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PFFディレクターBLOGRSS

2011/04/18 00:35:46

台北滞在中

人口2300万人の台湾からの膨大な義援金に驚いて、突然お礼の旅にやってきました。
仕事含めて4回目の滞在ですが、回を重ねる度に、しみじみとその暖かさ、人の心のゆとりが身にしみる街です。(台湾では台北にしか来たことがないのですが、他の街は更に良いとも聞いています)
これまで一度もゆっくりした自由時間がない台北滞在でしたので、今回は、気候も散歩にまさにうってつけの薫風ですし、最新アート探訪というテーマもつけてみました。

例えば、「崋山創意園区」という、廃酒造所を改造したギャラリー・ショップ・レストランを含めた広大な芸術空間へ行きました。ここは、まだ劇場や野外音楽堂などを建造途中ですが、既にオープンした一角に触れるだけでも、北京の芸術村を連想させる新しい息吹を感じる場所です。
とても画になる空間ですから、結婚記念写真を撮るカップルがそこかしこにいました。
余談ですが、記念写真は、巨大なサイズにして飾るのが決まりだそうです。*玄関を開けた正面の壁一面がその写真、という新婚夫婦の姿が映画に出てきたりしますね・・・

「台北当代芸術館」も訪ねました。
ここは、現代美術館で、1930年代に建てられた赤煉瓦作りの小学校(終戦後は市政府が使用)を利用した趣のある場所です。コンセプチュアルアートの企画展をやることが多いそうで、今回も「芸術は爆発だ」的なテーマで若い作家たちのグループ展が開催されており、あきらかに芸術系の学生のクラス集団での来場もありました。
クラシックな外観に、メタルとガラスのフィーチャーチックな内装のギャップが面白い入り口ロビーで購入したチケット(入場料は日本円で約150円)が、まず、傑作。携帯の写真でぼやけてあまり役に立ちませんが、銀色の、手榴弾を模った、キーホルダーにもなる厚手のチケットです。Image033.jpg
これ、日本でつくったら、多分単価500円は下らず、実現の可能性ゼロです。
更に、このチケット、手榴弾のピン部分が折れるデザインになっており、入場の際は、ピンをもぎられます。そのアイデアに心から感動しました。
香港でも台湾でも、印刷物の凝っていることにいつも驚かされますが、今回もすっかり参りました。考えてみれば台湾は、韓国と同じく徴兵制を敷く戦時下体制の国。手榴弾を使ったことのある男性が国民の大半でした。ディテイルにも詳しいですね。

今回は市内にある松山空港という、もともと国内線の為の空港に到着しました。
聞いてはいましたが、日本からのフライトは、放射能チェックがあります。試しにこの一ヶ月頻繁に着ていたコートのままチェックゲートを通りましたが、問題ありませんでした。
地元のコンビニやスーパーでは、まだ義援金の呼びかけが続いており、そのためのポスターも貼られています。瓦礫の前で呆然とする親子のシルエットです。あるスーパーでは、「日本製品を買おう」という棚を設定していましたが、売り上げははかばかしくなさそうで、「この製品は全て2/27以前につくられたもので安全です」という張り紙がありました。
夕方のニュースでは、福島第一原発からの、東京(250キロ見当)、大阪(500キロ見当)、北海道(600キロ見当)の距離を説明する図が示され、近年台湾から、いえ、中国語圏からの旅行者人気No.1(スー・チー主演の北海道が出てくる映画『狙った恋の落とし方』の大ヒットから)の「北海道」の人々にインタビューしていました。「北海道は安全なので、是非訪問してほしい」と地元は訴えますが、海外からみると、その距離の違い、危険度の違いがイメージしにくいことを改めて実感しました。確かに、普通の暮らしをしてたら、日本の地図は全く頭に入ってないだろうと思います。日本でも?ましてや、海外ですから・・・


映画関係者の間で、今回の震災に対して出来ることから始めようという動きがあります。山形国際映画祭では、山形映画センターと一緒に映画の巡回上映を始めたそうです。東京の映画人グループ(呼称未決定)はボランティアバスの定期便を出す計画をすすめています。詳細決定次第、お知らせしたいと思います。

