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PFFディレクターBLOGRSS

2012/01/31 17:07:52

三池人気変わらず高きロッテルダム

「ブログの頻繁な更新を実現できる」と前回言ってみたにもかかわらず、できてません。「最優先事項は映画をみること!」と決め、それが達成できるチャンスとなった今回の滞在。予想以上ハードです。が、目標のひとつの「コンペ作品の全網羅」は間もなく終了します。ロッテルダムのタイガーアワードは「世界の映画」が対象ですので、めったに観る機会のない国の作品にも遭遇でき、「世界各国で2011年に創られた新人の作品を一挙にみる」ということが、いかに刺激的で貴重な体験かをしみじみ実感しているところです。が、一方で、失敗したのは、「人と会う時間がない」。
1:映画をみる。2:人と会う。3:作品を出品する。この三つを全て同時に達成するには(そういう状況に置かれることが多いPFF)、ひとりでは無理だな~と90年代からずっと感じてきましたが、今回も同じため息です。映画をみるとは、即ち、映画の上映時間に合わせてスケジュールを決め、更に、そこで必ず約2時間を費やす必要がある。ということなのを、再認識。今回も、「ミーティングのみの日を設定し、滞在期間を長くすべきだったな・・・」と悔いています(ミーティングを集中的にこなして、映画はみない。というのは、映画祭では当たり前の仕事のやり方なのです)。同時に、見回せば「ひとりで参加する」映画祭や映画会社は、ごく少数派です。複数で滞在しないと1,2,3の同時達成は無理なのですね。映画祭のみならず、どんな仕事も、一人で出来ることに限界があるわけで、特に「時間」を要することは、どうにも工夫の仕様がない。と改めて学びます。更に、スマートフォンの普及により、メイルでのやりとりをPCでやってる場合ではなくなってますが、英語で携帯から通信するのは、ネイティブでない私には、ありえない時間がかかり気が狂う~~~~!!更に、携帯からの電話代高すぎる~~~~!!とかそんなこんなで、今回は、目標をひとつに絞り、映画をみることにまい進している次第です。同時に、一日5本平均の映画からの刺激が強すぎて、人と話していても集中力が落ちることを感じています。

と、前置きが長くなりましたが、会場でひときわ目立つ『逆転裁判』のポスター。「なんだこれは?」と思ったら、三池崇監督の新作ワールドプレミア&三池監督来場で盛り上がるロッテルダムなのでした。『殺し屋イチ』『オーディション』などで、世界中に熱狂的なファンを持つ三池監督。久方ぶりのロッテルダム登場に会場はもうそれは大騒ぎ。しかし、大量の作品を持つ監督なのに上映作品一本だけなんて勿体ないな~と思ってましたら、実は、『一命』と二本立てで、三池崇のふたつの顔、とでもいった企画が進んでいたそうなのです。が、予算削減のあおりを受けて、1本だけになってしまった、と。ああ残念!見てもらいたかったなあ『一命』・・・
"予算削減"それはいまや映画祭のサブタイトルに漏れなくついてくるとしか思えない言葉です。全く、ひとごとではありません。 で、『逆転裁判』。ゲームを映画化した奇想天外な映画で、映画祭向けとは言いがたい作品ですが、こちらの観客人気投票では、推定500本の作品の中で、現在、ベスト10にはいっており、しみじみ人気の高い三池監督です。 *おまけ(?)として、三池監督と緊張全開で食事の席にいる『東京プレイボーイクラブ』の奥田監督という珍しいツーショットを、ライターの中山治美さんからいただきましたのでご紹介します。

話かわって、コンペティションのタイガーアワード。2作目までの長編映画が対象ですから、PFF同様、監督はほぼ20代、30代です。
日本でみる機会の少ない中東、東ヨーロッパ、南米の作品など、驚かされるものが多いのですが、表現が政治的背景と切っても切れないのを実感します。数年前に、香港でルーマニア映画特集に通って以来、東欧映画の変化が気になっているのですが、今回のコンペにあったセルビアの作品から再び興味が高まり、時間がちょうどやりくりできたルーマニアのドキュメンタリーをみてみました。男女混合刑務所で、愛について取材した1時間の作品。設定そのものがあまりにも意外で、ぽかーんとしてしまいました。受刑者は私服で、女性は化粧ばっちり、アクセサリーも身に着けてます。受刑者同志のカップルが沢山いて、デートしてます。塀の外の一般人との結婚の際は、48時間の特別自由時間が与えられるので、その2日間を獲得するために、何度も離婚を重ねている夫婦がいます。なんといっても、取材者(数人)が、自由に刑務所内に入って、たっぷりインタビューや撮影をしているのです。全く不思議な1時間でした。実のところ撮影もインタビューも構成も「作品」としてのお薦めは難しいですが、未知の世界を知ったということでは、今もびっくりしています。

そして、日本映画ですが、すでに映画をつくっておられる方にはお馴染みの、フランクフルトの「NIPPON CONNECTION」のディレクター、マリオンさんから、「昨年の震災と原発事故以来、日本の若い監督たちがこれまでのエンターテインメント志向から、言いたいことを作品に織り込むという方向に転換したと聞いたけどほんとう?」と聞かれました。それがほんとうかどうか、「PFFアワード2012」に応募いただいた作品からはかるしかないので、「わからない」と答えるしかありません。マリオンも、作品探しに来日を続け10年たつわけですが、近年、日本の監督が自分の作品を自分で売り込む、プロモーション能力に長けてきたと感じるそうです。すばらしい~~~。しかし、変化がないのは、作品のクオリティの低さだと。「スクリーン上映に耐えられない音と画のクオリティの作品が多すぎるのは、なんとか意識を変えてほしい」と訴えております。
そして、「NIPPON CONNECTION」本年は、60~70年代の日本の政治的映画と、311を取り上げた映画の特集を準備中とのこと。こういった特集が日本で実現する機会はまずありませんので、参加しちゃおうかなとこっそり考えてみた私。また、311の映画は、誠に大量に生まれてきつつあるようですが、海外の映画祭関係者が一番早くみているなと思い知らされています。その中で「ダントツは、平林勇監督のアニメーション作品だ」というのは、トニー・レインズさんでした。

時差ぼけで朝4時とか5時とかに目覚めてしまう健康な生活を送っています。日本時間にすれば、午後なんですけどね・・・

プロフィール

PFFディレクター
荒木啓子 Keiko Araki

雑誌編集、イベント企画、劇場映画やTVドラマの製作・宣伝などの仕事を経て、1990年より映画祭に携わる。1992年、PFFディレクターに就任。PFF全国開催への拡大や、PFFスカラシップのレギュラー化、海外への自主製作映画の紹介に尽力。国内外で映画による交流を図っている。

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