪いと大弱りです。食事は冷たいお弁当です。日本の各地で、映画スタジオ設営計画が、何十年も何十回も、あがっては消え、あがっては消えしているのが、誠に残念です。

そんな、遥か半世紀以上前に失われた風景を考えながら、未来の映画人のための映画祭のカタログ準備をコツコツやってる晴天の5月の午後なのでした。

*写真は、撮影中の吉田監督(手前)と志田カメラマン(帽子)です。

2010/05/14 15:03:46

第20回PFFスカラシップ作品『家族X』いよいよ撮影開始

oharai.JPG最新PFFスカラシップ作品『家族X』の撮影開始を明日に控え、オールスタッフが集まりました。イン前恒例の御祓いをぴあで行ったのです。何よりも大切な現場の安全を祈願するのですが、しみじみ興味深い習慣です。無宗教と言われながら、生活のあらゆる場面で、神仏やら霊やらの話が自然に出てくる日本の面白さを感じること、それを外国人に指摘されること、多いです。

実は映画祭スタッフも、映画製作スタッフも、どちらももう既にくたくたのふらふらな感じで、アワワワしている今日この頃ですが、「忙しい」とは「心を亡くす」と書き、「慌しい」とは「心が荒れる」と書くくらいだから、気をつけようとひっそり言い聞かせる毎日です。漢字の力でしょうか。
漢字といえば、先日ちょっと息抜きに入ったお店で、高校生くらいの娘が、母親らしき人にこんな話をしていました。「女の子の名前に"子"をつける風習は、「子」の字を構成してる「一」=生まれた最初のときから、「了」=人生が終わるまで、一生「子」の字の前につけた字のことが続くように、という願いで定着したんだよ」と。つまり、「美子」なら「ずっと美しく」、「和子」なら「ずっとなごやかに」という願いですね。たまに外に出ると、いい話が聞けるなあと、しみじみして仕事に戻ったのでした。(子のつく名前が激減したのは、気になるところですけれども・・・)

all stuff.JPGそれはともかく、『家族X』は、PFFアワード2008の審査員特別賞を受賞した『症例X』の吉田光希監督による長編映画で、今夏のPFFのクロージング作品。7月29日夜の上映です。
『症例X』は、科白を削ぎ落とし、人の動きと空間で見事に母と息子の日常をみせてくれましたが、『家族X』も、静かで強靭な映画が生まれる予感がします。
タイトルにもなった「家族」を演じるのは、南果歩さん、田口トモロヲさん、郭智博さん。
実は吉田監督は学生時代に塚本晋也監督の現場で働いた経験があります。それもあってか、撮影は塚本組の志田貴之さん。そして主演の田口さんも塚本監督との縁が深いですね。※写真は今朝の吉田組オールスタッフミーティングです。

縁で言えば今年のPFFの特集企画である若松孝二監督と縁の深い足立正生監督の『幽閉者』では、岡本公三をモデルにした主人公を田口さんが演じておられます。
その足立さんの特集が、6月に渋谷のシネマヴェーラで展開されます。勿論、無敵のコンビである「足立正生・脚本」&「若松孝二・監督」の作品も含まれます。6月のシネマヴェーラと、7月のPFFで、このコンビの重要な作品の多くを観ることができるわけです。

PFFの今年の一番大きな招待企画は若松孝二特集です。現在、ネガしか存在しない作品からのニュープリント製作にも初挑戦。ソフト化されていない作品の上映とあわせ、レア感満載です。また、My Best Wakamatsuと名付けた、若松監督ご指名の監督たちの選ぶ作品上映と対談も実現。石井岳龍監督、瀬々敬久監督、阪本順治監督が登場します。残念なのは、園子温監督のスケジュールがあわなかったこと。ちなみに園監督が迷わず選んだ若松作品は『ゆけゆけ二度目の処女』。詩人・園子温らしい選択です。(『ゆけゆけ二度目の処女』は、シネマヴェーラの足立特集にラインアップされますよ)

今年の若松特集は、若松監督をなんとなく怖いと思っている、若松未体験者に参加してほしいと願いラインナップをすすめています。怖くないんです。若松孝二。是非一度お試しください。

2010/05/05 20:12:57

ヒエロニムス・ボッシュ

若松孝二監督
山村浩二監督
平林 勇監督
矢口史靖監督
鈴木卓爾監督
ジョン・カサヴェテス監督
イ・サンウ監督
本年のPFFメインビジュアルは、お馴染みのカメラを持った幼稚園児奈緒子の、ヒエロニムス・ボッシュ煉獄探訪です。 厳しい時代を楽しもう、生き抜こうという、渡部満画伯のメッセージですね。 ボッシュの好きなデザイナーさんの多さに、いろんな製作物の進行も盛り上がっています。 今月中旬には、まずはポスターが登場しますので、ご期待ください。