2011/04/11 17:04:10

音楽とともに1万5千人デモ

kouenji_4p_2.jpg昨日の午後2時から6時まで続いた、高円寺反原発デモの写真を、内堀さんから受け取りました。

映画祭を生業にしている私ですから、全く政治的な人間ではありませんが、人類の危機には無関心ではいられません。これまで、ロンドンでロックフェスと連動した反原発デモ、デモの根付いたベルリンでラブパレードと、無差別爆撃反対デモと、3回参加したことがありますが、日本では昨日初めての体験をしてきました。そして、警官や公安など、警備の多さに驚きました。

高円寺はピースなデモだったのですが、「デモ」というだけで「怖いもの」、「危険なもの」という前提があるのが日本なのかなあと、海外での明るく気楽な雰囲気を思い出しました。
・人の集まる広場をなくす
・大学を郊外に分散させ学生の集会をなくす
という政策が日本では70年代から着々と進められてきたことは聞いていましたが、集会を徹底的に嫌悪する社会が長い年月かけて形成されたのだな~と、昨日改めて納得しました。

デモって、気軽に「こんなこと考えてる人がこんだけいますよ」と示す行動ですので、例えメディアで報道されなくても(この報道のされなさっぷりも凄いですけど・・・)、その場にいた人の記憶や感覚が拡がることが重要だと感じています。「反原発だから、東京電力に抗議しなくては意味が無い」「代替エネルギーを提示できないのに反対してはいけない」という考えも多いそうですが、問題は東電のみならず原発推進の国を支持してきた、今20歳以上の投票権を持ち、様々な方法で考えてを伝えられる私たち全て。そして、エネルギー源としての原発をやめる選択をすることは、ちっとも難しいことではないのですが、様々な不安からこれまでの価値観を変えることの難しい人が多いこと、その不安の排除が難しいことを痛感しています。

と書いていたら、今、また大きな地震が起きました。
福島と茨城です。
福島には、危機的状況の原発があります。素人には手に負えません。
そして、茨城以北には、まだ実態が掴めないほど多くの、不安な暮らしをしている人がいます。
「危険なものを何らかの事故や悲劇の前に取り除く」それは普通に人のとる行動だと思います。
危険なものがすぐそばにある不安。そのことのほうが、これまでの暮らしを変える不安より大きい、と感じている人は、多いと思います。

2011/04/09 14:29:05

数字

ブエノスアイレス国際インディペンデント映画祭での『家族X』コンペティション部門出品にあわせ、吉田光希監督がアルゼンチンへの旅に出ました。カナダ・トロントでのトランジット数時間をあわせ、片道30時間を超える旅です。往復で3日が費やされると思うと、ちょっと腰が痛くなりました・・・
ブエノスアイレスまでの「作品」の旅は何度かありますが、「監督の招待」は初めていただきました。得がたい体験であることを祈っています。

私の南米体験は、10年前のブラジルのサンパウロ(短編映画祭に参加しました)しかありません。LAで乗り換えて向いました。映画祭への海外からのゲストは集団行動をさせられること、車の窓にも鉄格子がつけてあること、休日に開かれた骨董市の価格の驚くほど高いこと、などから、よく聞く「南米の貧富の差は激しい」という印象は変らなかったのですが、実は南米の中産階級層は拡大を続けており、現在貧富の差が最も大きいのはロシアとアメリカとイランだという話を聞きました。特にアメリカの変化は大きいらしい、と。

米総人口の1%の最富裕層が、全国民の年間収入合計額の25%を稼ぎ、全資産の40%を持所持している、と。1985年にはこの1%の最富裕層は、総収入の12%の稼ぎで、総資産の33%を所持していた。つまり、1%の最富裕層の収入はそれから18%増加し、同時に中産階級の所得が減少している、と。
そして、この「18%」という数字は、米国の経済成長に近い数字であり、つまるところ、経済成長の果実はすべてトップ1%の金持ちの懐に入った=富の独占が加速している、と。
また、この独占状況は、19世紀より悪くなりつつあるのではないか、と。
更に、連邦議員のほとんどが1%の富裕層に所属している、と。
平等、チャンス、という言葉がアメリカの形容詞につかなくなって久しいのも、むべなるかな、と納得する数字です。

