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2011/12/31 23:20:27

2012年3月「世界が注目する日本映画たち」ラインナップ決定

すでに所沢市近郊ではチラシの配布が始まっていますが、新年、3月17,18日に開催される、第12回「世界が注目する日本映画たち」。主催の所沢市と共に、PFF事務局でプログラミングを行っています。日本のみならず海外でも評判の作品を週末に一気に観る!というこの企画。会場は所沢市の総合文化センター「ミューズ」の中にある、通常、オペラやクラシックのコンサートも行われている「マーキーホール」です。
今回は、3月17日土曜日に、『奇跡』と『ヘヴンズ ストーリー』の2本。18日日曜日は、『歓待』『川の底からこんにちは』『海炭市叙景』の3本。というラインナップで決定です。
チラシ制作の段階では、ゲストが確定しておらず、追って発表とさせていただいていますが、現在のところ、『ヘヴンズ ストーリー』には、瀬々監督と主演のおひとり、山崎ハコさんが、『海炭市叙景』には、熊切監督が来場くださることが決まりました。ゲストは決定次第、所沢市のオフィシャルホームページに随時発表してまいります。
「2010年~11年に国内外で話題となり、かつ、所沢近郊の映画館で公開されていない作品」という、数ある邦画からの作品選定は、毎回、上映したい作品の山に悩まされます。更に、これまでは、35mmフィルム作品上映に限られていた会場設備に、今回からはデジタル作品も可能となり、一層困難な仕事となりました。
そこで、3月16日金曜日は、デジタル上映実現を記念する前夜祭として、『Peace』と『精神』を上映、かつ、監督の想田和弘監督をお迎えし、17&18日の上映作品に関係するゲストとの対談も予定しています。

2011年も残すところあとわずか。
新年も、映画と人との一層素晴らしい出会いをつくっていけたらと思っています。
一年間、ありがとうございました。

2011/12/27 01:51:14

やりきれない訃報の多い12月

森田芳光監督のご逝去について、整理がうまくできません。ごく身近な方にとっても、全く予期せぬ出来事だったと聞き、一層考えてしまいます。
かなしいことですが、多くの尊敬する、憧れの、お仕事をお願いしたことのある映画監督の訃報を聞いてきました。が、森田監督の場合、「自主映画の歴史上の人物がこんなに早くいなくなるわけがない・・・」という気持ちがぬぐえないのです。
「審査員という依頼は絶対に受けないことにしているけど、ほかのことだったら何でも言ってよ」とおっしゃって、かつて入選したPFFのことを気にしてくださっていました。最新作、『僕達急行 A列車で行こう』は、私が個人的に森田監督の得意技であると考える、おたくを描くことで、すごい傑作になってるのではないかと、公開を心待ちにしていた作品でした。森田監督が初めて8ミリカメラを手にしたころ「とにかく何か撮る!」と都内を様々な電車が走る姿を追いかけ、繋いだ『水蒸気急行』という、人の出ない映画をつくられています。「映画って、リズムなんだな~」と思わされる作品です。2006年、マクセルの協力で、自主映画界伝説の『ライブ・イン・茅ケ崎』と一緒に、この『水蒸気急行』を8mmフィルムからデジタル化して上映する特別プログラムをPFFで設け、上映後、監督に当時のお話などを伺いました。変わらず走っている方、という印象でした。
商業映画デヴュー作品『の・ようなもの』は、個人的に、まさに「落語家」がそこに生きている傑作だと思っています。「落語を映画化する」ということでは、現在、日活100周年記念として、デジタルリマスター版が公開中の『幕末太陽伝』の右に出るものはないかと思いますが、「落語家生活を映画化する」という点において、『の・ようなもの』は、他の追随を許さないのではなかろうか、と。独自の世界を持っている人たち、自分の好きで好きでたまらないもののある人たち、を映画にするときの森田作品を心待ちにしている私でした。偏ってますね・・・すいません。
ご自身のプロデューサーとしての活躍、そして、一緒に事務所を運営する和子夫人のプロデューサーとしての卓越した貢献、など、次代に伝えていただきたいことも沢山ある森田監督の突然の訃報は、70年代から大きく変化を始めた自主映画の歴史が、21世紀の現在、すでに充分に長い、ということを改めて私に突きつけるのでした。