ボッシュといえば、オランダの中世の画家ですが、同時に、マイクル・コナリーの生み出したアメリカの孤独な刑事も同じ名前を持ちます。複雑な過去を背負って、殺人犯を追うハードボイルドヒーロー。ヒエロニムス(ハリー)・ボッシュという珍しい名前も、その過去と関係します。
著作の多くは映画化権を早くに買われているといわれているコナリーですが、なかなか実現していません。(昨年のクリント・イーストウッド特集で、コナリー原作による『ブラッドワーク』を上映しました。こちらは、主人公はマッケイレブというFBI捜査官ですが)
最新翻訳作品『エコー・パーク』のあとがきによると、コナリー作品には未訳のものがまだまだあること、しかし、昨今の海外小説の販売不振で、出版社が購入に二の足を踏んでいることが語られていました。洋画の不振と同じことが起きています。
評価の高い作品は値段が高騰している→しかし日本での海外作品の需要は減少している→投資分の回収が出来ない→日本に入ってこない

沢山外国語をマスターして、全部原語で読んだりみたりすることを考える時代になったようです。
映画も文学も、状況はどんどん100年前に戻っていますね。

実は本年のPFFの招待作品部門も、邦画が中心になります。
まず、インディペンデントの王者とも言える、若松孝二監督の特集。
ここでは、ネガの存在だけ確認された作品、DVD化されていない作品など、貴重な作品の上映や、若松監督ゆかりの3監督の選んだmy best Wakamatsu企画など、レア企画満載です。若松監督にもご登場願います。

そして、「日本に於いて短編映画とは何か」を考える特別講座。
短編アニメーションについて山村浩二監督に、世界の短編映画状況について平林勇監督に、長編監督にとっての短編映画について矢口史靖&鈴木卓爾監督に作品上映とお話をお願いします。撮りおろし作品も登場します。

PFFは、その始まりの1977年から、映画をつくる人、つくりたいと思っている人、映画を知り始めもっと映画をみたい人、映画で何かをしたい人のためのプログラミングを行っています。
33年前に比べて、学生が自分の生まれた街よりも郊外に置かれた学校に通い、授業のカリキュラムと課題とバイトに追われて、都心で映画をみること、あるいは、学外で自分の居場所をみつけることが困難になっている昨今、映画をスクリーンでみないまま、映画をつくるのも普通になってきました。
そんな中で、PFF開催の2週間は、映画という刺激のある時間と空間をつくれたらと考えています。
上記のプログラムの他に、インディペンデント映画の父であるジョン・カサヴェテス作品、韓国のファズビンダーとも言われる、イ・サンウ作品など、海外の刺激的な作品も上映します。勿論、映画祭の花と言われる、最新作品のプレミアも。

わずか二週間なのに、我ながら眩暈のする豪華なプログラムを揃えた第32回PFF.
今月中旬に詳細を発表です。
7月16日~30日。夏休みのスケジュールに、PFFを入れてください。

2010/04/26 17:58:50

招待作品部門は欲張り企画になりそうです

kabuki-za01.jpg歌舞伎座建てかえに伴うさよなら公演が間もなく幕を閉じます。新しい歌舞伎座はどんな建築になるのか、期待が高まります。
四月興行千秋楽のチケットは疾風のように完売し、他の日もあっという間に売り切れて、幸運にもとれたチケットを眺めて「絶対行かなくちゃ!」と殆ど仕事のように通いました。(「入っててよかった歌舞伎会」としみじみしました)
有り得ない豪華キャストに、豪奢な衣装、著名な演目、と、濃厚なさよなら公演が続きます。
その昔は、衣装やセットの意匠にばかり眼がいった私ですが、近年では、かなしき職業病が嵩じて「うわ!楽屋の采配大変そう・・・」とか「香盤表つくるの大仕事」とか、「さよなら公演あと、のお客様の継続動員企画って、プレッシャーだろうなあ・・・」とか、裏方の苦労ばかり考えて、さっぱりいけません。
自分の仕事の定まらない、まだ何も考えなくていいときに、文化、芸術、エンターテインメントを浴びるのが一番楽しいなあと、改めて確認です。
この一年のさよなら公演の全てを拝見したわけではありませんが、先月からお客様の熱気がぐんと高まり、初体験の方がどっと増え(特に女性)ている感触があります。そんな中で、開演前のざわめきや、興奮がまるでコンサート会場のようで忘れ難いのが、宮藤官九郎さんの書き下ろした『大江戸りびんぐでっど』(09年12月)だった印象があります。

kabuki-za02.jpgざわめきや、興奮をもたらす企画。大切だなと思います。
人の心を波立たせる、平常でない心理状態にさせる、何かの棘を残す、瑕を残す。作品はそんな力が必要だなと("瑕"も"棘"もネガティブに使われやすく使うのが難しいですが)近年改めて思います。
本年、第32回のPFFは、招待作品部門でも、そんな作品を紹介していきたいと思います。
詳細は、HPにて5月中旬発表を予定していますが、本年は20世紀のPFFのように、多彩な企画を予定しています。邦画は、秋公開作品の新作プレミア上映、若松孝二特集、短編映画について考える特別企画を展開します。海外からは、韓国とアメリカの作品を紹介する予定です。
GWには、おおよそのラインナップをひとあし早くここでご紹介できることを目標にしています。
コンペティション部門の「PFFアワード」とあわせて、映画祭上映を是非体験していただきたいと願っています。

そしてもうひとつお知らせです。
明後日、28日水曜日から、渋谷TSUTAYAのPFFコーナーのラインナップが変ります。
6月までの二ヶ月間、3人の映画監督が、「悩んだ時に観る映画」を告白します。
映画に、人生に効く映画が16本&過去のPFFアワード入選作品も揃います。悩んだ時に是非役立てて欲しいと思います。告白するのは、塚本晋也監督、深川栄洋監督、石井裕也監督です。お楽しみに!