お金ついでに、原子力安全委員会の委員報酬がひとり約1,650万円(年収)ということを聞き、「この金額の制作費もない映画が沢山ロードショーされるてるよう~!」としみじみしました。
本来"億"単位欲しい映画製作費を、その10分の1,100分の1で乗り切るのは、もう珍しくない現実は苦いのですが、しかし一方で、同じ1,650万円という金額で、もっと多彩で可能性のあることが映画には出来ますね。そのことを追求して行こうと改めて思います。

もうお金の話は置いておいて、少しほっとした数字です。
東北大学には、夏目漱石の幼少からの書籍資料が驚くほどの数収蔵されています。実は私は漱石ファン。できれば東北大学図書館で漱石資料の番をして残りの人生を過ごしたいと妄想したりするのですが、残念ながら司書の資格も、学芸員の資格もありません(映画祭ディレクターは資格のいらない仕事です)。それで、ずっと漱石資料の損傷がどの程度がが気になっていたのですが、仙台の友人が親切に確認してくださったところ、5冊ほど補修しなくてはならないものが出た程度だとのことでした。
二度と大きな地震が東北地方で起こらないことを改めて祈ります。

東京は、ここ数日の強風と本日の雨で、折角の桜が花見に興じることも出来ずに散っていっています。被災地の蔵元から、宴会をしてお酒を飲んで欲しいというメッセージが出ていましたが、本日は利き酒会に参加します。また好きなものの話で恐縮ですが、東北の日本酒はしみじみ美味しい。振り返れば、一番愛飲しているのは福島のお酒で、奥の松、飛露喜、大七など、呑み飽きることがありません。

ところで明日、高円寺でおおきなデモが予定されています。
近年PFFの会場でオフィシャルカメラマンをやっていただいている内堀さんが写真を撮るそうなので、週明けにご紹介します。
http://www.magazine9.jp/matsumoto/110406/

2011/04/08 18:43:14

「PFFアワード2011」へのご応募ありがとうございました

3月31日の消印有効で締め切りました「PFFアワード2011」公募へ、602作品のご応募をいただきました。
沢山のご応募、ありがとうございました。
応募受付の終了した作品は、随時、エントリーフォームに記された"応募責任者"宛に、作品受領の葉書を御送りしております。ご確認ください。

現在、一次審査が始まっています。
15名の審査員が1作品を最低3名で観、討議の上推薦する「一次審査会議」にて一次通過作品を決定。続き、一次通過作品は15名全員で拝見した後、長い時間をかけて行う「二次審査会議」にかけられ、入選作品が決定します。
7月上旬決定予定の入選作品は、応募の皆様へ郵送でお知らせすると共に、HPにて発表します。

昨夜の揺れは東京でも強く、怖い時間を過ごしました。東北地方では、深夜の激しい揺れや警報に、どれだけ長い恐怖の闇夜を過ごされただろうかと、胸がふさぎます。また、原発に対する海外の敏感な反応のニュースも今後更に増えそうです。
世界がすっかり変化する前に創られた作品を、変化の後に拝見する本年のPFFアワード2011のセレクション。審査する側の眼が一層問われる日々になりそうです。

2011/04/05 17:26:35

東京の夜・ベルリンの夜

昨夜香港から帰国し、東京の夜がぐっと暗くなったのを再確認しました。
多分、1960年くらいの雰囲気では・・・と数々の映画を思い出しながら予測する、映画原理主義の私です。その頃に都内でロケした映画の街並のように、ぱっとみたところ、どこにどんな店が展開しているのかわかりにくく、なかなかエキゾチックで素敵で、ヨーロッパの街のようです。

香港映画祭の昼食会で、アメリカのインディペンデント映画特集「REDISCOVERING AMERICAN INDIES」で上映される『Jess + Moss』の監督&スタッフと同席になりました。ベルリン国際映画祭でも上映されたこの映画、同じテーブルにいた『FIT』の廣末監督や『世界グッドモーニング!!』の廣原監督も、同じくベルリンで上映された奇遇もあり、暫くベルリンの話をしていました。監督のClay JeterはLA在住。ベルリンに魅せられ、3週間滞在したけれども、もっと居たかった、と。「3週間旅せずベルリンだけで退屈しなかったの?!」と驚くと、地元の知り合いが出来て、街の様子がわかってきた数日めからは、毎日夕方5時くらいに起きて、夜の映画祭上映映画を2本ばかりみて、そのあとは、地元の人と一緒でなくては場所がわからないような店に入り、世が更けるにつれて盛り上がる店、夜中に開く店を、次々にはしごして朝が来て、ホテルに戻って朝食を食べて、寝る。という毎日を送り、その、決して旅行者にはわからない店と、集う人々に、すっかり夢のような時間をもらったそうで、LAに帰りたくなくてしょうがなかったそうです。
なるほど。
私のベルリンの日々とはあまりに違います。