2011/12/26 23:51:30

先にアップされた釜山レポートにあるように

この年末に、また風邪ひきまして寝込んでいました。迂闊です。
アップ前に記しておきたいと思っていたのですが、『ダムライフ』が釜山国際映画祭のニューカレンツコンペティションに招待された、北川監督の体験レポートがアップされています。この中にもありますが、10月に私がこのブログで記した、「受賞者とそうでない人の(表彰式入場の)ゲートが違うようだ」という北川さんからの連絡は、その場の混乱による間違いであったことがわかります。巨大な会場での導線つくり、難しい仕事です。映画祭はイベント。今回の釜山のように、巨大な会場で初めての表彰式を行うという場合の準備だけでも、どれだけの人材やリハーサルや打ち合わせが必要であろうか?と想像してしまいます。そもそも、会場が巨大であるということは、参加者の集合時間も、随分早くにする必要がありそうです。となると、仕込みは一体何時から?
つい職業病でそんなことをあれこれと・・・
しかし、新たなことに取り組むことを毎年繰り返している釜山。活力も生まれようというものです。「変わる」ことと「変わらない」ことがうまく組み合わされている状態は、理想的ですね、どんな仕事でも。「変わりたくない」という人たちの多い日本の(一部のパワーを持つ人たちだけ、と思いたいですけれど)状況をみていると、変わらないで何がいいことがあるのか、教えて欲しいなあ・・・とこの年の瀬に風邪ひいて寝ながら、しみじみ考えてしまいました。勿論、あの天災がなかったらと願いたい。その意味では、変わらないでいて欲しかった。が、世界は、この大きな犠牲のあと、賢くなれる、改良できると進むのが、人間の知性でありましょう。そもそも、年間3万人以上が自殺することが続いていた社会を「そのままがいい」と言ってはならないでしょう。個人的には、政治の中心地を福島に移すせばいいのにと思っています。江戸時代から行政は東京。もうそこに限界があるのではと。明治維新という言葉はあれど、単に人が入れ替わっただけで、制度はもしかしたら古代から現在まで千年単位で何ひとつ変わっていないみたいだなあ・・・と。東京ベースで先祖代々行ってきた行政の仕事をまるっきり変えることを意気に感じられる人が、新たに政治に参加してはどうでしょうか?守るもの、創るものは「国」で、官僚とか政治家とかの「家業」じゃないよね・・・
なんて、ここはそんなことを書くための場所ではないので、脱線してますが、首相が早稲田大学で学生たちに、TPPやら、消費税増税やらに反対する人たちの陰謀について話をしたというニュースや、外国人客接待のために国家予算が余る度に追加で買い込んだ高級ワインが47,000本たまってるとかのニュースが、泣けてくるのでした。早稲田大学にはPFFアワード入選を大学院への入学資格として扱っていただくことで、既に12名の方が学んでいます。カメラを通し人を正面から見つめる訓練を積んで来た彼、彼女らのことを思い出すと、そんな彼らに陰謀説を語る政治家・・・大学生の子供扱いされっぷりにびっくりしました。外国産ワインを買い込むセンスもしかり。海外の映画祭にお土産を持っていく場合、あるいは、来日したゲストを接待する場合、ポイントは「日本のもの」です。そこでフランスワインが登場したら、映画祭世界では笑いものだがなあ・・・政治の世界は違うのかなあ・・・いや、その前に国家予算をそんなことに・・・
余談ですが、ここ2年の私の国内外へのお土産定番は、十火の「丸」というお菓子です。毎年何か感動するお菓子をみつけてお土産に、と考えていろいろ試していまるのですが、一方で、間違いない定番というものもあります。虎屋の小さな羊羹のセットは、世界的に高い人気、はずれなしお土産と言えましょう。
食べ物の話は長くなるのでやめます。
話は戻りますが、北川さんの釜山レポートに続き、飯塚さんのバンクーバーレポート、そして、森岡さんの釜山レポートに、永野さんのバンクーバーレポート、と、年明けから順次体験レポートを掲載する予定です。2月には、最新PFFスカラシップ作品『恋に至る病』を持って木村承子監督がベルリンへ。そのレポートも引き続き・・・という計画です。ご期待ください。