*余談ですが、日本一の名女優とはこの人のことではと、さよなら公演で目撃するたびに改めて感じさせられたのが坂東玉三郎さんでした。息をのみます。

2010/04/13 16:55:32

座頭市とか時代劇とか

阪本順次監督の『座頭市 THE LAST』の公開が来月に迫ってきました。
劇場公開時に拝見したいと考えていますので未見なのですが、今回、「最後の座頭市」を演じる香取真悟さんに「PFFアワード2008」の最終審査員を務めていただいた際、その真摯な仕事に感じ入ったこともあり、期待が高まっています。

90年代から、時代劇や時代小説にかなり親しんでいる私ですが、ティーンネイジャーの頃に興味があったか?と問われれば、ぜんぜんなかった気がします。けれども、そんな年頃でも、魅かれてやまない方は沢山おられるでしょう。
jidaigekiha-sinazu.jpgたとえば、最近相次いで出版された、春日太一さんによる『時代劇は死なず!京都太秦の「職人」たち』と『天才 勝新太郎』は、77年生まれの著者、春日さんがまだ小さな子供だったころに活躍された方々を、丹念に取材した労作です。学生時代から時代劇を研究していたという春日さん。きっと少数派の学生だったことでしょう。おかげで、嬉しい本を読むことができました。
jidaigeki-gensaku.jpgまた、時代劇映画のガイドブックとして、素晴らしい本もあります。
様々な時代小説の編者として著名な細谷正充さんの編纂された『時代劇原作選集~あの名画を生み出した傑作小説~』です。過去に色々な人に薦められて観た映画が網羅されていたことにまず感動。そのうえ、原作と映画の違いも一目瞭然。二弾三弾と編纂していただきたくなるのです。2003年に編まれた本ですので、現在では紹介されているソフトの入手が容易ではないかもしれませんが、一体どの映画から観ればいいのか迷われたら、是非お薦めしたい本です。

miwotsukushi.jpg時代小説では、新世代の登場が盛んですが、ベストセラーとなっている高田都さんの『みをつくし料理帖』シリーズ3冊は読み出したら止まりません。心と体に沁みる料理と人情の物語ですが、「人情」となると時代設定を江戸時代にするのが一番しっくりくるのかなあ・・・と改めて考えます。現代を舞台に、人情物語は成立しないのか?物語をつくる仕事に携わる人々にとって、これは大きな課題。

現在の料理にまつわる人情話、を考えていると、小説ではありませんが、魚柄仁之助さんの『世渡りの技術』のあとがき。それから、久住昌之さんの『野武士のグルメ』からいくつか。を思い出しました。昨年出版された本からは、これらが強く印象に残っています。

adabore.jpgところで、時代小説の書き手には、かつて脚本家をなさっていた方や、監督だった方など、映画にまつわる方々も多くおられるのですが、日本映画監督協会の事務局におられた河治さんも時代小説家として活躍しておられます。最近は歌川国芳一門を主役に置いたシリーズ『国芳一門浮世絵草紙』が楽しみなのですが、丁度今、府中の市立美術館で、膨大な数を揃えた国芳の展覧会が開催されています。国芳の絵を見てから河治さんの小説を読むと、更に楽しいかも知れません。

今日はちょっと現実逃避して時代劇のことを考えてしましいました。
来週にはPFF32回めのプログラムを固めるべく、鋭意調整中です。


『座頭市 THE LAST』
5月29日(土)ロードショー

2010/04/02 18:32:18

第32回ぴあフィルムフェスティバルいよいよ始動します

木村威夫さんが突然亡くなり、その膨大な資料を引き継いでいく人たちのことを考えていました。
日本で最も細部に渡って、日本人の生活の足跡を美術の資料として集め続けておられた方です。
PFFでは、1994年に最終審査員をお願いし、その後も幾度かお目にかかる機会に恵まれました。
つい一週間前には、所沢のイベントで上映した『人のセックスを笑うな』の美術について井口監督とお話し、木村さんの"神の降りてくる"お仕事について伺ったばかりでした。
残念です。
dragon.jpg香港国際映画祭で、ブルース・リー特集もあったことはご紹介しましたが、時間があわず、たった一本だけスクリーンで観ることができました。『ドラゴン怒りの鉄拳』。東映映画、日活映画の影響が爆発する画面にうっとりで、木村威夫さんの仕事はじめ、日本の映画美術に憧れたスタッフが香港にも沢山いたことは間違いないことを考えていたときの訃報でした。