でも、今の東京の夜の町並み、Clayの魅せられた秘密の店が隠れているベルリンに似た雰囲気が、いいですね。


汚染された水を海に流してしまったのね・・・という驚きにうちのめされた一日が過ぎています。が、放射性廃棄物をドラム缶に詰めて海底に沈め続けたイギリスはじめ各国の前例もありますし、海に捨てるということを、普通の方法と考えている層があることを再認識させられた感があります。
イギリスといえば(なんだか無理やりな続け方ですね)、イギリス映画復活といわれるように、現在公開中の『わたしを離さないで』『英国王のスピーチ』は、確かに大変見ごたえがあります。


2011/04/03 01:05:44

ジャッキー・チェンと香港国際映画祭

香港ではやけにブログの更新が頻繁なのですが、それは、宿泊場所にごく近い上映会場がふたつあり時間にいささか余裕があるからです。こんなことが可能な映画祭は、あまりありません。

本日の最後は、石橋義正監督の新作『Milocrorze-A Love Story』で締めくくりました。「I SEE IT MY WAY」という特集の4作品の一本で、ひとことで言えば、"ちょっと変わった映画を、若い観客向けに特別上映する"企画で、英語がまだ堪能ではない若年層の為に、中国語字幕投影のサービスつきです。(香港国際映画祭は基本的に英語字幕のみの上映です)、本日はイースター休暇を控える週末の夜でもあり、オープニングやクロージングに使われる大劇場が満杯の盛況。日本公開はこれからの、この『ミロクローゼ』、山田孝之さんのひとり3役が素晴らしい!ファンになります。鈴木清順監督も拝めます。(注・マイキー一家は出てきません)

既に報じられましたが、ジャッキー・チェンの呼びかけたチャリティーコンサートで、2億円の義援金が集まった香港。そのほかにも、ショッピングモールの入り口に、「日本のために祈ろう」と書かれた愛の木(←勝手に命名。写真を撮る習慣がないため、これまた写真なしですいません)が置かれていたり、スターバックスで、ある時間帯の売り上げを義援金にすると発表すると長蛇の列が出来るなど、さまざまな善意をいただいている香港。石橋監督は、上映後のQ&Aの最後に、「お伝えしたいことがあります」と、香港からいただいたさまざまなサポートに、深くお礼を伝えて、舞台を去りました。大人な監督の行動に感動しました。

ジャッキー・チェンは香港国際映画祭とは殆ど縁がなく、映画祭スタッフからはあまり話しが出ません。また、昨今香港でジャッキーは「テレビで養毛剤の宣伝をしているおじさん」という認識で、10代20代はジャッキーの映画をみたこがないのが普通、という話を数日前に聞いて、ちょっとうろたえたばかりでした。・・・・しかし日本でもそうですね。冷静に考えると。
かつて映画の中で、ジャッキーが縦横無尽に駆け回った街も、殆ど面影がない近年の香港。更に香港を象徴するフェリーも廃止の方向と聞き、寂しさが増します。

311まではテレビを全くみない生活をしていた私ですが「もしかして速報はテレビニュースが一番早いかも」と、一生分(ちょっとオーバー)みていたこの数週間。印象的だったのは「わからないことを喋るとすぐばれる」ということがよくわかったこと。そして「コントロールされた情報しか流れない」のは本当なのだな、と確認できたことでした。
また、この3週間続く「わからない者が発表し、わからない解説者が解説し、わからないメディアが質問し」を海外でみると、その不思議さが際立ちます。そこだけ「平和な日本」が脈々と生きてるのを感じるのです。
数々の映画の中で、危険地帯はフリーランスのジャーナリストしか行きませんし、わかっている専門家は、必ず"狂っている"とパージされますが、「現実も同じかも~」とか口に出したくなったりして、映画原理主義になりそうなので、この辺でテレビにお別れです。それは、今、集中的に映画をみることが出来たことで、映画の力を、再確認できているからかもしれません。
テレビと映画、その役割は完全に別であり、比べるものでは全くありませんが、ひとつのメディアとして、映画は世界の変化に敏感で有り得る、人類の信頼に応える強靭さを持ち得る、時間と思考の詰まった媒体になりえる、と確認できてきた気がします。
そしてあと一日で香港国際映画祭ともお別れです。