2011/12/19 18:14:19

福岡で初めてのPFFスカラシップ特集

本日、園子温監督が福岡に『ヒミズ』のキャンペインに訪れておられるそうです。前作『恋の罪』公開中に、新作のキャンペイン同時展開・・・・売れっ子です。
その福岡で、年明け1月5日から、PFFスカラシップの特集が組まれることになりました。園監督の『自転車吐息』もラインナップされています。これまで21作品の製作をしてきたPFFスカラシップですが、今回、福岡では、会場となる福岡市総合図書館のキュレイターが11作品を選んでの特集です。
福岡市総合図書館は、映像のアーカイブを持ち、日本では東京国立近代美術館フィルムセンターと同じく、FIAF(国際フィルム・アーカイブ連盟)のメンバーです。特に、90年代から所蔵されているアジア映画は、宝の山と言えます。外部上映はほぼ不可能ですが、図書館内の映像ホール「シネラ」での定期的な特集上映など、収蔵作品お披露目を行っていますので、チェックなさることをおすすめします。

そんな「シネラ」でのPFF開催も、もう15年。毎回最新スカラシップ作品を紹介してきましたが、PFFスカラシップをまとめて観る事の出来る特集は、福岡初の出来事です。今回は全てフィルム上映。園監督の『自転車吐息』も、大変貴重な、この世に一本しかない、英語字幕も付いた16ミリフィルムでの上映です。先月末には、イタリアのトリノ映画祭で「園子温特集」が組まれていました。学生時代の8mm作品から最新作まで18作品を上映。およそ30年のキャリアを持つ、堂々とした巨匠なのだなあ園監督・・・・と、改めて認識です。

2011/12/16 12:34:07

『生きてるものはいないのか』を観て外に出たら、世界が違ってみえました

明日からPFFin神戸が始まります。オープニングを飾るのは「PFFアワード2011」からの2作品『春夏秋冬くるぐる』と『Recreation』です。それぞれの監督、日原さん、永野さんともご来場くださるのですが、『Recreation』は地元、神戸芸術工科大学在学中の作品ですので、教授の石井岳龍監督をお迎えして、師弟対談を企画しています。
石井監督が『突撃!博多愚連隊』でPFFに入選なさったのが1978年。33年後の今や後進を育てる側にたたれていることにしみじみするのですが、その神戸芸術工科大学の学生たちも参加したご自身の新作『生きてるものはいないのか』が、すごい。
前田司郎さんの戯曲を、前田さん自身が脚本化している『生きてるものはいないのか』。舞台は拝見しておりませんが、映画は、終わって外に出て歩き始めると、世界が全く違って見えるのです。
心底驚きました・・・・

というわけで、明日から暫く関西に滞在することとなり、本日はいささか修羅場。留守中の19日には、アップリンクで『あんたの家』上映と山川監督とジャーナリスト今井彰氏の対談が。元自衛官で気骨の人、山川公平監督が今井さんとどんなお話を展開するのか楽しみだったので残念です。また、「群青いろ」の上映会もこの週末。こちらはチケット完売という知らせをいただき、追加上映実現を祈っているところです。


2011/12/16 11:49:09

劇場デジタル化問題についての追記です。

二週間ほど前に、「デジタル化による日本における映画文化の未来について」というシンポジウムのことを書きました。既にその映像をご覧になった方も多いと思います。未見の方のために、パネラーの一人だった瀬々敬久監督が紹介なさっているものを載せておきます。『ヘヴンズ ストーリー』の公式サイトにありました。

http://ameblo.jp/heavens-story/day-20111125.html

新宿のK'sシネマで 先週まで上映していた『ヘヴンズ ストーリー』はDVD化予定がありません。できるだけ上映チャンスをつくりたいと思い、PFFが企画に参加させていただいている、所沢市主催のイベント「ミューズ シネマ・セレクション 世界が注目する日本映画たち」でも上映を致します。来年3月17日です。今回、K'sシネマでは、「ヘヴン=天」繋がりで、『天皇ごっこ』と『天使突抜六丁目』の相互割引サービスも実施したそうで、ちょっと感動してしまいました。『天使突抜六丁目』は気骨のプロダクション"シマフィルム"の贈る、京都を舞台にした一作ですが、監督の山田雅史さんのロマンチックさが色濃く出た忘れがたい作品です。京都のような古都を歩く時、こんな、どこにもない場所があるのではないか、と、ふと期待する人多いかと・・・