木村さんもそうですが、20世紀の前半、大きな戦争の前に生まれ、青春時代を過ごされた方々の創作に打たれることが多いことは、多くの方が感じていることだと思います。
本年はそんな体験のビッグチャンスがひとつあります。
kurosawabook01.jpgkurosawabook02.jpg黒澤明監督の生誕100年。
スクリーンで上映される機会が実はあまりない黒澤明作品ですが、今年は増えます。小林信彦さんの「黒澤明という時代」と、文庫化された脚本家・橋本忍さんの「複眼の映像」を読んでからスクリーンで黒澤映画を観れば、映画学校に行かなくても大丈夫。映画がとてもよくわかります。
ほんとです。
是非多くの方にこうして大画面の黒澤体験をしてもらいたいと思っています。

さて、発見の多かった今年の香港国際映画祭ですが、コンペの受賞がやはり多かった中国の自主映画の動きは、どうしても無視できません。
奥原監督からも少しお話を伺った中国の自主映画製作ついては、また改めてご紹介したいと思っています。
帰国してから、一番大切なのは、勿論第32回ぴあフィルムフェスティバルの準備です。
まず、コンペティション部門「PFFアワード2010」の入選発表を、4月9日に予定しています。
その後、5月中旬には、映画祭の全貌を発表する計画です。
今年は、我ながらかなり多彩な映画祭になりそうです。どうか"映画祭貯金"の開始をお願いします。後悔させない2週間を約束します。
ほんとです。

あ、最後に、香港でのお薦めのレストランは、ノースポイントの市場の2階にある「東寶」と、ジョーダン駅の近くにある「新斗記」。「東寶」には、フルーツ・チャン監督の『花火降る午後』を観てから出かけられることをお薦めします。出演者の経営するお店です。創作料理も多い活気溢れる味です。「新斗記」は、かつて映画関係者のたまり場だった伝説の店「新兜記」の突然の閉店に、その味を惜しむファンたちの呼びかけで、音は同じまま文字を変えて新にスタートしたお店です。子豚のローストが絶品です。

2010/03/30 01:41:41

映画監督業の家業化?

B&W.jpg香港には、シュウケイという、映画監督であり、プロデューサーであり、映画学校設立の推進者であり、香港のインディペンデント映画を支えている人物のひとりである方がいます。
彼が最近、ある学生から「先生、授業で昔の白黒の映画を見せるのはやめて貰えませんか。あんな色のない画面を延々みせられると、頭痛がしてきて耐えられないのです」と研究室で切々と訴えられたと聞きました。
映画を見慣れていると、白黒の映像が特に奇異には思えなくなっているだけで、実のところ、それは非常に理解の難しいものとなっているのかと、考えてしまいます。
慣れ、というか、人それぞれの体験や環境や教育による差異が、映画を観ることにも大きく影響してくることを改めて感じることの多い昨今ですが、映画監督業に携わる人々も、映画が、他の家庭環境に比して日常にある"親から代々"という人が、これからもっと増えるのかなとも感じています。

世界中を綿密にリサーチすると、非常にたくさんいらっしゃるのでしょうが、ちょっと思いつくだけでも、親子や家族で映画監督業に携わるのは、例えば日本では、マキノ家、伊丹家、野村家、今村家、深作家、新藤家、佐藤家、奥田家、イランではマフマルバフ家、アメリカでは、近年ではカサヴェテス家、コッポラ家、フォアマン家、スピルバーグ家などですが、昔はもっとおられますし、いやはや、アメリカ、ヨーロッパ、ロシアと、世界にはもう多分、星の数ほどある話だと思います。そういえば、ちょっと違いますが、昨日は、女優シャーロット・ランプリングの息子の監督作品について聞きました。

フィリピンのインディペンデント映画のリーダーの一人だった監督に、レイモンド・レッドがいます。
raymond02.jpg80年代の彼の実験的で天才的な8ミリの自主短編映画(写真:MISTULA)の数々を、PFFでは頻繁に紹介していました。
今回の香港映画祭では、最近の長編映画(東京フィルメックスなどで紹介されています)と、過去の8ミリ短編で構成されたレイモンド・レッドの特集があるのですが、このレイモンドの息子ミクハイル・レッドの5本目の短編映画が短編コンペで上映されています。18歳です。
あらゆる芸術芸能文化の分野で、映画はまだ歴史の浅い表現分野ですが、その始まりである19世紀の先祖から数えると、すでに4代目世代には入っているなあと実感します。

ところで、今、アメリカでは、香港カンフー映画の3Dリメイクプロジェクトが始動していると、ツイ・ハークのプロデューサーから聞きました。ブルース・リー特集も映画祭で行われていますし、カンフー映画よ永遠にと思う夜です。
香港滞在も、もうあとわずか。例年より涼しい毎日です。