付記:韓国映画『The Journal of Musan』は、日本公開が決定しているそうです。迂闊ですいません。必見作品です。


2011/04/02 09:52:55

台湾映画特集など

全く違う話題で、エドワード・ヤン、ホウ・シャオシエン、ツァイ・ミン・リャンという台湾の3監督の話を、イギリスの映画評論家トニー・レインズさんとした矢先に、台湾からの義援金が100億円を超えたと知り、あの小さな国の日本への親愛に、たじろぐほどの感動を覚えました。どんな風に感謝を伝えればいいか、考えています。
近年、台湾映画がまた興味深くなってきたと盛んに言われています。上映日と滞在日があわないため、拝見できていませんから恐縮ですが、香港国際映画祭でもTAIWAN CINEMA RETURNSという小特集があり、「The Forth Prortrait」「Hotel Blackcat」 「Return Ticket 」「When Love Comes」の4作品が上映されています。そして、素晴らしいタイミングで、台湾映画を多数収蔵している福岡市総合図書館の映像ホール・シネラで、丁度昨日から一ヶ月かけて、台湾映画の歴史をたどる特集が展開されています。貴重な作品満載ですので、是非多くの方に観ていただきたいです。
http://www.cinela.com/#f

PFFの福岡開催会場であるシネラは、通常通り上映が行われておりますが、仙台での会場であった仙台メディアテークからは、施設の復旧にどのくらいの時間がかかるか不明との知らせがきています。
3月11日は、西と東をふたつの別の国にするような天災、と続く人災、だったと海外にいると改めて感じます。東京あるいは、静岡から東は、恐怖を体感し、今後の生活を変えていくことが必要であり、同時にそれが新しい大きな希望という実感がありますが、そこから西は、これまでの日常を継続可能ですので、感覚に大きな違いがあり、それが今後の日本だと思います。福岡市総合図書館と仙台メディアテーク、この二つのホールの状態の違いが、東西の差異を象徴しているかもとふと思いました。

そして、昨日の話題に繋がりますが、香港では、日本の状況を日本人に聞く人は、殆どおりません。気遣いもあると思います。が、こちらから積極的に話をしたほうが、自分たちの状況を客観的に整理できますし、現状は知られていないことも、同時に理解できて役立つとも感じます。
最も知られているのは、勿論、津波、そして最も恐れられているのは、原発事故です。一方、エンターテインメントの自粛は、全く知られていません。が、映画祭世界では、「沖縄コメディ映画祭」の開催で、日本は大丈夫だという理解もあり、エンターテインメントは対外的な印象付けに役立つことを改めて実感しています。

これから、東は、放射能という静かな見えない脅威との向き合い方を探しながら、静かに生活の改革をすすめていく必要がありますが、西は、別の道を進んで欲しいなと思っています。「大丈夫」だと国内外に伝えるためには、西の平常化と、東の福島への遷都が、私が非常に効果的だと思う国の再建です。
311前には戻れないことを前提に、子供たちに危険のない社会をつくるための方法を構築しなくてはなりませんが、人類にかつて例のない今回の状況ですから、どこにも何のマニュアルもありません。私たちがゼロから始めるしかないのだなということをしみじみ再認識するのも、海外という距離を置いた場所にいるからこそだという気がします。そして、月末のイギリス王室の結婚式に日本の皇族が参加しないことをいささか残念に思ってます。日本の状況を、広く伝える得がたい機会だからです。
海外に出る機会をお持ちの方は、出来るだけ計画を変更せず、出来るだけ外に出て交流を続けることが日本のために有効だなとも感じる香港滞在です。