2011/12/01 23:41:12

ケン・ラッセルと侯孝賢と

ケン・ラッセル監督が亡くなりました。
私がPFFに初めて観客として参加したのが1987年、ケン・ラッセル監督の大特集と最新イギリス映画の特集に通いたくてでした。そして、これが、人生で映画祭の初体験でした。デレク・ジャーマン、ビル・ダグラス、アレックス・コックス、ニール・ジョーダン、デヴィッド・ヘア、ピーター・グリーナウェイなどなど。これら監督の作品上映チャンスが少なかった頃です。そして、告白します。当時「一般公募部門」と呼ばれた現在のPFFアワードが目的ではありませんでした。すいません。
しかし1987年。現在のPFFアワード応募監督のかなりが、まだ生まれていないなと思うと、大変な昔に思えます。映画祭カタログも買って今も持っています。後にPFFで仕事するなどカケラも思わなかったときでした。映画評論家の川口敦子さんのインタビューに、ケン・ラッセル監督が非常に感動していたのを覚えています。
そして、そのとき、実は、ケン・ラッセルより、多くのイギリス映画より激しいショックを受けたのが、偶然が重なって観た、侯孝賢監督の『童年往時』(原題であり、日本公開タイトルですが、PFF上映時タイトルは『阿孝の世界』でした)。そこから台湾ニューウェーブと呼ばれたあの時代を体験できたことを、しみじみ嬉しく思っています。
そして、侯孝賢監督と言えば、ナント三大陸映画祭。フランスで中国語圏の映画を積極的に紹介していた映画祭で、『フンクイの少年』(フンクイは漢字ですがうまく出ません・・・)で侯監督を高らかに世界に知らしめた映画祭です。これ、いわばチンピラ映画です。しかし、「映画の王道、それはチンピラ映画」ではないでしょうか?そのナント三大陸映画祭で『サウダーヂ』がグランプリというニュースに、改めて「チンピラ映画よ永遠に」と感慨が湧きました。
チンピラ映画の魅力、それは、「切なさ」です。断言してますけど。
そして世界に誇るチンピラ映画の本家、それは日活映画だったのではないかと。日活100周年を記念したチンピラ映画祭りをしたいくらいです。で、つい、ひとり映画祭して観てしまいました。『赤い波止場』(1958)と『紅の流れ星』(1967)二本立て。舛田利雄監督がセルフリメイクした二作です。ジャン・ギャバン主演の名作『望郷』をベースにした、東京から神戸に身を隠すチンピラの物語を、石原裕次郎(小栗旬を彷彿とさせます)が演じる『赤い波止場』そのリメイクは渡哲也(妻夫木聡を彷彿とさせます)が演じる『紅の流れ星』。10年という時の流れは、ヒロイン像を大きく変えていますし、ゴダールの『勝手にしやがれ』も導入したという『紅の流れ星』は、会話やスタイルに変化がありますが、どちらも切ないチンピラの話。あからさまな他の映画からのパクリは素晴らしいですし、あきらかに、後にこれらの作品を香港映画がパクって、更に震えるチンピラ映画を創りあげています。
映画は、盗んでなんぼだなあと、改めて思う二本立て。ただ、時の流れは映画産業の衰退も映し出して興味深いのです。『紅の流れ星』はあきらかに『赤い波止場』より低予算。60年代から映画産業の斜陽は叫ばれていたことを痛感しながら、でも今よりずっとお金あるなあと思うのでした。
この二作品をみたのは、神戸が舞台だからでもあります。
17日から始まるPFFin神戸。今回は夜の上映のみで8日間の展開。神戸には2日ほど参加しますが、その昼間に、これら2本の映画に出て来るロケ地を訪ねてみたいと思います。美術は両作品とも木村威夫さん。二作共通のロケ現場もあります。ロケから40年を超える月日が経っていますので、もう現存はしていないでしょうが、面影でもあればと期待です。
昔、映画評論家の宇田川幸洋さんが、史跡観光に行かなくても映画にすべて記録されているから、昔の暮らしは映画を観ればわかるというようなことをおっしゃってましたが、改めてそう感じる古い映画を観る喜びです。
あ、渡哲也さんといえば、東映映画ですが『仁義の墓場』これ、全人類必見。
・・・つい、映画ファンのブログ?になって失礼しました。
&ヨーロッパでは、中国語の出来る映画祭ディレクターがたくさん生まれた80年代なんだなあ・・・とふと思い出しました。

プロフィール

PFFディレクター
荒木啓子 Keiko Araki

雑誌編集、イベント企画、劇場映画やTVドラマの製作・宣伝などの仕事を経て、1990年より映画祭に携わる。1992年、PFFディレクターに就任。PFF全国開催への拡大や、PFFスカラシップのレギュラー化、海外への自主製作映画の紹介に尽力。国内外で映画による交流を図っている。

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