(写真 ※白黒映画、東京では年中上映中です。例えば、こんな会場で遭遇できます。 上から順に、東京国立近代美術館フィルムセンター / 池袋 新文芸坐 / シネマ・ヴェーラ / 神保町シアター)

2010/03/28 23:00:19

香港国際映画祭に来ています

sawako_poster_e.jpgただいま香港国際映画祭に参加しています。
石井裕也監督の『川の底からこんにちは』と『君と歩こう』の上映にあわせて滞在日程を決めたものの、到着してから、4月に入ってからのほうが上映作品数も多く、上映劇場の立地も移動に便利・・・なことを発見し、迂闊さを噛み締めています。
石井監督にとっては、2年前のアジアン・アワード授賞式と特集上映に続く2度目の滞在。今回は学生時代からの映画仲間で、主演作品もある内堀さんと一緒の参加です。

hong-kong01.jpg香港国際映画祭は、私にとって一番長く通っている映画祭だということに気づきました。
1990年からですから、丸20年。街の変化も、改めて感じている滞在です。
特に、飲酒者の増加と、尾篭な話で申し訳ありませんが、飲酒の果ての嘔吐の増加。
これは一番の驚きです。日本食や日本商品の定着など、日本に近い感覚がこの現象を生んだりして・・・などと無責任なことを考えてしまいました。というのも、世界で日本人が一番この癖が強いと言われているからです。

そんなことはともかく、映画祭上映劇場は、かつての公営のホールを中心にしたものから、近年は一般劇場に拡大を続け、会場も大きなショッピングモールの中のシネコンに分散しはじめているので、映画のはしご計画が難しくなっています。一方で、デジタル作品上映を前提で造られた新しい劇場での上映で行われた、『君と歩こう』(デジタル作品)上映は、これまでのどの会場よりも画も音も巣晴らしく、感動しました。

香港国際映画祭は、基本的に英語字幕のみで作品上映をします。
このことが大量の作品上映を可能にさせていることを毎回実感させられます。
日本映画とフランス映画の人気が高く、最初に売り切れるそうで、『川の底からこんにちは』も早々のsold outとなりました。観客層は、韓国の釜山映画祭、台湾の台北映画祭に次いで非常に若く、日本や欧米の映画祭とはいささか雰囲気が違います。
また、日本映画の観客に日本旅行体験者も多い為か、街についての興味が高いようです。今回も、2作品とも作品での「東京」という街の扱いについて質問が続きました。

3月は、PFF事務局にとって、コンペティション部門「PFFアワード」入選作品決定プロセスの大詰めであり、同時に招待作品決定をはじめる時期でもあります。また、10回を数えた所沢での『ミューズシネマセレクション 世界が注目する日本映画たち』の開催と、それに伴う監督の来場と、あっと言う間に時間が過ぎていきます。
それに加えて、本年は毎年7月にパリで開催されるPARIS CINEMAという映画祭が日本特集を計画していて訪ねてきたり、ニューヨークアジア映画祭の方が、夕張のオフシアターコンペの審査員として来日した帰途訪ねて来たりしました。
hk_ishii005.jpg余談ですが、このところ気づくのは、日本映画を上映するに際し、間に日本人のコーディネイターを置く映画祭が増える傾向にあることです。海外の映画祭の立場で想像してみると、日本には以前に比して、海外に出品する意欲のある製作者が増加し、コンタクト先が多様になってきたと同時に、まだ言葉で不自由のある窓口が多いのかなと。旅行に際して添乗員を置きたい気持ちと似ているのかもしれませんが、日本の製作者の方々には、是非一度直接の交渉を体験してみてほしいなと感じることがあります。

さて、話を香港に戻します。
今回上映に行くことが出来ず、一番残念だったのは『Oxhide II(牛皮 弍)』です。Liu Jiayinという高校生みたいな雰囲気の中国の女性監督の作品で、前作『OXhide(牛皮)』が、『ある朝スウプは』と、2005年の世界中の映画祭でグランプリを競ったのです。新作である『Oxhide II』は昨年のカンヌ国際映画祭の監督週間で上映された後、さまざまな映画祭を旅していましたが、一度も見ることが出来ないまま日が過ぎ、今回がラストチャンスかと思われたので、がっくりきています。
去る1月のロッテルダム映画祭で監督と会った際は、『Oxhide III』の出資者を探していおり、「ある朝スウプはの高橋さんと廣末さんはあれからどんな映画をつくってるの?私は永遠にOxhideを創っているような感じなんだけど・・・」と言っていました。
また、一昨年から北京に留学している奥原浩志監督(スカラシップ作品『タイムレスメロディ』監督)にも香港で再会しました。北京でインディペンデント映画の製作にさまざまに参加しているそうで、その中の一作品『After All These Years』が今回香港で上映されるに際し、監督Lim Kah-waiさんと、北京から汽車で移動してきたそうです。そして、このLimさん、マレーシア系の中国人なのですが、日本語はじめ6ヶ国語を操り(本人によると、どれも適当ということですが)、奥原監督との出会いは、香港国際映画祭に『青い車』が招待された際に、奥原監督のアテンド担当だったことからなのだそうです。そして本年も、自作の出品の傍ら、映画祭事務局の仕事も手伝って、宿泊をもらったり、と、マレーシア、香港、北京、日本と、めまぐるしく移動しながら暮らす、華僑の逞しさを感じるのでした。
しみじみ、「"生き抜く力"を鍛えるのが、インディペンデント映画に関わる人々の必須条件だなあ・・・」と思わされる体験の多い、国際映画祭の滞在です。