2011/04/01 09:47:04

PFFアワード2011公募締め切りました&香港

日本も暖かくなってきたそうですが、香港も本日は珍しく青く輝く、暑くなりそうな空です。
「PFFアワード2011」の公募は昨日3/31の消印有効で締め切りました。ご応募ありがとうございました。これから、1作品を3人で拝見する一次、全員で拝見する二次、と続く審査を15人で取り組み、7月にはご応募いただいた皆様に入選作品の決定をご連絡できる予定です。
暫くお待ち下さい。

さて、3月11日のあと初めて参加した国際映画祭となる香港ですが、「邦画の上映後の質疑応答で、災害のことを聞かれるか?」ということを日本にいるある監督に尋ねられました。
私が目撃できた質疑応答はまだ『世界グッドモーニング!!』のみですから、事例がなさすぎるのですが、観客からの質問は、そこからはじまることはなく、監督のほうから話す。というケースが多いのではないかと予想しています。
例えば、今回、『世界グッドモーニング!!』の廣原監督は、上映前の挨拶から、「災害前につくられたこの作品を、災害を体験したあとでどう感じるか確認したいから皆さんと一緒に見る」と話しました。
そして、上映後には、「すごく古い映画をみているように感じた」と。
この作品に、何かに対する恐れや、崩壊の予感を込めていたことが、現実のものになってしまったことがまだ自分でも整理できていないこと、また、自分自身でもそして観客にも満足してもらえていたラストシーンが、災害のあと、非常に辛いシーンになったと。それは、鳥瞰で主人公を捕らえていくシーンです。
製作当時は、そこには優しく見守る視線があると自他共に感じていたが、今回、ヘリコプターから撮られた助けを求める人々の姿を見たあとは、残酷なシーンにみえたこと、など、言葉を捜しながら、もどかしげに話していました。

また、一昨日の授賞式での想田監督の受賞コメント、以下をご覧ください。↓
http://documentary-campaign.blogspot.com/

職業柄、映画監督と言葉を交わすことの多い私ですが、優れた映画監督(のみならずクリエイター)は、未来を感応すると実感しています。3月11日以降やりとりのあった監督たちは、皆残らずこれまでの日本の価値観が大きく変容することを、極端に言えば、これまでの生活はありえないこと、変えなくてはならないことを当然として受け止めています。また、過去の企画や脚本が、全く別世界のものにみえる感覚を持っている様子です。自分にとって映画とは何なのか、自分はこれからどう活動していくのか、を、多くの人と話して整理していく場所を持つことが、今とても重要なのではないかと感じますが、映画祭はその場所のひとつだと、今これを書きながら思っています。

香港国際映画祭は、バラエティに富む映画祭です。プログラムのセクション数、コンペの数、イベントの数はアジア1.2を争う規模ですが、特に、若い観客の創造に力を入れていることを、昨今強く感じています。
今年面白かったのは、「Festival Tour」。映画ファン10~15名で構成されたグループを20組構成し、映画批評家や研究家が一組づつに担当配備(?)され、映画祭から5作品をセレクト、鑑賞したあと、その映画についてディスカッションする。というツアーです。映画をみて、語る。その行為が、観客を育てることになると同時に、映画監督にとっても、得がたい機会なのだなと、改めて映画祭の役割を感じる今回の滞在です。

さて、本年はロッテルダム国際映画祭に行けなかった私。昨日、ロッテルダムのコンペティションでグランプリ(タイガーアワード)を受賞した話題の韓国映画『The Journals of Musan』をやっと拝見しました。
「喧嘩のシーンを本気でやりたかったので、人に頼むわけにはいかないから自らが主演を演じたが、顔を腫らし、鼻血を出しながらの撮影が多くなり、かえってスタッフに心配をかけて、やりにくくさせて申し訳なかった」と話していた人気沸騰になりそうなPark Jung-bum監督。きっと日本でもいづれかのアジア映画祭で上映されるでしょうから、是非ご覧ください。この作品含め、脱北者を取り上げる作品の増加が興味深い韓国映画です。
ほんとに日本にはたくさんアジア映画を上映する映画祭があって嬉しいなあ~見逃しても何とかなるな~と実は思ってしまう不埒な私。プログラマーの皆様、よろしくお願いします。
そして、チベット映画の『Old Dog』と『The Sun Beaten Path』も是非上映してください。(見逃したので・・・)


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