そして今、中国語圏では、上海万博にあわせての映画製作企画が盛んなようです。
ジャジャンクー監督による上海人の歴史を題材にしたドキュメンタリーもほぼ完成したようで、英語字幕監修のトニー・レインズさんが、香港映画祭滞在の合間に北京でチェックしてきたとおっしゃています。かいつまんだ内容を伺うだけで、ときめきました。香港でも、香港パビリオンでの「香港紹介」のための短編映画4本『香港四重奏(QUATRO HONG KONG)』が製作され、今年の短編コンペ4プログラムのおまけ上映として、ひとあし早く1本づつばらしてくっつけて上映されています。

日本映画は、4月に入ると、島津保次郎監督の特集に伴い、島津監督のお孫さん一家がお越しになったり、若松孝二監督、大森立嗣監督、中村義洋監督が参加したりするそうです。映画祭は、VIPのために東京から山形国際ドキュメンタリーのアジアプログラマーである藤岡朝子さんを通訳&アテンドに招くとのことで、びっくり仰天しています。藤岡さんに通訳してもらえるのは、ほんとうに幸せです。

2010/03/08 12:30:32

新生活におすすめの映画たち

渋谷TSUTAYAに、PFFのコーナーがあります。通常はPFF関連の作品が集められているのですが、先週からちょっといつもとは違うラインナップが展開されています。
3月&4月というコーナー展開にあわせて、新しい生活、新しい出会いの始まる季節が一層楽しくなるような映画を、新しい監督たちに推薦してもらうという、初の試みが行われているのです。

選んだのは、2007年、2008年、2009年のPFFアワードグランプリ受賞監督たち(3人の名前が全部"い"で始まっていることに驚きました)と、『川の底からこんにちは』主演の満島ひかりさんです。

それぞれの選んだ作品をご紹介します。
何故この作品なのか?は、各人がコメントを書きました。是非渋谷TSUTAYAで確認してください。

mitsushima.jpg満島ひかりさん 推薦作品
 『乙女の祈り』 監督:ピーター・ジャクソン
 『サマリア』 監督:キム・キドク
 『ロリータ』 監督:スタンリー・キューブリック
 『ローズマリーの赤ちゃん』 監督:ロマン・ポランスキー
 『恋する惑星』 監督:ウォン・カーウァイ

ishii.jpg石井裕也監督 推薦作品
 『オリーブの林をぬけて』 監督:アッバス・キアロスタミ
 『イエロー・サブマリン』 監督:ジョージ・ダニング
 『河』 監督:ツァイ・ミンリャン
 『カッコーの巣の上で』 監督:ミロス・フォアマン
 『黄金狂時代』 監督:チャールズ・チャップリン

ichii.jpg市井昌秀監督 推薦作品
 『聴かれた女』 監督:山本政志
 『ヴァイブレータ』 監督:廣木隆一
 『タンポポ』 監督:伊丹十三

inoue.jpg井上真行監督 推薦作品
 『飛べ!フェニックス』 監督:ロバート・アルドリッチ
 『グランド・イン・ブルー』 監督:ジェームズ・ウィリアム・ガルシオ
 『街の灯』 監督:チャールズ・チャップリン

2010/03/03 11:38:57

塚本晋也監督+川原伸一プロデューサー+石井岳龍(聰亙)監督

昨日ご報告した蔡明亮&李康生MASTER CLASSに引き続き、26&27日には同じく「JAPAN国際コンテンツフェスティバルにおける国際人材育成事業及び交際人材交流事業」の一環として、ワークショップ『自主でできる音創りの可能性に挑戦する』を開催しました。
会場は、渋谷のとある会議室。受講者は、今回も実作者に限り17名という、濃密で贅沢なワークショップです。
昨秋10月24&25日、塚本監督と川原プロデューサーには、実際に短編映画を完成するというワークショップを行っていただきました。その際、最後の仕上げを駆け足で終わったことにいささか悔いが残ったこともあり、今回は「音」という映画で最も大切なもののひとつに集中してのワークショップとなった次第です。が、しかし、題材がこと「音」ですから、ここで文字で紹介するのは非常に困難ですので、ざっとした内容をご紹介します。

tsukamotows01.JPG初日26日は、まず、おふたりがどういう方法で音を仕上げているのか、という話と、塚本監督自身が、中学生で8ミリフィルムを廻し始めたとき、別出しでカセットテープに入れた音をあわせていた体験を皮切りに、映画の音をどのように工夫し、創ってきたのかの歴史を教えていただくことから始まりました。
塚本作品は、アフレコでの製作が多いのが特徴です。アフレコでの製作をするか、同録での製作をするか、その判断も映画製作では必要です。そういった話も交え、公開を5月に控えた『鉄男 tsukamotows02.JPGTHE BULLET MAN』の一部を教材にして、科白、環境音、効果音、音楽、などをどうやってミックスしていくかについて、実際に素材と、その作業の過程をみせて下さいました。
今回は、タイトルにあるように"自主でできる"=自分のPCで映画をどこまで創れるか、がテーマです。川原プロデューサーは、そのために入手したPro Tools LE(3万円程度)などの機能を具体的に紹介してくれます。
その後、受講者の質問に、おふたりに丁寧に答えていただきました。
印象的だったのは、デジタル機器が一般化してきた頃の『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(米・1999年)をご覧になった体験です。画は家庭用の小型カメラで撮られた誰でも可能なクオリティでも、音は非常によく計算され構築された立派なものだということに感嘆し、「音がしっかりしていれば、劇場公開において非常に強力な武器になる」ことを痛感したというお話です。

tsukamotows03.JPG二日目、27日は、石井監督がゲストとして登場し、「デジタルは貧乏人の味方だ」というキャッチフレーズのもとに、自分で整音ができるソフトSound BoothやFinal Cut Proでの簡単なミキシング方法について紹介してくださり、塚本監督もメモに余念がありません。
また、アフレコ、同録、そしてその二つをあわせたような岩波映画出身の監督たちが多用したという(具体的には黒木和雄監督の『竜馬暗殺』など)「撮影したその直後、役者さんたちがまだそのテンションの中にいる間に、科白を録ってしまう」という方法についても検討されました。

tsukamotows04.JPGそして、ご自身の作品『シャッフル』(1981)の一部を題材に、アフレコのシーン、同録のシーンなど、具体的に、なぜその方法を選択したか、どう撮ったかについて説明下さいました。
ただ、二日間とも、何度も出たのは、「科白がきちんと聞こえることが最も重要」です。また「現場で環境音を沢山録っておくこと」も繰り返し語られました。

今回は、自分で音も徹底的に創ってみることを選択した場合、その作業は、緻密で膨大であろうことが実感できた二日間であり、また、音も、結局は「自分は何を創りたいのか」という根本的な課題の元にあるものであり、それだけ特化したものではないということを、再度確認させられる時間となったと思います。

こうして、23&24日のマスタークラスと、今回のワークショップと、4日間の濃密な時間を過ごしてみると、映画を一本つくりあげるまでの、精神的、経済的、肉体的なテンションの継続と、イメージ=自分の欲しいもののキープという、映画監督に求められるものの重さ、そして映画を創るということの困難さ、それと同時に、その創造的な深み、を、改めて確認する体験となりました。

『鉄男 THE BULLET MAN』
>>公式サイト

石井岳龍(聰亙)監督
>>公式サイト

2010/03/02 16:34:27

蔡明亮&李康生によるマスタークラスを行いました

「JAPAN国際コンテンツフェスティバルにおける国際人材育成事業及び国際人材交流事業」(主催:ぴあ株式会社・共催:NPO法人映像産業振興機構(VIPO))の一環として、ふたつのワークショップを企画したことは以前にもお伝えしましたが、まず、去る2月23日&24日の二日間で展開した「MASTER CLASS」をご報告します。

tuxaiws02.JPG講師は、台湾からお招きした蔡明亮(ツァイ・ミン・リャン)監督と、蔡監督作品の主演俳優であり、監督としても活躍する李康生(リー・カンション)さんの2名。映画製作状況の大変厳しい台湾で、自身の創作を自力で追及する蔡監督の知恵と体験を、同じく厳しい状況で悩みを抱える日本の若い映画を志す方々に分けていただければと、「実作者」に限り30名を招待しました。
会場は、東京国立近代美術館フィルムセンターの小ホール。蔡監督が自身で公開も手がけるきっかけとなった作品『ふたつの時、ふたりの時間』(2001)をはじめ、フランスとの合作である最新作『顔』製作に繋がった作品の上映もフィルムで行うという贅沢な時間となりました。

初日23日は蔡監督おひとりで、二日目の24日は、蔡監督と李氏おふたりで、受講者の質問に答えて行くという方法ですすみました。通訳として、台湾をはじめ中国語圏の監督たちに絶大な信頼を受ける小坂史子さんに来日いただきました。
まず、蔡さんの非常に丁寧な答えに感動。質問者の意を汲み、具体的な体験を交えながら、時に30分も答えが続きます。
初日の印象的な言葉をいくつか挙げます。

・「感動させる」ことを目的とした映画製作がつくり手を観客をおかしくさせている。自分はつくらなければと思うものをつくるだけだ。
・映画を目標にしてはならない。映画は"到達目標があり、そこに至るプロセスをひとつひとつ潰して行けば完成する"というものではなく、映画は人生であると受け入れることである。
・映画が映画館で上映されるのではなく、美術館に作品として収蔵されるということがこれからもっと始まってよい。私は今映画の新しい上映のされ方について挑戦している。

そして、一部では大変有名な話なのですが、蔡監督たちは、自分たちの映画を、自分たちでチケットを手売りして動員を図ります。その活動についても、詳しくお話くださいました。

tuxaiws01.jpg・『ふたつの時、ふたりの時間』は初めて自分たちで製作した作品だったので、公開も初めて手がけてみて、劇場のブッキングが難しいことに直面した。それで、映画館を一週間単位で安くない値段で借りることになった。次にチケットを売り出すと、最初の一週間で5枚しか売れないことに仰天した。それまでの作品も動員は振るわなかったが、今度は自分たちの死活問題なので、本腰で取り組もうと思った。まず、出演者も一緒にゲリラで人の集まるところでチケットの手売りをした。一緒に写真を撮ったりサインをしたりもどんどんやった。次に、映画や演劇、芸術系の学校に連絡して、講演や時には上映をさせてもらった。そこで、特別に許可を貰ってチケットを売った。1000人集まっても、30人でも、同じ労力をかけた。今は、大体、公開が決まってからの1~2ヶ月でこういった講演に70箇所は廻るのが習慣になっている。また、映画館のない街や、島に、映写機とプリントを持って巡回興行も行っている。そうやって、現在はまず、1万枚のチケットを売ることが出来るようになっている。
tuxaiws03.jpgしかし、何度かの体験でわかったのは、この1万人は、増え続けないということだ。最初の1万人が何千人か増え続け、2万人になるということは起きず、人は入れ替わってもずっと1万人のままであることが最近よくわかってきた。ただ、自分で自分の映画をみせる活動をして、色々な発見や出会いがあった。演劇学校で上映と講演をやったときに、そこの教師から「あなたの映画は全く演技というものを否定していると思っていたので、学生には絶対に観てはならないと話していたのだが、それが大きな間違いであるとわかった」と謝罪されたりした。自分の作品を観たことがなくても、勝手に想像している人が多いのを、変えていけているという実感がある。

さて、人口二千万人の台湾に比して日本はその六倍の人口一億二千万人。
その日本でも、一万人の動員は、非常に困難な昨今です。それを、単純に人口比で言えば日本での六万人くらいに当たる数を動かす蔡監督たちの活動は、確実に台湾の何か「創作」に対する理解を少しづつ変えていくのではないかと思います。

すいません。長くなってしまいましたので、二日目を駆け足で紹介します。
24日は、主演の李康生、(愛称シャオカン)を迎えたこともあり、演出に関する質問も多く、前日の経験から、答えも短めに進みました。
以下、すごくおおざっぱにまとめます。

・李康生が、最初の数作品は一生懸命脚本を読んで参加したが、近年では全く読まず、やってくれと言われることをその場でやっていること
・監督が、『楽日』での陳湘琪の役を、まわりがどんなに絶賛しても納得できず、それが何故か悩みながらラッシュをみたら、「かなしすぎる」からだと気付き、それ以降彼女もリラックスしてよい演技になったこと
・撮影に際しては、現場を何度も何度も訪ね、よく観察し続けること。『顔』の製作前には、3年間ルーブルに通い続けたこと。日常的に場所と人をとにかくよく観続けることが大切なこと
・多くの人に自分の作品を気に入ってもらおうと思わないこと。見知らぬ何万もの人を想定して映画をつくることは不可能であり、自分の周りの20人に理解してもらうためにつくることが、非常に大切であること。

などをお話くださいましたが、トータル通訳入れてですが5時間以上お話いただきましたので、とてもここに全部は紹介できません。出来れば第32回ぴあフィルムフェスティバルのカタログに採録したいと考えています。
終始笑顔で熱く語る「昔は嫌だったけど、最近はアーティストと言われるとちょっと嬉しい」蔡監督と、物静かで言葉数も少ないけれどしっかりした李さん。李さんの最新短編映画には、蔡監督が主演しており「時間はかかるけど悪くない演技をする」と李監督に評されていました。
もう家族と言っていい、キャストとスタッフで生み出される蔡明亮映画。新作がますます楽しみになる二日間でした。

tsaiws06.jpg*珈琲をこよなく愛する蔡監督は、李さんと女優の陸奔静さんと3人で、コーヒーショップ「TSAI LEE LU 蔡李陸」を開店しました。最後の写真は、お土産にいただいたショップオリジナルの珈琲と、監督オリジナルレシピのクッキーです。


プロフィール

PFFディレクター
荒木啓子 Keiko Araki

雑誌編集、イベント企画、劇場映画やTVドラマの製作・宣伝などの仕事を経て、1990年より映画祭に携わる。1992年、PFFディレクターに就任。PFF全国開催への拡大や、PFFスカラシップのレギュラー化、海外への自主製作映画の紹介に尽力。国内外で映画による交流を図っている。

最新記事

アーカイブ

Copyright © 1977- PIA Corporation. All Rights Reserved.